住宅ローンの基礎知識住宅ローンを20年固定で組むメリットとデメリット

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住宅ローンを20年固定で組むメリットとデメリット

住宅ローン20年固定とは住宅ローンを20年固定で組むメリットとデメリット

住宅ローン20年固定(固定金利20年)とは、借り入れ開始から20年間の金利が固定される住宅ローン商品の総称です。
「30年固定」や「35年固定」といった長期固定金利の住宅ローンと比較すると、金利が低く設定されていることに加え、固定期間が20年間と比較的長いため、返済計画を立てやすいというメリットがあります

住宅ローンの借り入れや借り換えを検討している方のなかには、20年固定も視野に入れ、住宅ローンを組もうと考えている方も多いはず。
ただ、他の金利プランと同様に、住宅ローン20年固定にもメリットとデメリットがあり、利用を検討するのであれば、事前にその特徴をしっかりと理解しておくことが大切です。

そこで今回は、住宅ローンの20年固定に注目。利用のメリットやデメリット、20年固定での借り入れにおすすめの住宅ローンについてわかりやすく解説します。
住宅ローンを20年固定で組もうと考えている人は、ぜひチェックしてみてください。

この記事でわかること

  • 固定金利20年のメリット
  • 固定金利30年、35年(フラット35)と比較すると住宅ローン金利が低い
  • 相当に長い期間、計画的に住宅ローンを返済できる
  • 将来住宅ローン金利が上昇した場合、繰り上げ返済を駆使することで、返済リスクをコントロールできる
  • 固定金利20年のデメリット
  • 変動金利や短期固定金利と比較すると住宅ローン金利が高い
  • 固定金利20年に力を入れている金融機関がまだ少ない
  • 固定期間終了後、適用金利が上昇する

住宅ローンを20年固定で組むメリット住宅ローンを20年固定で組むメリットとデメリット

はじめに、住宅ローンを20年固定で組むメリットを見ていきましょう。

住宅ローンを20年固定で組むメリット その1
長期固定金利の住宅ローンと比較すると金利が低い

住宅ローン20年固定は、「30年固定」や「35年固定」といった長期固定金利の住宅ローンと比較すると、低い金利が設定されています。長期固定金利よりも有利な条件で住宅ローンを組める点は、20年固定を利用する大きなメリットといえるでしょう。

また、住宅金融支援機構のデータ(※2018年度)によると、住宅ローン完済までの期間は平均26.7年。つまり、住宅ローンを20年固定で組み、繰り上げ返済を上手く活用すれば、優遇金利が適用される固定期間中に住宅ローンを完済することも可能です。このような返済の仕方ができる点も、住宅ローンを20年固定で組む際に押さえておきたいポイントです。

住宅ローンを20年固定で組むメリット その2
金利変動のリスクが低い

日本では長い間、低金利が続いていますが、20年というスパンで考えると、金利が急上昇する可能性も十分に考えられます。
住宅ローンを20年固定で組んでいれば、20年間は金利が固定されるため、たとえ、金利が急上昇したとしても、適用される金利は固定金利期間中、一切変わりません。金利上昇に強く、金利変動のリスクが低い点も、住宅ローンを20年固定で組むメリットの一つ。

ちなみに、借り入れ期間中に金利が急上昇した場合は、固定期間中に繰り上げ返済を行い、返済期間を短縮することで、金利上昇のリスクを最小限に押さえることができます

住宅ローンを20年固定で組むメリット その3
返済計画が立てやすい

住宅ローン20年固定は固定期間中、市場の金利が上昇しても、毎月の返済額は変わりません。返済計画が立てやすく、安心して利用できる点も、住宅ローンを20年固定で組むメリットといえるでしょう。

ただし、固定期間終了後は適用金利が上がるため、毎月の返済額も増えます。固定期間終了後も返済が継続する場合は、適用金利の上昇に備え、余裕を持って住宅ローンを返済できるよう、準備しておくことが大切です。

住宅ローンを20年固定で組むデメリット住宅ローンを20年固定で組むメリットとデメリット

次に、住宅ローンを20年固定で組むデメリットについてご紹介します。住宅ローン20年固定を検討する際は、メリットだけではなく、デメリットについても、しっかりチェックしておきましょう。

住宅ローンを20年固定で組むデメリット その1
変動金利や短期固定金利と比較すると金利が高い

「30年固定」や「35年固定」といった長期固定金利の住宅ローンと比較すると、低金利を実現している20年固定ですが、変動金利や、「2年固定」「5年固定」などの短期固定金利の住宅ローンと比較すると、適用金利は高くなります
経済の原則から考えると、借入期間が長くなるほど、金利が上昇するのは仕方がないことですが、毎月の住宅ローンの返済額が、変動金利や短期固定金利よりも増えてしまう点は、住宅ローンを20年固定で組むデメリットといえるでしょう。

