不動産 査定一戸建ての査定方法と押さえておきたいポイント

一戸建ての査定方法と押さえておきたいポイント

一戸建てを所有している方のなかには、「引越しを検討しており、物件の売却を考えている」「現在のマイホームの価値を知りたい」等、様々な理由で不動産査定の利用を検討している方も多いはず。
一戸建ての査定にはいくつかのポイントがあり、これらのポイントを理解しているかどうかで、査定結果が大きく変わってきます。実際に一戸建てを売る売らないは別として、査定してもらうのであれば、できるだけ高い評価を得たいもの。

そこで今回は一戸建ての査定に注目。実際に不動産査定を依頼する際に知っておきたい、一戸建ての査定方法や、査定時に押さえておきたいポイントについて、わかりやすく解説します。 一戸建ての査定を検討している方は、ぜひチェックしてみてください。

一戸建ての査定 ―査定の流れと査定方法、査定時に準備しておくもの一戸建ての査定方法と押さえておきたいポイント

はじめに、一戸建ての査定を依頼する際の流れと査定方法、査定時に準備しておくものをしっかり把握しておきましょう。

一戸建ての査定の流れ

一戸建ての査定は、以下の流れで行います。

  1. STEP1.複数の不動産会社に机上査定を依頼する
    ※査定結果(概算)が出るまでの期間:当日~数日以内
  2. STEP2.机上査定の結果から不動産会社をいくつかに絞り、訪問査定を依頼する
    ※現地訪問後、最終的な査定結果が出るまでの期間:1週間程度
  3. STEP3. 査定結果を比較し、契約する不動産会社を選ぶ(→売却活動を行う)

机上査定とは、物件を訪問せず、登録した物件のデータ(※所在地や築年数、建築面積、土地面積など)から大まかな査定額を算出する簡易的な査定方法のこと。
一方で訪問査定は実査定とも呼ばれており、不動産会社が実際に物件を訪問。所有者にヒアリングを行い、物件の状態を直接確認したうえで、査定額を算出する査定方法です。

ちなみに、不動産会社が算出する査定額は、一般的に「3か月以内に売却できるであろう価格」を指します。

一戸建ての査定方法

一戸建ての査定額は、通常以下の2ステップで算出します。

  1. STEP1.「建物部分」と「土地部分」に分けて、それぞれの査定額を算出する
  2. STEP2.物件ごとに決められた「建物」と「土地」の比率を元に、建物の査定額と土地の査定額を足す
    →一戸建ての査定額を算出

なお、建物部分と土地部分とでは査定額の算出方法が異なり、一般的に、建物部分は「原価法」、土地部分は「取引事例比較法」によって算出されます

一戸建ての査定方法(不動産の鑑定評価方法)

建物部分→原価法

原価法の特徴 査定対象の建物について、その時点で新しく購入した場合の価格(再調達原価)で出し、そこから時間の経過(築年数)による価値の低下を差し引いて査定額を算出する方法。

土地部分→取引事例比較法

取引事例比較法の特徴 査定対象の不動産(土地)と似た条件の不動産取引の事例を集め、その比較によって査定額を算出する方法。同じ地域の取引事例を元に平均坪単価を出し、査定対象の不動産(土地)の坪数を掛け合わせて査定額を算出するのが一般的。

また、投資用の物件の場合は、「収益還元法」と呼ばれる方法で査定額を算出します

  • 収益還元法…その不動産(物件)が将来生み出す賃貸収入などの収益が、現在の価値ではいくらになるのかを計算し、査定額を算出する方法。

一戸建ての査定時に準備しておくもの

一戸建ての査定を受ける際には、以下のものを準備しておきましょう。

  • 一戸建ての査定時に準備しておくもの
  • 登記簿謄本
  • 公図
  • 土地の確定測量図
  • 間取り図面
  • 登記済権利証または登記識別情報通知書
  • 身分証明書
  • 印鑑証明書
  • ※ 必須ではありませんが、「境界確定図(境界覚書)」もあれば、準備しておくのがおすすめです。

