銀行の選び方おすすめの住宅ローンを実質金利で比較!表面金利との違いも解説
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はじめにおすすめの住宅ローンを実質金利で比較!表面金利との違いも解説
住宅ローンを選ぶ際、まず、借り入れ金利の低さに注目する人が大半でしょう。
ただ、住宅ローンは、必ずしも「金利が低い=総返済額が少ない」という訳ではありません。実は、金融機関のホームページなどに掲載されている金利は全て表面金利。この金利には事務手数料や保証料などの諸費用が含まれておらず、諸費用の金額は、金融機関によって大きく異なります。この諸費用分を考慮すると、たとえ表面金利が低くても、他の住宅ローンと比較した際、総返済額が多くなる(逆に表面金利が高くても総返済額が少なくなる)ケースも十分にあり得るのです。
そのため、住宅ローンを選ぶ際は、単に表面金利だけを比較するのではなく、表面金利に諸費用分を含めて算出した「実質金利」で比較することが大切です。
そこで今回は、住宅ローンの実質金利に注目。表面金利との違いについて、わかりやすく解説します。さらに、住宅ローン比較の利用者から高い評価を獲得しているおすすめの住宅ローン3社を厳選し、同条件で借り入れた場合の実質金利についても比較しました。
住宅ローンの借り入れを検討している方、できるだけ有利な条件で住宅ローンを組みたいと考えている方は、ぜひチェックしてみてください。
住宅ローンの実質金利とは? ―表面金利との違いおすすめの住宅ローンを実質金利で比較!表面金利との違いも解説
住宅ローンの金利には、表面金利と実質金利の2種類があります。はじめに、この2つの金利の違いを見ていきましょう。
表面金利と実質金利の違い
住宅ローンの表面金利とは?
表面金利とは、金融機関のホームページなどに掲載されている金利のこと。「基準金利(店頭金利)」から「優遇金利幅(引下げ金利)」を引いた金利を指し、借入金利・適用金利と呼ばれることもあります。
表面金利には、住宅ローンを組む際に発生する諸費用や、固定期間終了後の金利上昇については考慮されていません。
Memo 住宅ローンの「基準金利」、「優遇金利幅」とは?
- 基準金利(店頭金利)とは、市場金利などを元に、各金融機関が設定。優遇金利の基準になる金利のこと。
- 優遇金利幅(引下げ金利)は、所定の条件を満たした際に、基準金利から引き下げられる金利のこと。金融機関によって異なる。
住宅ローンの実質金利とは?
実質金利とは、住宅ローンの借り入れにかかる諸費用を考慮した上で算出した金利のこと。「APR(Annual Percentage Rate)」とも呼ばれています。ちなみに、実質金利は、金融期間のホームページなどには掲載されていません。
住宅ローンを実質金利で比較するメリット
それでは、なぜ住宅ローンを比較する際、表面金利ではなく実質金利に注目すると良いのでしょうか?
その理由は、実質金利を算出する際に考慮する「諸費用」の金額が、金融機関によって大きく異なるため。(※諸費用とは、住宅ローンを組む際に発生する費用で、事務手数料や保証料、団体信用生命保険料などのことを指します。)
そのため、例えば、「表面金利が低い/諸費用が高い住宅ローン」と「表面金利が高い/諸費用が安い住宅ローン」を比較した場合、「表面金利が高い/諸費用が安い住宅ローン」の方が、住宅ローンの総返済額が少なくなるケースも十分に考えられるのです。
この点は、表面金利を比較しただけではわかりません。
諸費用を考慮して算出した「実質金利」を比較することで、その住宅ローンが本当にお得かどうかがわかる点は、住宅ローンを実質金利で比較する大きなメリットといえるでしょう。
住宅ローンを実質金利で比較おすすめの住宅ローンを実質金利で比較!表面金利との違いも解説
本チャプターでは、住宅ローン比較の利用者から高い評価を獲得しているおすすめの住宅ローン3社を厳選し、同条件で借り入れた場合の実質金利を比較していきます。
実質金利の算出条件
- 新規借り入れ
- 借入金額:3,000万円
- 借入期間:35年
- ボーナス返済:なし
- 返済方法:元利均等
- 金利タイプ:固定10年 ※固定期間終了後は変動金利
- 2021年1月の表面金利を元に算出
- 実質金利の算出方法:フラット35を提供する住宅金融支援機構が提供する「返済プラン比較シミュレーション」を使用
表面金利 | 実質金利 | 総返済額 | |
---|---|---|---|
auじぶん銀行 | 0.530% | 1.217% | 3,693万6,135円 |
住信SBIネット銀行 | 0.61% | 1.233% | 3,694万6,129円 |
SBI新生銀行 | 0.75% | 0.918% | 3,511万6,883円 |
※上記の条件にて算出
住信SBIネット銀行 住宅ローン
表面金利 |
|
---|---|
実質金利 | 1.223% |
総返済額 |
3,694万6,129円
毎月の返済額
うち諸費用分…諸費用合計:60万円
|
※2021年1月の適用金利にて算出
住信SBIネット銀行 住宅ローンの特徴
数ある金融機関のなかでも、トップクラスの実績と、利用者からの高い満足度を誇る「住信SBIネット銀行」の住宅ローン。価格.comが実施する「住宅ローン 部門別 人気ランキング」(2020年上半期)において、第1位を獲得している。