住宅ローンを20年固定で組むデメリット その2
住宅ローン20年固定に力を入れている金融機関が少ない

住宅ローンを提供する金融機関は、利用者を増やすため、一部の金利プランを優遇することがあります。ただ、住宅ローン20年固定に力を入れて販売している金融機関の数は決して多くありません。
10年固定をはじめ、優遇を受けることが多い金利プランと比較すると、有利な条件で住宅ローンを組むのが難しい点も、20年固定で住宅ローンを組むデメリットの一つです。

その一方で、金融機関のなかには、20年固定に力を入れているところも。住宅ローンを組む際は、20年固定に力を入れている金融機関を利用するのがおすすめです。

(※20年固定に力を入れているおすすめの金融機関については、チャプター3で詳しくご紹介します。)

住宅ローンを20年固定で組むデメリット その3
固定期間終了後、適用金利が上昇する

他の固定金利型住宅ローンと同様に、20年固定の住宅ローンも固定期間終了後、適用金利が上昇します。21年目以降、毎月の返済負担が大きくなる点も、20年固定で住宅ローンを組む際に、押さえておきたいデメリットです。

20年固定で組めるおすすめの住宅ローン住宅ローンを20年固定で組むメリットとデメリット

本チャプターでは、20年固定で組めるおすすめの住宅ローンをご紹介します。
各金融機関が提供する住宅ローン20年固定の金利や事務手数料、一部繰り上げ返済のしやすさなどを比較し、自分に合った20年固定の住宅ローンを見つけましょう。

20年固定で組めるおすすめの住宅ローン

auじぶん銀行 住宅ローン

auじぶん銀行 住宅ローン

住宅ローン金利(年利)
2024年10月
  • 固定20年1.775% ※当初期間引下げプラン
  • 審査の結果によっては保証付金利プランとなる場合があり、この場合には上記の金利とは異なる金利となります。金利プランが保証付金利プランとなる場合は、固定金利特約が3年、5年、10年に限定されます。
事務手数料 借入金額の2.2%(税込)
一部繰り上げ返済手数料 無料
おすすめポイント
  • 事前審査から契約まで、すべての手続きがネットで完結

三菱UFJ銀行とKDDIが出資する「auじぶん銀行」の住宅ローン。価格.comが実施する「住宅ローン人気ランキング」(2020年9月)において第1位を獲得し、数ある住宅ローンのなかでも高い人気を誇っている。
auじぶん銀行では、変動金利および、期間20年までの固定金利に力を入れて住宅ローンを提供。低金利を実現しており、他の金融機関と比較しても、有利な条件で住宅ローンを組むことができる。
さらに、事前審査から契約まで、すべての手続きがネットで完結する点も魅力。
auじぶん銀行は、20年固定の住宅ローンを検討する際、有力な選択肢の一つといえるだろう。

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SBI新生銀行 住宅ローン

SBI新生銀行 住宅ローン

住宅ローン金利
2024年10月
当初固定20年1.35
※手数料定率型
事務手数料
  • 手数料定率型:借入金額の2.2%(税込)
  • 手数料定額型:5.5万円(税込)から ※付帯サービスによって事務手数料の金額が異なる/「ステップダウン金利」選択時は手数料定額型の利用は不可
一部繰り上げ返済手数料 無料
おすすめポイント
  • 事務手数料に定額制を採用(※一部プランを除く)。「手数料定額型」を利用すれば他の住宅ローンと比較して初期費用を抑えられる
  • 低水準の住宅ローン金利を実現

事務手数料の安さや住宅ローン金利の低さに定評があるSBI新生銀行の住宅ローン。
SBI新生銀行では、住宅ローン金利を「手数料定率型」と「手数料定額型」から選択可能。「手数料定額型」の場合、「手数料定率型」と比較して適用される住宅ローン金利はやや上がるものの、事務手数料は5.5万円(税込)からとなっている。「手数料定額型」を利用することで住宅ローンの借り入れにかかる諸費用を安く抑えられる点は、他の金融機関と比較してもSBI新生銀行を利用する大きなメリットといえるだろう。
またSBI新生銀行は団信が充実。「一般団信+安心保障付団信」が無料付帯するほか、「ガン団信」を年0.1%の上乗せ金利で付帯できる点もチェックしておきたい。
低水準の住宅ローン金利を実現していることに加え、保証料無料、一部繰り上げ返済手数料無料など利便性の高いサービスを提供するSBI新生銀行は、住宅ローンを20年固定で組む場合、有力な選択肢の一つ。

