住宅ローン 選び方住宅ローンと就業不能リスク -団信の疾病保障と就業不能保険はどちらがおすすめ?-
住宅ローンで無視できない「就業不能」というリスク住宅ローンと就業不能リスク -団信の疾病保障と就業不能保険はどちらがおすすめ?-
住宅ローンを契約する際は、ほとんどの方が、団体信用生命保険(団信)へ加入します。
団信は、契約者に万一のことがあったときに保険会社が残債を肩代わりする、言わば「住宅ローン返済に特化した死亡保険」。住宅ローン契約時の条件として、ほぼ全ての金融機関が団信への加入を義務付けていることもあり、住宅ローン契約者は、ほぼ自動的に、「死亡・高度障害により住宅ローンが返済不能になるリスク」を回避できるようになっています。
返済中のリスクは「死亡・高度障害」だけではない
しかし、住宅ローンの返済中には、死亡や高度障害と同じくらい大きなリスクが他にもあります。それが就業不能=働けなくなるリスクです。
大きな病気やケガをして、一命は取り留めたものの、医師から長期の入院や療養が必要と言われる―――このようなケースでは、仕事を再開して収入を得ることもできなければ、団信によって住宅ローン残高が相殺されることもありません。就業不能状態が長く続くほど、家計や住宅ローンの返済は厳しくなり、経済的に困窮する可能性が高まるでしょう。結果的に住宅ローンの返済が滞ると、物件の権利は金融機関に移動し、最終的には売却され、家を失うことになるのです。
住宅ローンを利用する際は、この就業不能リスクに備えておく必要があります。そこで今回の住宅ローン比較の特集は、このリスクに備えることができるおすすめの住宅ローンの情報に加え、就業不能時に一定の保険金を受け取ることができる就業不能保険の情報をご紹介します。
就業不能リスクへの備え方住宅ローンと就業不能リスク -団信の疾病保障と就業不能保険はどちらがおすすめ?-
就業不能のリスクに備える方法には、大きく分けて、以下の2つがあります。
住宅ローンの「疾病保障」で備える
住宅ローンにおける疾病保障とは、団信に就業不能時の保障を付帯したものです。契約者が、特定の病気やケガによって就業不能状態となった場合に、住宅ローンの月々の返済が一時的に免除されたり、住宅ローンの残高がゼロになる仕組みをとっています。
金融機関のホームページ等で、「8疾病保障付き」「7大疾病保障付き」といった名称で紹介されているのが、典型的な疾病保障付きの住宅ローン。
団信に保障をプラスする形になるため、多くの金融機関では、住宅ローン金利が0.3%程度上乗せされたり、別途保険料を支払う必要がありますが、上乗せ分や保険料の金額は金融機関によっても異なります。特に、最近ではネット銀行を中心に、金利の上乗せ不要(=無料)で疾病保障を付帯できる住宅ローンもあるため、低コストで就業不能に備えたい方は是非チェックしてみましょう。
おすすめの住宅ローン
住信SBIネット銀行 ネット専用住宅ローン
特徴 | 金利の低さに定評がある住宅ローン。保証料・繰り上げ返済手数料・団体信用生命保険料は無料。事務手数料は融資額の2.20%(税込)。疾病保障については、すべての病気・ケガを対象とした「全疾病保障」を金利上乗せなしで提供。フラット35利用時にも「全疾病保障」を選択することができる。 |
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対応する疾病・ケガ | ガン、脳卒中、急性心筋梗塞、高血圧症、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変、慢性膵炎含むすべての病気・ケガ※上皮内ガン・精神疾患を除く |
保障内容 |
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上乗せ金利の有無 | 上乗せ無し |
住宅ローン金利※2023年3月 |
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楽天銀行 住宅ローン(金利選択型)
特徴 | 変動金利・固定金利選択型・フラット35を扱う住宅ローン。保証料・繰り上げ返済手数料・団体信用生命保険料は無料。事務手数料は一律324,000円(税込)となる。疾病保障は金利上乗せなしで所定の8つの疾病を保障する「長期8疾病就業不能保障特約」を提供。※フラット35では利用不可。 |
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対応する疾病・ケガ | ガン、脳卒中、急性心筋梗塞、高血圧性疾患、糖尿病、慢性腎臓病、肝硬変、慢性膵炎 |
保障内容 |
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上乗せ金利の有無 | 上乗せ無し |
住宅ローン金利※2023年3月 |
