住宅ローンの借り換え「リフォームローン」と「住宅ローンの借り換え」を比較
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リフォームローンを借りる前に!住宅ローンの借り換えでリフォーム費用を上乗せする方法がある「リフォームローン」と「住宅ローンの借り換え」を比較
家の建て替えやリノベーションなど、大規模なリフォーム行う場合、工事費等のリフォーム費用も大きくなります。リノベーションなら数百万円、建て替えであれば1,000万円を超える資金が必要になるケースも決して珍しくありません。
規模の大きなリフォームでは、ローンの利用を検討する方も多いのではないでしょうか。
例えば、銀行などの金融機関では、リフォームに利用できる「リフォームローン」や「多目的ローン」を扱っているところが多くあります。
しかし、これらのローンの金利は、平均で3~4%程度。現在の住宅ローンの金利水準(変動:0.5%前後、フラット35リフォーム一体型:2.0%以下)と比較すると、かなり高く、反対に借入額は数百万円から1,000万円まで等、上限が低めに設定されているケースがほとんどです。借入期間も最長10年前後と短く、ローンとして、決して有利とは言えません。
「我が家をリフォームしたいが、リフォームローンやフリーローンを組むのは、金利面から見て気が進まない」・・・・そのような場合に有効なテクニックの1つが、現在返済中の住宅ローンを借り換え、新しい金融機関でリフォーム費用も上乗せして借り入れる方法です。
今回は、リフォーム費用をローンで借り入れたい場合に役立つ「住宅ローンの借り換えと、リフォーム費用の上乗せ」にスポットを当てて、リフォーム費用を上乗せして借り入れる場合のメリットやデメリット、リフォーム費用の上乗せが可能な住宅ローンなどをご紹介します。
住宅ローンを借り換えた場合を、リフォームローンと比較してみよう「リフォームローン」と「住宅ローンの借り換え」を比較
金融機関の中には、住宅ローンの借り換え時にリフォーム費用を上乗せできるところが少なくありません。リフォームのための住宅ローン借り換えプラン(リフォーム活用プラン)を提供している「イオン銀行」を例に、住宅ローンを借り換えた場合と、リフォームローンを利用した場合とを比較してみましょう。
イオン銀行住宅ローン リフォーム活用プラン |
イオン銀行 リフォームローン |
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金利※2017年11月時点 |
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借入額 | 1億円以内 | 30万円以上、500万円以下 |
借入期間 | 1年以上35年以内 | 1年以上10年以内 |
団体信用生命保険 | 有り(疾病保障も付帯可能) | 取り扱いなし |
融資手数料 | 定額型:108,000円(税込) 定率型:借入額の2.16%(税込) |
不要 |
担保・保証人 | 必要 | 不要 |
審査期間 | 一定の日数が必要 | 短め |
特典 | イオンセレクトクラブ…イオングループでの買い物が毎日5%OFF(5年間)、定期預金金利優遇など | なし |
上の表からも分かるように、住宅ローンを借り換えた場合のほうが、金利・借入額・借入期間のいずれも条件が良くなります。また、団信(団体信用生命保険)もリフォーム費用を含めた金額で契約可能になるため、契約者に万一があった場合の保障面でも有利。
ただし、無担保型のリフォームローンと比較すると、住宅ローンは物件(=住宅)を担保に入れる必要があります。また、抵当権の設定費用や融資手数料などの諸費用もかかるため、契約当初の手出し金額が大きくなりがち(ただし、金融機関によっては、借り換え時の諸費用も借入額に上乗せできます)。
なお、現在返済中の住宅ローンと、借り換え先の住宅ローンの金利差が大きい場合は、借り換えることによって総返済額を圧縮できる場合もあります。
通常、リフォーム費用を上乗せすれば、そのぶん借入額も増え、総返済額は膨らみます。しかし、借り換え先の金利が大幅に低い場合や、固定金利から変動金利に切り替えた場合などは、借入額に対する利息分が少なくなるため、リフォーム費用を上乗せしても、月々の返済額や総返済額を下げることができるのです。
これは、住宅ローンの借り換えの大きなメリットの1つですが、圧縮効果があるかどうかは、返済中のローンと借り換え先のローンの金利差によるため、各金融機関の借り換えシミュレーション等を活用してお得度の有無をチェックしましょう。
リフォームの費用を住宅ローンで借り入れる場合のメリット
- リフォームローンや多目的ローンよりも低金利での借り入れが可能
- 借入可能額や借入期間の幅が広い(長期、多額の借り入れが可能)
- 借り換え先の金利によっては、毎月の返済額や総返済額を圧縮できる可能性がある
- 住宅ローンに上乗せすることで住宅ローン控除を継続できる場合がある(残高、返済期間等による)
