住宅ローン 選び方住宅ローンを繰り上げ返済すると損する3つのパターン
住宅ローンの繰り上げ返済を賢く活用しよう住宅ローン 選び方
住宅ローンの返済を完了しなければ、本当の意味で住宅が自分のものにはなりません。住宅を購入し、住宅ローンを利用している人であれば、誰でも早めに完済し、現在住んでいる住宅を自分のものにしたいと思っているものです。
ただし住宅ローンは、ローンを組む時点で返済期間を確定させており、普通に毎月の返済を行っていくだけでは、返済期間は変わりません。
この返済期間を短縮するための唯一の方法が、繰り上げ返済です。
住宅ローン比較.jp編集部は、基本的には繰り上げ返済の活用を推奨していますが、ただやみくもにやれば良いという訳ではありません。
そこで今回は、繰り上げ返済すると損する3つのパターンを解説します。
繰り上げ返済すると損するパターン その1:借り入れ金利が十分に低い
住宅ローン借り入れ時の金利が十分に低い場合、繰り上げ返済の効果もその分薄くなります。
例えば住宅ローンの借り入れ金利が0.5%だとして、住宅ローンの残存期間が25年だった場合、繰り上げ返済するとこの0.5%×25年間分返済額を減らすことができます。
つまり、もし自分自身が繰り上げ返済するお金を0.5%以上の運用利回りでまわすことができるのであれば、繰り上げ返済をする必要はなく、むしろ損してしまうケースも出てきます。
ただ現在の住宅ローンの金利状況を考えると、借り入れ金利を上回る利回りで運用するのは、投資する場合を除き、困難です。投資での運用利回りに自信がない場合は、繰り上げ返済したほうが良いでしょう。
繰り上げ返済すると損するパターン その2:住宅ローン減税を受けられなくなってしまう
住宅ローンを組むメリットの一つに、住宅ローン減税を受けられるという点があります。ただこの住宅ローン減税はどんな状況でも受けられるというものではなく、一定の条件を満たす必要があります。
住宅ローンを繰り上げ返済したことで、この条件に満たさなくなり、住宅ローン減税が受けられなくなってしまうと、本末転倒です。
特に注意すべきは借入金の償還期間が10年以上という点です。繰り上げ返済を繰り返した結果、最大13年まで受けられる住宅ローン減税が満額受けられないということがないようにしましょう。
住宅ローン減税の仕組みと主な適用条件
住宅ローン残高の1%を減税。消費税増税(2%)に伴い、住宅ローン減税の拡充措置により還元(※控除期間を従来までの10年間から13年間に延長)。
適用条件
- 借入金の償還期間が10年以上であること
- 合計所得金額が3000万円以下であること(※所得が3000万円を超える年は住宅ローン控除の利用は不可)
- 増改築等の場合、工事費が100万円以上であること
繰り上げ返済すると損するパターン その3:全額繰り上げ返済すると手数料がかかる
繰り上げ返済には一部繰り上げ返済と全額繰り上げ返済があります。一部繰り上げ返済に関しては、無料としているところが多いものの、全額繰り上げ返済に関しては、手数料がかかるケースがほとんどです。
資金に余裕があるからといって、全額繰り上げ返済すると、手数料がかかり、損してしまうことがある点には注意しましょう。
一部繰り上げ返済手数料 | 全額繰り上げ返済手数料 | |
---|---|---|
住信SBIネット銀行 住宅ローン | 無料 | 32,400円(税込) |
ソニー銀行 住宅ローン | 無料 | 無料 |
イオン銀行 住宅ローン | 無料 | 54,000円(税込) |
三井住友銀行 住宅ローン(※1) | 無料 | 5,400円(税込) |
- SMBCダイレクト利用時
繰り上げ返済で損するパターンをしっかり把握した上で、繰り上げ返済に取り組もう!
今月の住宅ローン比較のニュースは、繰り上げ返済で損する3つのパターンをご紹介しました。
裏を返せばこの3つのパターンさえ押さえておけば、住宅ローンの繰り上げ返済はどんどん利用すべきです。
特に現在の日本は預金していてもほとんど利息がつきません。繰り上げ返済すると、それだけで住宅ローン金利×残り借り入れ期間分の利子を受け取れるのと同じ効果があります。
さらに詳しく住宅ローンの繰り上げ返済について知りたいという方は、是非下記関連特集もチェックしてみてください。
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著者・総監修 早川 聡
住宅ローン含め、金融の専門家(プロ)として様々な記事を執筆しており、最新の金利動向の記事執筆を担当。世界経済の動向を踏まえた金利分析と予測の精度に定評がある。住宅ローン金利の動向に関しては日本経済新聞からの取材を受けた経験あり。