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おすすめの住宅ローンを実質金利で比較!表面金利との違いも解説
- 銀行の選び方

住宅ローンを比較する際に知っておきたい「実質金利」と「表面金利」
住宅ローンを選ぶ際、まず金利の低さを比較する方は多いでしょう。
しかし、金融機関のホームページに掲載されている金利は、「表面金利」と呼ばれる、もっとも有利な条件が適用されたものであるケースがほとんどです。
表面金利には、借入時にかかる事務手数料などの「諸費用」が含まれておらず、また、5年固定や10年固定の住宅ローンの「固定金利期間終了後の金利上昇」も考慮されていません。
こうした諸費用や金利の上昇幅は、金融機関によって大きく異なるため、表面金利のみの比較では、本当に有利な住宅ローンを選べない場合があります。
住宅ローンを全体の借入コストで比較するには、諸費用も含めた実質金利(APR=Annual Percentage Rate)で比較するのがおすすめ。
そこで今回は、「住宅ローンを実質金利で比較する方法」をテーマに、表面金利との違いや実質金利の求め方を解説します。複数の住宅ローンとフラット35を実質金利で比較したシミュレーションも公開しているので、住宅ローンを検討中の方はぜひチェックしてみて下さい。
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おすすめの住宅ローンを実質金利で比較!表面金利との違いも解説
住宅ローンの実質金利を算出する方法。表面金利との違いは?
住宅ローンの実質金利とは、借入時に支払う「諸費用」や「固定金利期間終了後の適用金利」を考慮した金利です。
住宅ローンを実質金利で比較するためには、それぞれの住宅ローンの商品内容を確認し、表面金利にこれらの費用を加えて計算する必要があります。
- 住宅ローンの実質金利の求め方
- 実質金利=表面金利+諸費用+金利固定期間終了後の金利
※諸費用や金利固定期間終了後の金利は金融機関のホームページで調べる
実質金利の計算は、シミュレーションツールを使うことで、簡単に算出できます。住宅金融支援機構が公開している「返済プラン比較シミュレーション」では、最大3つの住宅ローンを「月々の返済額」「年間返済額」「総支払額」「実質金利(APR)」等で比較可能。
試算条件を入力してページ下部の「試算する」ボタンをクリックすると、月々の返済額や総支払額などのシミュレーション結果が表示されます。さらに「APRを表示する」ボタンをクリックすると、実質金利同士での比較が可能です。
住宅ローンの表面金利とは?
住宅ローンの表面金利は、その金融機関の「基準金利(店頭金利)」から「優遇金利幅(引下げ金利)」を引いた金利を指します。ホームページ上で強調されていることが多く、「借入金利」や「適用金利」とも呼ばれます。
表面金利は、それぞれの住宅ローンの借り入れで発生する「利息」がどの程度になるかを比較できますが、手数料も含めた総合的なコストを比べることはできません。
住宅ローンの「表面金利」を求める際に使われる「基準金利」「優遇金利幅」とは?
- 基準金利(店頭金利)
- それぞれの金融機関が設定する融資の基準となる金利のこと。多くの住宅ローンは、この基準金利から優遇金利を差し引いて「表面金利」とします。
- 優遇金利幅(引き下げ金利)
- 所定の条件を満たした際に基準金利から差し引かれる金利のことです。金融機関や住宅ローンの金利タイプ(変動金利、期間固定型など)によって引き下げられる金利幅が異なります。
おすすめの住宅ローンを実質金利で比較してみよう
それでは、住宅ローンの実質金利を実際に計算し、表面金利の変化や、住宅ローン同士の違いを見てみましょう。
今回は、有利な住宅ローン金利を打ち出している3つの住宅ローンを同条件で借り入れた場合の実質金利で比較します。
実質金利の算出条件
住宅ローン | 新規借入 |
---|---|
借入金額 | 3,000万円 |
借入期間 | 35年 |
ボーナス返済 | なし |
返済方法 | 元利均等 |
金利タイプ | 固定10年 ※固定期間終了後は変動金利 |
- 2025年1月の表面金利を元に算出
- 実質金利の算出方法:住宅金融支援機構「返済プラン比較シミュレーション」を使用
住宅ローン(10年固定)の金利と総返済額を比較
金融機関名 | 表面金利 | 実質金利 | 総支払額 |
---|---|---|---|
住信SBIネット銀行 | 1.383% | 1.956% | 41,506,894円 |
auじぶん銀行 | 1.320% | 2.068% | 42,368,637円 |
SBI新生銀行 | 1.000% | 1.355% | 37,624,490円 |
auフィナンシャルグループ(KDDIグループ)が提供するネット銀行・auじぶん銀行が提供する住宅ローン。ローン借入額が物件価格の80%以下で借入期間中の金利優遇が受けられるほか、auの携帯電話やインターネットサービスと併用することで、さらに金利の引き下げを受けられる。
