銀行の選び方住宅ローンの団体信用生命保険(団信)に入れない場合の対処法
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団体信用生命保険(団信)とは、住宅ローン返済期間中、契約者に万一のことがあった場合に適用される生命保険のこと。
民間の金融機関が提供する住宅ローンの多くが、契約者に万一のことがあった場合のリスクに備え、団信への加入を住宅ローンを組む際の必須条件としています。
しかし、住宅ローンを組もうと考えている人の中には、様々な事情から団信へ加入することが難しいケースがあるのも事実。では、そのような場合、団信に加入できない人は、住宅ローンを組むことができないのでしょうか?
実は住宅ローンの中には、団信への加入が必須ではない住宅ローン商品や加入条件を緩和した住宅ローン商品があり、一般の団信に入れない場合でも、住宅ローンを組むことが可能です。
そこで今回は、団信の加入条件や、団信に入れない場合に住宅ローンを組むための方法をご紹介します。
住宅ローンの団体信用生命保険に加入できないケース住宅ローンの団体信用生命保険(団信)に入れない場合の対処法
団信への加入には、「年齢」と「健康状態」に所定の条件があり、これを満たしていない場合、加入することができません。
「年齢」と「健康状態」それぞれの条件について、詳しく見ていきましょう。
年齢
団信には、申込年齢70歳未満(※保障期間は80歳まで)という年齢制限があり、この条件に引っかかってしまう場合、団信に加入することができません。
健康状態
団信へ加入する際は、健康状態の申告が必要になり、「過去に病歴がある」「持病がある」等、健康状態に何らかの問題がある場合、団信への加入が難しくなるケースがあります。
団信加入時に申告する健康状態
1. 直近3ヶ月以内に、医師による治療(指示・指導含む)や投薬を受けたことがあるか
2. 直近3年以内に、下記の対象疾患による手術・2週間以上にわたる医師の治療(指示・指導含む)・投薬を受けたことがあるか
主な対象疾患
- 狭心症、心筋梗塞、心臓弁膜症、先天性心臓病、心筋症、高血圧症、不整脈、その他心臓病
- 脳卒中(脳出血・脳梗塞・くも膜下出血)、脳動脈硬化症、その他脳の病気
- 精神病、うつ病、神経症、てんかん、自律神経失調症、アルコール依存症、薬物依存症、知的障害、認知症
- ぜんそく、慢性気管支炎、肺結核、肺気腫、気管支拡張症
- 胃潰瘍、十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎、すい臓炎、クローン病 など
3. 手・足の欠損や機能障害、背骨(脊柱)・視力・聴力・言語・そしゃく機能の障害の有無
上記項目に該当箇所がある場合、団信への加入が不利になるからといって、誤った情報を告知すると、告知義務違反になります。
告知義務違反とみなされた場合、保険契約の解除や保険金が支払われないといったペナルティーが課せられるため、必ず正しい情報を申告しましょう。
団信加入の審査基準には明確な決まりがなく、金融機関によって、その基準は異なります。
つまり、ある金融機関では団信に加入できなくても、別の金融機関では加入できるケースがあるのも事実。申請した金融機関の審査に通過できなかったとしても、諦める必要はありません。
住宅ローンの団体信用生命保険に入れない場合の対処法住宅ローンの団体信用生命保険(団信)に入れない場合の対処法
ここでは、住宅ローンの団信に入れない場合の対処法をご紹介します。
団信に入れない場合の対処法としては、大きく以下の2つの方法があります。
健康状態に不安があり、団信に入れない場合、「①ワイド団信が付帯できる住宅ローンを利用する」を検討するとよいでしょう。
また、団信に当たる部分を他の生命保険でカバーする場合は、団信へ加入しなくても住宅ローンの借り入れができる「②フラット35を活用する」の対処法がおすすめです。
それぞれの対処法について、詳しく見ていきましょう。
1ワイド団信が付帯できる住宅ローンを利用する
ワイド団信とは、従来の団信よりも、引き受け条件が緩和された団信のこと。住宅ローン金利が高くなる点には注意が必要ですが、高血圧症、糖尿病、うつ病、肝炎といった持病があり、従来の団信に入れない場合でも、ワイド団信であれば、加入することが可能です。