住信SBIネット銀行では、団信に加え、すべての病気やけがを補償する「全疾病保障」が無料付帯。契約者が女性の場合は、「ガン診断給付金保障」も無料付帯する。保障が充実している点は、住信SBIネット銀行の大きな魅力といえるだろう。
また、「Web契約手続きサービス」を利用してWebから申し込み・契約を行うと、収入印紙代が不要になるほか、申し込みから融資実行まで来店不要で手続きを進めることが可能。さらに、保証料、一部繰り上げ返済手数料が無料となっている点もチェックしておきたい。
事務手数料が借入金額の2%(税抜)のため、諸費用・実質金利を見ると、他の住宅ローンと比較してやや高くなる点には注意が必要だが、付帯するサービスや利便性を考慮すれば、住信SBIネット銀行は、有力な選択肢の一つといえるだろう。
auじぶん銀行 住宅ローン
表面金利 |
|
---|---|
実質金利 | 1.217% |
総返済額 |
3,693万6,135円
毎月の返済額
うち諸費用分…諸費用合計:60万円
|
※2021年1月の適用金利にて算出
auじぶん銀行 住宅ローンの特徴
三菱UFJ銀行とKDDIが出資する「auじぶん銀行」の住宅ローン。価格.comが実施した「住宅ローン人気ランキング」(2020年上半期)において第1位を獲得し、数ある住宅ローンのなかでも高い人気を誇っている。
また、保証料、一部繰り上げ返済手数料が無料となっているほか、事前審査から契約まで、すべて手続きがネットで完結する点もチェックしておきたい。
SBI新生銀行 住宅ローン
表面金利 |
|
---|---|
実質金利 | 0.918% |
総返済額 |
3,511万6,883円
毎月の返済額
うち諸費用分…諸費用合計:10万円
|
※2021年1月の適用金利にて算出
SBI新生銀行 住宅ローンの特徴
利便性の高さと事務手数料の安さに定評があるSBI新生銀行の住宅ローン。
SBI新生銀行では、所定の要介護状態が継続した場合に保障を受けられる「安心保障団信」が含まれ、住宅ローン返済期間中のライフイベントや万一の場合に備えることができる。
さらに、SBI新生銀行では、事務手数料に定額制を採用(※一部プランを除く)。例えば、安心パックを利用した場合の事務手数料は10万円(税込)となっている。事務手数料に定額制を採用することで初期費用を大幅に抑えられ、他社と比較し、低い実質金利を実現している点は、SBI新生銀行の大きな魅力といえるだろう。
お得度の高い住宅ローンを検討する際、SBI新生銀行はぜひ候補に入れておきたい。
フラット35の実質金利は?
住宅ローンの借り入れを検討している方のなかには、全期間固定金利で利用できるフラット35を候補に挙げている方も多いはず。
以下ではARUHIを例に、フラット35の実質金利を算出しています。ぜひ併せてチェックしてみてください。
実質金利の算出条件
- 新規借り入れ
- 借入金額:3,000万円
- 借入期間:35年
- ボーナス返済:なし
- 返済方法:元利均等
- 金利タイプ:固定35年
- 2021年1月の表面金利を元に算出
ARUHI フラット35
表面金利 | 1.29% ※団信ありの場合。団信に加入しない場合は-0.2% |
---|---|
実質金利 | 1.352% |
総返済額 |
3,759万6,061円
毎月の返済額
うち諸費用分…諸費用合計:30万円
|
※2021年1月の適用金利にて算出
ARUHI フラット35の特徴
14年連続フラット35の取り扱い件数第1位を獲得しているARUHI(旧SBIモーゲージ)の長期固定金利型住宅ローン。※1
ARUHIでは、Webから申し込みを行うと、事務手数料を借入金額の1.1%(税込)(※通常は借入金額の2.2%(税込))に優遇※2 ※3。住宅ローンの借り入れにかかる諸費用を抑えることができる。
また、事前審査は最短当日・本審査は最短3営業日に審査結果がわかり、スピード審査に対応している点もチェックしておきたい。
さらに、返済口座を全国1,000以上の金融機関から選べるほか、全国に130以上(※2023年3月時点)の実店舗を展開しており、必要に応じて対面で住宅ローンに関する相談ができる点も嬉しい。
他のフラット35と比較し、低い住宅ローン金利を実現しているので、フラット35の利用を検討する際は、ぜひ候補に入れておきたい。
- 1. 2010年度-2023年度統計、取り扱い全金融機関のうち借り換えを含む【フラット35】実行件数(2024年3月末現在、ARUHI調べ)
- 2. ARUHI スーパーフラットをお申し込みの場合は「ご融資額×2.2%(消費税込)」
- 3. 最低事務手数料220,000円(消費税込)
まとめおすすめの住宅ローンを実質金利で比較!表面金利との違いも解説
住宅ローンの実質金利について解説した今回の特集はいかがでしたでしょうか。
住宅ローンを選ぶ際、つい、「金利(表面金利)が低い=お得な住宅ローン」と考えてしまいがちですが、必ずしもそうとは限りません。住宅ローンを比較する際は、諸費用を踏まえて算出した実質金利にも注目することが大切です。
また、金利に加え、付帯保障や利便性なども考慮したうえで、自分に合った住宅ローンを選ぶのも重要なポイント。
住宅ローンの借り入れを検討している方は、本特集も参考に、さまざまな点から住宅ローンを比較し、自分に合った住宅ローンを見つけてみてはいかがでしょう。
著者 溝口 麻衣
Hayakawa所属のチーフライター兼編集者。住宅ローンの実質金利に関する調査と記事執筆を担当。
わかりやすく、ちょっとした気付きのある記事を目指し、日々原稿を執筆している。