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保険会社の「就業不能保険」で備える
就業不能に備えるもう1つの方法が、就業不能保険です。就業不能保険とは、契約者が就業不能状態となった場合に毎月給付金が支払われる仕組みの生命保険。契約時には、就業不能の際に支払われる給付金の額と、保険期間(いつまで給付金が支払われるか)を設定します。
就業不能保険の一番の魅力は、より広範囲の就業不能リスクに備えられる点です。住宅ローンの疾病保障の多くが、返済免除というかたちで住宅ローン残高を保障するのに対し、就業不能保険では給付金という現物のお金が支払われます。給付金は、住宅ローンの返済に充当できるのはもちろんですが、生活費や治療費など、それ以外の金銭リスクをカバーすることも可能です。
たとえば、自営業で健康保険から傷病手当金の支給が受けられない場合などは、就業不能による生活リスクのほうが、住宅ローンの返済リスクよりも高くなります。また、住まいについては、「住宅ローンの返済をあきらめて、自宅を売却する」という最終的なリスク回避手段もあるのに対し、生活費や治療費の支払いは待ったなし、となることが多いでしょう。
そのため、住宅ローンよりも生活面のリスクのほうに、より重点を置いて保障を受けたい場合は、就業不能の保障に特化した「就業不能保険」の利用を検討することをおすすめします。
住宅ローンの返済不安を軽減できるおすすめの就業不能保険
アクサダイレクト生命 働けないときの安心
特徴 |
「AXAグループ」のネット生保「アクサダイレクト生命」が販売する就業不能保険。多くの就業不能保険が、給付金の支給対象を病気とケガに限定するなか、『働けないときの安心』は、うつ病などの精神疾患で働けなくなった場合も、給付金を受け取ることができる。全国健康保険協会が公表している現金給付受給者状況調査(平成30年度)によると、働けなくなった理由のトップは「精神および行動の傷害」となっており、就業不能保険で精神疾患をカバーできる点は、大きな魅力と言えるだろう。 給付金の受け取り方法は、受給開始日から満額受け取ることができる満額タイプと、一定期間は設定した給付金月額の半額を受け取ることで保険料がお手頃になるハーフタイプの2種類を用意。自身の職業や収入状況に応じて、タイプを選ぶことができる。 住宅ローンの返済不安を減らすために、手頃な掛金で加入できる就業不能保険を探している方にとって、『アクサダイレクト生命の働けないときの安心』は、間違いなく有力な選択肢の一つになるだろう。 |
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対応する疾病・ケガ | すべての疾病・ケガ及び所定の精神疾患 |
就業不能の定義 |
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保障内容 |
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アフラック 給与サポート保険
特徴 | アフラックの就業不能保険。就業不能状態となってから60日経過後より1年6ヶ月目まで支給される「短期回復支援給付金」と、1年6ヶ月目以降支給される「長期療養支援給付金」の2段階の給付金を設定する(会社員などで健康保険から傷病手当金が支払われる場合は短期回復支援給付金の保障額を小さく、長期養支援給付金を手厚くするなどして保障額を調整可能)。 |
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対応する疾病・ケガ | すべての疾病・ケガ※精神疾患は保障対象外 |
就業不能の定義 |
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保障内容 |
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住宅ローンと就業不能リスク~まとめ~住宅ローンと就業不能リスク -団信の疾病保障と就業不能保険はどちらがおすすめ?-
就業不能は、死亡や高度障害と同様、住宅ローンの返済において無視できないリスクの1つです。
特に、がんなどの生活習慣病は、治療が長期にわたるケースも多く、万一のことを考えて住宅ローン返済や生活費などへの備えをしておきたい、という方は多いでしょう。
今回ご紹介したように、住宅ローン返済中の就業不能に備える方法は、1つではありません。住宅ローンの返済のみに的を絞るか、それ以外の生活費用の保障も視野に入れるかによって、ベストな備え方は異なります。
ご自身の住宅ローン借入額や、万一の際に使えるお金(貯金や有価証券、不労収入など)、その他の保険への加入状況(がん保険など)を加味したうえで、生活上の隠れたリスクである就業不能に賢く備えましょう。