金利タイプ別ミックスローンのメリットとデメリット -おすすめの借り方は?-

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ミックスローンのメリットとデメリット

住宅ローン、3つ目の選択肢ミックスローンのメリットとデメリット -おすすめの借り方は?-

住宅ローンを組む際に、「変動金利にするか、固定金利にするか」で悩む方は多いでしょう。
借入当初の金利は、ほとんどの金融機関で変動金利の方が低く設定されていますが、「変動」と言われるだけに、現在の金利がずっと続く保証はありません。
一方の固定金利は、変動金利よりも金利は高くなるものの、借入期間中の金利が固定されているため、将来の金利動向によって総返済額が変わる恐れはなく、安心感があります。

どちらかに決めることが、どうしても難しいという場合は、変動金利と固定金利を組み合わせる「ミックスローン」という選択肢を検討してみてはいかがでしょう
本特集では、ミックスローンの概要と、メリット・デメリット、ミックスローンが向いているケース等をそれぞれ解説します。

ミックスローンとは?ミックスローンのメリットとデメリット -おすすめの借り方は?-

ミックスローンのメリットとデメリット

ミックスローンとは、固定金利と変動金利など複数の金利タイプを組み合わせ、住宅ローン契約を結ぶこと。金利の組み合わせや比率は、自由に設定することができます。例えば、合計3,000万円の融資を受ける場合、「2,000万円を固定金利、1,000万円を変動金利」としたり、「1,500万円を固定金利、1,500万円を変動金利」などとすることができます。

ちなみに、固定金利とは、借入期間中の金利がずっと固定される金利タイプ。一方、変動金利とは、その時々の情勢により変化する国の政策金利に連動するかたちで、半年ごとに金利が見直されるタイプです。

固定金利は、金利の変動に左右されず一定の利息を支払い続ければ良いため、資金計画を立てやすい点がメリットです。しかし、今後金利が下がってきたとしても、借入中の金利が変わることはなく、また、借入時の金利も、同期間の変動金利と比較して高いことから、利息を多めに支払う必要があります。

変動金利は、固定金利と比較すると低い金利が魅力です。ただし、原則半年ごとに金利が見直されるため、政策金利が上がることで住宅ローン金利も上昇し、支払う利息が増える可能性があります。

このように、固定金利、変動金利にはそれぞれメリットデメリットがありますが、今後の日本経済がどのように推移していくのかは、専門家でも意見が別れるため、その2択はギャンブルにもなりかねません。ミックスローンは、そのような金利変動のリスクを抑えるために役立ちます

ミックスローンのメリットミックスローンのメリットとデメリット -おすすめの借り方は?-

ミックスローンのメリットとデメリット

先述した通り、金利が上昇する局面では、固定金利は有利に、変動金利は不利になります。将来、金利が上昇した場合、変動金利を選択した人は金利変動のリスクをダイレクトに受けることになります。その際、ミックスローンを活用し固定金利で2,000万円、変動金利で1,000万円の融資を受けていれば、金利変動のリスクは3分の1に抑えることができます

反対に、金利が下がった場合には、変動金利が有利に、固定金利は不利になります。そこで、変動金利で2,000万円、固定金利で1,000万円の融資を受けていれば、変動金利で借入れた部分で金利が下がったことによる恩恵を受けることができます

また、繰上げ返済を行う際にも、ミックスローンにはメリットがあります。仮に1,500万円を固定金利、1500万円を変動金利にし、ミックスローンを組んでいた場合を考えてみましょう。金利が上昇する局面では、変動金利分から先に繰上げ返済を行うことで、金利上昇リスクによる返済額の増加を軽減することが可能です。一方、金利が低下する局面では、固定金利分から優先的に繰上げ返済を行うことで、支払う利息を抑えることができます。

どれくらいの比率で固定金利と変動金利を組み合わせるのかも重要です。金利上昇時のリスクをできるだけ少なくしたい場合には、固定金利の割合を増やしましょう。反対に、変動金利の恩恵を少し多めに、と考えるのであれば変動金利の割合を増やすことになりますが、その場合には金利上昇のリスクも増えるので、「どこまでリスクを許容できるのか」をしっかり決めた上で判断することが大切です。

