住宅ローン 選び方自営業(個人事業主)と住宅ローン

自営業(個人事業主)と住宅ローン

自営業(個人事業主)と住宅ローン自営業(個人事業主)と住宅ローン

現在、自営業(個人事業主)として働いている方のなかには、マイホームの購入に向け、住宅ローンの借り入れを検討している方もいるはずです。

ただ、自営業の方が住宅ローンを組む際に、注意したい点があります。それは、サラリーマン(正社員)と比較して住宅ローンの審査に通過しにくいことです
例えば、サラリーマン世帯と比較し、倍以上の収入があり、十分な自己資本を持っていたとしても、自営業であることから、住宅ローンの審査に落ちてしまうことは、決して珍しくはありません。

下記は住宅ローン比較に、実際に問い合わせがあった住宅ローン審査の一例です。

某大手都銀への住宅ローン審査の申し込み事例

サラリーマンAさん

物件価格 4,000万円
世帯収入 650万円
頭金 500万円
住宅ローン希望金額 3,500万円(30年ローン)
その他ローン なし
世帯主職業 中堅企業サラリーマン勤続15年・38才
審査結果 満額OK

自営業Bさん

物件価格 4,000万円
世帯収入 1,200万円
頭金 500万円
住宅ローン希望金額 3,500万円(30年ローン)
その他ローン マイカーローン
世帯主職業 自営業5年・39才
審査結果 2,000万円であれば可
※希望金額から1,500万円減額

上記の表を見ると、「自営業Bさん」の方が「サラリーマンAさん」と比較して、収入が倍近くあるにも関わらず、ほぼ同条件で住宅ローン審査に申し込みをした場合の審査結果は、「自営業Bさん」の方が不利なものとなっています。

基本的に銀行では、自営業者の単年度の世帯年収はさほど重要視しておらず、会社の経営状態やその他のローンの有無等を重視しています
また、会社に借り入れがある場合はそれが経営者の負債として認識され、他のローン残高については審査の際、サラリーマン世帯以上にマイナスに評価される傾向があります。

つまり、自営業者が住宅ローンの審査に申し込む際、下記のような条件を満たしている事がサラリーマン世帯同様に住宅ローン審査に通過するための最低条件と言えるでしょう。

自営業者がサラリーマン世帯同様に住宅ローンを組むための最低条件

  • 事業が黒字である※過去3年間
  • 収入が安定している※過去3年間
  • その他ローンがない
  • 会社に負債がない。または過去3年間、キャッシュフローで十分安定的に返済ができている
  • 事業開始後5年以上経過している
  • 物件価格の2割以上頭金を用意できる

自営業の場合、住宅ローンを借り入れる際、事業の決算報告書や課税証明書等サラリーマン世帯と比較すると用意すべき書類は多岐に渡ります。

自営業で住宅購入を検討している方は、サラリーマンと比較し、住宅ローン審査に通過しにくい傾向があることを、事前に押さえておくことが大切です。

ただし、自営業だからといって、住宅ローン審査に通過できないことはありません。
数ある金融機関のなかには、自営業の借り入れに対応した住宅ローンを提供しているところもあります
以下では、自営業でも組むことができるおすすめの住宅ローンを紹介していますので、各住宅ローンの特徴をチェックし、自分に合ったものを見つけましょう。

自営業におすすめの住宅ローン

イオン銀行 住宅ローン

イオン銀行 住宅ローン

金利 2023年9月
  • 変動0.38%(物件価格の80%以内での借り入れの場合)
  • 当初3年固定0.74
  • 当初5年固定0.87
  • 当初10年固定1.21
自営業の住宅ローン借り入れ条件 事業開始後3年を経過+前年度所得が100万円以上
取り扱い事務手数料 〈定額型〉
  • 11万円(税込)
〈定率型〉
  • 借り入れ金額の2.2%(税込)※最低取り扱い事務手数料は22万円(税込)
※「定額型」を選択した場合、「定率型」を選択した場合と比較し、住宅ローン金利が年0.2%高くなる
団信
  • 全疾病団信:無料付帯
  • がん保障:年0.1%金利上乗せ
  • 8疾病保障プラス:年0.3%金利上乗せ
  • ワイド団信:年0.3%金利上乗せ
保証料 無料
一部繰上げ返済手数料 無料

イオン銀行 住宅ローンの特徴
イオングループの「イオン銀行」が提供する住宅ローン。
イオン銀行では、自営業による住宅ローンの借り入れにも対応。「事業開始後3年を経過+前年度所得が100万円以上」といった条件を満たしていれば、住宅ローン審査に申し込むことができる
また、イオン銀行は、他の金融機関と比較しても、優位性の高い住宅ローン金利を実現。さらに、住宅ローン返済期間中ずっと「イオンでの買い物が毎日5%OFF」になるサービスが受けられる「イオンセレクトクラブ」の利用をはじめ、住宅ローン契約者限定特典も充実している
その他にも、イオン銀行では、Webと店舗の両方で、住宅ローンに関する相談・申し込みに対応しているほか、保証料・一部繰り上げ返済手数料が無料など、利便性の高いサービスを提供。
イオングループのサービスをよく利用する自営業の方にとって、イオン銀行の住宅ローンは有力な選択肢の一つといえるだろう。

