金利タイプ別住宅ローンの借り換えとパターン別で考える名義変更 -夫婦、離婚、親子の場合-

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住宅ローンの借り換えとパターン別で考える名義変更

住宅ローンを借り換えるタイミングで名義変更しよう住宅ローンの借り換えとパターン別で考える名義変更

住宅ローン契約当初と現在では環境が変わったため、住宅ローンの名義変更をしたい(しなければいけない)という方は、実は少なくありません。

その一方でほとんどの方が住宅ローンの名義変更に関する知識がなく、いざ名義変更しようと思うと思わぬ壁にぶつかってしまうものです。

一般的に住宅ローンを契約した金融機関は、名義変更に対し消極的な傾向にあります。その理由は、住宅ローンの審査時に「その人(達)」と「物件」で判断を行うため、名義を変更することは契約時の審査が無効になることを意味するからです。このような背景もあり、現在契約中の金融機関を変えずに名義変更をすることは、決して容易ではありません。

契約中の住宅ローン名義の変更ができない場合は、住宅ローンを借り換えるタイミングで名義変更を行う方法を検討しましょう。本特集では、「夫婦」「離婚」「親子」の3つのパターン別に、名義変更のポイントを解説します。

住宅ローンの借り換えと名義変更 その1:夫婦の場合住宅ローンの借り換えとパターン別で考える名義変更

住宅ローンの借り換えとパターン別で考える名義変更

夫婦間での住宅ローンの名義変更には、大きく2つのケースが考えられます。1つは、当初夫(妻)名義だった契約を妻(夫)名義に変更するケース。2つ目は、当初夫(妻)名義だった住宅ローンをペアローンに変更するケースです。どちらの場合でも、まずはどのように名義を変更したいのかを、契約中の金融機関に相談してみると良いでしょう。場合によっては、再度住宅ローン審査を通過する必要があります。実際に名義変更ができるかどうかは、変更後の名義人の収入状況や勤務状況に大きく左右され、必ずしも審査に通過できる訳ではありません。

契約中の金融機関で名義変更を受け付けてもらえない場合は、他行の住宅ローンへ借り換えることで、名義変更できるケースがあります。その場合も、新しく名義人となる方の収入状況が重要になることは変わりませんが、金融機関によって住宅ローン審査の基準が異なるため、1社駄目だったからと言っても諦めずに、住宅ローンの借り換えにチャレンジしましょう。

住宅ローンの借り換えと名義変更 その2:離婚の場合住宅ローンの借り換えとパターン別で考える名義変更

住宅ローンをペアローンや夫婦の共同名義で借り入れていた方は、離婚した場合、住宅ローンの借り換えと名義変更が必要になるケースもあります。ここでは、夫が家を出て行き、妻がそのまま家に居住し続けるケースを考えます。

妻名義に変更する場合

夫単独名義で住宅ローンを組んでいた場合、妻に十分な返済能力があると認められれば、名義変更に応じてもらえる可能性は十分あります。しかし、共有名義(収入合算)としていた場合は、夫分の収入を差し引かれた状態となるため、名義変更が認められる可能性がぐっと低くなります。

離婚による慰謝料を受け取る場合は、繰り上げ返済を行い、総返済額を減らしておくことで、住宅ローンの名義変更が認められることも。

離婚し住宅の名義を妻に変更する際は、名義をどうすべきか、しっかり話し合って決めましょう。当人同士の話し合いで決着がつかない場合は、弁護士を立てることをおすすめします。

夫名義に変更する場合

離婚後も夫が住宅ローンの返済を行うのであれば、名義変更をする必要はありません。しかし、共有名義(収入合算)で住宅ローンを組んでいた場合で、離婚後に夫単独の名義に変更するためには、金融機関の承諾が必要です。夫単独の収入状況で判断が行われることになるため、場合によっては名義変更が難しいケースもあります。

妻名義にする場合も夫名義にする場合も、ペアローンや共有名義で住宅ローンを借り入れている場合は、最もトラブルになりやすい住宅の名義をどうすべきか、しっかり話し合った上での変更を心がけましょう。

住宅ローンの借り換えと名義変更 その3:親子の場合住宅ローンの借り換えとパターン別で考える名義変更

住宅ローンの借り換えとパターン別で考える名義変更

経済的な理由により、親が住宅ローンの返済ができなくなり子供の名義に変更をするということもよくある話です。その場合は、「子供がローンを返済できる収入があること」「子供自身がその家に住むこと」の2つの条件を満たせば、名義変更が認められることがあります。ただし、同時に2つの住宅ローンを組むことができないため、子供がすでに住宅ローンを組んでいる場合にはこの方法は利用できません。また、子供に名義を変更し、子供が団信に加入する場合は、親が亡くなっても返済(債務)が残り続けることになります。

また親子間の名義変更は、「親子リレーローン」を利用する方法も選択肢の1つです。親子リレーローンとは、当初は親が返済を行い、その後返済が困難になった場合に子供が返済を引き継ぐ方法のこと。子供が返済を引き継ぐタイミングで、名義の変更が可能です。