(※ただし、「病気の程度がどのくらいまでであればワイド団信に加入できる」といった明確な基準は公表されていないので、その点には注意が必要)
数ある住宅ローンのなかには、金利を上乗せすることで、ワイド団信を付帯できるものがあります。健康状態に問題があり、団信に入れない場合は、「ワイド団信」を付帯できる住宅ローンの利用を検討するとよいでしょう。
ワイド団信が付帯できるおすすめの住宅ローン
イオン銀行 住宅ローン
金利(年利)(2025年1月) |
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ワイド団信上乗せ金利 | 年0.3% |
融資事務手数料 |
▽定額型:11万円(税込) ▽定率型:借り入れ金額の2.2%(税込)※最低取り扱い事務手数料:22万円(税込) ※「定額型」を選択した場合、「定率型」を選択した場合と比べて、住宅ローン金利が年0.2%高くなる。 |
保証料 | 無料 |
一部繰り上げ返済手数料 | 無料 |
イオン銀行 住宅ローンの特徴
イオングループの「イオン銀行」が提供する住宅ローン。
イオン銀行では、変動金利は最大1.85%、固定金利は最大1.6%、完済するまで(※固定金利の場合は、固定期間終了後から完済するまで)店頭表示の住宅ローン金利を割り引く優遇金利を提供。他の金融機関と比較し、お得な金利で住宅ローンを組むことができる。
また、イオンでの買い物が毎日5%OFFになる「イオンセレクトクラブ」への加入等、住宅ローン契約者限定特典が充実している点も大きな魅力といえるだろう。
ワイド団信は、住宅ローン金利を年0.3%上乗せすることで付帯可能。
その他にも、イオン銀行では、Webと店舗での相談・申し込みに対応しているほか、保証料・一部繰り上げ返済手数料が無料など、利便性の高いサービスを提供している。
ワイド団信を付帯できる利便性の高い住宅ローンを検討する際、イオン銀行はぜひ候補に入れておきたい。
auじぶん銀行 住宅ローン
金利(年利)(2025年1月) |
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ワイド団信上乗せ金利 | 年0.3% |
融資事務手数料 | 借り入れ金額の2.2%(税込) |
保証料 | 無料 ※審査の結果、保証会社を利用する場合は保証料相当額を金利に上乗せ。 |
一部繰り上げ返済手数料 | 無料 |
auじぶん銀行 住宅ローンの特徴
auフィナンシャルグループ(KDDIグループ)が提供するインターネット銀行「auじぶん銀行」の住宅ローン。
auじぶん銀行の住宅ローンは、低水準の住宅ローン金利を実現。さらに、住宅ローンと「au回線」「じぶんでんき」をセットで契約することで、「au金利優遇割」が適用され、住宅ローン金利が最大年0.1%優遇される。有利な条件で住宅ローンを組める点は、他の金融機関と比較しても、auじぶん銀行を利用する大きなメリット。
また、年0.3%住宅ローン金利を上乗せすることで、ワイド団信が付帯できる点もチェックしておきたい。
その他にも、auじぶん銀行では、事前審査から契約まで、すべての手続きがネットで完結するほか、保証料や一部繰り上げ返済手数料が無料など、利便性の高いサービスを提供している。
ワイド団信が付帯できる住宅ローンを検討する際、auじぶん銀行は、有力な選択肢の一つといえるだろう。
2フラット35を活用する
フラット35とは、住宅金融支援機構と民間の金融機関が提携し、販売する住宅ローン商品の総称です。
「国民の多くが住宅ローンを組めるように」という理念から、長期的かつ低金利の住宅ローンを提供しており、実際に長期固定金利で住宅ローンを組む方の多くが、フラット35を選択しています。
フラット35の特徴は、長期固定金利であることに加え、団信への加入が必須ではない点。つまり、団信に入れない場合でも、住宅ローンを組むことが可能です。
ただし、この場合、団信に代わる保険を自分で用意する必要があります。フラット35の審査に通った方は、住宅ローンの借り入れを行うタイミングに合わせ、住宅ローン借り入れ相当額の生命保険などに加入するとよいでしょう。
