金利タイプ別住宅ローン当初固定のメリットと終了時の注意点

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住宅ローン当初固定のメリットと終了時の注意点

はじめに住宅ローン当初固定のメリットと終了時の注意点

「当初固定」とは、借入れ当初から一定期間、金利が固定される住宅ローン商品の総称です。住宅ローンを借り入れている期間の優遇金利幅が全て固定される「全期間固定」と比較すると、当初固定は所定の期間に限り、優遇金利の幅を大きく設定しており、当初固定期間の返済負担をおさえることができます。また、変動金利型の住宅ローンと比較すると、当初固定期間中の金利変動リスクがないため、返済計画が立てやすいというメリットも。
住宅ローンを借り入れる際に固定金利を選ぶ方は、新規はもちろん、借り換える場合も、当初固定を選択する人が大半を占めています

ただ、当初固定も万能という訳ではありません。利用するメリットもあれば、注意しなければいけない点も当然あります。住宅ローン利用する際は、メリットだけに目を向けるのではなく、注意すべき点もしっかり把握した上で、選択することが何より大切です。

そこで今回の特集では、住宅ローンの当初固定に注目。そのメリットと注意点をわかりやすく解説します。さらに、当初固定での借り入れにおすすめの住宅ローンについての紹介も。
当初固定で住宅ローンを組もうと考えている方は、ぜひ最後までチェックしてみてください。

住宅ローンを当初固定で組むメリット住宅ローン当初固定のメリットと終了時の注意点

それでは、まずはじめに住宅ローンを当初固定で組むメリットを見ていきましょう。

住宅ローンを当初固定で組むメリット その1
固定期間中は低金利での借り入れが可能

当初固定で住宅ローンを組む最大のメリットは、固定期間中の住宅ローン金利が低金利に設定されている点。当初固定の場合、固定期間中の住宅ローン金利の優遇幅が大きく、全期間固定と比較すると、有利な条件で借り入れることが可能です

例えば、住信SBIネット銀行の住宅ローンを「全期間固定10年(※通期引下げプラン)」と「当初固定10年(※当初引き下げプラン)」で組んだ場合の金利を比較すると以下の通り。

住信SBIネット銀行住宅ローン 当初固定と全期間固定の金利を比較
基準金利 金利優遇幅 適用金利
全期間固定10年
(※通期引下げプラン)
年2.56% 年-1.30% 年1.26%
当初固定10年
(※当初引き下げプラン)
年-1.70% 0.97

※金利は、2024年3月時点

例えば、子供の教育費にお金がかかる時期等に、当初固定を利用して低金利で住宅ローンを組むことができれば、当初固定期間中の住宅ローン返済額を抑えることができ、家計への負担を少なくすることが可能です。
当初固定期間中の住宅ローン金利が低く、毎月の返済額の負担を少なくできる点は、当初固定で住宅ローンを組む大きなメリットといえるでしょう

住宅ローンを当初固定で組むメリット その2
当初固定期間中は金利が変わらない

当初固定で住宅ローンを組む場合、当初固定期間中の金利は変わりません
変動金利と比較すると、選択する期間によっては金利がやや上がるものの、固定期間中に金利変動リスクがなく、返済計画が立てやすい点は、住宅ローンを当初固定で組むメリットの一つと言えるでしょう。

住宅ローンを当初固定で組む際の注意点住宅ローン当初固定のメリットと終了時の注意点

次に、住宅ローンを当初固定で組む際にチェックしておきたい注意点をご紹介します。

当初固定期間終了後の金利上昇に注意する

住宅ローンを当初固定で組む際は、固定期間終了後、住宅ローンをどうするのか、考えておく必要があります。

住宅ローンを借り入れた金融機関での利用を継続する場合、当初固定期間終了後に、金利タイプを「変動金利」と「固定金利」のいずれかを選択し、切り替えることになります。

住宅ローンを当初固定で組んだ場合の固定期間終了後の手続きについてはこちらをチェック

この際、注意したいのが、当初固定から他の金利タイプに切り替える場合、金利の優遇幅が少なくなり、当初固定期間終了後、金利がほぼ100%上昇する点です

例えば、住信SBIネット銀行で当初固定10年の住宅ローンを組んだ場合、固定期間中と固定期間終了後を比較すると、金利は以下のように変化します。

住信SBIネット銀行 住宅ローン

※金利は2024年3月時点

固定期間中

基準金利 金利優遇幅 適用金利
当初固定10年 (※当初引き下げプラン) 年2.56% 年-1.70% 0.97

固定期間終了後

基準金利 金利優遇幅 適用金利
変動金利を選択した場合 年2.775% 年-0.70% 年2.075%
固定金利(10年)を選択した場合 年2.56% 年1.86%

