住宅ローン 選び方住宅ローンの表面金利と実質金利の違いとは?人気の住宅ローンで比較
住宅ローンの表面金利と実質金利の違いとは?人気の住宅ローンで比較住宅ローン 選び方
住宅ローンの情報をいろいろと調べていくと、住宅ローンの金利と実際にかかる初期費用と総返済額が必ずしも一致しないことに気づきます。
例えばAという金融機関の住宅ローン金利が1%、Bという金融機関の住宅ローン金利が1.1%だったとします。表面上の金利を見ると、Aという金融機関が有利であるかのように思いますが、様々な費用を考慮した上で2つの住宅ローンを比較すると、結果的にBのほうがお得ということがある訳です。
その理由は、住宅ローンにかかる費用は、住宅ローン金利だけではなく、住宅ローンを借り入れる際にかかる事務手数料や団信に特約を付ける際にかかる費用など、いくつかの要素で構成されているから
。
つまりこれらを考慮した上で住宅ローンを比較すると、結果が変わるケースがあるのです。
今回は表面金利と実質金利の違いを解説。人気の住宅ローンの表面金利と実質金利を比較しました。
住宅ローンの借り入れ、または借り換えを検討している方は是非チェックしてみてください。
住宅ローンの表面金利とは
それではまず住宅ローンの表面金利について説明します。住宅ローンの表面金利とは、読んで字のごとし、金融機関が提示している住宅ローン金利のこと。金融機関のホームページにアクセスすると、店頭金利から金利優遇幅を引いた金利が表示されていますが、これを表面金利と考えると良いでしょう。
住宅ローンの実質金利とは
それでは次に住宅ローンの実質金利について説明します。住宅ローンの実質金利とは、実際に借り入れる際にかかる費用を考慮した上で算出した金利のこと。具体的には以下の4つの項目を考慮に入れ、計算を行います。
- 住宅ローン金利
- 事務手数料
- 保証料
- 団体信用生命保険料
ここで注意しなければいけないのが、項目の2、3、4に関しては、利用する人次第で変動する場合があるという点です。
例えばSBI新生銀行の住宅ローンを借り入れるとしましょう。SBI新生銀行は通常の団信を利用する場合は事務手数料が54,000円(税込)ですが、保障が充実した安心パックを選択すると10万8,000円(税込)に、安心パックに病児保育サービスや家事代行・ハウスクリーニングサービスが付帯する安心パックW、自然災害時に債務が免除される特約が付帯する安心パックSを選択すると16万2,000円に事務手数料がアップします。
イオン銀行の住宅ローンの場合は、事務手数料を定率型(借り入れ金額の2.20%(税込))と定額型108,000円(税込)から選択できるようになっていますが、定率型を選んだ場合は借り入れ金額に関わらず、最低手数料が216,000円(税込)に、定額型を選んだ場合は借り入れ利率が0.2%上乗せになるという縛りがあります。
また通常の団体信用生命保険を選んだ場合、無料で契約できますが、ガン保障特約を付帯させると住宅ローン金利が年0.1%、8疾病保障を付帯させると年0.3%高くなります。
つまり住宅ローンの表面金利は不変ですが、住宅ローンの実質金利は利用する人次第で変わるのです。さらに実質金利を正確に算出しようとすると、借入期間や当初固定を利用する場合、固定期間明けの遊具金利の幅、繰り上げ返済によっても変動します。つまり借入額、借り入れ時の諸費用、毎月の返済など、全ての条件を仮定し、算出しなければいけません。
住宅ローンの金利を比較する際、ほとんどが表面金利で行われているのは、この一人一人答えが変わる計算が極めて難しいからでしょう。
では実際に住宅ローン比較でトップクラスの人気を誇る住信SBIネット銀行のネット専用住宅ローンの35年固定と、楽天モーゲージのフラット35の35年固定で比較してみます。
住信SBIネット銀行のネット専用住宅ローンと楽天銀行のフラット35の実質金利を比較
住信SBIネット銀行 ネット専用住宅ローン
表面金利:35年固定 1.52%
3000万円、35年固定で借り入れ、ボーナス時に25万円繰り上げ返済した場合の実質金利を計算。
毎月の返済額 | 全期間 50,590 円 |
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ボーナス月の増額分返済額 | 全期間 249,953 円 |
年間返済額 | 全期間 1,106,986 円 |
総支払額内訳 (借入期間 35 年)
総返済額 | 38,744,293 円
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諸費用 (事務手数料、保証料、団信生命保険料) |
648,000 円 |
総支払額 | 39,392,293 円 |
実質金利 | 1.654% |
楽天銀行フラット フラット35(団信あり)
表面金利:35年固定 1.41%
- 借入額の占める割合が90%以内(※頭金10%以上)の場合
3000万円、35年固定で借り入れ、ボーナス時に25万円繰り上げ返済、楽天銀行に全疾病保障が付帯することを考慮し、機構団信三大疾病保障付きに加入した場合の実質金利を計算。
毎月の返済額 | 全期間 54,410 円 |
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ボーナス月の増額分返済額 | 全期間 218,138 円 |
年間返済額 | 全期間 1,089,196 円 |
総支払額内訳 (借入期間 35 年)
総返済額 | 38,121,877 円
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諸費用 (事務手数料、保証料、団信生命保険料) |
3,807,400 円
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総支払額 | 41,929,277 円 |
実質金利 | 2.121% |
- 参考
- 機構団信三大疾病保障付きに加入しなかった場合は、下記の通り諸費用が大幅ダウン。
諸費用(事務手数料、保証料、団信生命保険料) 2,658,300 円 ※うち当初諸費用 752,400円
実質金利を算出すると、1.914%
いかがでしょうか?表面金利では楽天銀行のフラット35が住信SBIネット銀行を下回りますが、諸経費を含めた実質金利で比較すると、住信SBIネット銀行のネット専用住宅ローンのほうが低くなることがわかります。
ただしこれは条件をそろえた一つの試算です。一部繰り上げ返済の利用やボーナス時の増額返済の額、フラット35の場合はフラット35Sを利用できるかどうかは、この試算が逆転するケースもあります。(※フラット35は民間の金融機関と比較すると、住宅ローンの審査条件が明確で、借り入れしやすいという金利どうこうとは関係ないメリットがあるのもまた事実です)
住宅ローンの利用を検討されている方は、表面金利と実質金利に違いがあるということを頭に入れ、最終的な住宅ローン選びに役立てましょう。