基礎知識リバースモーゲージのメリットとデメリット。リースバックとの違いとは?

リバースモーゲージのメリットとデメリット。リースバックとの違いとは?

マイホームに住み続け、老後資金が手に入るリバースモーゲージとは?リバースモーゲージのメリットとデメリット。リースバックとの違いとは?

老後の生活資金をまかなう方法として「リーバースモーゲージ」という言葉を聞いたことがある方は多いでしょう。
リーバースモーゲージは、自宅や土地などの不動産を担保に、銀行から資金を借り入れるローンの一種です。
おもに50代から60代以上を対象とした融資制度であり、銀行やローン会社などの民間の金融機関に加え、フラット35で知られる住宅金融支援機構や、地方自治体(社会福祉協議会)などの公的機関でも取り扱っています。

死亡時の「一括返済」で老後の生活資金を借り入れる

老後・画像

50代・60代をむかえ、老後が視野に入ってくると、「年金収入や貯蓄だけでは生活費が心もとない」「自宅の住宅ローンがまだ残っている」「立地の良い地域や利便性の高いマンションに住み替えたい」等、お金と住まいに関する悩みやニーズが出てくる世帯は少なくありません。

リバースモーゲージでは、持ち家や土地を担保に入れることで、年金のようなかたちで定期的に(または一括で)資金を借り入れます
借り入れた資金は、利子部分のみを毎月返済していき、元本部分は契約者の死後に、担保として差し入れた不動産を売却することで一括返済します。
老後の生活費をまかなうだけではなく、住宅ローンをリバースモーゲージに借り換えることで、月々の返済額を少なくしたり、住み替えのために自宅を売却したあとでリバースモーゲージを利用して新居を購入したりと、幅広い活用方法が可能なことから、大きな注目を集めています。

今回は、人生100年時代を迎え、ますます人気が高まるリバースモーゲージにスポットを当てて、メリットやデメリット、おすすめのリバースモーゲージ商品などを解説。さらに、同じく自宅を活用した資金調達方法である「リースバック」との違いについても比較します。

リバースモーゲージのメリットとデメリットリバースモーゲージのメリットとデメリット。リースバックとの違いとは?

  • リバースモーゲージのメリット
  • 売却とは異なり、自宅に住み続けることができる(名義もそのまま)
  • 返済は利子のみを支払うため、毎月の支出を減額させることができる
  • 契約者の死後、配偶者が契約を引き継ぐことも可能

リバースモーゲージの最大のメリットは、自宅に住み続けながら老後の生活資金やリフォーム資金などを調達できる点です。
返済も、生存中は利子のみを支払っていけば良いので、元利合わせて返済する住宅ローンよりも月々の支出を大幅に抑えることができます
契約者の死亡時は自宅を売却して一括返済が行われますが、配偶者がいる場合はローン契約を引き継ぐこともできるので、住む場所が突然なくなるという心配もありません。
また、相続人の意向によって、不動産を売却せず買い戻すことも可能です(ただし、周辺の不動産相場よりも割高となるケースが多い)。

  • リバースモーゲージのデメリット
  • 長生きをすることで、生存中に融資極度額を超える可能性がある
  • 土地の価値が下落すると、融資極度額が見直される場合がある
  • 「変動金利」を採用している金融機関が多く、金利が上昇することで返済額が膨らむ可能性がある

その一方で、リバースモーゲージのデメリットとして、把握しておきたいのが「長生きリスク」「価格下落リスク」「金利変動リスク」の3つです。
ローンを生活資金に当てていた場合、契約者が長生きをすることで、融資極度額を超えてしまう可能性があります。
また、融資額の基準となる「土地の値段」と「金利」は、借り入れ時点から固定されているわけではなく、そのときどきの時勢によって定期的に見直されます
担保となる不動産の価値が大幅に下落することで、融資極度額が見直され、超過分の返済を求められるケースや、金利が上がることによって利子部分が膨らみ、月々の返済額が増える可能性があります。
金融機関に相談する場合は、上記3点のリスクについての回答(担保価値や金利が変動した場合の対応など)をしっかり確認しておきましょう。

リバースモーゲージの利用条件。押さえておきたいポイントは?リバースモーゲージのメリットとデメリット。リースバックとの違いとは?

