住宅ローン 選び方住宅ローンの種類とメリット、デメリットを解説!おすすめの組み方は?
実は一つではない住宅ローンの種類。それぞれのメリットデメリットを把握しよう住宅ローンの種類とメリット、デメリットを解説!おすすめの組み方は?
住宅購入を考えるとき、多くの人が避けては通れない住宅ローン。
金利の高さ・低さ、どの金利タイプを選ぶのか、どこの金融機関で組むのか、審査は無事に通るのかなど、悩みどころが多い住宅ローン選びですが、「夫婦のうちどちらが組むのか」「夫婦でお金を出した場合は住宅の名義をどうするか」なども悩ましいポイントでしょう。
共働き世帯が過半数を占める現在、夫婦名義で住宅ローンを組む選択肢もごく一般的です。
ただし、夫婦で住宅ローンを分担する際は、税金や団信の取り扱いなど、知っておきたい注意点がいくつかあります。
そこで今回は、共働き世帯向けの「住宅ローンの種類」にスポットを当てて、単独ローン・ペアローン・収入合算など、何種類かある住宅ローンの契約方法と、それぞれのメリット・デメリットについて解説。それぞれの組み方にあったおすすめの住宅ローンもご紹介します。
住宅ローンの種類 その1:単独ローンのメリットとデメリット住宅ローンの種類とメリット、デメリットを解説!おすすめの組み方は?
単独ローンとは、夫婦のうちの夫もしくは妻のどちらかが契約者となって住宅ローンを組む方法です。
住宅ローンの審査は契約者本人のみについて行われ、住宅の名義も契約者のみとなります。
借入可能額は契約者の年収に応じて決まり、配偶者の年収は加味されません。
そのため、住宅購入後の家計では、住宅ローンに関与していない配偶者の収入がそのまま家計のプラス分になる一方で、単独契約者の年収によっては、希望通りの金額を借りられない、審査に通りづらい等のデメリットも。
ただし、単独契約者に万一のことがあった場合は、住宅ローン契約者が加入を義務付けられている団信(団体信用生命保険)によって、住宅ローンの残高はゼロになります。住宅ローン契約に必要な諸費用も一人分ですむため、万一のリスクに備えやすい点は単独ローンの大きなメリットと言えるでしょう。
単独ローンのメリット
- 返済時のリスクを抑えられる(借りすぎを防げる、契約者でないほうの収入をすべて家計に充てられる)
- 契約者に万一のことがあった場合、住宅ローン残高がゼロになる(住宅は資産として残る)
- 住宅ローン契約時の諸費用が1名分ですむ(事務手数料、登記関連費用etc.)
単独ローンのデメリット
- 夫婦の収入を合わせた場合よりも借入額の上限が低くなる
- 単独契約者の年収が低い場合は審査に通りにくくなる
- 住宅ローン控除やすまい給付金が契約者1名分しか適用されない
単独ローンに強いおすすめの住宅ローン
auじぶん銀行住宅ローン
ネット銀行「auじぶん銀行」が提供する住宅ローン。インターネットで申込みから契約までのすべての手続きが完結する。ネット契約では契約書の印紙代も不要。住宅ローン保証料・団体信用生命保険料・繰上げ返済手数料・金利タイプの変更(固定金利再設定)手数料などもすべて無料となる。
住宅ローンの種類 その2:ペアローンのメリットとデメリット住宅ローンの種類とメリット、デメリットを解説!おすすめの組み方は?
