住宅ローン 選び方フラット35に借り換えるメリット、デメリットとは?金利、手数料の違いは?
フラット35に借り換えるなら?まずはここをチェック!フラット35に借り換えるメリット、デメリットとは?金利、手数料の違いは?
住宅ローンの固定金利が、令和に入っても歴史的な低水準を記録しており、過去最低金利を更新し続けています。
特に、長期固定金利の代表とも言える「フラット35」は、世界的なマイナス金利の影響も受け、5年前や10年前と比較すると、大幅に低い金利で借り入れることが可能。一般的に最も金利が低いとされる、民間金融機関が提供している「変動金利」との差も少なくなっています。
過去の金利が高い時期にフラット35で借り入れを行い、フラット35からフラット35への借り換えを検討している人はもちろん、数年~十数年前に変動金利で住宅ローンを組んだ方にとっても、現在のフラット35の金利水準は、借り換えによるメリットを受けやすい状況と言えるでしょう。
フラット35(固定金利)の金利推移:5年前、10年前との比較
【現時点】令和元年9月 ※1 | 最高金利1.870% | 最低金利1.110% |
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【5年前】平成26年9月 ※2 | 最高金利2.230% | 最低金利1.660% |
【10年前】平成21年9月 ※2 | 最高金利3.640% | 最低金利2.690% |
- 借入期間21年以上35年以下、融資率9割以下、機構団信付きの場合
- 返済期間21年以上35年以下、融資率9割以下の場合
3大メガバンクの現在の変動金利(令和元年9月時点)
三菱UFJ銀行 | ネット専用0.525% | 店舗併用型0.625%~0.775% |
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三井住友銀行 | ネット専用0.525%~0.725% | 店舗併用型0.500% |
みずほ銀行 | ネット専用- | 店舗併用型0.625%~0.875% |
フラット35とは?フラット35に借り換えるためには条件がある
フラット35とは、住宅金融支援機構が民間の金融機関と提携し、販売を行っている長期固定型の住宅ローンの総称です。
新規借り入れはもちろん、他の住宅ローンから借り換える際も利用でき、民間の住宅ローンからの借り換えはもちろん、フラット35からフラット35への借り換えにも対応しています。
ただし、利用するにあたっては、債務者(住宅ローン契約者)や物件そのものに対して、以下のような条件が設けられている点には注意しましょう。
フラット35に借り換えるための条件
債務者の条件 | |
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年齢 | 満70歳未満 |
返済負担率 (年収に占める年間合計返済額の割合) |
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住宅ローンの返済実績 |
借入日から1年以上が経過していること 借り換えの申込日前日までの1年間、正常に返済していること |
住宅の条件 | |
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床面積 |
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技術基準 | 住宅金融支援機構が定めた技術基準に適合すること |
住宅ローンの条件 | |
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借入額 |
100万円以上8,000万円以下(1万円単位)
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借入期間 | 15年以上35年以内 |
借入額に含められる諸費用 |
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フラット35へ借り換えに頭金は必要か?審査と手数料は?フラット35に借り換えるメリット、デメリットとは?金利、手数料の違いは?