融資元によって差はあるものの、多くのリバースモーゲージは契約者と物件の双方に利用条件があり、他のローンと同様に融資審査も行われます。

リバースモーゲージのおもな利用条件

契約者の条件

  • 所定の年齢であること(おおむね55歳から65歳以上)
  • 利用する場合は相続人の同意が必要
  • 契約者当人が認知症である場合は利用できない
  • 年金や給与など安定的な収入があること(民間金融機関の条件)
  • 所得が一定以下であること(公的機関の条件)

不動産の条件

  • 他の抵当権が設定されていないこと(事業資金の担保etc.)
  • 担保評価額が一定以上であること(融資元により異なる)
  • 原則的に土地付き一戸建てが対象(マンション可のリバースモーゲージも有)

リバースモーゲージでは、契約者が一定年齢以上であることや判断力を保持していること(認知症ではないこと)が最低条件となります。
また、相続財産のひとつである不動産を担保に入れる性質上、相続人の同意を得られていることも必要不可欠です。
所得については、民間金融機関と公的機関では条件が異なり、民間では契約者の返済能力や信用力を重視するのに対し、生活資金補助の意味合いが強い公的機関では契約者に所得制限が設けられています。

なお、不動産の条件としては、ほかに抵当権が設定されていないこと(ただし住宅ローンの抵当権は、リバースモーゲージに借り換えることで、元の住宅ローンが一括返済され抵当権も抹消されるので問題ない)や、評価額が一定以上の物件であることが求められます。

知っておきたいリバースモーゲージのポイント

  • 融資額(融資極度額)は相場の70%から80%(マンションでは50%の場合も)
  • 金利は商品ごとに異なる(民間金融機関は短期プライムレート+年2.0%程度、公的機関は年3.0%もしくは長期プライムレートのどちらか低いほうetc.)
  • 民間金融機関が提供するリバースモーゲージは審査基準が比較的厳しい。資金使途は自由度が高い
  • 公的機関(住宅金融支援機構、福祉協議会etc.)が提供するリバースモーゲージは所得制限あり。資金使途が限定されることも

リバースモーゲージの融資額は、不動産相場の70%から80%が一般的です。売却した場合と同程度の融資を受けられるわけではない点には注意しましょう。
また、融資の際の金利も金融機関による差が大きいため、リバースモーゲージの利用を本格的に検討する場合は、複数の金融機関を比較することが欠かせません

リバースモーゲージとリースバックの違いリバースモーゲージのメリットとデメリット。リースバックとの違いとは?

資金調達・画像

リバースモーゲージと同じように、自宅を元手に資金調達をする方法として「リースバック」があります。
リースバックとは、自宅をいったん売却したあと、賃貸として(家賃を支払いながら)住み続ける方法で、リバースモーゲージとは仕組みが大きく異なります。

リースバックの場合、売却時点で住宅の名義は買い主に移るため、固定資産税の支払いや、マンションの修繕積立金などが不要に。
また、売却資金の使途が自由な点や、リバースモーゲージのような年齢制限がない点、住宅ローンの残債があっても利用できる点も大きなメリットです。
ただし、買い主が物件を転売すると、賃貸契約を結ぶ相手が変わるため、賃貸借契約の内容をその都度しっかりと確認する必要があります。

リースバックの月々の家賃は、売却価額に6%から13%をかけた金額を12等分するのが一般的(売却価額によっては、周辺の賃貸相場と比較して割高になるケースもあります)。
最初に売却価額が確定し、一括で資金が支払われるため、自宅には住み続けたいが、金利や不動産価格が変動する可能性があるリバースモーゲージは不安・・・という方は、有力な選択肢のひとつと言えるでしょう。

おすすめのリースバック

セゾンのリースバック

セゾンのリースバック

概要 セゾンファンデックス(クレディセゾングループ)が提供するリースバック。仲介ではなく、セゾンファンデックスが買い主となり、売り主の賃料や初期費用をできるだけ抑えるよう工夫している。
電話やインターネットで相談すると、希望に応じて物件の簡易検査(買取価格と家賃の仮提示)を受けることができる。
また、セゾンファンデックス独自のサービスとして家財保険(火災保険)と高齢者見守りサービスが無料で付帯する点も嬉しい
ここがポイント!
  • 賃料や初期費用をできるだけ抑える方針を採用
  • 家財保険が無料で付帯
  • 高齢者見守りサービス(セコムのホームセキュリティ)が無料で付帯
  • 売却した物件を再度購入することも可能

セゾンのリースバック

一部金融機関がリバースモーゲージの商品を強化。おすすめは?リバースモーゲージのメリットとデメリット。リースバックとの違いとは?