また、以下の点を確認しておくことも重要です。

  • 住宅ローンの残債がないか
  • リフォーム履歴(修繕履歴)
  • 物件のアピールポイント

住宅ローンの返済が残っている場合は、住宅ローンの残債がどの程度残っているのかを必ず確認しておきましょう。住宅ローン返済が残っている物件は、売却先に住宅を引き渡す前までに住宅ローンを完済できなければ、物件を売却することはできません

もし住宅ローン返済が残っている状況で一戸建ての売却を検討している場合は、物件の査定額が、住宅ローンの残債を上回っている、もしくは足りない金額を自己資金として用意できるかを確認することが大切です。

リフォーム履歴(修繕履歴)についても、一戸建ての査定を依頼する際に確認しておきましょう。特に、直近5年以内のリフォームは査定額アップにつながる可能性が高いです

また、「スーパーや駅が近い」「病院や学校が近くにある」「地域が子育て支援に積極的」等、周辺環境の情報を中心に、その土地に住んでいるからこそわかる情報・アピールポイントを自分なりにまとめておくのもおすすめです。こうした情報を用意していくことで、査定の際、プラスに働くケースがあります。

一戸建ての査定 物件と土地のチェックポイント一戸建ての査定方法とは?

一戸建ての査定を依頼する際は、査定時にどのような点がチェックされるのかを知っておく事が重要です。
本チャプターでは、一戸建ての査定を依頼する際に押さえておきたい、「物件」と「土地」それぞれのチェックポイントと査定額が高くなる条件をご紹介します。

【物件】 査定時のチェックポイントと査定額が高くなる条件

一戸建て査定(物件)7つのチェックポイント

1築年数 5家の外装(屋根、床の傾き など)
2建物の構造・耐震 6設備
3方角・日当たり 7維持管理状況
4家の内装(間取り、雨漏り など)

築年数 一戸建て(物件)の査定ポイント➀ 

築年数

  • 査定額が高くなる条件
  • 築年数が浅い
  • ※ 木造の一戸建てで築20年以上の物件は、建物の査定額が0円となることも。その場合は、土地の価格のみが査定額となる

建物の構造・耐震 一戸建て(物件)の査定ポイント➁ 

建物の構造・耐震

  • 査定額が高くなる条件
  • 鉄筋コンクリート造
  • 新耐震基準の一戸建て
  • ※ 新耐震基準…建築基準法で定められている建築物の構造上の基準で、1981年6月1日以降の建築確認において適用されている耐震基準のこと(1981年5月31日以前の建築確認において適用されていたのは旧耐震基準)

方角・日当たり 一戸建て(物件)の査定ポイント➂ 

方角・日当たり

  • 査定額が高くなる条件
  • 南向き、南東向きの角地
  • 日当たりや風通しが良い

家の内装(間取り、雨漏り など) 一戸建て(物件)の査定ポイント➃ 

家の内装(間取り、雨漏り など)

  • 査定額が高くなる条件
  • 部屋数が多い
  • 1階に日当たりが良く、広いリビングがある
  • 使いやすい間取り、家具を配置しやすい間取り
  • 壁やフローリングの状態が良い
  • 雨漏りがない
  • ※ 雨漏りのある物件は売却しにくいため、現時点で雨漏りがある場合は、雨漏りを修復してから物件の査定・売却を行うのがおすすめ

家の外装(屋根、傾き など) 一戸建て(物件)の査定ポイント➄ 

家の外装(屋根、傾き など)

  • 査定額が高くなる条件
  • 屋根や外壁に剥がれている箇所や破損箇所がない
  • 物件に傾きがない

設備 一戸建て(物件)の査定ポイント➅ 

設備

  • 査定額が高くなる条件
  • 水回りの設備がしっかりしている、設備のグレードが高い
  • 冷暖房の設備がしっかりしている
  • ※ 設備の状態が良い場合や、最新設備・省エネ効果の高い設備を導入している場合、査定額が高くなる

維持管理状況 一戸建て(物件)の査定ポイント➆ 

維持管理状況

  • 査定額が高くなる条件
  • 外壁塗装などを定期的に行っている
  • シロアリの駆除を定期的に行っている
  • 破損箇所がない
  • ※ 修繕履歴がある場合は、その情報をまとめておくと良い

