住宅ローン 選び方住宅ローンの借入可能額をシミュレーション - 人気の住宅ローンを同条件で比較

住宅ローンの借入可能額をシミュレーション - 人気の住宅ローンを同条件で比較

購入対象になる住宅を決める住宅ローンの借入可能額住宅ローンの借入可能額をシミュレーション

住宅の購入を決めたとき、資金面で最初に気になることと言えば、「住宅ローンの借入可能額」ではないでしょうか。
金融機関からどの程度の資金を借りられるかによって、選ぶ物件やエリアが変わるのはもちろん、借入額の多い・少ないが、今後の家計のやり繰りにも影響を与えます。

住宅ローンの借入可能額が難しいのは、借入可能額の計算方法には、それぞれの金融機関に独自の基準があり、住宅ローンの審査前に正確な数値をつかむことができない点です。
もっとも、最近では、インターネット上にシミュレーションを公開している金融機関も多く、年収や借入期間などいくつかの数値を入力するだけで、おおよその借入可能額を把握することができます。(※ただしシミュレーションの裏側で、どのような計算が行われているのかまでは公開されていないため、シミュレーションの結果を、そのまま借入可能額と考えていると、思わぬ減額に遭う可能性がある点には注意が必要。)

住宅ローンシミュレーションを利用する際は、金融機関ごとのシミュレーションの傾向などを知っておくと、実際に利用する住宅ローンを選ぶ際、目星をつけやすくなります。

そこで今回は、「住宅ローン借入可能額のシミュレーション」にスポットを当て、借入可能額を計算する場合に知っておきたい考え方や、各金融機関が提供する「住宅ローンシミュレーションの特徴」などを解説します。

住宅ローンの借入可能額の考え方と計算方法は?住宅ローンの借入可能額をシミュレーション

住宅ローンの借入可能額は、おもに「契約者の年収」「住宅ローン金利」「返済期間」「返済方法(元利均等返済、元金均等返済)」などに影響を受けます。

  • 契約者の年収……高いほど借入可能額は大きくなる
  • 住宅ローン金利……低いほど借入可能額は大きくなる
  • 返済期間……長いほど借入可能額は大きくなる
  • 返済方法……元利均等返済のほうが借入可能額は大きくなる

また、借入額から計算される「年間の返済額」を「年収」で割ることで、収入に占める返済額の割合=「返済負担率」を求めることができます。

返済負担率=年間の返済額÷年収

この返済負担率は、一般に25%程度を上限とするのが良いと言われており、これに年収と返済期間を掛けて総返済額を求め、金利をもとに利息分を差し引いても、借入可能額の概算を出すことが可能です。

金融機関には独自の「審査金利」がある

住宅ローンの借入可能額をシミュレーション - 人気の住宅ローンを同条件で比較

ところが、借入可能額の計算は、金融機関がそれぞれに独自の審査基準を設けているため、上記の計算によって必ずしも正確な借入可能額を導きだせるとは限りません。

たとえば、借入可能額の計算に使用される「住宅ローン金利」には、金融機関が住宅ローンを販売する際の「適用金利」ではなく、審査のために特別に定めた「審査金利」が用いられているケースが大半です*。

この審査金利は、金融機関の窓口等で提示される住宅ローン金利よりも高いケースが多く(3~4%など)、借入可能額もそのぶん少なくなる傾向があります。

そのため、窓口やホームページ上の金利をもとに借入可能額の見当をつけていると、思わぬ減額に遭う可能性があるのです。※ただし、返済負担率については、通常の25%よりも大きめの枠(40%程度)をとる金融機関もあるため、審査によって必ずしも借入可能額が減額されるわけではありません。

*住宅ローンの「借入可能額」の決め方とは?審査の専門家が、銀行内部の計算法を公開 年収別に、本当に借りられる額を試算してみた!(ZAi ONLINE)

フラット35は借入可能額を明確にシミュレーションできる

一方、民間の金融機関と政府所管の住宅金融支援機構とが提携する長期固定型の住宅ローン「フラット35」では、審査基準が公開されているので、借入可能額を明確にシミュレーションすることができます

民間の金融機関のような「審査金利」ではなく、各金融機関が公開するフラット35の金利がそのまま適用されるほか、年収が400万円以上であれば返済負担率は35%まで、年収が400万円未満であれば返済負担率は30%までとする基準も公開されており、これらをもとに借入可能額を計算すると良いでしょう。

注意! 住宅ローンの借入可能額に影響するその他の要素

  • 既存の借入があると借入可能額が減額されることが多い
    (例)車のローン、クレジットカードのリボ払い、キャッシング、消費者金融からの借入等
    ※ただし、携帯電話の分割支払い・奨学金などは含まれない
  • 個人事業主、会社役員・代表取締役、契約社員などは計算方法(審査基準)が異なる