それでは、リバースモーゲージの中で人気の高い商品を見てみましょう。

東京スター銀行「リバースモーゲージ充実人生」

東京スター銀行「リバースモーゲージ充実人生」

概要 利用者満足度94%を誇るリバースモーゲージの代表的商品。東京スター銀行では、ローンの仕組みに「預金連動型」を採用しており、預金と同額のローン残高には利息が発生しない。
ちなみに、融資実行の際は、契約者の普通預金口座に資金が入金され、自由に引き出して使用するシステムをとっている。そのため、資金の引き出しがない(口座に据え置き)の資金には利息がかからず、融資額の全額で利息が計算される他のリバースモーゲージと比較すると、お得に利用できる
なお、普通預金口座以外の「定期預金」「外貨普通預金」「仕組み預金」も預金連動の対象となっているため、一定の金融資産がある場合は、さらに有利になる。
預金連動でなく保証会社を利用する「保証タイプ」のリバースモーゲージも取り扱っているため、自分に合ったほうを利用できる点も嬉しい。
契約者の条件
  • 満55歳以上
  • 年収が120万円以上
  • 契約時に判断能力があること
  • 単身または夫婦での居住
物件の条件 一戸建てまたはマンション
資金使途 自由(事業資金、投資資金は対象外)
融資極度額 500万円以上1億円以内(10万円単位)
※融資極度額は年に1回見直し
金利 ※2020年1月1日より
  • 目的タイプ … 年2.950%(基準金利+調整幅0.6%)※変動金利
  • 保証タイプ … 年4.926%(基準金利+4.8%)※変動金利
  • 目的タイプの利息部分は預金連動対象預金の残高に連動して毎月変動
諸費用
  • 初回利用時 … 極度貸付利用手数料110,000円(税込)
  • (目的タイプ)担保管理料 … 2年目以降、13,200円/年(税込)※年に1回、担保評価額を見直し
  • (保証タイプ)不動産調査手数料 … 融資金額の1.65%相当額(税込)
  • 繰り上げ返済手数料 … 無料
  • その他 … 登記費用、印紙税等の費用(実費)

東京スター銀行

民間金融機関が独自に提供するリバースモーゲージのほかに、住宅金融支援機構が提供するリバースモーゲージ「リ・バース60」と提携した商品も販売されています。

アプラス「リバースモーゲージ型住宅ローン」

アプラス「リバースモーゲージ型住宅ローン」

概要 新生銀行グループの信販会社「アプラス」が、住宅金融支援機構の「リ・バース60」と提携し提供するリバースモーゲージ。 ノンリコース型のローンを提供しており、契約者の死亡時に自宅を売却した場合は、売却価額がローン残債を下回ったとしても追加の返済は不要となる(上回った場合は超過分を相続人に支払い)。 自宅の担保評価も申込時の1回のみとなるため、不動産価格の変動などによって融資極度額が変化する心配がない。 政府系金融機関のリバースモーゲージのため、資金使途と上限が決められている点に注意したい。
契約者の条件
  • 満60歳以上
  • アプラスのカウンセリングを受けた人
  • 安定的な収入が見込める(公的年金・給与所得等)
物件の条件 一戸建て、マンション
資金使途 新築・中古住宅購入資金、新築住宅建築資金、リフォーム等資金、住宅ローンの借換え資金
融資極度額 300万円以上(1万円単位)
  • 担保物件評価額の50%(または60%)
  • 他の借り入れも含めた返済負担率が以下の通り
    年収400万円未満・・・30%以内
    年収400万円以上・・・35%以内
  • 新築・中古住宅購入資金、新築住宅建築資金……5,000万円まで
  • リフォーム等資金……1,500万円まで
  • 住宅ローンの借換え資金の上限は資金使途別の融資極度額に準じる
  • 登記費用や事務手数料も上乗せ可能
金利 ※2020年1月28日現在 年2.675%(三菱UFJ銀行の「短期プライムレート金利(基準金利)+年0.110%」および「住宅融資保険手数料率」に連動した金利)※変動金利
諸費用
  • 融資事務手数料:融資額×2.000%+税 ※融資額への上乗せ可・住宅融資保険手数料:毎月の利息と一緒に
  • 火災保険料
  • 抵当権の設定費用(登録免許税、司法書士報酬等)

アプラス

著者 長尾 尚子

著者 長尾 尚子

フリーランスライター。得意分野は、育児・教育、住宅ローン、保険、金融、エンタメ等、幅広い。子ども2人を育児中のママでもある。
【資格】消費生活アドバイザー、FP2級