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マンションと戸建てどっちがいい?不動産のプロが解説するメリット、デメリット

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author飯島 均

はじめに

本特集は、ディベロッパーでの勤務経験があり、宅地建物取引主任者(現宅建士)資格を持つ筆者が、マンションと戸建てのメリット・デメリットを項目別に分けて解説します。
結論から記すと、どちらを選ぶかは購入者の好み・こだわり次第です。ただ選ぶ前に知っておいた方が良いことが数多くあります。

筆者が勤務していた不動産会社の社長は「ディベロッパーを経営する者として戸建てに住む訳にはいかない」との持論からマンション住まいでした。また、以前住んでいた近隣で、お子供さんが独立して夫婦二人になるタイミングで、戸建てを売却しマンションに引っ越された方もおられます。筆者自身は現在、最寄駅からバスで10分の戸建てに住んでいます。理由は、戸建てに住み慣れており、マンションは騒音が気になる他、管理組合とのやり取りも煩わしいと感じるからです。

本特集が、これから物件購入を検討している方の、お役に立てば幸いです。

飯島 均

この記事を書いた人飯島 均

ディベロッパーに勤務し、マンション用地の買い付けからマンション販売まで経験。当時はマンション用地がなかなか手に入らず、UR所有地の民間ディベロッパーへの払い下げ制度があり、それを利用して土地を取得した経験も。仕事は楽しかったものの、東京事務所の閉鎖とともに退職。現在はライターとして活動中。
保有資格:宅建取引主任者、社会福祉士

物件価格・諸費用等

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不動産経済研究所が2024年1月25日発表した2023年の新築マンション1戸あたり平均販売価格は1億1,483万円と初めて1億円を超えました。都心部で高額物件の供給が相次ぎ、平均価格を押し上げています。筆者の友人も千代田区、渋谷区でリフォームした億ションを販売しており、売れ行きは好調のようです。

首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)に範囲を広げても、平均販売価格は8,101万円と3年連続で過去最高額を更新しています。1億円を超える物件は首都圏全体の約15%に上り、最高価格は何と45億円です。 共働きで世帯年収の高い「パワーカップル」がペアローンを組み、高額物件を購入することもめずらしくないとのこと。

大京は昨秋、分譲マンション「リジェ代々木上原テラス」の販売を始めました。「リジェ」シリーズは 同社の最上位ブランド。全12戸のうち最もコンパクトな85㎡の部屋で価格は2億円超です。

価格上昇の主な要因は土地代と建築費の高騰です。加えて、旺盛な需要の中で物件供給が少ない事も影響しています。

中古マンションも都心部で高騰しています。23年の中古マンション価格(70㎡換算)は東京23区で平均7,055万円です。
(出典:1月26日付 読売新聞から抜粋)
マンションを購入すると物件価格の5%、中古マンションの場合は仲介手数料がかかるので10%程度の諸費用が発生します。また新築マンションは購入時に、数十万円の修繕積立金、月々の管理費と駐車場代などへの出費も考える必要があります。

次は戸建てを見ていきます。2023年12月の首都圏新築1戸建住宅の平均価格は4,505万円です
都県別では東京都:5,417万円、神奈川県:4,823万円、千葉県:3,831万円、埼玉県:3,786万円という結果に。

2023年12月首都圏中古1戸建住宅価格は東京都:6,035万円、神奈川県:4,246万円、千葉県:2,788万円、埼玉県:2,681万円です。
このデータからも、首都圏では戸建てよりマンションの価格の方が高い事がわかります。

管理組合と自治会

分譲・中古マンションには必ず管理組合が存在し、加入は必須です。マンション購入者は「区分所有者」になり、「区分所有法」という法律が適用されます。その区分所有法には「管理組合は区分所有者全員で構成されること」と明記されています。そして区分所有者の中から理事が選出され、「理事会」を組織。大抵の場合、輪番制で必ず理事になる時が来ます。これにあたってしまうと、子育て家族には少し面倒です。月1回程度、多くの場合土日のどちらかに理事会が開かれます。そして建物に不具合があると、施工業者を呼び、一緒に点検することも。

対して戸建てには自治会があります。自治会は任意団体であり、加入しなければならない法律もなく、個人の自由で参加するか否かが決められます。実際に筆者は自治会には加入していません。

資産価値

資産価値はマンション、戸建てともに立地次第です。

ここで少し、都市計画法の説明をします。都市計画法では13種類の用途地域が決まっており、その違いによって土地の利用方法が変ります。区分を大まかに分けると住居系、商業系、工業系の3種類。マンションは工業専用地域以外であれば建築できるので、駅から徒歩5分以内の物件があるかもしれません。例えば1階が店舗で2階以上が住居というイメージです。このような物件は資産価値が高くなります。将来、物件の売却を考えている方は、考慮するとよいでしょう。場合によっては、購入時より高い価格で売却できるかもしれません。

余談ですが、ディベロッパー側がこのような土地を入手する場合、ライバル会社も多く、非常に困難です。以前、大手ハウスメーカーが地面師に騙されたニュースがありましたが、土地購入業務の経験もある筆者には、メーカー担当者の気持ちがわかる気がします。

気密性・騒音・セキュリティ

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マンションは気密性が高いので、冬が暖かく、夏は涼しい、家屋が傷みにくい等のメリットがあります。その反面、ハウスダクトが必要で、結露が発生し、カビになりやすい等、デメリットもあります。

マンションは防音性が高く、窓を閉めると外の音はほぼ聞こえません。以前のマンションでは上下の音問題がありましたが、最近の物件ではコンクリートスラブやフローリングの遮音性がアップし、よほどの大きな音でない限り、気にならないようです。ただ、中古の場合は使っている資材や防音性を、現地で確認する必要があります。筆者が去年、仮住まいしていたマンションは築10年以上でしたが、夜寝ているとどこからともなく、いびきが聞こえてきたのには驚きました。