取り扱う金利タイプは「変動金利」と「固定金利特約(2年、3年、5年、10円、15年、20年、30年、35年)」の2種類。
住宅ローン保証料、繰り上げ返済手数料、団信保険料は無料。団信の付帯保障も充実しており、すべての疾病を対象とした長期の入院保障や、5つの重大疾病で住宅ローン残高が半額になる「がん50%保障団信」を金利上乗せなしで付帯できる。
事務手数料が借入額の2.2%(税込)と諸費用部分はコストがかかるが、手厚い金利優遇と団信が魅力の住宅ローンだろう。
- 2025年1月の表面金利を元に算出
表面金利
10年固定 | 1.320%(当初期間引下げプランの場合) |
---|---|
基準金利 | 3.440% |
当初期間引き下げ幅 | -2.120% |
固定期間終了後の 引き下げ幅 |
-0.845% |
- 新規で物件価格の80%以下で住宅ローンを借り入れた場合(物件価格の80%超での借り入れの場合は、「当初期間引き下げ幅」「固定期間終了後の引き下げ幅」にそれぞれ年0.045%を上乗せ)
実質金利
2.068%
総支払額
4,236万8,637円
当初10年間 | 89,233円 |
---|---|
11年目以降 | 1,240,032円 |
諸費用合計 | 66万円(税込) |
---|---|
事務手数料 | 66万円※借入金額の2.2%(税込) |
保証料 | 無料 |
団体信用生命保険料 | 無料 |
ネット銀行大手・住信SBIネット銀行が提供するWEB申し込み専用の住宅ローン。LINEやWEB上で契約手続きを完結できる。
取り扱う金利タイプは「変動金利タイプ」と「固定金利特約タイプ(2年、3年、5年、7年、10円、15年、20年、30年、35年)」の2種類。
自己資金の割合によって金利の引き下げ幅が異なり、ローン借入額が物件価格の80%以下で最大の引き下げ幅が適用される。
住宅ローン保証料、繰り上げ返済手数料は無料。団信(団体信用生命保険)の手厚さにも定評があり、基本保険料が無料となるほか、「全疾病保障」「3大疾病50%保障(50歳以下)」も追加費用や金利上乗せなしで付帯できる。
自己資金を2割以上用意できる人、50歳以下の人はチェックしておきたい住宅ローン。
- 2025年1月の表面金利を元に算出
表面金利
10年固定 | 1.383%(当初引下げプランの場合) |
---|---|
基準金利 | 3.32% |
当初期間引き下げ幅 | -1.937% |
固定期間終了後の 引き下げ幅 |
-1.032% |
- 借入総額が物件価格の80%超~100%以下の場合は、表示金利(表面金利)に年0.032%、物件価格の100%超の場合は年0.036%を上乗せ
実質金利
1.956%
総支払額
4,150万6,894円
当初10年間 | 90,145円 |
---|---|
11年目以降 | 100,098円 |
諸費用合計 | 66万円(税込) |
---|---|
事務手数料 | 66万円※借入金額の2.2%(税込) |
保証料 | 無料 |
団体信用生命保険料 | 無料 ※全疾病保障、3大疾病50プラン(50歳以下)も無料付帯 |
SBIホールディングス傘下の銀行・SBI新生銀行の住宅ローン。実店舗型の銀行ながら住宅ローンの基準金利が低めに設定されており、特に固定金利の低さに定評がある。
取り扱う金利タイプは「変動金利」と「当初固定金利(1年、3年、5年、7年、10円、15年、20年)」「長期固定金利(全期間固定、25年、30年、35年)」「ステップダウン金利(25年、30年、35年)」の4種類。
住宅ローン保証料、繰上返済手数料、団信保険料は無料。団信の付帯保障では、所定の要介護状態となった場合に住宅ローン残高がゼロになる「安心保障付団信」を金利上乗せなしで選択できる(満20~65歳まで)ほか、年0.1%の金利上乗せで「ガン団信」(満20~49歳まで)も付帯可能。
25年以上の長期固定金利は、政府系住宅ローンの「フラット35」と比較しても有利なケースがある。固定金利を検討する際は要チェックの住宅ローン。
- 2025年1月の表面金利を元に算出
表面金利
10年固定 | 1.00% |
---|---|
基準金利 | 2.15% |
当初期間引き下げ幅 | -1.15% |
固定期間終了後の 引き下げ幅 |
-0.70% |
- 新規借り入れで自己資金10%以上の場合、借入金利を年0.05%優遇(2025年3月31日まで)、2025年4月1日以降は、金利の優遇幅を年0.02%とし、当初借入期間終了後も優遇を継続
実質金利
1.355%
総支払額
3,762万4,490円
当初10年間 | 84,685円 |
---|---|
11年目以降 | 89,341円 |
諸費用合計 | 66万円(税込) |
---|---|
事務手数料 | 66万円※借入金額の2.2%(税込) |
保証料 | 無料 |
団体信用生命保険料 | 無料 |
フラット35の実質金利は?