上記の表からもわかるように、固定期間が終了すると、金利優遇幅が小さくなるため、変動金利・固定金利のいずれを選択した場合でも、当初固定の固定期間と比較すると、金利(※適用金利)が大幅に上昇します。

住宅ローンを基礎から学ぶ

ちなみに、通常「変動金利」の場合は、急激な金利上昇に対応するため、「金利を半年ごとに見直す」、「返済額を5年ごとに見直す。その際、返済額がアップする場合でも、上限はこれまでの毎月の返済額の1.25倍まで」といった特例措置を用意していますが、当初固定の場合、このような特例措置はありません。
つまり、固定期間終了後に住宅ローン金利が大幅に上昇した結果、毎月の返済額が増え、家計を圧迫する可能性がある点には注意が必要です。

当初固定で住宅ローンを組む際は、固定期間終了後に大幅に金利が上昇するリスクがあるため、当初固定期間中の適用金利だけではなく、利用する金融機関が設定している住宅ローンの「基準金利」と固定期間終了後の「金利優遇幅(※基準金利からの引き下げ幅)」についてもしっかりとチェックしておきましょう

当初固定での借り入れにおすすめの住宅ローン住宅ローン当初固定のメリットと終了時の注意点

本チャプターでは、住宅ローン比較が厳選した当初固定での借り入れにおすすめの住宅ローンをご紹介します。

当初固定の住宅ローンを選ぶ際のポイントは以下の2点。

当初固定の住宅ローンを選ぶポイント

当初固定の住宅ローンを選ぶポイント その1
固定期間終了後も金利優遇幅の大きい住宅ローンを選ぶ

固定期間終了後、変動金利または固定金利を選択し、当初固定と同じ金融機関の住宅ローンを利用する場合、固定期間終了後の金利優遇幅の大きい住宅ローンを選ぶのがおすすめです
多くの金融機関の場合、当初固定の固定期間終了後は金利が大幅に上昇しますが、数ある金融機関の中には、固定期間終了後の金利上昇を抑えるため、「基準金利を低めに設定している」、「固定期間終了後の金利優遇幅が大きい」といった住宅ローン商品を提供しているところがあり、こうした金融機関を選択することで、固定期間終了後も比較的低い金利で住宅ローンを借り入れることが可能です。

当初固定での借り入れにおすすめの住宅ローン

イオン銀行 住宅ローン

イオン銀行 住宅ローン

イオングループのネット銀行「イオン銀行」が提供する住宅ローン。当初固定期間中はもちろん、固定期間終了後の金利優遇幅も大きく、他の住宅ローンと比較し、固定期間終了後も有利な条件で借り入れることができる
また、住宅ローン契約者限定で、イオングループでの買い物が毎日5%OFFになる特典が利用できる(※ただし、住宅ローン残高に応じた制限あり)ほか、住宅ローン金利を年0.3%上乗せすることで、団体信用生命保険に「8疾病保障特約」を付帯できる点もチェックしておきたい。
さらに、イオン内にある店舗では、土日・祝日を含め、住宅ローンに関する相談ができる点も魅力。
近くにイオングループの店舗があり、買い物等で利用することが多い人はもちろん、固定期間終了後も低金利で住宅ローンを借り入れたい人にとって、イオン銀行は有力な選択肢の一つだろう。

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auじぶん銀行

auじぶん銀行

三菱UFJ銀行とKDDIが共同出資するネット銀行「auじぶん銀行」の住宅ローン。当初固定期間中の金利優遇幅が大きく、低金利での借り入れができることに加え、当初2年・当初3年に関しては、固定期間終了後に変動金利を選択すると、適用される金利優遇幅が大きく、引き続き、有利な条件で住宅ローンを組むことができる
また、auじぶん銀行は、日本の金融機関ではじめて、住宅ローンの申し込みから契約までネットで完結する仕組みを実現。申し込みから契約まで、最短10日で完了する。
さらに、保証料・一部繰り上げ返済手数料・収入印紙代が不要なほか、住宅ローン返済期間中に「がん」と診断された場合、住宅ローン残高が半分になる「がん50%保障団信」が金利上乗せなしで付帯できる点も嬉しい。
利便性が高く、低金利での借り入れに対応した住宅ローンを利用する際は、ぜひチェックしておきたい。

