住宅ローン 選び方住宅ローンを借り換える3つのメリットとは
はじめに住宅ローンを借り換える3つのメリットとは
現在組んでいる住宅ローンの金利や一部繰り上げ返済手数料、団信などに不満がある場合、住宅ローン契約を解消し、新たな金融機関で住宅ローンを組むことができます。これがいわゆる、住宅ローンの借り換えです。(※豆知識:住宅ローンを借り換える際は、現在組んでいる住宅ローンを一括返済することになります。)
借り換え先の金融機関によっては、住宅ローンの総返済額を大幅に減らすことができ、一部繰り上げ返済等の使い勝手も改善することから、住宅ローンを組んでいる人であれば、常に住宅ローンの情報をチェックしておくことが大切です。
ただし、住宅ローンを借り換えるには、新たに住宅ローンを組むことになるため、契約手続きや手数料の支払い等、一定の手間とお金がかかるのもまた事実。
住宅ローンを借り換えるのであれば、借り換えにかかる手間やお金を上回るメリットがあるのかどうかをしっかりと見極めたうえで、借り換えることが大切だといえるでしょう。
そこで今回は、住宅ローンの借り換えに注目。住宅ローンを借り換えるメリットや、どのような条件で住宅ローンを借り換えると、より大きなメリットが受けられるのか等、様々な角度から分析し、わかりやすく解説します。さらに、住宅ローン金利、繰り上げ返済手数料、団信の充実度を踏まえ、借り換えに強いおすすめの住宅ローンの紹介も。
住宅ローンの借り換えを具体的に検討している方はもちろん、現在借り入れている住宅ローンに何らかの不満を感じている方は、ぜひ最後までチェックしてみてください。
住宅ローンを借り換える3つのメリット住宅ローンを借り換える3つのメリットとは
住宅ローンを借り換えるとどのようなメリットが受けられるのかを以下にまとめました。まずは基本をしっかり押さえておきましょう!
住宅ローンを借り換えるメリット その1
住宅ローンの総返済額を圧縮できる
住宅ローンを借り換える最大のメリットは、現在よりも住宅ローン金利の低い金融機関へ借り換えることで、住宅ローンの利息が軽減され、住宅ローンの総返済額を圧縮できる点でしょう。2019年9月には、住宅ローン金利が過去最低を記録する等、以前と比べても金利が低下していることを考えると、住宅ローン利用者の多くが、住宅ローンを借り換えることで総返済額を減額できるはずです。
また、住宅ローン金利が低い金融機関に借り換えるということは、毎月の返済負担の軽減や、返済期間の短縮に繋がります。住宅ローンの返済期間を短縮すると、期間を短縮した分、利息負担が小さくなるため、さらに住宅ローンの総返済額を減額することが可能です。
この「借り換えによる総返済額の減額」+「返済期間短縮による総返済額の減額」という2つのメリットが受けられる点も、チェックしておきたいポイントです。
住宅ローンを借り換えるメリット その2
住宅ローンの利便性向上
借り換え先の金融機関によっては住宅ローンの付帯サービスが充実しており、現在と比較すると利便性が向上するケースがあります。具体的には、一部繰り上げ返済のしやすさや団体信用生命保険(※通常団信)、各金融機関が提供している独自の特典がチェックすべきポイントです。
総返済額が変わらない場合でも、利便性向上を目的に住宅ローンを借り換える方も実は少なくありません。住宅ローンの利便性向上、住宅ローンを借り換えるメリットの一つと言って良いでしょう。
住宅ローンを借り換える際にチェックしておきたいポイント (※住宅ローン金利を除く)
団体信用生命保険(団信) | 数ある住宅ローンの中には、全疾病保障やがん50%保障団信が無料付帯するものがあります。 |
---|---|
繰り上げ返済のしやすさ | 繰り上げ返済の利用を考えている場合、「一部繰り上げ返済手数料無料」、「1円単位での繰り上げ返済に対応」、「インターネットから繰り上げ返済の手続きが行える」等、繰り上げ返済のしやすさもチェックしておくことが大切です。 |
その他特典 | 例えば、イオン銀行 住宅ローンの場合、イオンでの買い物が毎日5%OFFになる(※年間の割引金額に上限あり)特典が付帯します。住宅ローンを組むことで付帯する特典についても事前に確認しておくのがおすすめ。 |
住宅ローンを借り換えるメリット その3
金利を固定することで将来的な金利上昇に備えることができる
現在組んでいる住宅ローンの金利タイプが変動金利や短期の固定金利選択型を利用している場合、将来住宅ローン金利が上昇すると、総返済額が大幅に増えるリスクがあります。
住宅ローンの借り換えを機に、金利タイプを中期固定または長期固定金利へ変更すれば、固定期間中の住宅ローン金利が変わらないことから、将来の金利上昇リスクに備えることが可能。さらに、住宅ローンの返済計画が立てやすくなるメリットもあります。
安心して住宅ローンの返済が行える点も、住宅ローンを借り換える際にチェックしておきたいポイントです。
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memo 固定金利から変動金利へ住宅ローンを借り換える場合は?