ミックスローンのデメリットミックスローンのメリットとデメリット -おすすめの借り方は?-

ミックスローンのメリットとデメリット

また、ミックスローンには、デメリットもあります。
住宅ローンは、契約1本ごとに印紙代や誌費用がかかります。ミックスローンを選択し契約を2つに分けると、2倍の諸費用がかかることになります。契約も複雑になるため、管理が大変ということもあるでしょう。

また、ミックスローンでは、金利変動のリスクを抑えることができる反面、金利変動による恩恵も少なくなります。今後、金利が低下局面に入った場合、固定金利と変動金利を同じ割合で融資を受けていた人は、変動金利のみで融資を受けた人と比較すると、利息削減のメリットは半減してしまいます。

ミックスローンがおすすめできる場合

それでは、どのようなケースがミックスローンに向いているのでしょう。
例えば、共働き世帯などで、もともと複数名義の住宅ローンを組もうと考えているような場合であれば、ミックスローンで夫婦が異なる金利タイプを選択するという方法もあります。片方の住宅ローンを固定金利30年、もう片方を変動金利10年などに設定しておけば、子どもに一番お金のかかる時期を迎える前に、一つのローンを完済するなど、将来設計に合わせた資金計画を立てやすくなるでしょう。

また、繰上げ返済を前提にその都度、固定金利と変動金利の返済優先度を決めたいという方も、ミックスローンが向いていると言えます。ただし、その場合には、常に金利の動向について関心を持ち、柔軟に対応していくことが必要です。

ミックスローンを扱っているおもな金融機関

住信SBIネット銀行 住宅ローン(WEB申込コース)

住信SBIネット銀行 住宅ローン

特徴 変動金利の低さに定評がある住宅ローン。ミックスローンでは、変動利と固定金利(期間固定型含む)の組み合わせ比率を10万円単位で設定できる。手数料は1契約ごとに借入額の2.20%がかかるが、住宅ローン保証料や団信保険料・繰り上げ返済手数料は無料。また、精神障害を除く病気・ケガにより1年以上就労不能となった場合に住宅ローン残高が0円になる「全疾病保障」を無料で付帯することができる

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ソニー銀行 住宅ローン

ソニー銀行

特徴 契約時の諸費用が有利な住宅ローン。ミックスローンでは、「部分固定金利特約」を利用することで、変動金利に対する固定金利の割合(10~100%)を指定できる。変動金利と固定金利のミックスはもちろん、複数の固定金利期間の設定(3つまで)等も可能。手数料は1契約あたり44,000円。住宅ローン保証料や団信保険料・繰り上げ返済手数料は無料。住宅ローン金利が他の金融機関よりも半月ほど早く発表されるため、金利比較に有利。

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選択肢を増やし、資金計画を立てようミックスローンのメリットとデメリット -おすすめの借り方は?-

ミックスローンのメリットとデメリット

現在も、変動金利に関しては低金利の状態が続いています。ただし、今後の日本経済がどう変わっていくのかは、なかなか予測が難しいというのが実情です。

また、「金利動向などをずっと気にしていくのは面倒くさい」という方は、固定金利を選ぶ方も多いかもしれません。固定金利では金利の変動を気にしなくて良いため、「安心にお金を払う価値がある」という方にとっては選択肢になります。ただし、利息額は変動金利よりも多く支払う可能性が高いことは理解しておきましょう。

ミックスローンは、決してどの家庭にとっても最善な方法ではありませんが、固定金利・変動金利以外の選択肢を持つことができます。選択肢が増えれば、その分、将来設計も立てやすくなるでしょう。ミックスローンのメリット、デメリットをきちんと把握した上で、検討してみましょう。

著者 長尾 尚子

フリーランスライター。得意分野は、育児・教育、住宅ローン、保険、金融、エンタメ等、幅広い。子ども3人を育児中のママでもある。
【資格】消費生活アドバイザー、FP2級