住宅ローンの基礎知識住宅ローン一括審査のデメリットとは?

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住宅ローン一括審査のデメリットとは?住宅ローンの基礎知識

2017年に入り、住宅ローンの一括審査を行ってくれるサービスが徐々に増えてきました。2017年10月19日にリクルートが、みずほ銀行、三菱UFJ銀行 など、14の金融機関で一括審査ができるサービスをスタート。先行してサービスを提供するイッカツ(住宅本舗)やWhatsMoneyなど、今後も同様のサービスは増えてきそうです。

一見すると非常に便利なサービスに思える住宅ローンの一括審査ですが、実はいくつかデメリットがあるのも事実です。

そこで今回は、住宅ローン一括審査のデメリットに注目。プロの目から見たデメリットを解説します。

一括審査を利用する前に、その仕組みをきちんと理解しておきましょう。

住宅ローン一括審査のデメリット その1:全ての金融機関が参加している訳ではない

住宅ローン一括審査のデメリット・画像

まず前提条件として、一括審査には全ての金融機関が参加している訳ではないということを知っておかなければいけません。例えばSUUMOにしても、当初住宅ローン一括審査に参加する金融機関は三菱UFJ銀行 、みずほ銀行などの14金融機関に留まっています。

例えば、あなたの属性で借り入れる(借り換える)ことができる最もお得な住宅ローンが、一括審査に参加していない可能性もあるのです。

一括審査は確かに便利ですが、その反面、自分が探すことで見つかるかもしれない、お得な住宅ローンを見逃してしまうかもしれないという点には注意しておきましょう。

住宅ローン一括審査のデメリット その2:一括審査の提供元はボランティアではない

一括審査を提供しているSUUMO、住宅本舗(イッカツ)、WhatsMoneyはなぜそのようなサービスを提供しているのでしょうか?その理由は、一括審査の依頼を受けると、複数の金融機関から報酬を受け取ることができ、自社の大きな利益となるからです(1社の金融機関ではなく、複数としていることは、利益を最大化できるからに他なりません)。

そして報酬を支払わない金融機関は当然一括審査に参加することはできません。

これ自体が全てデメリットというわけではありませんが、一括審査はビジネスという側面が大きく、成り立っているということを知っておきましょう。

住宅ローン一括審査のデメリット その3:個人情報が複数の金融機関に渡る

住宅ローン一括審査のデメリット・画像

住宅ローン一括審査は年収や物件価格、家族構成、住所、借り入れの有無(SUUMOに関しては購入する土地、建物に関する情報や勤め先)など、全ての個人情報を登録し、複数の金融機関の仮審査を申し込みます。

この時点で複数の金融期間に申込者の個人情報が渡っていることを知っておきましょう。

金融機関はこの個人情報をベースに営業をかけることができますし、一括審査提供事業者も利用者向けに今後広告配信を行う可能性があります。

このサービスを利用すると、営業行為として使われるという点は、引越しの一括見積りや自動車保険の一括見積りを利用したことがある方なら、体験している方も多いと思いますが、一括見積り(一括審査)の大きなデメリットと言えるでしょう。

住宅ローン一括審査のデメリット その4:仮審査と本審査は同じではない

住宅ローン一括審査で見積もれる範囲は、あくまで仮審査まで。本審査を依頼する場合は、個人で別途金融機関に追加資料を提出し、オンライン・オフライン含めやり取りする必要があります。

つまり一括審査を利用し、借り入れ(借り換え)OKとなった場合でも、実際に本審査を受けたところ、審査に落ち、また最初から金融機関を探すということも十分に起こり得ます

事実住宅ローン比較に投稿される金融機関の悪い口コミ(評判)の多くは本審査に落ちた、もしくは借り入れ額を減額されたというものです。住宅ローン一括審査の利用で出た結果は、あくまで仮審査であり、本審査とは全く異なるということを知っておきましょう。

住宅ローン一括審査のデメリット その5:良い評判はわかっても悪い評判はわからない

住宅ローン一括審査のデメリット・画像

先ほど住宅ローンの一括審査は、サービスに参加する複数の金融機関からの報酬で成り立っているという説明をしましたが、事業者は金融機関との関係を重視するため、各金融機関を利用したユーザーの口コミを掲載しているわけではありません。また良い評判を掲載したとしても、悪い評判に関しては決して掲載することはないでしょう。

どんなサービスでもメリットがあれば、デメリットもあるように、各金融機関が提供する住宅ローンも良い面があれば悪い面もあります。

住宅ローン一括審査は大変便利なサービスですが、その反面、人生で最も大きな買い物である住宅購入の一番大事な部分、自分自身で住宅ローンをしっかり比較するという点をおろそかにしてしまう傾向があるということに、注意しておきましょう。

住宅ローン比較では、どのような金融機関であっても、良い評判だけではなく中立の評判や悪い評判も掲載することをお約束しています。

住宅ローンの借り入れ、または借り換えを検討している方は、是非チェックしてみてください。

著者・総監修 早川 聡

著者・総監修 早川 聡

住宅ローン含め、金融の専門家(プロ)として様々な記事を執筆しており、最新の金利動向の記事執筆を担当。世界経済の動向を踏まえた金利分析と予測の精度に定評がある。住宅ローン金利の動向に関しては日本経済新聞からの取材を受けた経験あり。