イオン銀行 住宅ローン

ARUHI フラット35

ARUHI フラット35

フラット35 金利 2023年9月
  • 15-20年固定1.32
  • 21-35年固定1.80
※融資比率9割以下
※いずれも団信ありの場合。団信に加入しない場合は表示金利-0.2%
自営業の住宅ローン借り入れ条件 自動車ローンやカードローン等を含むすべての借り入れに関して、年収に占める年間合計返済額の割合(=総返済負担率)が以下の基準を満たす方
  • 年収400万円未満
    →年間合計返済額の割合が30%以下
  • 年収400万円以上
    →年間合計返済額の割合が35%以下
取扱事務手数料 借り入れ金額の2.2%(税込)
※Webからの申し込みで1.1%(税込)に優遇
団信 無料
※団信に加入しない場合は表示金利-0.2%
保証料 無料
一部繰り上げ返済手数料 無料

ARUHI フラット35 住宅ローンの特徴
13年連続(※2023年3月末時点)でフラット35の取扱高No.1を誇る「ARUHI」の長期固定金利型住宅ローン
ARUHIでは、数あるフラット35のなかでも、最低水準の住宅ローン金利を実現。また、Webからの申し込みで、取り扱い事務手数料が、借り入れ金額の1.1%(税込)に優遇される。他のフラット35と比較し、有利な条件で住宅ローンを組めるのは、ARUHI フラット35を利用する大きなメリット。
さらに、事前審査は1~2営業日、本審査は1~2週間とスピード審査に対応しているほか、全国1,000以上の金融機関から返済口座を指定することもできる。
雇用形態に関わらず、フラット35が定める所定の条件をクリアしていれば、自営業でも住宅ローンを組むことが可能。ARUHIは、フラット35の借り入れを検討している自営業の方におすすめのフラット35といえるだろう。

ARUHI フラット35 住宅ローン

SBI新生銀行 住宅ローン

SBI新生銀行 住宅ローン

金利 2023年9月
  • 変動0.42
  • 当初10年固定1.10
  • 当初20年固定1.35
  • 当初30年固定1.60
自営業の住宅ローン借り入れ条件 業歴2年以上+2年間の平均所得(経費控除後の金額)300万円以上
取り扱い事務手数料 〈定額型〉
  • 5.5万円(税込)
  • 11万円(税込)※「安心パック」付帯時
  • 16.5万円(税込)※「安心パックW」「安心パックS」付帯時
※ステップダウン金利タイプを選択した場合も、取り扱い事務手数料は16.5万円(税込)。
〈定率型〉
  • 借り入れ金額の2.2%(税込)
※「変動金利(半年型)〈変動フォーカス〉」選択時
団信 無料
保証料 無料
一部繰り上げ返済手数料 無料

SBI新生銀行 住宅ローンの特徴
利便性の高いサービスに定評がある「SBI新生銀行」の住宅ローン。
新生銀行では、「業歴2年以上+2年間の平均所得(経費控除後の金額)300万円以上」といった条件をクリアしていれば、自営業でも住宅ローン審査に申し込むことが可能
また、他の多くの金融機関が取り扱い事務手数料に定率制を採用しているなか、新生銀行では取り扱い事務手数料に定額制を採用している(※一部のプランを除く)。住宅ローンの借り入れにかかる諸費用を安く抑えられる点も、新生銀行を利用する大きなメリット。
さらに、住宅ローン返済期間中のライフイベントやさまざまなリスクに備えられるオプション「安心パック」シリーズを提供している点も魅力の一つといえるだろう。
諸費用を安く抑えられる点や、サービスの利便性を考慮すると、自営業でも組める住宅ローンを検討する際、新生銀行はぜひ候補に入れておきたい。

SBI新生銀行 住宅ローン

まとめ

自営業の場合、サラリーマンと比較して、住宅ローンの審査に通過するのが難しくなる傾向にありますが、しっかりとポイント(条件)を押さえたうえで、審査に申し込めば、自営業でも住宅ローンを組むことは可能です

現在、自営業として働いており、住宅ローンの借り入れを検討している方は、本特集を参考に審査に通過するポイントやおすすめの住宅ローンをチェックし、マイホームを購入する際に役立てましょう。

著者 溝口 麻衣

著者 溝口 麻衣

Hayakawa所属のチーフライター兼編集者。自営業(個人事業主)と住宅ローンについての調査と記事執筆を担当。
わかりやすく、ちょっとした気付きのある記事を目指し、日々原稿を執筆している。2級FP技能士取得。

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