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住宅ローンはどこで組む?借入先の銀行の選び方 5つのポイント
- 住宅ローンの基礎知識
はじめに
住宅ローンは、銀行を中心に多くの金融機関で取り扱いがあります。ただ、借入先の金融機関によって金利や団信(団体信用生命保険)、諸費用などが異なるため、しっかりと比較したうえで、自分に合った住宅ローンを選ぶことが大切です。
そこで今回は、住宅ローンの借入先の銀行に注目。利用する銀行を選ぶ際のポイントを、わかりやすく解説します。 住宅ローンの借り入れを検討している方は、ぜひチェックしてみてください。
住宅ローンはどこで組む?借入先の銀行の選び方 5つのポイント
住宅ローンを組む銀行の選び方 5つのポイント
次に、住宅ローンの借入先の銀行を選ぶ際にチェックしておきたい5つのポイントをご紹介します。
1住宅ローン金利
住宅ローンの借入先の銀行を選ぶ際、まずチェックしておきたいのが住宅ローン金利(適用金利)です。
銀行によって強みとする金利タイプが異なるため、同じ金利タイプでも、銀行によって適用金利が異なります。
※例えば、銀行のなかには、変動金利は低めに設定しているものの、固定金利は高く設定しているところもあります(逆パターンもあり)。
そのため、住宅ローンを組む際は、まず住宅ローンの金利タイプ(※「変動金利型」「固定金利型(全期間固定型)」「固定金利特約型(固定期間選択型)」)を決めておき、その上で、各銀行の住宅ローン金利を比較するのがおすすめです。
また、各銀行の住宅ローン金利を比較する際は、「優遇金利の有無、および優遇金利が適用される場合の優遇金利幅」「優遇期間終了後の適用金利」等についても、しっかりと確認しておきましょう。
住宅ローンには融資実行月の金利が適用される
住宅ローンの金利は一般的に毎月月初に変更されます。
ただし、例えば2023年6月1日に10年固定金利が0.97%と表示されているからといって、2023年6月に住宅ローンを10年固定金利で申し込みをした全ての人にこの金利が適用されるわけではありません。
原則として住宅ローンには、申し込み月…ではなく、融資実行月の金利が適用されます。
つまり、2023年6月に申し込みをしても、融資実行が2023年7月であれば、適用されるのは2023年7月時点の住宅ローン金利となります。
2団信(団体信用生命保険)
住宅ローンの契約と同時に加入する団信(団体信用生命保険)も銀行によって差が出る部分。住宅ローンの借入先の銀行を選ぶ際に、チェックしておきたいポイントです。
そもそも、「団信(団体信用生命保険)」とは、契約者に万一のことがあった場合に返済額が免除される住宅ローン専用の生命保険のこと。住宅ローンを組む際は、ほとんどの銀行で、団信への加入が必須となっています。
団信の基本的な保障内容は、死亡保障と高度障害保障です。ただ最近では、病気により仕事ができない(就業不能)状態となった場合の「疾病保障」が付帯した団信や、がんと診断された場合に住宅ローン残高が「ゼロ」あるいは「半分」になる団信を提供する銀行も登場しています。
また、団信に力を入れている銀行の場合、これらの疾病保障を無料(金利の上乗せなし)で付帯できることも。住宅ローンを検討する際は、各銀行の団信についてもしっかりと比較しておきましょう。
3諸費用
住宅ローンの銀行選びで、やってしまいがちな間違いの一つに、金利のみに注目して銀行を選んでしまうことがあります。
確かに、住宅ローン金利が低ければ、その分、借入額に対する利息が少なくなるため、総返済額を抑えることが可能です。ただ、銀行を選ぶ上で重要なのは住宅ローン金利だけではありません。住宅ローン金利とあわせてチェックしておきたいのが諸費用です。
