住宅ローンの基礎知識転職直後に住宅ローンを借り入れる(借り換える)方法

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転職直後に住宅ローンを借り入れる(借り換える)方法

転職したばかりでも住宅ローンの借り入れ・借り換えはできる?転職直後に住宅ローンを借り入れる(借り換える)方法

働き方改革は、私たちの生活に大きな影響を与えはじめています。以前と比較すると、キャリアアップやより良い職場環境の実現を目指し、転職する人が増えているのもその一つ。大手電機メーカーや銀行の大規模リストラのニュースを見てもわかるように、企業の終身雇用も崩れつつある現在、転職をすること自体は決してめずらしくありません。

転職直後に住宅ローンを借り入れる(借り換える)方法

一方で、転職に積極的な20代後半から40代の働き盛り世代は、マイホームの購入を検討することが多い年代でもあります。
転職から半年ほど経ち、生活が落ち着いてきた頃、偶然良い物件に出会った……というような場合、新たに住宅ローンを借り入れることは可能なのでしょうか?
また、住宅ローンの借り換えを検討している方の中にも、転職から日が浅いことを理由に借り換えを迷っている方がいらっしゃるかもしれません。

結論を先に言えば、転職直後でも住宅ローンを申し込み、審査にパスすることは十分可能です
しかし、その一方で、「勤続年数」を住宅ローンの審査項目として重視している金融機関が多いのは事実。全体的な傾向としては、転職直後の住宅ローンの申し込みが不利であることに変わりはありません。
転職直後に住宅ローンを申し込む際は、審査に影響を与える項目について知り、対策をすることと、転職を大きなマイナス要因と捉えない住宅ローンを選ぶことが大切です。

そこで今回は「転職直後に住宅ローンを借り入れる(借り換える)方法」をテーマに、転職直後に住宅ローンを検討する場合のポイントと、おすすめの住宅ローンを解説します。

転職直後に住宅ローンを申し込むには?知っておきたい審査のポイント転職直後に住宅ローンを借り入れる(借り換える)方法

住宅ローン審査において金融機関が重視する項目は、おもに以下の6点です。

勤続年数

住宅ローンの審査項目の中でも重要度を高めに設定している金融機関が多い(転職直後の住宅ローンの申し込みが不利に働く原因の一つとなっている)。
従来は住宅ローンを申し込む際の条件として「勤続年数3年以上」を基準とする金融機関が多かったが、一部のネット銀行やフラット35を中心に、勤続年数を申込み条件に含めない住宅ローンも増えている
ただし、転職をしている場合の勤続年数は、現職だけではなく前職や前々職の年数も評価される。短期間で複数の会社を転々としていると、マイナス評価の対象となりやすい

年収

住宅ローンの審査では「前年の源泉徴収票」を提出する。ただし、転職直後は現在までの「給与明細」をもとに年収見込みを申告するケースが多い。
前職と比較して年収がアップしているようであれば、収入面でのマイナス評価を受けることは少ない。一方、年収が前職と比較してダウンしている場合は、業界や職種が前職と関連性の高いものであることをアピールし、キャリアとして一貫性がある(今後評価される可能性が高い)ことを説明できればベター

健康状態

民間金融機関の住宅ローンは「団体信用生命保険」に加入できることが借り入れの条件となっているケースが多い。一般的な生命保険と同じく、団信も加入時に健康状態の告知と審査を行う。
転職が健康上の理由による場合は、特に告知をしっかりと行いたい。持病や治療歴・手術歴等があり、すでに完治しているようであれば、検査数値や医師の診断書をもとに状況を説明する。治療継続中の場合はその旨を告げ、特定疾病を不担保とすることで加入できないか提案してみると良い。
なお、「フラット35」は団信加入が必須ではないため、団信が原因で住宅ローン審査が降りない場合の有力な選択肢となる。