おすすめのフラット35
住信SBIネット銀行 フラット35
金利※2025年1月実行金利 ※融資比率9割以下 |
〈買取型〉
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借り換え・融資 |
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融資事務手数料 |
〈買取型〉
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住信SBIネット銀行 フラット35の特徴
数ある金融機関のなかでもトップクラスの実績と、利用者からの高い満足度を誇る「住信SBIネット銀行」の長期固定金利住宅ローン。
住信SBIネット銀行 フラット35の特徴は、業界最低水準の住宅ローン金利を実現している点。住信SBIネット銀行では、住宅金融支援機構が指定する金利のうち、毎月最低金利を採用している。有利な金利でフラット35を組めるのは、大きなメリット。
また、「買取型」と呼ばれる一般的なフラット35に加え、金融機関が販売するフラット35を住宅金融支援機構が保証する仕組みを活用した「保証型」のフラット35も提供している。
さらに、保証料不要、一部繰り上げ返済手数料無料となっているほか、電子契約サービスを利用することで、仮審査から契約まですべての手続きがネットで完結する点も魅力。
住宅ローンの借り入れにフラット35を利用する際、住信SBIネット銀行はぜひチェックしておきたい。
ARUHI フラット35
金利※2025年1月実行金利 |
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借り換え・融資 |
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融資事務手数料 | 借り入れ金額の2.2%(税込)
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ARUHI フラット35の特徴
14年連続でフラット35の取扱高No.1を誇る「ARUHI」の長期固定金利住宅ローン。※1
ARUHIでは、数あるフラット35のなかでも、最低水準の住宅ローン金利を実現。※2 さらに、Webからの申し込みで、融資事務手数料が借り入れ金額の1.1%(税込)に優遇される(※通常の融資事務手数料は、借り入れ金額の2.2%(税込))※3 ※4。フラット35の借り入れにかかる諸費用を押さえられる点は、ARUHI フラット35を利用する大きなメリット。
返済口座を全国1,000以上の金融機関から選択できるほか、事前審査は最短1営業日、本審査は最短3営業日とスピード審査に対応している点もチェックしておきたい。
また、全国に店舗を展開しており、対面でフラット35に関する相談ができるのも魅力。
ARUHIはフラット35を利用する際、検討する価値のある住宅ローンといえるだろう。
- 1. 2010年度-2023年度統計、取り扱い全金融機関のうち借り換えを含む【フラット35】実行件数(2024年3月末現在、ARUHI調べ)
- 2. 【フラット35】業界最低水準(ただしスタンダードタイプの場合)。ARUHI 調べ。
- 3. ARUHI スーパーフラットをお申し込みの場合は「ご融資額×2.2%(消費税込)」
- 4. 最低事務手数料220,000円(消費税込)
まとめ住宅ローンの団体信用生命保険(団信)に入れない場合の対処法
住宅ローンの団信に入れない場合の対処法を紹介した今回の特集はいかがでしたでしょうか?
多くの金融機関が団信への加入を住宅ローンを組む際の必須条件としていますが、団信へ入れない場合でも住宅ローンを組むことは十分に可能です。
本特集を参考に、団信に入れない場合の対処法をチェックし、自分に合った最適な方法を見つけ、住宅ローンの借り入れを実現しましょう。
著者 溝口 麻衣
Hayakawa所属のチーフライター兼編集者。住宅ローンの選び方についての調査と記事執筆を担当。
わかりやすく、ちょっとした気付きのある記事を目指し、日々原稿を執筆している。2級FP技能士取得。