ペアローンとは、共働き夫婦がそれぞれに住宅ローン契約を締結し、自分が借りた分の返済義務を負いつつ、相手の連帯保証人になる方法です。
ペアローンを組む際は、夫婦ともに住宅ローンの審査に通過する必要があることから、原則的に夫婦のそれぞれに定期的な収入が必要になります。
また、住宅購入資金を負担した割合に応じて、住宅の名義も夫婦で分割するケースが一般的です(住宅ローンのみ夫婦で分担し、住宅の名義は夫婦どちらか一方とした場合、贈与とみなされ、贈与税の対象となる場合がある)
ペアローンのメリットは、借入可能額を増やせる点。また、夫婦それぞれが住宅ローンを組むため、住宅ローン控除やすまい給付金、団信も夫婦ともに対象となります。
ただし、契約時にかかる諸費用が2人分かかるほか、夫婦どちらかが審査で落ちた場合は住宅ローンを組むことができません。
また、団信が夫婦で分かれているため、どちらかに万一のことがあった場合も、遺されたほうは引き続き住宅ローンを返済していく必要があります。離婚により婚姻関係を解消したあとも、やはり住宅ローンの返済義務と、相手への連帯債務(返済が滞った場合に肩代わりする義務)は残るため、ペアローンを一本化するなどの手間が発生する点にも注意しましょう。
ペアローンのメリット
- 借入額の上限をあげられる
- 住宅ローン控除・すまい給付金を夫婦ともに受けられる
- 夫婦それぞれが団体信用生命保険に加入できる
ペアローンのデメリット
- 住宅ローンの諸費用が2人分かかる
- 住宅ローンの審査に一方が通らければ夫婦とも住宅ローンを組めない
- 夫婦どちらかに万一のことがあった場合ももう一方の住宅ローンは残る
- 離婚した場合はローン契約を一本化しないと、家を出た側にも返済義務と連帯債務が残る
ペアローンに強いおすすめの住宅ローン
SBI新生銀行 住宅ローン
独自性の高い契約者サービスが人気の住宅ローン。事務手数料は、借入額に関わらず一律料金となる「定額型」を選択可能。借入額の2%前後の手数料が発生するネット銀行と比較するとペアローンを組む際の初期負担を抑えることができる。
病児保育や家事代行サービスの利用料を一部補助する共働き世帯に利便性の高い契約者オプションも用意。
住宅ローンの種類 その3:収入合算のメリットとデメリット住宅ローンの種類とメリット、デメリットを解説!おすすめの組み方は?
収入合算とは、ペアローンと同じく夫婦の収入を合わせることで借入可能額のアップを目指す方法です。
ただし、契約者が2人になるペアローンに対し、収入合算の場合は、契約者(主たる債務者)は夫婦のどちらか1人のみ。契約者でない夫婦の片方は、契約者とともに債務の一部を負います。
負担する債務の範囲によって「連帯保証型」と「連帯債務型」の2種類に分かれる点には注意が必要です。
収入合算[連帯保証型]とは? メリットとデメリット
連帯保証型は、民間金融機関で住宅ローンを組む際の収入合算で提案を受けることが多い方法です。
契約者(債務者)でない夫婦の一方は「連帯保証人」となり、契約者の住宅ローン返済が困難となった場合にのみ返済義務を負います。
連帯保証人は、債務者とは異なるため、団信への加入や、住宅ローン控除&すまい給付金の適用は受けることができません。住宅の名義も原則的には債務者のみとなります。
ただし、住宅ローン審査では、連帯保証人の年収・年齢・健康状態なども対象となるので、借入可能額を計算する際には上限額がアップする可能性が高いでしょう。
また、単独ローンと同じく、契約時の諸費用は1人分ですみ、契約者の万一の際も団信の適用によって残債がゼロになるメリットがあります。
収入合算[連帯債務型]とは? メリットとデメリット
連帯債務型とは、おもにフラット35(全期間固定型住宅ローン)の収入合算で採用される方法です。
夫婦のうち年収の高いほうが契約者(主たる債務者)となり、もう一方も「連帯債務者」として債務を負います。借入額のうち、どちらが何割を負担するかを決め、その割合に応じて住宅の名義も分け合うことになります。
連帯債務型のメリットは、連帯債務者のほうも住宅ローン控除やすまい給付金の対象となる点。団信は対象外ですが、フラット35の「デュエット(夫婦連生団信)」を利用すると、連帯債務者のほうも団信に加入できるようになります。
注意点としては、ペアローンと同様に、住宅ローンの負担割合と住宅の名義の割合(持ち分割合)がずれていると、贈与税の対象となりやすい点です。夫婦の収入に応じて適切な割合に設定しましょう。
収入合算に強いおすすめの住宅ローン
ARUHI フラット35
住宅ローン専門金融機関「ARUHI」が提供するフラット35。
13年連続(※2023年3月末時点)でフラット35の取扱高No.1を誇る。収入合算にも対応しており、安定収入があればパートやアルバイトであっても連帯債務者として審査を受けることが可能。夫婦加入の団信「デュエット」も取り扱うほか、頭金を多めに用意することで金利を引き下げる「ARUHIスーパーフラット」も提供。フラット35を検討中の場合は要チェック。
まとめ ~ 編集部おすすめの住宅ローンの組み方 ~住宅ローンの種類とメリット、デメリットを解説!おすすめの組み方は?