住宅ローンの金利変動が心配な場合は、全期間固定で利用できるフラット35を候補に入れている方も多いでしょう。
フラット35では現在、ポイント制による金利優遇を行っています。住宅の省エネ性能や契約者の属性(子どもの数や居住地など)に応じてポイントが付き、1ポイントあたり5年間・年0.25%の金利優遇を受けることが可能です。
フラット35のポイント数に応じた金利引き下げの仕組み
ポイント数 | 金利の優遇幅 | 金利の優遇期間 |
---|---|---|
1ポイント | 年-0.25% | 当初5年間 |
2ポイント | 年-0.50% | 当初5年間 |
3ポイント | 年-0.75% | 当初5年間 |
4ポイント | 年-1.00% | 当初5年間 |
5ポイント |
|
|
6ポイント |
|
|
フラット35のポイント獲得条件
フラット35の種類 | ポイント数 |
---|---|
【フラット35】子育てプラス |
|
【フラット35】S、【フラット35】リノベ |
|
【フラット35】維持保全型 |
|
【フラット35】地域連携型 【フラット35】地方移住支援型 |
|
それでは、住宅ローン専門金融機関の「ARUHI」を例に、フラット35の実質金利も算出してみましょう。
実質金利の算出条件
住宅ローン | 新規借り入れ(フラット35・買取型) |
---|---|
借入金額 | 3,000万円 |
借入期間 | 35年 |
ボーナス返済 | なし |
返済方法 | 元利均等 |
金利タイプ | 固定35年 |
- 2025年1月の表面金利を元に算出
- 実質金利の算出方法:住宅金融支援機構「返済プラン比較シミュレーション」を使用
住宅ローン専門の金融機関「ARUHI」が提供するフラット35。一般的なフラット35である「買取型」に加え、自己資金割合に応じて金利優遇を受けられるフラット35・保証型「ARUHI スーパーフラット」も取り扱う。
フラット35のポイント制に応じた金利優遇を提供しているほか、買取型のフラット35は、Webから申し込みを行うと、事務手数料が借入金額の1.1%(税込)に優遇され、諸費用を抑えることができる。※1 ※2 ※3
事前審査は最短当日、本審査は最短3営業日に審査結果がわかり、スピード審査に対応している点も嬉しい。フラット35を検討する際はチェックしておきたい住宅ローンの一つ。
- 通常は借入金額の2.2%(税込)
- ARUHI スーパーフラットは融資額×2.2%(税込)
- 最低事務手数料220,000円(税込)
- 2025年1月の表面金利を元に算出
表面金利
当初5年間 | 0.860% |
---|---|
引き下げ期間終了後 | 1.860%(融資比率 9割以下、借入期間:15年~50年) |
優遇金利幅 | -1.00%(4ポイント割引適用時) |
- 2025年1月実行金利/団信加入/21年~35年/融資比率:9割以下・4ポイント割引(当初5年間1.00%金利引き下げ)を適用した場合
実質金利
1.643%
総支払額
3,956万1,185円
当初5年間 | 82,742円 |
---|---|
6年目以降 | 95,185円 |
諸費用合計 | 33万円(税込) |
---|---|
事務手数料 | 33万円※借入金額の1.1%(税込)WEBから申し込みをした場合 |
保証料 | 無料 |
団体信用生命保険料 | 表面金利に含まれる(※団信に加入しない場合は、表面金利-0.2%) |