住宅ローンの諸費用には、「取り扱い事務手数料(融資手数料/融資事務手数料)」「保証料」「団体信用生命保険料」「各種保険(火災保険料など)」などがあります。
なかでも、銀行によって差が出やすいのが取り扱い事務手数料です。
取り扱い事務手数料の計算方法には、借入額に対して一定率の費用が発生する「定率型」と、借入額にかかわらず一定の金額を支払う「定額型」の2種類があります。定率型と定額型を比較すると、借入額が少ない場合は定率型が、借入額が大きくなるにつれて定額型の方が有利になります。
住宅ローンの取り扱い事務手数料 「定率型」と「定額型」を比較
定率型 |
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定額型 |
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また、保証料や団体信用生命保険料に関しては、ネット銀行を中心に無料としている銀行も少なくありません。(※保証料とは、住宅ローンの返済ができなくなった場合に、住宅ローンの返済を肩代わりしてもらうために保証会社に前もって支払うお金のこと)
各銀行が提供する住宅ローンのシミュレーションでは、こうした諸費用も含めて「総返済額」を試算できます。住宅ローンを組む際は、こうしたシミュレーションも上手く活用し、事前に総返済額をチェックしておくのがおすすめです。
住宅ローンシミュレーションで複数の銀行を比較。イオン銀行、住信SBIネット銀行、ソニー銀行のシミュレーションを使って、実際の結果を元に各銀行の特徴を解説します。
住宅ローンシミュレーションを利用し、毎月の支払額と初期費用をチェックしよう。借り入れ予定金額、ボーナス返済予定額、借り入れ金利、返済期間、融資手数料、団信保険料を入力するだけで簡単に毎月の住宅ローン返済額をシミュレーション。
住宅ローンを組む場合、どういった諸費用が発生する?本記事では、手数料や保険料など、住宅ローン借入時に発生する諸費用の内訳をわかりやすく解説。
住宅ローンを契約するときは、火災保険を案内されることがほとんどです。加入は必須?保険期間はどれくらいに設定すればいい?など、火災保険の選び方を解説します。
4繰り上げ返済手数料/繰り上げ返済のしやすさ
住宅ローンは繰り上げ返済を利用することで、利息の支払いを減らせ、その分早めに完済できます。(ちなみに、一部繰り上げ返済は、早ければ早いほど効果を発揮します)
住宅ローンの繰上げ返済とは
繰上げ返済とは、毎月の返済とは別に、まとまった金額を臨時に返済することで、住宅ローン残高を減らすこと。繰上げ返済を行うと、元金に対して支払うはずだった利息を支払う必要がなくなるため、総返済額を圧縮することが可能です。
繰上げ返済には、「一部繰上げ返済」と「全額繰上げ返済」があり、「一部繰上げ返済」はさらに「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2種類に分けられます。
それぞれの違いは以下の通り。
- 全額繰上げ返済
- 住宅ローンの返済期間中に、残高を全額返済すること
- 一部繰上げ返済
- 毎月の決まった返済とは別に、先々返済する元金の一部を前倒しで返済すること。
- ①期間短縮型
- 毎月の返済額は変えずに、返済期間を短くする方法。総返済額を減らしたい人や、早く住宅ローンを完済したい人におすすめ。
- ②返済額軽減型
- 返済期間を変えずに、毎月の返済額を減額する方法。毎月の返済額を減らしたい人におすすめ。
上記のどちらの方法でも、住宅ローンの総返済額を減らすことができますが、「①期間短縮型」の方が、総返済額をより多く減らすことが可能です。
住宅ローンの繰上げ返済 比較のポイント
繰上げ返済の利用条件は、住宅ローンを提供する金融機関によって異なります。