共働き世帯が一般的になった現在、住宅ローンの組み方も「夫婦の収入によって借入可能額をアップさせる」方法が一般的になりました。
希望のマイホームを手に入れるための選択肢が増えるのは良いことである一方で、単独ローンと、ペアローンや収入合算のどちらが良いのか迷っている方も多いでしょう。
住宅ローンの組み方は「まず単独ローン」がおすすめ
夫婦の片方のみで審査が通るようであれば、住宅ローンは最初に単独ローンを検討する方法がおすすめです。
理由は、「転職・退職」「離婚」「死別」の3大リスクに備えるため。転職によって収入が減少するケースや、出産・育児などのライフイベントを機に退職するケースも決してめずらしくありません。また、離婚についても、結婚する夫婦の3組に1組が離婚をしているとのデータもあり※、まったくの他人事としてしまわないほうが無難でしょう。
夫婦で住宅ローンを組み、それぞれに債務や住宅の持ち分があると、収入が減少したときや離婚して他人となった場合にも住宅ローンの支払いが発生することになり、離婚時の財産分与でも揉める可能性が高まります。
ただし、単独では住宅ローンの審査に通りにくい場合は、配偶者とあわせて借りる方法も有力選択肢となります。
住宅ローン控除・すまい給付金といった住宅購入のための補助制度も夫婦2人分利用することができるので、メリットは決して少なくありません。
今回ご紹介した単独ローンとペアローン、収入合算それぞれのメリット・デメリットをしっかり把握した上で、ご自身のライフスタイル、ライフプランに合った住宅ローンの組み方を見つけましょう。
※ 婚姻件数:586,481件、離婚件数:208,333件。平成30年(2018)人口動態統計(確定数)の概況・厚生労働省より
住宅ローンQ&A
Q1. 住宅ローンの頭金の目安はどれくらい? |
住宅ローンで用意する頭金は、物件価格の2割前後が相場と言われます。 一律の基準というものはありませんが、一般的には、多ければ多いほど総返済額を抑え、購入後の家計負担を減らすことができます。金融機関によっては、一定以上の頭金を用意すると金利優遇などを受けられる場合も。 現在は、フルローンでの借り入れが可能な住宅ローンも増えていますが、頭金が多いケースとは反対に、住宅ローン金利が上乗せになるケースもあるなど、デメリットも多くあります。住宅売却時に売却価額よりも住宅ローンの残債のほうが多くなるオーバーローンも起こりやすくなるため、頭金はある程度貯蓄しておいたほうが良いでしょう。 |
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Q2. 住宅ローンを組む手順は? |
住宅ローンを組む際は、まず仮審査(事前審査)に申し込み、仮審査に通過した時点で本審査に申し込みます。 仮審査と本審査でそれぞれに必要な書類があるため確認しておきましょう。 また、仮審査と本審査で結果が異なることも多く、本審査で落ちる場合や融資額が減額される場合もあります。そのため、仮審査については複数の金融機関に申し込んでおくのもひとつの方法。 本審査に通過したあとは所定の必要書類と手数料をそろえて住宅ローン契約を締結します。 |
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著者 長尾 尚子
フリーランスライター。得意分野は、育児・教育、住宅ローン、保険、金融、エンタメ等、幅広い。子ども3人を育児中のママでもある。
【資格】消費生活アドバイザー、FP2級