現在、固定金利で住宅ローンを組んでいる方の中には、金利が低く設定されている「変動金利」への住宅ローンの借り換えを検討されている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
固定金利から変動金利へ住宅ローンを借り換える場合、住宅ローンを借り換えることで将来の金利上昇のリスクが上昇する点に注意が必要です。毎月の返済負担を削減できる点は大きなメリットですが、将来的に金利が上昇に転じた場合でも無理なく住宅ローンの返済を継続できるよう、返済計画をしっかり立てておきましょう。
住宅ローンを借り換えると、返済額はどれくらい減らせる? -ケース別に住宅ローンの借り換えをシミュレーション住宅ローンを借り換える3つのメリットとは
それでは実際に住宅ローンを借り換えた場合、どれくらい住宅ローンの返済負担を軽減することができるのでしょうか?
本チャプターでは5つのケース別に、金利の低さと利便性の高いサービス内容に定評がある住信SBIネット銀行 住宅ローンに借り換えた場合のシミュレーションをご紹介します。
ケース1
金利差1.0%、残債約2,000万円、残りの返済期間20年の場合
- 住宅ローンの試算条件
- 固定金利(当初引き下げプラン 20年固定):1.310%
- 返済方法:元利均等
現在 | 借り換え後 | 差額 | |
---|---|---|---|
毎月の返済額 | 10万4,139円 | 9万4,771円 | -9,368円 |
総返済額 | 2,499万3,222円 |
2,275万3,606円 + 64万2,000円(諸費用) → 2,339万5,606円(合計) |
-159万7,616円 |
毎月の返済額はもちろん、総返済額も大幅に減額可能。特に総返済額は住宅ローンを借り換えることで、約160万円減額することができる。
ケース2
金利差1.0%、残債約1,000万円、残りの返済期間10年の場合
- 住宅ローンの試算条件
- 固定金利(当初引き下げプラン 10年固定):0.710%
- 返済方法:元利均等
現在 | 借り換え後 | 差額 | |
---|---|---|---|
毎月の返済額 | 9万720円 | 8万6,351円 | -4,369円 |
総返済額 | 1,088万6,387円 |
1,036万4,430円 + 37万2,000円(諸費用) → 1,073万6,430円(合計) |
-14万9,957円 |
毎月の返済額に加え、総返済額も減額することができる。残債および残りの返済期間が少ないため、ケース1と比較すると大幅な返済負担の軽減にはならないが、約15万円総返済額を減額できる点や、住宅ローンの利便性が向上する可能性が高い点(※全疾病保障が無料付帯、一部繰り上げ返済は24時間1円から手数料無料で可能)もチェックしておきたい。
ケース3
金利差0.5%、残債約2,000万円、残りの返済期間20年の場合
- 住宅ローンの試算条件
- 固定金利(当初引き下げプラン 20年固定):1.310%
- 返済方法:元利均等
現在 | 借り換え後 | 差額 | |
---|---|---|---|
毎月の返済額 | 9万9,386円 | 9万4,771円 | -4,615円 |
総返済額 | 2,385万2,724円 |
2,275万3,606円 + 64万2,000円(諸費用) → 2,339万5,606円(合計) |
-45万7,118円 |
毎月の返済額に加え、総返済額も減額可能。総返済額は約45万円減額することができる。
ケース4
金利差0.3%、残債約500万円、残りの返済期間10年の場合
- 住宅ローンの試算条件
- 固定金利(当初引き下げプラン 10年固定):0.710%
- 返済方法:元利均等
現在 | 借り換え後 | 差額 | |
---|---|---|---|
毎月の返済額 | 4万3,823円 | 4万3,175円 | -648円 |
総返済額 | 525万8,790円 |
518万2,182円 + 23万4,000円(諸費用) → 541万6,182円(合計) |
+15万7,392円 |
毎月の返済額はやや減らすことができるが、総返済額に関しては、住宅ローンの借り換えにかかる諸費用を考慮すると、借り換え前よりも増えるためメリットは少ない。住宅ローンを借り換える際は、諸費用についてもしっかり確認しておくことが大切。
ケース5
金利差1.5%、残債約2,000万円、残りの返済期間20年の場合
- 住宅ローンの試算条件
- 変動金利:0.428%
- 返済方法:元利均等
現在 | 借り換え後 | 差額 | |
---|---|---|---|
毎月の返済額 | 10万496円 | 8万6,965円 | -13,531円 |
総返済額 | 2,411万8,908円 |