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三井住友信託銀行 住宅ローン

三井住友信託銀行 住宅ローン

住宅ローン金利
2024年10月
2.015%~ ※当初期間金利引下げ
事務手数料 借入金額の2.2%(税込)
一部繰り上げ返済手数料 無料 ※「三井住友信託ダイレクト」利用時
おすすめポイント
  • インターネットバンキングの利用で、一部繰上げ返済手数料が無料
  • 「投資信託の自動購入」や「NISA口座の開設」など、所定の条件を満たすと、住宅ローン金利が年0.03%優遇

三井住友トラスト・ホールディングス傘下の信託銀行「三井住友信託銀行」が提供する住宅ローン。
三井住友信託銀行では、他のメガバンク、メガ信託と比較して低金利を実現。有利な条件で住宅ローンを組むことができる。また、「投資信託の自動購入」や「NISA口座の開設」など、所定の条件を満たすと、住宅ローン金利が年0.03%優遇されるのも嬉しいポイントといえるだろう。
さらに、インターネットバンキング(※三井住友信託ダイレクト)を利用することで、一部繰り上げ返済手数料が無料になるほか、一定の金利を上乗せすることで八大疾病保障特約を付帯することも可能。加えて、実店舗での相談にも対応している。
原則年収400万円以上等、住宅ローンを組めるユーザー属性に一定の縛りがある点には注意が必要だが、メガバンクが提供する住宅ローンの利用を検討している方であれば、三井住友信託銀行は、ぜひチェックしておきたい。

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20年固定で組める住宅ローンに関するQ&A住宅ローンを20年固定で組むメリットとデメリット

Q1.固定期間終了後、住宅ローン金利はどうなる? 住宅ローンを20年固定で組んでいる場合、固定期間終了後(21年目以降)は、「固定期間終了後の20年固定の基準金利 ― 金利優遇幅」の金利が適用されます
また、適用される金利プランは、変動金利が基本ですが、金融機関によっては、変動金利か固定金利選択型かで選べるケースも。
ちなみに、固定期間が終了するタイミングで急激に金利が上昇した場合、固定期間終了後の返済負担が大きくなる点には注意が必要です。
住宅ローンを20年固定で組む際は、定期的に「金利動向をチェックする」「住宅ローンの見直しを検討する」「万一の金利上昇に備え、一部繰り上げ返済に取り組む」ことが大切だといえるでしょう。
Q2.住宅ローン20年固定を選ぶ際のポイント 住宅ローン20年固定の場合、他の金利プランと比較し、金融機関によって適用される金利に大きな差があります。20年固定の住宅ローンを選ぶ際は、まず住宅ローン金利に注目しましょう。
また、事務手数料もチェックしておきたいポイント。事務手数料が「定額」か「定率」かで、初期費用が大きく変わってきます。(※ちなみに、「定額」の方が事務手数料を抑えることが可能)
返済期間中に一部繰り上げ返済を利用することが多い場合は、手数料をはじめ、繰り上げ返済のしやすさもチェックしておきましょう
その他にも、団信や全疾病保障などの付帯保障・保障特約、固定期間終了後の優遇金利幅などを比較し、自分に合った住宅ローンを選ぶことが大切です。
Q3.住宅ローン20年固定はどんな人におすすめ? 20年間、借り入れ当初の金利が固定されるため、住宅ローン20年固定は、「繰り上げ返済を上手く活用し、固定期間中(20年以内)に住宅ローンを完済したい人」「20年間有利な金利で住宅ローンを組み、計画的に返済したい人」「金利上昇のリスクを抑えたい人」におすすめです。

まとめ住宅ローンを20年固定で組むメリットとデメリット

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20年固定の住宅ローンについて解説した今回の特集はいかがでしたでしょうか。

住宅ローン20年固定を利用すれば、20年間金利が固定されるため、中~長期間に渡り、計画的に住宅ローンを返済することが可能です。

また、一部繰り上げ返済を上手く利用することで、「固定期間中に住宅ローンを完済できる可能性がある」「固定期間終了後の金利上昇のリスクに備えられる」といったメリットを期待できる点も魅力でしょう
ただ、住宅ローン20年固定には、メリットだけではなく、デメリットも存在するため、利用を検討する際は、メリットとデメリットをしっかりと把握しておくことが大切です。

20年固定で住宅ローンを組もうと考えている方は、本特集を参考に、金利プランの特徴や、メリット・デメリットを確認し、住宅ローン20年固定を検討する際に役立てましょう。

著者 溝口 麻衣

著者 溝口 麻衣

Hayakawa所属のチーフライター兼編集者。住宅ローンを20年固定で組むメリットとデメリットに関する調査と記事執筆を担当。
わかりやすく、ちょっとした気付きのある記事を目指し、日々原稿を執筆している。

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