住宅ローン 選び方住宅ローンの組み方 -金利タイプの選択と契約者の決め方は?-
自分で住宅ローンを選ぶ力を身につけよう住宅ローンの組み方 -金利タイプの選択と契約者の決め方は?-
家は人生最大の買い物であり、住宅ローンを組む場合には「しっかりと知識をつけて慎重に選びたい」と考える方が多いでしょう。
しかし、各金融機関から非常に多くの住宅ローンが提供されているうえ、金利の種類(金利タイプ)や借入期間などの決めなければならないことも多く、上手に選ぶのは容易ではありません。
本特集では住宅ローンを「自分で選ぶ力」を身につけるために、住宅ローンの組み方を基本から解説します。ご自身の家庭にあった住宅ローン選びの参考にしてください。
1.融資元を選ぶ住宅ローンの組み方 -金利タイプの選択と契約者の決め方は?-
住宅を購入をする場合には、「どの住宅を購入するか」と並行して、「どこからお金を借りるか」も決めなくてはなりません。住宅ローンを取り扱っている窓口については、民間の金融機関をはじめ、以下のような選択肢があります。
民間融資
銀行、住宅ローン専門会社、保険会社など。ネット銀行であれば金利も低く、手続きをネット上で完結させられケースもある(ペーパーレスに対応している金融機関では、契約書に貼付する印紙代など諸経費も抑えられる)。金利やサービス内容は、それぞれの機関により大きく異なる。
公的融資
財形住宅融資や自治体融資。財形住宅融資は、財形貯蓄を利用中で所定の条件をクリアしている場合に利用できる。金利は5年ごとに更新される「期間固定型」(後述)だが、全体的な金利水準は低め。自治体融資は取り扱う自治体が限られるが、支払利息の一定分を自治体が負担する「利子補給」などを受けられる場合もある。
協調融資
フラット35。住宅金融支援機構と民間金融機関と連携によって行われる融資。受付窓口は民間金融機関となり、金融機関により金利も異なる。金利タイプは「全期間固定型」のみ。
財形住宅融資や自治体融資が対象となる方以外、多くは民間融資もしくは協調融資を選択します。
2.住宅ローン商品を選ぶ住宅ローンの組み方 -金利タイプの選択と契約者の決め方は?-
金利の種類と選び方
住宅ローンの金利タイプの選択は、特に慎重に行う必要があります。金利は、住宅ローンの利息部分に該当し、金利の種類と金利の高さにより総返済額が大きく変化するためです。
固定金利
固定金利とは、借入期間中に全部または一部の期間、金利が固定される金利タイプのことです。完済するまで契約時の金利が固定される「全期間固定型」と、一定期間の金利を固定し、期間経過後に以降の金利タイプを選択する「期間固定型(固定金利特約型)」の2種類があります。
全期間固定型
借入期間中の金利が変動せず、返済計画が立てやすい点が「全期間固定型」の特徴です。金利が上昇する局面でも影響を受けないため、「金利の動向に返済額を左右されたくない」という方は、全期間固定型を検討してみましょう。
ただし、全期間固定型は、他の金利タイプと比較すると、高めの金利が設定されていることが多く、その分、総返済額が膨らみやすい点は覚えておきましょう
全期間固定型のおすすめ住宅ローン
楽天銀行 フラット35
楽天銀行が住宅金融支援機構と提携し、提供する住宅ローン。楽天銀行を返済口座に指定することで事務手数料が1.404%から1.10%に割り引かれる。
金利※2023年3月実行金利 |
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期間固定型(固定金利特約型)
あらかじめ決められた一定期間(2~20年ほど)の金利が固定される「期間固定型」は、固定期間内の金利が優遇されることが多いのが特徴です。中には、変動金利以下の優遇金利を提供している住宅ローンもあるので、上手に活用したいところ。固定期間終了後は、再度、金利タイプを選択することになるため、「借入期間中の金利動向をみて有利な金利タイプを判断したい」という方にとっては選択肢になります。
ただし、今後の金利動向によっては固定期間終了後の金利が上昇することも考えられます。
期間固定型のおすすめ住宅ローン
auじぶん銀行 住宅ローン
auじぶん銀行の住宅ローン。ネットで申込みが完結する。契約書の印紙代が不要となるほか、保証料・団体信用生命保険料・繰上げ返済手数料・金利タイプの変更(固定金利再設定)手数料も無料。
金利(年利)※2023年3月実行金利 |
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変動金利
変動金利とは、借入期間中、半年ごとに金利が見直される金利タイプのことです。全期間固定型の固定金利と比較すると金利が安いというメリットはあるものの、金利上昇の局面では利息負担額が増加する可能性があります。変動金利を選択する際には、金利の動向(※「短期プライムレート」が指標となります。)に注目し、臨機応変に住宅ローンを乗り換える(金融機関の変更、場合によっては固定金利への変更)ようにすると良いでしょう。
「金利の動向に応じて対処できる住宅ローン知識や、返済額増加に耐えられる預貯金などがある」という方は、変動金利も選択肢になります。
変動金利のおすすめ住宅ローン
住信SBIネット銀行 住宅ローン