なお、ネット銀行を中心とした一部の金融機関では、審査金利を適用金利に近づけている他、インターネット上の住宅ローンシミュレーションで、審査金利も加味した借入可能額を計算できるようにしています。
借入可能額を計算する場合は、やはりシミュレーションで概算をつかんでおいたほうが資金計画を立てやすいため、複数の金融機関で試算をするなどして、借入可能額のおおよその相場をつかんでおくと良いでしょう。

人気の住宅ローンで借入可能額をシミュレーションしてみる住宅ローンの借入可能額をシミュレーション

それでは、実際に高い知名度と人気を誇る住宅ローンで、「フラット35以外」と「フラット35」の借入可能額のシミュレーションがどのようになるかを比較してみましょう。

試算条件

年収(世帯年収) 400万円 / 700万円
借入期間 35年
返済方法 元利均等返済
その他の借入 なし

フラット35以外の住宅ローンの場合

民間金融機関が提供する住宅ローンの借入可能額をシミュレーションしてみると、年収400万円の場合では約3,000万円台、年収700万円の場合では約5,000万円台が相場となりました。

年収400万円 年収700万円
auじぶん銀行(変動金利) 3,100万円 5,430万円
イオン銀行(金利選べず) 2,260~3,010万円 3,950~5,270万円

auじぶん銀行 住宅ローン

auじぶん銀行 住宅ローン

三菱UFJ銀行 とKDDIの共同出資によるネット銀行「auじぶん銀行」の住宅ローン。変動金利型と固定金利特約型を取り扱う。また、特約期間中の金利を重点的に引き下げる「当初期間引下げプラン」と、借入期間中のすべての期間の金利を引き下げる「全期間引下げプラン」を提供。
住宅ローン保証料・団信保険料・一部繰り上げ返済手数料は無料。また、がんと診断された場合に住宅ローン残高が半分になる「がん50%保障団信」も無料付帯する。
住宅ローンのペーパーレス化に対応しており、申し込みから契約まで、すべての手続きがネットで完結する点も魅力。
住宅ローンシミュレーションの特徴 auじぶん銀行の住宅ローンシミュレーションでは、試算条件の入力時に金利タイプ(変動金利、固定金利特約)を選択できる。また、当初期間引下げプラン&全期間引下げプランのいずれにするかも選択可能。
シミュレーション結果では借入可能額に加えて毎月返済額と諸費用(概算)、総返済額も計算してくれるので、必要な資金のボリュームをつかみやすい。
ボーナス返済や金利変動時のシミュレーションをしたい場合は「年収」ではなく「毎月の返済額」でシミュレーションすると良いだろう。

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イオン銀行 住宅ローン

イオン銀行 住宅ローン

イオングループのネット銀行「イオン銀行」が提供する住宅ローン。変動金利型と当初固定金利型を取り扱う。
住宅ローン保証料・一部繰り上げ返済手数料は無料。さらに、イオングループでの買い物が5年間毎日5%OFFになる「お買物5%割引特典」が付帯する。事務手数料は借入額の2.20%となる「定率型」と、一律108,000円となる「定額型」の2種類から選択可能。
年0.1%の金利上乗せで「ガン保障特約付住宅ローン」、年0.3%の金利上乗せで「8疾病保障付住宅ローン」を付帯できる点もチェックしておきたい。
住宅ローンシミュレーションの特徴 イオン銀行の住宅ローンシミュレーションは、借入可能額の計算結果に一定の幅がある点が特徴。試算条件を入力する際には、変動・期間固定といった金利タイプを選択できないが、期間固定型の固定金利期間を長めに設定した場合(=住宅ローン金利が高い場合)に借入可能額が少なくなり、変動金利を選択した場合(=住宅ローン金利が低い場合)に借入可能額が多くなると考えておくと良い。
借入希望額からのシミュレーションでは、ボーナス返済の有無や金利タイプの選択、諸費用の概算なども計算できる。

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フラット35の場合

フラット35の借入可能額は、民間の住宅ローンと比較すると多めで、年収400万円の場合では約3,900万円、年収700万円の場合では約6,800万円。とくに年収700万円では借入可能額が大きく伸びていることがわかります。

年収400万円 年収700万円
楽天銀行 3,909万円 6,841万円
ARUHI

※いずれも借入額における自己資金の割合が10%以上(融資割合90%以内)の場合

上記2つの金融機関で借入可能額が同一となっているのは、フラット35が半分公的な住宅ローンであり、審査時の条件に一律の基準があるためです。
とくに、楽天銀行ARUHIでは、住宅金融支援機構が提示するフラット35金利(一定の幅あり)の中でも最低水準の金利を適用しており、そのぶん借入可能額も多くなっています。