2,087万4,462円 + 64万2,000円(諸費用) → 2,151万6,462円(合計) |
-260万2,446円 |
借り入れ前と借入れ後で金利差が大きいことに加え、残債・残りの返済期間も多いため、住宅ローンを借り換えることで、毎月の返済額および総返済額を大幅に減額することができる。
住宅ローンの借り換えでメリットを受ける条件住宅ローンを借り換える3つのメリットとは
上記でご紹介したケース別のシミュレーションからもわかるように、住宅ローンを借り換えるメリットは、住宅ローンを組んでいる人すべてが受けられるわけではありません。
一般的に住宅ローンを借り換え、そのメリットを受けるには、基本的に以下の3つの条件の全て、少なくとも2つ以上クリアしている必要があります。
- 住宅ローンの借り換えでメリットを受ける条件
- 現在組んでいる住宅ローンと借り換え後の住宅ローンとの金利差が年1.0%程度
- 住宅ローンの残債が1,000万円以上
- 住宅ローンの残りの返済期間が10年以上
住宅ローンの借り換えを検討する際は、上記の条件をクリアしているか、事前にしっかり確認しておきましょう。ただし、上記の条件をクリアしていない場合でも、借り換え先の金融機関によっては、住宅ローンの利便性向上などの面からメリットがあるケースもあります。
住宅ローンを借り換える際は、実際に借り換えを実行する前に、シミュレーションをしっかり行い、どの程度メリットがあるかを把握しておきましょう。
借り換えに強いおすすめの住宅ローン住宅ローンを借り換える3つのメリットとは
本チャプターでは、借り換えに強いおすすめの住宅ローンをご紹介します。
住宅ローンの借り換えを検討されている方は各住宅ローンの特徴を比較し、住宅ローンを借り換えることで大きなメリットが受けられる自分に合った住宅ローンを見つけましょう。
借り入れ期間を問わず業界最低水準の住宅ローン金利を実現!
住信SBIネット銀行 住宅ローン(WEB申込コース)
事務手数料 | 借り入れ金額の2.2%(税込) |
---|---|
保証料 | 無料 |
繰り上げ返済手数料 | 無料 ※固定期間中の全額返済の場合は33,000円(税込) |
その他 | 団信に全疾病保障が無料付帯。契約者が女性の場合は「ガン診断給付金特約」も無料付帯。 |
住信SBIネット銀行 住宅ローンの特徴
JCSIによる銀行業種の日本版顧客満足度指数(2019年度)において第1位を獲得した「住信SBIネット銀行」が提供する借り換えに対応した住宅ローン。価格.comが実施した「住宅ローン人気ランキング(2019年)」においても第1位を獲得し、数ある住宅ローンの中でも高い人気を誇っている。
住信SBIネット銀行の特徴は、業界最低水準の住宅ローン金利を実現している点。他の住宅ローンと比較し、有利な金利での借り入れに対応しており、住信SBIネット銀行に借り換えることで返済負担の軽減が期待できる点は大きな魅力といえるだろう。
また、保証料、繰り上げ返済手数料が無料となっているほか、団信に全疾病保障が無料付帯する点もチェックしておきたい。
住宅ローン金利の低さや利便性の高さを考慮し、住宅ローンを借り換える際、住信SBIネット銀行は有力な選択肢の一つ。
借り換え試算例
東京スター銀行から住信SBIネット銀行へ住宅ローンを借り換えた場合
残債:約1,000万円/残りの返済期間:10年間/返済方法:元利均等
東京スター銀行 | 住信SBIネット銀行 | 金利差/差額 | |
---|---|---|---|
金利プラン | スター住宅ローン 固定金利型10年 |
当初引き下げプラン 10年固定 |
― |
適用金利 | 1.65% | 0.71% | -0.94% |
毎月の返済額 | 9万454円 | 8万6,351円 | -4,103円 |
総返済額 | 1,085万4,467円 |
1,036万4,430円 + 37万2,000円(諸費用) → 1,073万6,430円(合計) |
-11万8,037円 |
金利の低さに定評あり!がん50%保障団信・全疾病保障が無料付帯
auじぶん銀行 住宅ローン
事務手数料 | 借り入れ金額の2.2%(税込) |
---|---|
保証料 | 無料 |
繰り上げ返済手数料 | 無料 ※固定期間中の全額返済の場合は33,000円(税込) |
おすすめポイント |
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auじぶん銀行 住宅ローンの特徴
三菱UFJ銀行が36.2%、KDDI(auフィナンシャルホールディングス)グループが63.8%出資するネット銀行「auじぶん銀行」提供の借り換えに対応した住宅ローン。日本の銀行で初めて、住宅ローンの申し込みから契約までをネットで完結する仕組みを実現しており、申し込みから最短10日で契約手続きを完了することができる。
