銀行の選び方住宅ローンに最適な火災保険の選び方 -加入は必須?おすすめの期間と商品も
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住宅ローンを組むときに火災保険は必須?住宅ローンに最適な火災保険の選び方
住宅ローンを契約する際、意外と見落としがちなのが購入した住宅にかける火災保険です。
多くの金融機関では「火災保険へ加入していること」が融資条件のひとつとなっているため、火災保険に未加入の場合は、原則として住宅ローンを組むことができません。
その一方で、生命保険や自動車保険とは異なり、日常生活であまりなじみがない火災保険は、選び方や加入のタイミング、詳しい補償の内容などがわかりづらい、という方も多いでしょう。
火災保険は、住宅が火災などによって損壊した場合に、再建や修理のための費用をカバーする損害保険です。
近年は火災のみではなく、台風や洪水、土砂崩れ、盗難といった複合的な被害をカバーできるものが主流になっています。
また、火災保険に付加するかたちで「地震保険」に同時加入することも可能です。(※ちなみに地震保険は火災保険に加入するタイミングでなければ加入できません。)
住宅ローンの契約者は、住居購入のタイミングで金融機関に数千万円の借り入れを行い、新居に住み続けながらその借り入れ(※ローン)を返済していくことになります。
しかし万一、火災や自然災害などによって家に住めなくなれば、借金のみを抱えることになり、場合によってはローン返済が難しくなるケースもあるでしょう。
「家は人生で一番大きな買い物」と言われるように、動くお金の額が大きい住宅購入では、万一が起きた場合の被害額も大きくなります。
火災保険への加入が必須となっているのは、このような住宅ローンの不払いリスクに備えるための金融機関と契約者の利害の一致によるものと言えるでしょう。
住宅ローンと火災保険の関係。加入する時期や、おすすめの加入期間は?住宅ローンに最適な火災保険の選び方
火災保険は、住宅ローンを申し込む金融機関や、住宅を販売(仲介)する不動産会社・ハウスメーカーから案内されるケースがほとんど。
ただし、紹介された火災保険に必ず加入しなければいけないわけではありません。これは非常に重要なポイントです。
実は火災保険は、様々な損害保険会社が販売しており、それぞれに保険料や補償内容が異なります。
とくに保険料は、毎月(年払いの場合は毎年)の住宅コストに直接関わってくるため、火災保険を選ぶ際には重視すべきポイントと言えるでしょう。
火災保険の選び方と保険料を抑える方法は、次の項で詳しく解説します。
火災保険への加入は引渡し日の2週間前後を目安に。
保険期間は10年が最長且つ割安
火災保険は、物件の引き渡し日に補償が開始される必要があります。
そのため、加入手続き(契約手続き)は、引渡し日の2週間前後をめどにすませておくと安心です。
複数の保険会社から見積もりをとって火災保険を比較したい場合は、引渡し日の1ヶ月から2ヶ月くらいから準備をはじめると余裕をもって検討できるでしょう。
火災保険の保険期間は、最長10年までとなっており、長期で契約するほど、全期間を通してみた場合の保険料は割安になります。途中で火災保険を見直す予定がなければ、長期契約(10年間)を選択するのがお得。
ただし、契約時に負担する保険料は、保険期間が長いほど大きくなるので、住宅の初期費用を抑えたい場合は、保険期間を短め(1年間など)に設定するのもひとつの方法です。
住宅ローン利用時におすすめの火災保険の選び方住宅ローンに最適な火災保険の選び方
住宅ローンを組む際には加入必須となる火災保険ですが、保険会社や補償内容を選ぶことで、より低コストに補償を準備することができます。
火災保険を選ぶ場合に知っておきたいポイントは以下の2つ。
- オールリスク(オールインワン)型とカスタマイズ型がある
- 不要な補償をはずすと保険料の節約になる
火災保険には、補償内容がセットになっているオールリスク(オールインワン)型と、基本補償以外の補償を自分で選べるカスタマイズ型があります。
オールリスク型の場合、セットになっている補償は原則的にはずすことができないため、たとえばマンションの高層階などで、水災(床上浸水など)の心配が少ない場合は、水災のぶんの保険料が無駄になってしまいます。
その場合はオールリスク型の「水災なし」のプランを選択するか、カスタマイズ型の火災保険を利用して「水災」をはずす方法がおすすめ。必要な補償はキープしながら、保険料の無駄を省くことができます。
自宅に必要な補償を知っておこう
このように、自分の住宅にあわせて火災保険を選ぶ場合は、火災保険の補償内容と、自宅にどの補償が必要かを知っておく必要があります。
火災保険のおもな補償内容
火災リスク 火災・落雷・破裂・爆発 | 「火災」「落雷」「破裂・爆発」などにより生じた損害を補償。「建物」と「家財」のどちらにもかけられることが多い。 |
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自然災害リスク 風災・ひょう災・雪災 | 台風などでの暴風、ひょう、豪雪などの自然災害が原因で生じた損害を補償。おもに「建物」にかけられることが多い。 |
自然災害リスク 水災 | 台風や暴風雨などが原因で起こる洪水・高潮・土砂崩れなどにより生じた損害を補償。「建物」と「家財」のどちらにもかけられることが多い。 |
日常災害リスク 盗難 | 強盗や窃盗により受けた損害を補償。おもに「家財」にかけられることが多い。 |
日常災害リスク 水ぬれ・物体の落下、飛来、騒じょう | 給排水設備の事故や他人の戸室で生じた事故による水濡れ。おもにマンションが対象。 建物外部からの物体の落下・飛来・衝突・倒壊により生じた損害を補償。おもに「建物」にかけられることが多い。 集団行動・労働争議に伴う暴力・破壊行為などにより生じた損害を補償。おもに「建物」にかけられることが多い。 |
その他 特約、諸費用 | 失火見舞費用保険金、残存物取片づけ費用保険金、臨時費用保険金、損害防止費用、類焼損害補償、地震火災費用保険金、個人賠償責任補償など ※火災保険商品により詳しい内容が異なる。 |
たとえば、多くの地方自治体が公開しているハザードマップでは、過去に起きた洪水や土砂崩れなどから、自然災害のリスクが高い地域を確認することができます。
地元の警察署がまとめている防犯情報も、「盗難」に関わる空き巣や強盗などの発生頻度をチェックするのにおすすめ。
地域の地理と治安を調べたうえで、火災保険に必要な補償を選ぶと良いでしょう。
補償の対象は?補償額はいくらにする?