住信SBIネット銀行の住宅ローン。ネットで申込みが完結する。団信(団体信用生命保険)に全疾病保障を無料付帯できるほか、保証料・団体信用生命保険料・繰上げ返済手数料も無料。
金利※2023年3月実行金利 |
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ミックス金利
ミックス金利とは、固定金利と変動金利の複数の金利タイプを組み合わせる方法です。例えば、3,000万円の融資額を「1,000万円は固定金利、2,000万円は変動金利」など割合を決めて契約します。割合にもよりますが、全額を「変動金利」にした場合と比較すると、ミックス金利では金利変動のリスクを軽減することができます。また、全額「固定金利」とした場合と比較すると、「変動金利」などの低金利メリットも享受できるでしょう。ただし、契約が2本になるため2倍の諸費用がかかる点がデメリットです。
複数名義でローンを組む予定の人(共働き世帯など)、繰上げ返済を前提にしている場合には選択肢になります。
「固定金利は金利が高く損をしそうだし、変動金利もこわい」という方は、ミックス金利を検討してみましょう。
ミックス金利のおすすめ住宅ローン
ソニー銀行 住宅ローン
ソニー銀行の住宅ローン。ミックス金利の中でも独自性の高いサービスを提供。借入時に「部分固定金利特約」を付加することで変動金利に対する固定金利の割合(10~100%)を指定できる。住宅ローン保証料や団信保険料・繰り上げ返済手数料は無料。
金利※2023年3月実行金利 |
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契約者と債務責任範囲について
住宅ローンの組み方で金利の種類と併せて理解しておきたいのが、契約者と債務責任範囲についてです。住宅ローンを組む際には、契約者を誰にするか、債務の責任範囲はどこまで(誰に)あるのかを決める必要があります。
単体
世帯主や家計の担い手などが、単独で契約者となり融資を受ける場合には、契約者の情報(年収・勤続年数など)に基づき融資審査が行われます。住宅ローンを組む際は、保証人が不要となるケースも多く、契約者のみが団体信用生命保険(団信)に加入することで、万一の際、遺された家族が住宅ローンの返済義務を負わないようにすることができます。
ペアローン
ペアローンとは、夫婦や親子など、家族2人の名義で住宅ローンを借入れる方法です。それぞれが金融機関と住宅ローン契約を結ぶため、審査も各自の収入に基づいて行われます。例えば、3,000万円の融資を受けたい場合、夫2,000万円・妻1,000万円などのように融資額を分散させます。同じ金融機関で借り入れるだけでなく、2人が異なる金融機関を利用することも可能です。また、二世帯住宅など同居を検討している場合には、親子リレーローンを利用することもできます。
ペアローンを利用する場合には、それぞれがお互いの連帯保証人となります。つまり、どちらかが住宅ローンの返済をできない状態(債務不履行)になった場合は、代わりに債務を引き継ぐことになります。また、2人とも団信に加入するため、配偶者・親に万一のことがあった場合にも、自身の債務は残ります。
住宅ローンの契約数が2本になるため、事務手数料・契約書の印紙代などの諸費用も、契約の本数ごとに必要となります。
収入合算
収入合算とは、夫婦・親子の収入を合算することで融資限度額を増やす方法です。例えば夫の年収が400万円、妻の収入が300万円の場合には、700万円を基準に審査が行われます。2人分の収入を元に申し込みを行う点ではペアローンと似ていますが、契約者・債務責任範囲に違いがあります。
収入合算には「連帯債務」「連帯保証」の2つのタイプがあります。
連帯債務型は、1人が主契約者、もう1人が連帯債務者になります。連帯債務者とは、主契約者と同等の返済の義務があり、融資元はどちらにも返済の請求をすることが可能です。団信には主契約者が加入することになるため、主契約者が死亡した場合には債務の返済はなくなります。一方、連帯債務者が死亡した場合には、返済額の変化はありません。
連帯保証型は、1人が主契約者、もう1人が連帯保証人になります。連帯保証人は主契約者の返済が滞ったり、返済不能となった場合に返済の義務を負います。連帯保証型も団信に加入するのは主契約者のみとなるため、連帯保証人が死亡した場合に返済額の変化はありません。
3.事前審査を受ける住宅ローンの組み方 -金利タイプの選択と契約者の決め方は?-
住宅を購入する場合は、物件選びと平行して、住宅ローンを借入れる融資元(金融機関など)も比較しておきましょう。
物件が見つかったら、融資元へ「事前審査」を申し込みます。事前審査は必須ではありませんが、本契約時に審査に落ちてしまい、希望する物件を購入できないという事態を防ぐためにも、可能であれば事前審査を行っておくのが無難です。
4.売買契約後に住宅ローンの申し込み・本審査住宅ローンの組み方 -金利タイプの選択と契約者の決め方は?-
事前審査の有無にかかわらず、住宅ローンを利用する場合には、申し込みと本審査を行わなければなりません。
契約時には、身分証明書や収入関係の書類、物件の情報が記載された書類などが必要になります。スムーズに手続きを行うために、事前に必要書類を確認しておきましょう。