完済時の年齢

住宅ローンの多くは、完済時の年齢(何歳までに返済を完了するか)に上限を設けている。金融機関によって75歳もしくは80歳までに設定されていることが多い。借り入れ時点の契約者の年齢と、住宅ローンの借り入れ期間によって決まる。
転職の有無にかかわらず、契約者の年齢が高い場合は、完済時の年齢も高くなることが多く、審査に通りにくい傾向がある。対処法としては「頭金を増やす(借入額や借入期間を少なくする)」「夫婦や親子でペアローンもしくは収入合算」「親子リレー返済(子がいる場合)」などが選択肢となる。

物件の担保価値

転職直後に住宅ローンを借り入れる(借り換える)方法

住宅ローンは物件(購入する住宅や土地)を担保として購入資金を貸し付けるため、物件の担保としての価値が、実際の購入価額よりも低い場合は審査に通りにくくなる
物件が新築か中古かによって、担保価値と購入価額の乖離が起きる可能性も異なる。
「新築物件」の場合は、物件の査定額が購入価額と大きく異なるケースは少ない。ただし、周辺の不動産相場の変動などにより、査定額が購入時の価額と異なる可能性がある。
「中古物件」の場合は、売り手(不動産会社など)と、物件査定者(金融機関など)が異なるため、新築物件よりも査定額と購入価額のあいだの乖離が起きやすい。購入価額よりも大幅に低い場合は、査定根拠を明示してもらうのがベター。

借り入れの状況

住宅ローンの審査では、「現在の借り入れ状況」と「過去の借り入れ状況」の両方を調査される。
「現在の借り入れ状況」では、カードローンやマイカーローンなど住宅ローン以外の負債がある場合は与信枠が少なくなり、審査に通りにくくなる傾向がある。クレジットカードの限度額や分割払いも借り入れにカウントされるので、住宅ローンの申し込み前は、クレジットカードの新規作成や分割払いによる大きな買い物は避けた方が良い。
「過去の借り入れ状況」については、専門の信用情報機関(JICC、CIC、KSCなど)に記録されている個人信用情報が確認される。他のローンやクレジットカードの支払い等で延滞(61日以上など)があった場合は、審査に不利に働く可能性が高い
信用情報機関に記載された信用情報は、本人が申し込むことで開示も行っている。手数料(500~1,000円)がかかるが、住宅ローンの申し込み前にチェックしてみるのもおすすめ。

動機も重要!転職直後の住宅ローン審査でアピールしたい「転職の理由」転職直後に住宅ローンを借り入れる(借り換える)方法

転職直後に住宅ローンを借り入れる(借り換える)方法

転職直後に住宅ローンを申し込む場合、金融機関によっては、通常の提出書類に加えて、追加の書類を求められる場合があります。
代表的なものが「雇用契約書」「採用通知書」「職歴書」「給与明細・賞与明細」など。
これらの書類は、基本的には、金融機関からの求めに応じて提出すれば問題ありません。
しかし、審査の通過率を高めたいときは、職歴書などに「なぜ転職をしたのか」というご自身の「転職理由」を記載してみましょう
たとえば、前職と現職の仕事内容が同じで転職の方針に一貫性がある場合や、転職先に今までのキャリアを評価されて年収がアップしている場合などは、金融機関の転職に対する印象は良くなります。

  • 金融機関に好印象となる転職理由
  • スキルアップやキャリアップのための転職で今後の評価につながる可能性が高い
  • 年収がアップしている(前職のキャリアを転職先に評価されている)
  • 同業界や同職種、グループ会社への転職などでキャリアに一貫性がある

一方、特に年収がアップしておらず、同業種・同職種でもない、という場合は、ご自身の志望動機(なぜその企業を応募したのか)や、採用担当者にかけられた言葉(なにを期待して採用されのか)などを思い返して、転職理由としてまとめてみましょう。
仮にキャリアとしては一貫性がないとしても、前向きな転職である旨を記載することで、仕事の姿勢(簡単には辞めないこと等)をアピールし、人物部分の評価を高めることができます