戸建てにもホームセキュリティが普及しつつありますが、2重、3重のセキュリティがあるマンションにはかないません。建物のエントランスにオートロックを設け、昼は管理人・夜は警備員による24時間有人管理もめずらしくはありません。そして駐車場・駐輪場・エレベーターには防犯カメラが設置されています。

リフォーム

マンションの場合、リフォームできるのは専有部分だけで、玄関ドアやサッシは共有部分になるので、自分で勝手に取り換えるのはNGです。また壁をなくす事もできませんが、老後のためにバリアフリーの空間にすることは可能です。一方、土地・建物が自分のものである戸建ては、リフォーム、増築が自由自在です。

住宅ローンの選び方

筆者がマンション販売に従事していた頃は、すべての物件が公庫融資付でしたが、現在はその制度はないようです。ディベロッパーはつきあいのある銀行しか紹介しないので、言いなりになる必要はありません。多くの銀行が住宅ローンの相談窓口を開設しているので、一度足を運び相談してみるのも良いでしょう。また、銀行開催の住宅ローンセミナーに参加してみるのもおすすめです。

以下に住宅ローンを選ぶ際の注意点をまとめました。

  • 諸費用を住宅ローンに含め、借り入れできる商品あり。
  • 中古物件を購入する場合、リフォーム費用を考慮する。
  • 購入年齢は早いほど有利。年齢が上がると借り入れ額が減少、健康状態によっては借り入れできないケースあり。
  • ボーナス返済はナシがおすすめ。返済年数は35年に。
  • 団体信用生命保険(団信)は、住宅ローンを契約した人が死亡した場合や高度障害状態になった場合、残りのローンが保険金で完済される保険。加入がおすすめ。

子育て家庭におすすめは戸建て?マンション?

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「子育てのしやすさ」は物件選びの条件として重要なファクターです。戸建てとマンションのメリット・デメリットを解説します。
戸建ての場合、子どもの泣き声や足音を気にする必要がありません。また、ペットが飼うことで、子どもの教育にも良い影響を期待できます。
居住スペースが広い点も戸建てのメリット。以下のデータは2020年、住宅金融支援機構が行った「フラット35利用者調査」での平均住宅面積です。

注文住宅124.4㎡
中古戸建113.2㎡
土地付き注文住宅(※)111.1㎡
建売住宅101.1㎡
中古マンション67.9㎡
新築マンション66.2㎡
  • 土地購入の条件として、予め建築会社が指定された土地。

戸建てはマンションの約2倍の面積があることがわかります。
筆者がマンション販売に携わっていた頃は「ファミリータイプは75㎡以上」が一つの基準でしたが、未だにそうなっていないのは驚きです。

戸建ては土地に余裕がある郊外や駅から離れた立地に建てられる傾向があります。郊外には、自然の中で子どもが自由に楽しみながら成長できるメリットがあります。
また庭や駐車場を確保しやすい点もメリットの1つ。子どもは庭でプール遊びを楽しみ、バーベキューを満喫するだけでも、家族の絆が深まるでしょう。

戸建てのデメリットは、子どもに目が届きにくくなる点です。大人にはなんでもない段差や隙間が子どもにとっては危険要因になる事もあります。

マンションで子育てするメリットは、立地の良い物件が多い点でしょう。駅近物件であれば、大型商業施設が周辺にあるはずです。通勤・通学の利便性を考えると、戸建てよりマンションの方が適しているでしょう。バリアフリーにし易い点もメリットの1つです。

デメリットは騒音トラブルと居住面積が狭い点。面積が狭いため、兄弟に1部屋ずつ与えられないなど、子どもに我慢を強いることがあるかもしれません。
またマンションには必ず管理規約があり、守らなければいけないルールが決められています。例えば、「リフォームの制限」「ペットは1匹まで」「ピアノ禁止」等が一例です。制限を受けずに自由に暮らしたい場合、窮屈さを感じることがあるかもしれません。

保育園設置マンションの話

2017年秋、国土交通省・厚生労働省が「大規模マンション建設における保育施設の設置を促進します」と発表しましたが、実際にはなかなか増えていません。その原因はどこにあるのでしょうか?

大きなポイントは認可保育園の場合、マンション購入者だからといって優先的に保育園に入れる訳ではない点です。地域住民と同じように審査され、マンションに住んでいるのに「落ちる」可能性があります。一方で保育園の運営には参入障壁があり、誰もが参入できる訳ではありません。行政からの補助金で運営するため、保育園開設に関する審査項目も多く、その度に確認、調整、書類作成が必要です。ディベロッパー側からすれば、保育園スペースを取られるより1戸でも多く販売住戸を増やしたいのが本音。すべての大規模マンションに保育園設置を義務付けすることは、ディベロッパーの財産権の侵害になります。

今後、保育園設置マンションを増やすためには、成功事例を一つでも多く作る必要があります

まとめ

最後は初めて不動産を購入する方へ、筆者からのアドバイスです。

新築マンションであれば、売り出しから6か月以上経過した売れ残り物件を検討してみるのも選択肢の1つです。ディベロッパーは現金化を急いでおり、売れない焦りもあります。そこをうまくついて交渉すれば、良い条件を引き出せるかもしれません。また、物件が実際に出来上がっているので、モデルルームではない実物を確認できる点もメリットです。

戸建ての場合は前面道路の幅員が4メートル以下で、車が2台すれ違えない物件に注意しましょう。土地の価値は道路との接し方で決まります。これを「みなし道路」と呼び、役所で上地(※)を受け付けない場合もあります。このような物件は避けることをお勧めします。

  • 行政機関に土地を寄付する事。
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