つまり、住宅ローンの繰上げ返済を効率よく利用するためには、繰上げ返済の利用頻度や利便性を考慮した上で、自分に合った住宅ローンを選ぶことが大切です。
ここでは、繰上げ返済の上手な活用を目標に、利用する住宅ローンを決める際、必ずチェックしておきたい比較ポイントをご紹介します。
- 繰上げ返済手数料
- 繰上げ返済手数料は、住宅ローンを提供する金融機関や住宅ローンのタイプ(固定金利・変動金利)、手続きの方法によって異なります。
一部繰上げ返済に関しては、手数料無料のところが多くありますが、全額繰上げ返済を利用する場合、ほとんどの住宅ローンで手数料が必要になる点は注意が必要。
繰上げ返済を定期的に利用し、住宅ローンの返済期間をできる限り短縮したい方は、繰上げ返済手数料を考慮した上で、利用する住宅ローンを決めると良いでしょう。 - 繰上げ返済できる最低金額
- 繰上げ返済手数料は、住宅ローンを提供する金融機関や住宅ローンのタイプ(固定金利・変動金利)、手続きの方法によって異なります。
一部繰上げ返済に関しては、手数料無料のところが多くありますが、全額繰上げ返済を利用する場合、ほとんどの住宅ローンで手数料が必要になる点は注意が必要。
繰上げ返済を定期的に利用し、住宅ローンの返済期間をできる限り短縮したい方は、繰上げ返済手数料を考慮した上で、利用する住宅ローンを決めると良いでしょう。 - 繰上げ返済できる最低金額
- 1円単位で繰上げ返済が可能なものから、一定の金額以上にならないと繰上げ返済ができないものまで、繰上げ返済できる最低金額は金融機関によって異なります。
繰上げ返済を頻繁に実行したいと考えている場合は、最低金額の小さい住宅ローンを選ぶのがポイントです。
また、フラット35の場合、繰上げ返済手数料は無料ですが、最低金額は100万円以上(※住宅金融支援機構 住・My Noteを利用の場合、10万円以上)となっており、繰上げ返済を利用する際のハードルが高い点は要チェック。 - 繰上げ返済の利用回数
- 繰上げ返済が利用できる回数も金融機関によって異なります。金融機関の中には利用制限がないものから、月1回までとなっており、繰上げ返済の実行日が決まっているものまで様々です。
繰上げ返済を頻繁に実行したいと考えている場合、繰上げ返済の利用回数に制限のない住宅ローンを利用すると良いでしょう。
また、フラット35をはじめ、繰上げ返済の実行が月1回の場合、繰上げ返済実行日の1ヵ月前までに申し込みをしておく等、事前の手続きが必要になる場合がある点にも注意しておきましょう。 - 繰上げ返済の手続き方法
- 繰上げ返済の手続き方法は、インターネット、電話、店頭窓口等、金融機関によって異なります。店頭まで足を運ばずに、自宅で簡単に繰上げ返済を実行したいと考えている場合、インターネットでの繰上げ返済に対応した住宅ローンの利用がおすすめ。
また、金融機関によっては、繰上げ返済の手続き方法によって、繰上げ返済手数料の金額が変わる場合もあるので注意しておきましょう。
繰り上げ返済を検討している場合は、借入先の銀行を選ぶ際、繰り上げ返済のしやすさや手数料についてもしっかりと比較しておきましょう。
なお、下記のページでは、ネット銀行の住宅ローン金利や取り扱い事務手数料、繰り上げ返済手数料を詳しく比較しています。
ネット銀行が提供する住宅ローンの利用を検討している方は、あわせてチェックしてみてください。
ネット銀行の住宅ローンの金利と手数料を比較!編集部のプロのおすすめは?
ネット銀行の住宅ローンを比較するポイントは?金利の低さは大きな魅力ですが、手数料の部分ではチェックしておきたいポイントも。利便性の高いサービスを提供しているネット銀行をピックアップし、それぞれの住宅ローンの特徴を比較しました。
住宅ローンの返済に「ボーナス払い」を利用するのはあり?
