住宅ローン 選び方住宅ローンをフルローンで借りるメリットとデメリット
住宅ローンのフルローンとは住宅ローンをフルローンで借りるメリットとデメリット
住宅ローンを借り入れる際、頭金を用意したほうが良い、というのは定説です。
頭金の目安は、物件のおよそ2割程度と言われており、たとえば3,000万円の住宅を購入する際には、600万円ほどを現金で準備するのが従来までの考え方でした。
しかし最近では、フルローンに対応した住宅ローンが登場し、頭金だけではなく諸費用も住宅ローンに含めることによって、できる限り現金での支出を減らして住宅を購入できるようになっています。
子どもの進学や車の買い替えなど、住宅購入のタイミングでほかにも大きな出費の予定があり、手元に現金を残しておきたい場合は、住宅ローンをフルローンで借りることができれば、家計を圧迫することなく住宅を購入できるはず。
一方で、フルローンでの借り入れは、頭金を用意した場合と比較して不利になるのでは?もし不利になるのであれば、どのようなデメリットがあるのか?ということが気になる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は「住宅ローンをフルローンで借りるメリットとデメリット」と題して、フルローンの特徴に加え、メリットとデメリットを解説。さらに、住宅ローンをフルローンで借り入れる場合におすすめの銀行もご紹介します。
住宅ローンをフルローンで借りる場合のデメリットとは?住宅ローンをフルローンで借りるメリットとデメリット
住宅ローンをフルローンで借りることは、条件さえ整っていれば、決して難しくはありません。
しかし、頭金を用意した場合と比較すると、フルローンには一定のデメリットが存在することも事実です。
以下に住宅ローンをフルローンで借りる場合のデメリットをまとめました。まずはデメリットを知ることからスタートしましょう。
住宅ローンをフルローンで借りる場合の5つのデメリット
- 毎月の返済額が大きくなる
- 借り入れ金利が高くなる場合がある
- 借り入れに際し、一定の現金が必要になるケースがある
- 銀行の住宅ローンの審査が厳しくなることがある
- ほかの買主と競合した場合に不利になる可能性がある
毎月の返済額が大きくなる
フルローンのもっとも大きなデメリットは、借入額が増加することで返済額が膨らむ点です。
たとえば、auじぶん銀行の変動金利(全期間引き下げプラン)で3,000万円の住宅購入資金を35年間借り入れるケースを想定すると、2割の頭金を支払い2,400万円借り入れた場合の返済額は月61,845円。一方、頭金なしで3,000万円を借り入れた場合の返済額は月77,306円となり、月額で1万5,000円ほどの差が出ます。
諸費用も含めて借り入れた場合や、変動金利よりも金利の高い固定金利を選択した場合は、さらに返済額の差が広がる点にも注意が必要です。
借り入れ金利が高くなる場合がある
フルローンのデメリットのもう一つは、自己資金(頭金)の割合によって金利が変わるケースがある点です。たとえば、フラット35では、頭金が1割以上の場合と、1割以下の場合でそれぞれ異なる金利が適用されます。都銀やネット銀行などの民間の銀行でも、フルローンと頭金ありの場合とでは金利が変わることがあるため、金利差がどの程度か、返済額への影響がどの程度あるのかをチェックしておく必要があります。
借り入れに際し、一定の現金が必要になる場合がある
住宅ローンをフルローンで検討する際、本来であれば、事務手数料や登記費用といった「諸費用」も借入額に上乗せできれば理想的です。
しかし銀行によっては、このような、完全なフルローンには対応しておらず、諸費用を別途で支払わなければならない場合があります。
借入時にかかる諸費用は、数十万円から百数十万円程度と、決して小さくないため、諸費用の金額や、ローンへの上乗せの可否などは、しっかりと確認しておきましょう。
銀行の住宅ローンの審査が厳しくなることがある
フルローンを検討する際に気になることの1つが、銀行の住宅ローン審査でしょう。
物件に対する融資割合が増えるため、頭金を準備する場合と比較すると、フルローンにおける銀行の住宅ローン審査は厳しくなる傾向があります。
ただし、住宅ローンの審査では、契約者の年齢・年収・勤続年数・健康状態・過去の返済遅延情報など、ある程度、審査項目が標準化されており、条件をクリアしてさえいれば、「フルローンだから」という理由のみで審査に落ちるケースは多くありません。
もしも、フルローンでの審査がなかなか通りにくい場合は、配偶者との収入合算やペアローン、親子でのリレー返済などを利用して、審査のネックとなっている条件(年収など)をクリアできないか試してみましょう。
ほかの買主と競合した場合に不利になる可能性がある
同じ物件に対して複数の買主が購入の申し込みをするような場合、不動産会社や個人の売主が、フルローンでの購入希望者よりも、頭金を準備している購入希望者を優先することがあります。
これは販売する側の考え方によることから、つねに「フルローンだと不利になる」と決まっているわけではありません。ただし、複数の買い手がつきやすい人気エリアの物件や、競合性の高い物件などを購入する場合には、フルローンが不利に働くケースもあることを意識しておくと良いでしょう。
住宅ローンをフルローンで借りる場合のメリットとは?住宅ローンをフルローンで借りるメリットとデメリット