auじぶん銀行は、数あるネット銀行のなかでも最低水準の住宅ローン金利を実現しているだけではなく利便性の高さにも定評がある。保証料はもちろん、一部繰り上げ返済手数料も無料。団信も、がん50%保障団信に全疾病保障を無料付帯することができる。また、年0.2%金利を上乗せすることで「がん100%保障団信」、年0.3%金利を上乗せすると「11疾病保障団信」を付帯可能。他の住宅ローンと比較しても、利便性は極めて高い。
ネット銀行が提供する住宅ローンへの借り換えを検討している人や、保障が充実している住宅ローンへの借り換えを検討している人は要チェック。
借り換え試算例
東京スター銀行からauじぶん銀行へ住宅ローンを借り換えた場合
残債:約1,000万円/残りの返済期間:10年間/返済方法:元利均等
東京スター銀行 | auじぶん銀行 | 金利差/差額 | |
---|---|---|---|
金利プラン | スター住宅ローン 固定金利型10年 |
当初引き下げプラン 10年固定 |
― |
適用金利 | 1.65% | 0.57% | -1.10% |
毎月の返済額 | 9万454円 | 8万5,750円 | -4,704円 |
総返済額 | 1,085万4,467円 |
1,029万16円 + 34万5,000円(諸費用) → 1,063万5,016円(合計) |
-21万9,451円 |
コラム 住宅ローンを借り換える際の注意点
返済負担の軽減をはじめ、さまざまなメリットが期待できる住宅ローンの借り換えですが、その一方で、住宅ローンを借り換える際には注意したいポイントもあります。
ここでは、住宅ローンを借り換える際の注意点について見ていきましょう。
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住宅ローンの借り換えには1ヵ月程度かかる
住宅ローンの借り換えは、新規で住宅ローンを申し込むのと同様、金融機関への相談や書類の準備、審査等、さまざまな手続きを行う必要があります。実際に住宅ローンの借り換えを申し込み、融資が実行されるまでにかかる期間は、金融機関によって異なりますが、1ヵ月程度かかるケースが一般的です。借り換えたいと思ったタイミングですぐに借り換え手続きができるわけではない点には注意が必要です。
住宅ローンを借り換える際は、申し込みから融資実行までにかかる期間をしっかり考慮しておきましょう。
諸費用が発生する
住宅ローンの借り換えは、無料でおこなえるわけではありません。現在利用している金融機関に全部繰り上げ返済を行い、抵当権を抹消、住宅ローンを借り換える新しい金融機関に対して事務手数料や保証料、印紙代、登記費用等を支払う必要があります。諸費用は借入れ金額や返済期間、借入先の金融機関などによって異なりますが、30万円~80万円程度かかるのが一般的。住宅ローンを借り換える際は、諸費用分についてもしっかり考慮しておくことが大切です。
健康状態に問題があると、借り換えできないことも
多くの金融機関は、契約者に万一のことがあった場合に備え、団信(団体信用生命保険)への加入を、住宅ローンを組む際の必須条件としています。団信加入には、「年齢」と「健康状態」に所定の条件があり、この条件を満たしていない場合は、加入することができません。
住宅ローンを借り換える際は、最初に住宅ローンを組んだときから年数が経過しているため、契約者自身の健康状態が変わっている可能性も考えられます。健康状態に何らかの問題がある場合、団信に加入できず、住宅ローンが借り換えできない可能性がある点には注意しましょう。
住宅ローン借り換えのメリット~まとめ~住宅ローンを借り換える3つのメリットとは
住宅ローンを借り換えるメリットについて解説した今回の特集はいかがでしたでしょうか?
ここ数年、住宅ローンの借り入れ金利が大幅に低下していることを考えると、住宅ローンの借り換えを利用し、毎月の返済額や住宅ローンの総返済額を減額できる方は少なくないはずです。
住宅ローンの返済負担を軽減したいと考えている方にとって、住宅ローンの借り換えは最も有力な選択肢といえるでしょう。
ただし、住宅ローンの借り換えには様々なメリットがある一方で、デメリット(注意点)もいくつか存在します。
メリットとデメリットをしっかりと把握し、事前にシミュレーションを行った上で借り換えを実行し、家計の状況を大きく左右する住宅ローンの借り換えを確実に成功させましょう!
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著者 溝口 麻衣
Hayakawa所属のチーフライター兼編集者。主な執筆ジャンルは英会話、格安SIM、住宅ローン、保険、エンタメ。
わかりやすく、ちょっとした気付きのある記事を目指して、日々原稿を執筆中。御朱印集めと北欧関連の情報収集が好き。