【土地】 査定時のチェックポイントと査定額が高くなる条件

一戸建て査定(土地)7つのチェックポイント

1立地の利便性・周辺環境 5建築規制
2眺望・景観 6間口・奥行比
3土地の面積・形状 7土地の状態
4接道の条件

立地の利便性・周辺環境 一戸建て(土地)の査定ポイント➀ 

立地の利便性・周辺環境

  • 査定額が高くなる条件
  • 最寄り駅へのアクセスが良い(駅から近い)
  • 最寄り駅の利便性が高い(例:複数の路線にまたがっている、急行や快速が停まる など)
  • 周辺環境の利便性が高い(例:商業施設やスーパー、コンビニ、病院、銀行、学校などが近くにある)
  • 近隣に、騒音や悪臭、危険性を感じる施設や心理的に嫌悪感を抱く施設がない(例:鉄道、空港、ガソリンスタンド、ゴミ焼却場、葬儀場、火葬場、風俗店 など)

眺望・景観 一戸建て(土地)の査定ポイント➁ 

眺望・景観

  • 査定額が高くなる条件
  • 角地
  • 高地にある
  • 眺望・景観が良い
  • 周辺に遮蔽物がない

土地の面積・形状 一戸建て(土地)の査定ポイント➂ 

土地の面積・形状

  • 査定額が高くなる条件
  • 土地の面積が広い
  • 整形地(正方形や長方形といったきれいな形をした土地)
  • ※ 台形や旗竿地など、正方形が欠けたいびつな形をした土地(不整形地)の場合は、建てる家の向きや配置が制限されるため、土地の評価は下がる

接道の条件 一戸建て(土地)の査定ポイント➃ 

接道の条件

  • 査定額が高くなる条件
  • 接している道路の幅が6メートル以上、かつ道路が舗装されている
  • 公道と接している
  • 2つ以上の道路と接している

建築規制 一戸建て(土地)の査定ポイント➄ 

建築規制

  • 査定額が高くなる条件
  • 住宅地として整備されているエリア
  • 再開発エリア(または今後再開発の予定があるエリア)
  • 建築できる建物の規制がゆるい

間口・奥行比 一戸建て(土地)の査定ポイント➅ 

間口・奥行比

  • 査定額が高くなる条件
  • 間口が広い
  • 間口と奥行のバランスが良い
  • ※ 間口に対して、奥行きが長くなるほど査定額は下がる(間口が狭く、奥行きが長い場合、日当たりが悪くなる可能性が高くなるため)

土地の状態 一戸建て(土地)の査定ポイント➆ 

維持管理状況

  • 査定額が高くなる条件
  • 地中に何もない(瓦礫や浄化槽、大きな石などがない)
  • 土壌汚染がない

一戸建ての査定を依頼する際に押さえておきたい3つのポイント一戸建ての査定方法とは?

一戸建ての査定には、いくつかのポイントがあります。本チャプターでは、一戸建ての査定を依頼する際に押さえておきたい3つのポイントについて見ていきましょう。

ポイント1:複数の不動産会社にマンションの査定を依頼する

複数の不動産会社にマンションの査定を依頼する

一戸建ての査定は、1社だけではなく複数の不動産会社に依頼するのがポイント
その理由は、不動産会社ごとに得意とする物件や地域が異なるためです。同じ物件でも、不動産会社によって査定結果が大きく異なります。なかには査定額に数百万円の差が出るケースも。
一戸建ての査定は、必ず複数の不動産会社に依頼しましょう。その上で、査定結果をしっかり比較し、信頼できる不動産会社と契約を行うことが大切です。

ちなみに、査定を依頼する際は、大手不動産会社、中堅不動産会社、地場(地元に根差した)の不動産会社からそれぞれ査定結果を取得するのがおすすめ。規模の異なる不動産会社に査定を依頼し、各社の意見をしっかり聞くことで、物件の本当の価値がわかります。

また、複数の不動産会社に一戸建ての査定を依頼する際は、「不動産一括査定サイト」を上手く活用しましょう。
不動産一括査定サイトとは、物件の情報を入力すると、無料で複数の不動産会社に一括査定の依頼ができるWEBサービスのこと。不動産一括査定サイトを利用すれば、簡易の査定結果を短期間で受け取れ、簡単に複数社の査定額を比較できます。