住宅ローンを借り換える際の名義変更に対応してくれる住宅ローン おすすめ3選住宅ローンの借り換えとパターン別で考える名義変更

住宅ローンの名義変更には様々なパターンがあり、ケースバイケースで対応するケースがほとんど。ネット銀行よりも対面での相談ができる金融機関や、全ての規定が決まっており、条件を満たせば必ず名義変更できるフラット35提携ローンがおすすめ。現在の状況や、どのように名義を変更したいのかをしっかり整理し、一度相談してみると良いでしょう。借り換えを行うタイミングで名義を変更したい場合には、「名義変更に対応してくれるか」「相談体制が整っているか」を重視して、金融機関を選ぶのがポイントです。

ここでは、ここまで紹介したそれぞれのパターンで名義変更の対応をしてくれる金融機関を3つ紹介します。

離婚に伴う名義変更に対応する住宅ローン

SBI新生銀行

SBI新生銀行

SBI新生銀行が提供する住宅ローン。見かけの金利はネット銀行に負けるが、事務手数料や各種諸費用が安いことから、総返済額の低さはトップクラス
離婚のタイミングで住宅ローンの借り換えを希望する利用者に対応しており、名義変更には「名義人が該当する物件に居住すること」「名義人が審査基準を満たしていること」が条件になる。ネット上で申し込みを行ったのち、最寄りの支店で対面相談する必要があるが、平日18時以降・土日も対応しているので、相談しやすい点も嬉しい。その他にも住宅ローン専用のフリーダイヤル「新生パワーコール」や「Skype」を介した相談も可能。住宅ローンの総返済額、使い勝手の良さ、名義変更への対応など、全てば高いレベルにあるおすすめの住宅ローンの一つ。

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借り換えのタイミングで債務者追加に対応する住宅ローン(フラット35)

楽天銀行 フラット35

楽天銀行 フラット35

住宅金融支援機構と楽天銀行が提携し、販売するフラット35住宅ローン。他行の同商品と比較すると、金利が低く事務手数料も最安水準。特に事務手数料の安さが楽天銀行フラット35の大きな強みになっている。通常は借入金額に対し1.404%の事務手数料がかかるが、楽天銀行の口座を返済口座に指定することで、「融資金額×1.10%」まで事務手数料を抑えることができる。現在の債務者が単独の場合、連帯債務者と1名まで追加することが可能(※つまり夫婦共同名義に変更可能)。長期固定金利の住宅ローンの中では、圧倒的な金利の低さと事務手数料の安さを誇っていることを考えると、楽天銀行のフラット35は、借り換えによる名義変更の際に、有効な選択肢の一つだろう。

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借り換えのタイミングで親子リレーローンに対応できる住宅ローン(フラット35)

ARUHI フラット35

ARUHI フラット35

住宅金融支援機構と楽天銀行が提携し、販売する住宅ローン。ARUHIフラット35は、親と子の2代で住宅ローンを返済する「親子リレー返済」を利用可能。完済時の年齢が80歳未満であり、子供に返済能力が認められれば、親子リレー返済を利用することができる。親子リレー返済では、親が70歳以上の場合でも利用することができる点もメリットの1つ。親と子供の収入を合算して審査を行うため、融資額が大きい場合にも利用しやすい。親子間の名義変更に対応しているので、親子での住宅ローン利用を検討されている方は、有力な選択肢になるだろう。

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万一審査に落ちても諦めずに名義変更を目指そう住宅ローンの借り換えとパターン別で考える名義変更

住宅ローンの借り換えとパターン別で考える名義変更

今回の住宅ローン講座は、住宅ローンの借り換えとパターン別で考える名義変更と題して、夫婦、離婚、親子間でどのように対応すれば良いか、解説しました。

現在契約中の金融機関で住宅ローンの名義を変更することは、決して簡単ではありませんが、まずは確認してみることが大切です。

もし既存の金融機関が名義変更を受け付けてくれない場合は、住宅ローンを借り換えることで、名義変更できないかチャレンジしてみましょう。借り換えによる名義変更は、住宅ローン審査を新しく受けることと同義なので、収入状況等に左右され、審査に落ちることもあります。

その際も諦めてはいけません。他の住宅ローンに申し込んでみるのも選択肢の一つですし、しばらくの間、繰り上げ返済を頑張り、借り入れ額が減った段階で再度住宅ローンを申し込むのも良いでしょう。

諦めなければ最終的には必ず道が開けるはずです。住宅ローン講座の情報も参考に是非頑張ってみてください!

著者・総監修 早川 聡

著者・総監修 早川 聡

住宅ローン含め、金融の専門家(プロ)として様々な記事を執筆しており、最新の金利動向の記事執筆を担当。世界経済の動向を踏まえた金利分析と予測の精度に定評がある。住宅ローン金利の動向に関しては日本経済新聞からの取材を受けた経験あり。