このように、住宅ローンをフルローンで借りることにはデメリットがある一方で、フルローンならではのメリットもあります。
以下に住宅ローンをフルローンで借りる場合のメリットをまとめました。フルローンの利用を検討されている方は、メリットについてもしっかり把握しておきましょう。
住宅ローンをフルローンで借りる場合の3つのメリット
手元の現金を減らさずに済む
住宅ローンをフルローンで借りる場合のもっとも大きなメリットが、多額の現金を使わずに住宅を購入できる点です。
住宅購入では、頭金や諸費用以外にも、引っ越し費用や仮住まい費用、家具や家電の購入費用など、なにかと出費がかさみます。
また、子どもが受験を控えていたり、車などの大きな買い物を検討していたりと、他にも大きな現金支出が予想されるような場合は、一定のキャッシュを確保しておくことが重要になるでしょう。
住宅ローン=借金、と考えると、少しでも借入額を減らすべき、と考えがちですが、一定の現金を確保して、お金の流動性(=キャッシュフロー)を保っておくことは、急な出費が必要になった場合を想定した際、家計のリスクを抑える効果があります。
他のローンと比較すると、低金利で借り入れできる
住宅ローンをフルローンで借りるメリットのもう1つは、他の借り入れ手段と比較すると、住宅ローン金利が低いという点です。
借り入れの際に、土地と建物に抵当権を設定する住宅ローンでは、住宅を担保とすることで、多目的ローンや教育ローンといった無担保型のローンと比較すると、圧倒的に低い金利で資金を借り入れることができます。
たとえば、子どもの進学と住宅購入が重なった場合などは、子どもの進学費用のために教育ローンを検討するよりも、住宅ローンをフルローンで借り入れ、手元に残った現金を進学費用に充てたほうが、借入金利を低く抑えることができるでしょう。
住宅購入のタイミングを自由に決めることができる
住宅ローンをフルローンで借りるメリットの3つめは、自分の希望するタイミングで住宅を購入できる点です。頭金を貯めることを第一の目的としていると、資金が貯まっていないことがネックになり、良い物件が見つかってもなかなか住宅購入に踏み切れない、というケースが出てきます。
たとえば、子どもの誕生や独立、親との同居など、ライフスタイルが大きく変化するタイミングは、今までの住まいを見直すことで、より快適な暮らしを手に入れるチャンスでもあります。また、住宅ローン金利も、世界経済の影響を受けて日々、上昇や下降をくり返しています。
このように、住宅購入を検討するタイミングと、家の貯蓄状況とは、必ずしも一致するとは限りません。
「住宅ローンをフルローンで借りる」という選択肢を持っておくことで、頭金が充分に貯まっていなくても、今、住宅を購入しておいたほうが良さそうだ、と感じたときに、行動を制限されずに動けるようになります。
住宅ローンをフルローンで借りる場合におすすめの銀行は?住宅ローンをフルローンで借りるメリットとデメリット
ARUHI フラット35
国内最大手の住宅ローン専門金融機関・ARUHIが提供するフラット35。
フラット35をフルローンで利用する際は「ARUHIフラット35」に「ARUHIフラット35α」を組み合わせることができる。借入額の9割を「ARUHIフラット35」で、頭金に相当する1割を「ARUHIフラット35α」で借り入れることにより、フラット35の金利を低く(融資比率9割以下の金利を適用して)借り入れることができる。
全国展開のSBIマネープラザにて、対面による住宅ローン相談にも対応。住宅ローンに付帯できる8疾病保障特約や失業保険特約、AIU火災保険の20%割引加入など、住宅ローン利用者向けの特典・付帯サービスも充実している。
SBI新生銀行 パワースマート住宅ローン
SBI新生銀行が提供する住宅ローン。住宅購入資金を物件評価額の100%まで借り入れることができる。住宅ローン金利も頭金の有無によって変わらない点も嬉しい。
住宅ローン保証料と一部繰り上げ返済手数料に加え、団信保険料も無料。
また、事務手数料が5万4,000円~16万2,000円(税込)の定額制で、他の住宅ローンと比較しても割安となっている。※多くのネット銀行の事務手数料は借入額の2.20%程度(3,000万円の借入で64万8,000円)。
さらに借入時、「安心パック」に申し込むことで、繰り上げ返済で短縮した期間分の元本返済を休憩できる「コントロール返済」や、所定の要介護状態となった場合に住宅ローン残高がゼロになる「団体信用介護保障保険料」が無料で付帯可能になる。
フルローンのメリットとデメリットを正しく理解して住宅ローンを上手に活用しよう住宅ローンをフルローンで借りるメリットとデメリット
住宅ローンをフルローンで借りることに対しては、一定のリスクが伴うのは事実です。
その一方で手持ちの現金を持ったまま新しい住宅を購入できることには、それなりのメリットがあることもまた事実。フルローンは、良い悪いではなく、住宅ローンを利用する際の選択肢の一つと考えると良いでしょう。
2018年8月現在も、住宅ローンの金利は比較的低水準で推移しており、他のローン(教育ローンやマイカーローン)と比較しても、金利に優位性があります。
フルローンのデメリットについて十分に理解しつつも、他の用途で現金が必要な場合や、住宅購入を急ぎたい場合には、「住宅ローンをフルローンで借りる」という選択肢を、上手に活用してみてはいかがでしょう。
本特集でご紹介したフルローンに強い住宅ローンの情報も参考に、ご自身の住宅購入のケースに合った住宅ローンを賢く選びましょう!