楽天銀行 フラット35

楽天銀行 フラット35

楽天銀行が提供するフラット35。機構団信付きのプランと団信なしのプランを取り扱う。フラット35提携ローンの中で業界最低水準の金利を実現
融資事務手数料は、通常、借入金額×1.404%(税込)だが、楽天銀行を住宅ローン返済口座に指定することで1.10%(税込)に引き下げられる
フラット35の取扱件数は銀行業界No.1。無料のオンライン相談窓口を用意しており、土日祝日も含め朝9時から22時まで住宅ローンの相談に対応している点も嬉しい。
住宅ローンシミュレーションの特徴 楽天銀行の住宅ローンシミュレーションでは、返済方法(元利均等返済、元金均等返済)を選ぶことができる。年収から借入可能額を計算する場合は、フラット35とそれ以外の住宅ローン(金利選択型)の2種類同時に「借入可能額」と「諸費用」「月の返済額」の概算を出してくれるので、フラット35か、それ以外(変動金利など)にするかを迷っている場合に便利だろう。
年収以外では、月々の返済額、借入希望額などの条件からもシミュレーションが可能。借り換えの場合は現在の借入金利、月々の返済額などの条件からシミュレーションできる。

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ARUHI フラット35

ARUHI フラット35

国内最大手の住宅ローン専門金融機関・ARUHIが提供するフラット35。楽天銀行と同様、業界最低水準のフラット35金利を実現しており、機構団信付きプランと団信なしのプランも取り扱う。
審査のスピードに定評があり、売買契約前でも審査の申し込みが可能。融資事務手数料は借入額の2.20%(税込)となっている。なお、諸費用のうちの不動産仲介手数料と融資事務手数料は借入額に含めることもできる。返済口座を全国1,000以上の金融機関から指定できるため、借入にともなう新規の口座開設が不要となる点が嬉しい。
住宅ローンシミュレーションの特徴 ARUHIの住宅ローンシミュレーションでは、試算条件入力時にフラット35にするか、ARUHI独自の住宅ローン(変動金利、当初固定金利)にするかを選択できる。
借入希望額からのシミュレーションでは、金利タイプの選択や、当初金利適用期間後の金利の変動を予測し入力することが可能。変動金利や全期間固定型と比較するとイメージをつかみにくい「当初固定金利型」の借入額と総返済額を計算してくれる
また、毎月の返済額から借入可能額を計算することもできるので、家計の返済負担率を調整したい場合は、利用すると良いだろう。

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住宅ローンの借入可能額を増やす方法はある?住宅ローンの借入可能額をシミュレーション

借入可能額をシミュレーションする中で、もう少し借入額をアップさせたいという場合、どのような方法があるのでしょうか。
一般的な方法は、配偶者や親と年収を合算したり、返済の負担を分担することで、借り入れる額を増やすというものです。
もしも年収などがネックとなって、希望する借入額では金融機関の審査に通りにくい場合は、下記のような方法を検討してみると良いでしょう。

収入合算

夫婦で1つの住宅ローンを借り入れる方法。1本の住宅ローンに対して夫婦それぞれが全額の支払い義務を負う「連帯債務」と、夫婦のうちの1人が契約者(債務者)、もう1人が連帯保証人となる「連帯保証」に分かれる。住宅ローン契約は1本となるため、夫婦のいずれか一方は団体信用生命保険に加入できない。

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ペアローン

夫婦それぞれが1本ずつ住宅ローンを組む方法。住宅ローン契約が2本となるため、諸費用も2契約分かかるが、夫婦とも団体信用生命保険や住宅ローン控除の対象となる。お互いがお互いの連帯保証人となる点に注意。

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親子リレー返済

親子二世代にわたって住宅ローンを返済していく方法。親が住宅ローンを申し込み、定年後などに返済額の一部を子供にバトンタッチする。借入可能額を増額できるほか、親の年齢が高齢でも住宅ローンを申し込める等のメリットがある。注意点は「住宅ローン返済中は、子が新しい住宅ローンを組めない」「子に兄弟姉妹がいる場合、相続でもめることがある」等。

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住宅ローンの借入可能額をシミュレーション - 人気の住宅ローンを同条件で比較

住宅ローンの借入可能額は、購入する物件を決めるうえでも、多くの人が住宅購入の際、最初にチェックすべきポイントです。

今回見てきた通り、借入可能額には「年収」や「住宅ローン金利」以外にも、金額を左右する条件がいくつかあります。
また、「審査金利」といった金融機関独自の考え方を知っておくことで、無理のない借入額を申請し、収入合算等を活用して審査を有利に進めることもできるようになるでしょう。

借入可能額の計算そのものは複雑なので、各金融機関が公開している住宅ローンシミュレーションを活用するのがもっとも簡単です。そのうえで、シミュレーションの特徴を知り、不明な点は質問するなどして、借入可能額に関する疑問を解消してから申し込むと住宅ローン審査に通過する確率がアップするはずです。

希望に沿った住宅を手に入れるために、住宅ローンの最初のポイントである借入可能額をしっかりと理解し、ご自身に合った住宅ローンを選びましょう!