フラット35に借り換える場合、借入額の10%の頭金を用意すること(融資比率9割以下)で、住宅金融支援機構が提供する標準金利での借り入れが可能となります。これはフラット35を有利な条件で借り入れる(借り換える)ための必須要素です。
一方、頭金ゼロで住宅ローンを組みたい場合(融資比率9割超)は、適用される金利が標準金利よりも高くなりる点には注意しましょう(下記)。
フラット35の適用金利(住宅金融支援機構:2019年9月時点)
融資比率9割以下
- 15-20年固定1.050%~1.810%
- 21-35年固定1.110%~1.870%
融資比率9割超
- 15-20年固定1.490%~2.250%
- 21-35年固定1.550%~2.310%
このように、フラット35を有利な条件で利用するためには、借入額の10%程度の自己資金が必要です。頭金をしっかり用意することで、総返済額を抑えることができるということを、憶えておきましょう。
ただし、金融機関によっては、フラット35を頭金ゼロで借り換えたい人のために、自己資金10%の部分を別の住宅ローンから融資しているところもあります。
この方法を利用すると、フラット35をフルローンで借り換える場合よりも、総返済額を抑えられるため、頭金の準備が間に合わない場合は利用を検討してみると良いでしょう。
フラット35は利用基準を満たしていれば審査には落ちにくい
前述の通り、フラット35には、いくつかの利用条件があるため、すべての人が借り入れ(借り換え)できる訳ではありません。
しかしフラット35は、政府が国民の住宅購入を後押しする目的で開発した住宅ローン商品ということもあり、利用条件以外の複雑な要件は設けられておらず、返済負担率などの基礎的な基準さえ満たしていれば、ほとんどの場合、審査に通過することができます。
住宅ローン審査に関しては、民間の金融機関の住宅ローンと比べるとはるかに易しいと言って良いでしょう。
フラット35の手数料は金融機関ごとに異なる
フラット35も他の住宅ローンと同様に、借り換えの際は、司法書士報酬や登録免許税、事務手数料といった「諸費用」がかかります。
このうち、登録免許税・司法書士報酬などは、どの金融機関を利用した場合も大きな違いはありません。
しかし、事務手数料(融資手数料)に関しては、フラット35を提供する金融機関により様々。また、契約書を紙ではなくデジタルで処理する場合は、契約書に貼付する収入印紙代などが不要となるため、ペーパーレス化を進めている金融機関のほうが、諸費用が安くなる傾向があります。
変動金利からフラット35への借り換え。メリットとデメリットフラット35に借り換えるメリット、デメリットとは?金利、手数料の違いは?
現在、民間の住宅ローンで変動金利を利用している方がフラット35に借り換える場合、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょう。
変動金利からフラット35に借り換えるメリット
- 金利を固定することができる
- 民間の住宅ローンに借り換えるよりも審査に通りやすい
変動金利からフラット35に借り換えるデメリット
- 総返済額が増える可能性がある
- 金利が固定されるので、将来金利が下がった場合の恩恵を受けにくい
- 繰り上げ返済の自由度が下がる可能性がある
変動金利からフラット35に借り換える最大のメリットは、金利を固定できる点です。
多くの金融期間では、変動金利から固定金利に切り替えができるようになっていますが、その際に適用される金利は、フラット35と比較すると高い水準になるケースが少なくありません。
あるいは、有利な金利が提示される場合でも、借り入れ期間中、全期間の金利が固定される「長期固定金利」ではなく、一定期間(5年や10年など)のみ金利が固定される「期間固定金利」を選ばざるを得ないケースもあります。
住宅ローン金利が今後上昇する可能性があると考えており、金利変動の影響を受ける変動金利を固定し、返済計画を確定させたい場合、固定金利の中では金利が低く、審査基準も緩やかなフラット35への借り換えは有力な選択肢の1つと言えるでしょう。
ただし、変動金利の住宅ローンは、一般的に、固定金利よりも金利が低いことが多いため、フラット35に借り換えることで総返済額が増える可能性があります。
また、民間の金融機関が1円単位や1万円単位で繰り上げ返済に対応しているところが多いのに対し、フラット35は10万円単位と、やや繰り上げ返済の利便性が落ちる点も知っておきたいデメリットと言えるでしょう。
おすすめのフラット35提携ローン
楽天銀行 フラット35
楽天グループのネット銀行「楽天銀行」が提供するフラット35提携ローン。事務手数料(融資手数料)の安さに定評があり、通常、借り入れ金額の1.30%(税別)のところをフラット35の返済口座に「楽天銀行」を指定することで1.00%(税別)となる。 数あるフラット35提携ローンの中でも最低水準の金利で借り入れることが可能。契約者特典として、楽天スーパーポイントの還元率アップや楽天銀行の振込手数料優遇などが受けられる「ハッピープログラム」の会員ステージが1ランクアップする点もチェックしておきたい。 |
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フラット35金利 ※融資比率9割以下 |
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固定金利からフラット35への借り換え。メリットとデメリットフラット35に借り換えるメリット、デメリットとは?金利、手数料の違いは?
