住宅ローンニュース住宅ローン減税や固定資産税は今後どうなる?2021年の税制改正案まとまる
住宅ローン減税の特例は延長に。ただし一部変更あり 住宅ローン比較 最新ニュース 第76回
住宅ローン減税とは、住宅ローンを借り入れた上で住宅を取得する場合、取得者の金利負担の軽減を図るための制度のことです。
本来は落ち込む住宅需要を下支えするため、平成26年3月までの期間限定措置としてスタートしましたが、平成26年4月以降も制度拡充の上、延長され令和3年12月までとなっていました。
仕組みは毎年末の住宅ローン残高又は住宅の取得対価のうち、いずれか少ない方の金額の1%を10年間に渡り所得税の額から控除するというものです。当初最大控除額は10年間で400万円、住民税からの控除限度額は年13万6,500円となっていましたが、消費税増税対策として、現在は控除期間が最大13年に延長されています。
ただ住宅ローン減税は、誰もが利用できる制度ではありません。制度を利用するためには、以下の要件を満たす必要があります。
住宅ローン減税適用要件
- 床面積が50㎡以上且つ床面積の2分の1以上が自身の居住用であること
- 借入金の償還期間が10年以上あること
- 適用を受ける年の合計所得金額が3,000万円以下であること
- 減税を受けようとする人自身が、住宅の受け渡し日から6か月以内に該当の物件に居住すること
- 居住用にした年とその年の前後2年ずつを合計した計5年間に、居住用財産の譲渡による長期譲渡所得の課税の特例等の適用を受けていないこと
こうしてみると複雑な要件があるように思えますが、一般的な新築住宅であれば、ほとんどが住宅ローン減税の対象になると考えて差し支えありません。
2021年の税制改正では、住宅ローン減税について以下の改正が固まりました。
2021年以降の住宅ローン減税
- 住宅ローン減税の対象を50㎡以上から40㎡以上に変更する。ただし年収1,000万円以下という所得要件を設ける
- 13年間という控除期間を2022年末住宅ローン借り入れ分まで延長する
- 控除率1%については2022年度改正時の課題とする
ここで注意しなければいけない点は、控除率1%が今後の税制改正で見直しになる可能性があるという点です。近年は住宅ローンの低金利によって、借り入れている住宅ローンの金利よりも、住宅ローン減税の幅が多いという現象が発生。財務省がこの状況の是正を求めており、今後はこの減税幅が縮小される可能性があります。
住宅ローンの購入を検討するのであれば、減税幅が縮小される前に検討し、減税のメリットを最大限享受すべきでしょう。
固定資産税は据え置きまたは減少
固定資産税とは、土地や建物、償却資産などにかかる地方税のことです。固定資産税の税率は基本的に土地・建物ともに1.4%と定められています。固定資産税の計算方法は課税標準をベースに算出されており、課税標準×税率(1.4%)が固定資産税になります。
課税標準は、各市町村の固定資産課税台帳に登録されている固定資産税評価額のことです。これは3年ごとに改訂されるので、評価額が上がれば、固定資産税も上がります。
近年の不動産価格の上昇で、固定資産税は2021年に増額される可能性がありましたが、経済再生のため、額が上昇する住宅地や商業地、農地など全ての土地の固定資産税を今年度と同額に据え置き、下落する場合はそのまま反映させることが決まりました。
2021年の住宅関連の税制改正は、新型コロナウイルスの影響もあり、消費者の負担が増えるものはなさそうです。ただしいつかこのツケは国民が払うことになります。私たちが今できることは、これらの制度をフル活用することです。
住宅ローン減税の制度をしっかり理解し、減税のメリットを享受しましょう。
著者・総監修 早川 聡
住宅ローン含め、金融の専門家(プロ)として様々な記事を執筆しており、最新の金利動向の記事執筆を担当。世界経済の動向を踏まえた金利分析と予測の精度に定評がある。住宅ローン金利の動向に関しては日本経済新聞からの取材を受けた経験あり。