火災保険には、住宅の「建物」にかける補償と、「家財」にかける補償があります。建物と家財では、必要な補償内容や補償額が異なる点に注意しましょう。
たとえば、台風による被害などを補償する「風災」の場合、屋内にあって被害を受けにくい家財よりも、外側の建物部分の補償が手厚いほうが合理的です。
反対に、盗難被害を補償する「盗難」は、主として家財にかけることが一般的であり、建物への優先度は低いと見ることもできます。
補償額をいくらにするかは、「建物」の場合は住宅の取得にかかった費用を設定するのが一般的。現在の火災保険は経年劣化を考慮しない「再取得価額」で補償されるため、時間がたって建物の資産価値が落ちた場合でも、取得時と同等の評価額で保険金をもらうことができます。
「家財」の補償額は、個々の家庭により幅の大きい部分です。保険会社では、家族の人数・年齢によって、おおよその目安額を公開しているため、参考にしてみましょう。
また高価な宝石や美術品などがある場合は、事前に申告しないと補償の対象外となる点にも注意が必要です。
住宅ローン利用時には火災保険を比較しよう住宅ローンに最適な火災保険の選び方
住宅ローンを利用する際に火災保険を紹介された場合は、保険料と補償内容を確認のうえで、他の火災保険にも見積もりをとって比較してみるのがおすすめです。
良心的な保険会社であれば、購入した住宅の立地や建物構造(木造、RC造など)にあわせた火災保険プランを用意してくれるはずです。
その一方で、「保険料が高い」「不要な補償がついている」等で、紹介してもらった火災保険の契約をためらう場合は、他の火災保険を選んでも問題はありません。
金融機関や不動産会社から紹介を受ける前に、他の選択肢として火災保険をいくつかチェックしておくと安心です。
ここでは、保険料を節約しやすいカスタマイズ型の火災保険のうち、ネットで直接契約できるダイレクト型をピックアップしました。火災保険を比較する際の参考にしてください。
ジェイアイ傷害火災保険 「ダイレクト火災保険iehoいえほ」
JTBグループとAIGグループの合弁会社「ジェイアイ傷害火災保険」が提供する火災保険。見積もりから契約まですべてネットで完結させることができる。
「火災」「破裂・爆発」以外のすべての補償をつけはずし可能。サイト上の見積もりページでは、それぞれの補償がいくらになるか保険料をチェックしながら選べる点も嬉しい。
また、大きな特徴として、免責金額の代わりに「フランチャイズ金額」を設定できる。損害額が、契約時に設定したフランチャイズ金額を上回った場合、通常の免責であれば、設定した金額が保険金額から差し引かれるのに対して、フランチャイズ金額では保険金から差し引かれることなく補償される。
事故の連絡は24時間365日電話で対応。公式サイト上では「補償の選び方」などの解説コンテンツもあるので上手に活用したい。
保険料の最低額 |
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補償内容 |
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ソニー損保 新ネット火災保険
ダイレクト自動車保険で知られる「ソニー損保」の火災保険。同社の自動車保険と同様に、見積もりから契約までネットで完結させることができる。
「火災」「落雷」「破裂・爆発」は自動セットとなり、それ以外の補償は付帯の有無を選択可能。また、地震保険を付帯したうえで「地震上乗せ特約」を追加すると、通常50~70%までの補償となる地震保険の補償が100%になる。
ieho(いえほ)と同じく、公式サイト上の見積もりページではひとつひとつの補償ごとに保険料をチェックしながら付帯の有無を検討できる。
契約者特典として、水回りや鍵のトラブルに対応する「住まいの緊急かけつけサービス」と、レジャー施設やレストラン等が優待価格になる「クラブオフサービス」が付帯する点も嬉しい。
保険料の最低額 |
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補償内容 |
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火災保険を上手に選ぶと、家計の住宅関連支出を節約できる!住宅ローンに最適な火災保険の選び方
火災保険は、住宅ローンを組むときには、ほぼ加入が必須となります。
保険には詳しくないから・・・と、銀行や不動産会社に紹介されたものにそのまま加入する方も多いですが、従来のオールリスク型の火災保険では、必ずしも必要ではない補償が付帯し、保険料を無駄に支払うことになるケースも少なくありませんでした。
現在は、火災保険も進化し、補償内容を選びながら加入できる商品が増えています。
ご自身の住宅に必要な補償のみを選ぶことができれば、そのぶん保険料を節約したり、浮いた保険料で保険金額を手厚くしたりと、より充実した補償を受けることができるはずです。
今回ご紹介した、火災保険の節約ポイントやおすすめの火災保険商品も参考に、マイホームに万一があったときもしっかりと補償できる火災保険を選びましょう!
著者 長尾 尚子
フリーランスライター。得意分野は、育児・教育、住宅ローン、保険、金融、エンタメ等、幅広い。子ども3人を育児中のママでもある。
【資格】消費生活アドバイザー、FP2級