住宅ローンニュース住宅価格は新型コロナウイルスの終息後どう動く?今後の推移を予想する
新型コロナにおる景気の悪化は不可避。住宅価格はどう動く?住宅ローン比較 最新ニュース 第71回
2020年5月に入っても世界中で新型コロナウイルスが猛威を振るっており、日本も例外ではありません。5月21日時点での日本の感染者数は16,433人、死亡者は784人。全世界では感染者508万人、死亡者は33.2万人と、終息までにはまだまだ長い時間がかかりそうです。
このような状況下では、景気の悪化は避けられず、今後世界中が不景気に突入するのは間違いないでしょう。
不況下で大きな影響を受けるのが住宅価格です。
特に住宅購入を検討していた方は、今買うべきか、少し待つべきか、悩んでいる方も多いはず。そこで今回の住宅ローンのニュースは、新型コロナウイルス終息後の住宅価格の推移を予想します。
【目次】住宅価格は新型コロナウイルスの終息後どう動く?今後の推移を予想する
リーマンショックを例に、住宅価格の推移を過去から学ぼう新型コロナにおる景気の悪化は不可避。住宅価格はどう動く?
住宅価格の推移を予想する上で、最も精度が高い方法が、過去データからの予想です。新型コロナウイルスの問題は、リーマンショック以上という意見もありますが、現時点で最も類似している事例は間違いなく戦後最大級と言われたリーマンショックでしょう。
リーマンショックは2008年に発生し、住宅価格は2009年に暴落、2012年まで低迷を続け、2013年にアベノミクスのスタートと同時に上昇しました。
この過去の事例に習うとすれば、新型コロナウイルスによる住宅の下落が起こった場合、回復までに1年から4年程度かかる可能性があります。ちなみに2019年は2008年と比べると3割以上、住宅価格が上昇していました。リーマンショックが発生する前の住宅価格の上昇率が直近安値の2割だったことを考えると、今回の住宅価格の下落は、リーマンショックを上回る可能性が十分あります。
具体的には、ここ1年から2年の間に、1割~2割程度住宅価格が下落することも、視野に入れておくべきでしょう。
日本円への信認が薄れると大幅に円安になり、金利が上昇。住宅価格が跳ね上がるケースも新型コロナにおる景気の悪化は不可避。住宅価格はどう動く?
メインのシナリオは不況下に起きる住宅価格の下落ですが、別のシナリオが起こる可能性も十分あります。
新型コロナウイルスの発生で日本の経済はほぼ全てが麻痺しており、日本政府はお金をばら撒くことで、経済の崩壊を防ごうとしています。一般的に国の借金が増えると、その国の信頼度が落ち、通貨の価値が下がる。これが経済学の原則です。
通貨の価値が下がるということは、その反面、物の価値は上がっていきます。これがいわゆるインフレです。
日本は長い期間、物の価値が下がるデフレと、物の価値が横ばいに推移する状況が続いているため、インフレが起こる可能性を除外していますが、戦後間もない日本はハイパーインフレによって、物価が数年のうちに何十倍にもなるという経験をしています。
日本政府が国債を擦りまくり、それを日銀が無限に買うという現状がいつまでも続く訳がありません。この先日本の経済が信任を失い、金利上昇と共に、物価が上がり、インフレになるという可能性も徐々に高まってきています。
このような状況になると、インフレに強い資産と言われる住宅の価格は大幅に上昇します。万が一にもインフレになった場合、住宅を購入するのは至難の業になるでしょう。
私たちが住宅価格をチェックする際は、不要による下落だけではなく、インフレによる上昇が起こっていないかについても視野に入れておく必要があります。
住宅購入はタイミングが全て。欲しい物件が見つかったタイミングで購入を検討しよう新型コロナにおる景気の悪化は不可避。住宅価格はどう動く?
新型コロナウイルスの終息がまだ見えていないのと同様に、今後の住宅価格の推移を完璧に予想するのは不可能です。
筆者は、住宅価格が下落する可能性が約8割、住宅価格が値を落とさずインフレになる可能性は約2割と考えています。
住宅価格は一気に下落することはないため、十分に安くなったタイミングで買うためには最低でも1年程度、待つ必要があります。この期間、住宅購入を待てるという方は、毎月の物件情報をチェックしつつ、興味がある物件が出てくるまで待つのも選択肢の1つです。
では、もし物件を探し出してすぐに興味がある物件が見つかったとしたら、どう行動するべきなのでしょうか?筆者は本当に下がるかどうかわからない1年後を待ち、チャンスを逃すべきではないと考えています。
なぜなら、住宅購入はタイミングが全てだからです。
気になる物件が見つかっても、考えている間に売れてしまうかもしれません(筆者は実際にそういう経験を何度かしています)。そして逃がした魚は大きく感じてしまうものです。
気になる物件が見つかったらまずは問い合わせてみる。価格が高ければダメもとで交渉してみましょう。もしそれでダメなら、仕方がありません。
このような姿勢で積極的に動くことが、満足度の高い住宅購入を実現する上での必須条件です。
著者・総監修 早川 聡
住宅ローン含め、金融の専門家(プロ)として様々な記事を執筆しており、最新の金利動向の記事執筆を担当。世界経済の動向を踏まえた金利分析と予測の精度に定評がある。住宅ローン金利の動向に関しては日本経済新聞からの取材を受けた経験あり。