それでは、現在、民間の金融機関で「固定金利」や「フラット35」を利用している場合、フラット35に借り換えることは、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
固定金利からフラット35に借り換えるメリット
- 借り入れ当初よりも金利が低い可能性が高い(=総返済額を圧縮できる)
- 民間の住宅ローンに借り換えるよりも審査に通りやすい
固定金利からフラット35に借り換えるデメリット
- 繰り上げ返済の自由度が下がる可能性がある
民間金融機関が提供する住宅ローンの長期固定金利からフラット35へ借り換えるメリットは、総返済額を圧縮できる点です。冒頭でも解説した通り、フラット35の現在の金利は、歴史的に見ても、過去に例がないほど低い水準にあります。
そのため、10年前はもちろん、5年前に借り入れた住宅ローンであっても(固定金利であれば)借り入れ当時よりも大きく金利が下がっている可能性が高いでしょう。
住宅ローンは、借り換えの前と後で1%以上の金利差があれば、借り換えたほうが総返済額を減らすことができる、と言われています。
実際には、金利差に加え、現在の「住宅ローン残高」と「残りの返済期間」によっても総返済額が変化するため、金利差05%、住宅ローン残高1,000万円、返済期間10年が、1つのポイントです※。
固定金利からフラット35へ借り換える場合は、金融機関などが提供している借り換えシミュレーションを活用し、借り換えの前と後で、どの程度総返済額が下がるのか、をチェックしてみましょう。
借り換えにかかる諸費用が、総返済額の圧縮分よりも小さければ、借り換えるメリットのほうが大きくなります。
おすすめのフラット35提携ローン
住信SBIネット銀行 フラット35
SBIホールディングス傘下のネット銀行大手「住信SBIネット銀行」が提供するフラット35提携ローン。フラット35最低水準の金利に加え、手数料の安さも特徴の1つ。融資事務手数料は通常1.50%(税別)だが、フラット35の返済口座に住信SBIネット銀行を指定すると1.00%(税別)に優遇される。また、金利に0.50%(税別)を上乗せすることで、すべての病気・けがをカバーする全疾病保障を付帯できるので、手厚い団信のあるフラット35を検討している場合は要チェック。 | |
フラット35金利 ※2023年9月実行金利 |
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フラット35への借り換えは注目度大!シミュレーションを活用して低金利のメリットを120%活かそう!フラット35に借り換えるメリット、デメリットとは?金利、手数料の違いは?
固定金利が下がり続けるなか、数年前と比較して、もっとも金利を下げている住宅ローンの1つがフラット35です。
従来は、長期固定金利といえば、金利の変動リスクを取らなくて良いというメリットがある一方で、高い金利を受け入れる必要があるというデメリットも明確でした。
しかし、歴史的な低金利により、固定金利の金利も大きく下がりはじめ、変動金利との金利差は過去に例がないほど縮まっています。
「変動金利=低金利&金利変動リスクあり」「固定金利=変動金利と比較して高金利&金利変動リスクなし」という図式は、原則として変わらないものの、数年前に住宅ローンを借り入れた方であれば、フラット35への借り換えによって、思わぬ低金利の恩恵を受けられる可能性が高いでしょう。また総返済額を圧縮できなかったとしても、住宅ローンの返済計画を確定させることで、今後のライフプランを練りやすくなる点もフラット35に借り換える大きなメリットです。
今回ご紹介したフラット35の借り換えに関する情報も参考に、ぜひ複数の金融機関のフラット35を比較し、ご自身の借り換えにぴったりのフラット35を見つけましょう!
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著者 長尾 尚子
フリーランスライター。得意分野は、育児・教育、住宅ローン、保険、金融、エンタメ等、幅広い。子ども3人を育児中のママでもある。
【資格】消費生活アドバイザー、FP2級