- リフォーム費用を現金一括払いした場合と比較するとキャッシュフローの悪化を防げる
リフォームの費用を住宅ローンで借り入れる場合のデメリット
- リフォーム費用のぶん借入額が増える
- 金利によっては総返済額の増額や返済期間の延長が発生する
- 金利の種類を固定から変動に変更する場合は、金利変動リスクが発生する
住宅ローンの借り換え時にリフォーム費用も借り入れできる銀行は?「リフォームローン」と「住宅ローンの借り換え」を比較
イオン銀行
特徴 | イオン銀行が提供する住宅ローン。住宅ローン借り換え時のリフォーム費用の上乗せに特化した「リフォーム活用プラン」を提供。住宅ローン保証料、一部繰上返済手数料、団体信用保険料は無料。住宅ローンの契約者は、イオングループでの買い物(ネットショップ含む)が年間90万円上限×5年間、5%OFFになる「イオンセレクトクラブ」に入会できる。 |
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借入額 | 200万円以上1億円以内(10万円単位) |
借入期間 | 1年~35年 |
手数料 |
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団体信用生命保険 |
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ソニー銀行
特徴 | ソニー銀行が提供する住宅ローン。借り換え時のリフォーム費用上乗せに対応している。住宅ローン保証料・一部繰り上げ返済手数料・団信保険料は無料。住宅ローン契約者は、デビットカード「Sony Bank WALLET(ソニーバンク・ウォレット)」の優待ステージが1ランクアップ。Visa加盟店利用時に最大2%のキャッシュバックが受けられるほか、他行宛て振込手数料が最大で月10回まで無料となる。 |
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借入額 | 500万~2億円 |
借入期間 | 2年~35年 |
手数料 |
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団体信用生命保険 |
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リフォーム費用上乗せ時の要件 |
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SBI新生銀行
特徴 | SBI新生銀行が提供する住宅ローン。住宅ローン保証料・一部返済手数料・団信保険料は無料。繰上げ返済で短縮した借入期間分を上限に元本返済を休憩できる「コントロール返済」も手数料無料で利用可能。 |
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借入額 |
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借入期間 | 1年~35年 |
手数料 | 55,000円(税込) |
団体信用生命保険 |
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リフォーム費用上乗せ時の要件 |
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「リフォームローン」と「住宅ローンの借り換え」を比較~まとめ~「リフォームローン」と「住宅ローンの借り換え」を比較
「リフォームローン」と「住宅ローンの借り換え」を比較、いかがでしたか?
住宅ローンと比較すると借入額が少ないリフォームの場合、現金一括払いを考えている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、現金払いには「利息の負担を避けられる」というプラスの側面がある一方で、「家計のキャッシュフローを悪化させる」というマイナスの側面もあります。
よほど貯蓄に余裕がある場合を除けば、現金の大きな目減りは、子供の教育資金や老後資金にも影響を及ぼすでしょう。
一方、住宅ローンにリフォーム費用を上乗せすることができれば、手元の現金を確保したまま、大規模なリフォーム工事を行うことが可能になります。
さらに現在、住宅ローンの金利は、変動・固定ともに歴史的な低水準。10年前と比較しても大幅に下がっているケースが多く、借り換えによって返済額を圧縮できる可能性が高いでしょう。住宅ローンの契約者特典や団信の保障内容(疾病保障等)も、ここ数年で各金融機関が力を入れているため、充実度が急速にアップしています。
住宅ローン返済中のマイホームで、大規模なリフォームを予定している方は、本特集の内容も参考に、住宅ローンの借り換えでリフォーム費用を上乗せする方法を検討してみてはいかがでしょうか。
著者 長尾 尚子
フリーランスライター。得意分野は、育児・教育、住宅ローン、保険、金融、エンタメ等、幅広い。子ども3人を育児中のママでもある。
【資格】消費生活アドバイザー、FP2級