一戸建ての査定におすすめの不動産一括査定サイト

すまいValue

すまいValue

対象エリア 全国
提携の不動産会社数 6社 ※計900店舗
同時査定依頼件数 最大6社
すまいValueの特徴 三井のリハウス、野村の仲介+、住友不動産販売、東急リバブル、三菱地所ハウスネット、小田急不動産の大手不動産会社6社が共同運営する不動産一括査定サイト。大手6社が持つネットワークを活かしたサービスに定評があり、累計査定件数は40万件を突破している。
すまいValueでは、物件情報を入力すると、最短60秒で査定の申し込みが完了。査定結果は最大6社から受け取れ、簡単に査定額を比較することができる。
利用者を対象としたアンケートでは、96.3%がトラブルなく、安心・安全に取引できたと回答。大手不動産会社が運営するすまいValueは、一戸建ての査定に不動産一括査定サイトを利用する際、まずチェックしておきたい。

すまいValue に行く

HOME4U(ホームフォーユー)

HOME4u(ホームフォーユー)

対象エリア 全国
提携の不動産会社数 2,100社以上
同時査定依頼件数 最大6社
HOME4Uの特徴 NTTグループのNTTデータスマートソーシングが運営する国内最大級の不動産一括査定サイト。東京建物不動産販売や、三菱UFJ不動産販売、大成有楽不動産販売、住友林業ホームサービス、三井住友トラスト不動産ほか、大小を問わず2,100社の不動産会社が無料査定に参画している。
HOME4Uでは、物件情報を入力すると、最大6社の不動産会社から査定結果を受け取ることが可能。ちなみに選ばなかった不動産会社からは、一切連絡が来ないようになっている。 また、個人情報保護のために「プライバシーマーク」を取得しており、第三者に個人情報が公開されることなく、安心して利用できるのも嬉しいポイント

HOME4U に行く

ポイント2:物件の相場を把握しておく

物件の相場を把握しておく

不動産会社に一戸建ての査定を依頼する際は、自分でも物件の相場を調べ、把握しておきましょう。
不動産会社に査定を依頼しても、自分がその物件の相場を把握していなければ、提示された査定額が適正かどうかを判断することができません。不動産会社から伝えられた情報を鵜呑みにするのではなく、自分のできる範囲で情報を収集しておくことも大切です

ポイント3:訪問査定の際は家をきれいな状態にしておく

訪問査定の際は家をきれいな状態にしておく

訪問査定の際に、物件をきれいな状態にしておくことも重要なポイントです。物件の状態が良ければ、査定額アップに繋がるケースもあります。事前に掃除や片づけを行い、訪問査定時までに物件をできるだけきれいな状態にしておきましょう。
特に、以下の部分はしっかりと掃除を行い、きれいにしておくことが訪問査定を利用する際のマナーです。

  • 水回り
    …水垢、お風呂場のカビ、トイレの黒ずみなどが無いようにしておく。

  • …庭の景観も物件の印象に大きく影響する。雑草を抜いておく、花壇や玄関を掃除しておくことも大切なポイント。

まとめ一戸建ての査定方法とは?

同じ一戸建ての物件でも、査定のポイントを把握し、できる範囲で対策しておけるかどうかで、査定結果が変わってきます。査定額は、物件の売却にも大きく影響するため、一戸建ての査定を依頼する際は、査定時のポイントをしっかりと押さえておきましょう。 また、査定をスムーズに進めるために、査定の流れや査定方法、事前準備などについて確認しておくことも重要です。

一戸建ての査定を検討している方は、本特集の内容も参考に査定方法や査定時のポイントをチェックし、実際に一戸建ての査定を依頼する際に役立てましょう。

著者 溝口 麻衣

著者 溝口 麻衣

Hayakawa所属のチーフライター兼編集者。一戸建ての査定方法と押さえておきたいポイントについての調査と記事執筆を担当。
わかりやすく、ちょっとした気付きのある記事を目指し、日々原稿を執筆している。2級FP技能士取得。

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