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当初固定の住宅ローンを選ぶポイント その2
固定期間終了のタイミングで他の住宅ローンへ借り換えることを視野に入れ、固定期間中の金利優遇幅が大きい住宅ローンを選ぶ

多くの当初固定住宅ローンは、固定期間終了後、優遇金利幅が小さくなるため、住宅ローン金利が大幅に上昇します。そのため、固定期間が終了するタイミングで、他の金融機関が提供する住宅ローンに借り換え、改めて低金利で住宅ローンを組むのも選択肢の一つ
この場合は、固定期間中の適用金利に注目し、低金利での借り換えできる住宅ローンを選ぶのがおすすめです。
ただし、住宅ローンを借り換える際は、借り換え先の金融機関での審査に通過する必要がある他、手数料をはじめとする諸費用も発生するため、その点も、しっかり考慮しておきましょう。

固定期間中の金利の低さが魅力!当初固定での借り入れにおすすめの住宅ローン

住信SBIネット銀行 住宅ローン(WEB申込コース)

住信SBIネット銀行 住宅ローン

数あるネット銀行のなかで、トップクラスの実績と満足度を誇る「住信SBIネット銀行」の住宅ローン。当初固定期間中の金利の低さに定評があり、他の住宅ローンと比較し、低金利での借り入れができると人気を集めている
また、住信SBIネット銀行では、保証料・一部繰り上げ返済手数料・印紙代が無料となっているほか、全疾病保障が無料付帯する点もチェックしておきたい。さらに、申し込みから借入れまで、来店不要で完結する点も魅力。
当初固定期間終了後に住宅ローンを借り換えることを視野に入れ、固定期間中、低金利での借り入れができる住宅ローンを利用したい人であれば、住信SBIネット銀行は利用を検討したい住宅ローンの一つ。

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楽天銀行 フラット35

楽天銀行 フラット35

楽天グループのネット銀行「楽天銀行」が提供する長期固定金利住宅ローン。住宅ローン金利が低いことに加え、融資手数料も1.404%(税込)(※借り換えの場合、楽天銀行をフラット35の返済口座に指定すると税込0.972%に優遇)と数あるフラット35の中で最低水準に設定されており、他のフラット35と比較し、有利な条件で借り入れることができる
さらに、ATM手数料が毎月5回まで無料になる他、楽天スーパーポイントが通常の3倍貯まる「ハッピープログラム」のVIP会員に最長2年間登録できる特典が付帯する点も嬉しい。
住宅ローンの返済期間が30年以上残っており、フラット35での借り入れを検討する際、楽天銀行 フラット35は有力な選択肢といえるだろう。

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住宅ローン当初固定のメリットと終了時の注意点~まとめ~住宅ローン当初固定のメリットと終了時の注意点

住宅ローンを基礎から学ぶ

住宅ローンを当初固定で借り入れた場合のメリットと終了時の注意点について解説した今回の特集はいかがでしたでしょうか?

住宅ローン金利は、月々の返済額や総返済額に影響するため、「低金利」というメリットを最大限享受できる理由から、当初固定を選ぶ人は少なくありません。
ただし、当初固定には、低金利で住宅ローンの借入れができるメリットがある一方で、当初固定期間終了後に金利が上昇するリスクがあるため、その点もしっかりと把握した上で、借り入れることが大切です
これから当初固定で住宅ローンを借り入れようと考えている方は、本特集を参考に、当初固定のメリットと注意点をしっかりと理解した上で、利用する住宅ローンを選びましょう。

著者 溝口 麻衣

著者 溝口 麻衣

Hayakawa所属のチーフライター兼編集者。住宅ローン当初固定のメリットと終了時の注意点についての調査と記事執筆を担当。
わかりやすく、ちょっとした気付きのある記事を目指し、日々原稿を執筆している。2級FP技能士取得。