転職したばかりでも申し込みOK!転職直後におすすめの住宅ローンは?転職直後に住宅ローンを借り入れる(借り換える)方法

前述の通り、今までの住宅ローン審査では、申込者の「勤続年数」を重視することが一般的でした。ですが、世間の転職人口の増加を受けて、近年、転職直後でも住宅ローンの申し込みが可能な金融機関が増えています。

特に、転職後、それほど期間が空いていない時期に住宅ローンの借り入れを希望する場合は、各金融機関の申込条件をチェックし、そのうえで住宅ローンの申し込みをするのがおすすめです。

転職直後におすすめの住宅ローン

SBIマネープラザ(住信SBIネット銀行 住宅ローン)

SBIマネープラザ 住宅ローン

転職後の申込条件 安定した収入を証明する書類の提出ができれば申込可
取り扱い事務手数料 借り入れ金額の2.2%(税込)
保証料 不要 ※住信SBIネット銀行が負担
一部繰り上げ返済手数料 0円
店舗数
※SBIマネープラザ(住宅ローンプラザ)
10店舗 ※新宿、秋葉原、大宮、船橋、横浜、名古屋、大阪、なんば、神戸、福岡(2025年4月時点)

SBIマネープラザ(住信SBIネット銀行 住宅ローン)の特徴
SBIマネープラザで取り扱う「住信SBIネット銀行 住宅ローン」は、数ある金融機関のなかでもトップクラスの実績と利用者からの高い満足度を誇る「住信SBIネット銀行」の住宅ローン。安定した収入を証明する書類の提出が可能であれば、転職直後でも住宅ローンの申し込みに対応している

SBIマネープラザ(住信SBIネット銀行 住宅ローン)では、他の金融機関と比較しても低水準の住宅ローン金利を実現。また、団信に「全疾病保障」が基本付帯するほか、住宅ローンの契約者が50歳以下の場合は、がん・脳卒中・急性心筋梗塞で所定の状態になった場合、住宅ローン残高の50%を保障する「3大疾病保障特約(50%)」も基本付帯する。

さらに、一部繰上げ返済手数料が無料、返済口座への資金移動が0円とお得なサービスが充実。
国内10箇所の店舗で、対面にて住宅ローンに関するさまざまなサポートが受けられるので、転職直後に住宅ローンの借り入れを検討する場合、ぜひチェックしておきたい。

SBIマネープラザ(住信SBIネット銀行 住宅ローン)

仕事も家もあきらめないために!転職直後でも申し込める住宅ローンを活用しよう転職直後に住宅ローンを借り入れる(借り換える)方法

転職直後に住宅ローンを借り入れる(借り換える)方法

転職すると1年前後は住宅ローンを組むことができない、というのが、これまでの住宅購入の常識でした。
しかし、転職とは本来、自分自身の仕事や人生を、より良いものへと変えるための進路調整のようなものです。キャリアアップやスキルアップの転職も多い現在、転職に関する従来のようなマイナスイメージは消えつつあると言えるでしょう。

持ち家を検討しているときに希望通りの物件と出会えたら、転職直後だからとあきらめてしまうのではなく、まずは購入する手立てがないかどうか調べてみましょう。
金融機関の中にはすでに、転職の有無や勤続年数に関わらず住宅ローンの申し込みを受け付けるところが登場しており、今後もその数は増えていくことが予想されます。

今回ご紹介した住宅ローン審査をクリアするポイントや、転職したばかりでも申し込みが可能な住宅ローンも参考に、ご自身にベストな持ち家を手に入れましょう!

著者 長尾 尚子

【資格】消費生活アドバイザー、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
フリーランスライター。得意分野は、育児・教育、住宅ローン、保険、金融、エンタメ等、幅広い。子ども3人を育児中のママでもある。