住宅ローンの返済方法には毎月一定額を返済するのではなく、毎月の返済額に加え、年2回ボーナスを利用し、返済額を増額する「ボーナス払い」という方法があります。
特に、毎月一定の給料をもらうサラリーマン家庭では、毎月の返済額を減らし、臨時収入であるボーナスで住宅ローンの返済額を増やした方が目先の生活に与える影響が少ないため、住宅ローンの返済にボーナス払いを利用するのも方法です。
ただし、ボーナス払いにはいくつかの注意点があります。住宅ローンの返済にボーナス払いを利用する際は、下記の点に注意しましょう。
ボーナスの額が変動する可能性がある
ボーナスは企業の業績に左右されるため、「ボーナス払い」での返済額を高く設定していた場合、ボーナス分だけでは返済できない年が出てくる可能性があります。
毎月の返済額が少ない分、ボーナス払いまでの期間に余計な金利がつき総返済額が増える
ボーナス払いを利用すると毎月の返済額が少なくなるため、ボーナス払いまでの期間、元金の減りも少なくなります(→元金が多く残ることになる)。
住宅ローン金利は元金にかかるため、ボーナス払いを利用することで、ボーナス払いを利用しない場合と比較し、その分、総返済額が増える点には注意が必要です。
ちなみに、ボーナス払いを利用できる返済額の割合は、金融機関によって異なります。
ボーナス払いを利用する際は、事前にそのメリットとデメリットをしっかりと確認しておくことが大切です。
5利便性や特典
最寄り駅や自宅近くなど、相談しやすい場所に店舗のある銀行は、住宅ローンの相談や手続きで訪れる際に便利です。
ただ、不動産業者などが住宅ローンの手続きを代行する場合、銀行の来店回数は1~2回程度で済むケースも多いため、銀行を選ぶ際、必ずしも店舗の立地を最優先で考える必要はないでしょう。
最近では、ネットで住宅ローンの契約が完結する銀行や、オンラインで住宅ローンの相談ができる銀行、ショッピングモール内などに店舗を構え、土日・祝日でも住宅ローン相談ができる銀行も増えています。
なかでもネット完結型の住宅ローンは、ペーパーレスで手続きを進められる分、審査が早い傾向にあり、契約書に貼付する印紙代が不要というメリットも。銀行の利便性を重視する場合は、店舗の立地だけではなく、その他のサービスについてもチェックしておきましょう。
また、多くの銀行では、住宅ローン契約者向けに特典を用意しています。
住宅ローンの借入先の銀行を選ぶ際は、その銀行の利便性とあわせて、住宅ローン契約者向けの特典についても比較しておくのがおすすめです。
特典が充実しているおすすめの住宅ローンは?買い物時の割引や、特約付き団信の無料付帯など、特典が充実しており、お得度が高いおすすめの住宅ローンを厳選して比較。
おすすめ住宅ローンの選び方と比較ポイント【公務員向け】
公務員の方が住宅ローンを選ぶ際には、一般の方とは異なるメリットや優遇条件を活用できる場合があります。公務員向け住宅ローンは、銀行が提供する最も低い金利(最優遇金利)が適用されることも多く、借入額や返済計画で有利な条件を見つけやすいのが特徴です。特に注目すべきポイントは「金利」「審査基準」、そして「諸費用」です。
また、公務員向けのローンは多くの金融機関で提供されていますが、サービス内容や特典は金融機関ごとに異なります。そのため、しっかりと比較検討することが重要です。下記リンクでは、公務員の方に特におすすめの住宅ローンと、比較すべきポイントを詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
公務員におすすめの住宅ローンとは?公務員は審査で有利になるって本当?等、マイホーム購入を検討中の公務員の方は必見の住宅ローン知識を解説します。
まとめ
一口に「住宅ローン」と言っても、どの銀行から融資を受けるかで、適用される住宅ローン金利や加入できる団信、利用できる特典などが異なってきます。
銀行選びで失敗しないためにも、住宅ローンを借入れる際は、各銀行の特徴をしっかりと比較することが大切です。
住宅ローンの借り入れを検討している方は本特集を参考に、借入先の銀行の選び方をチェックし、住宅ローンを組む際に役立てましょう。