お悩み・相談住宅ローンを滞納した場合の3つの対処法

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住宅ローンを滞納した場合の3つの対処法

住宅ローンを滞納するとどうなる?住宅ローンを滞納した場合の3つの対処法

住宅ローンの返済期間中に失業や離婚といった想定外の事態が起きると、収入の大幅ダウンや可処分所得の減少などで月々のローン返済が困難になる場合があります。

住宅ローンの滞納が長引けば、最終的には自宅を手放さなくてはならない場合があるということは、なんとなく理解していても、滞納によって具体的にどのようなことが起きるのか?、一度の滞納でもおおごとになるのか?、などは意外に知られていません。

そこで本特集では、「住宅ローンの滞納」をテーマに、何ヶ月の滞納でどのようなことが起きるのかという一般的な流れを押さえながら、住宅ローンを滞納した場合に行いたい3つの対処法について解説します。

住宅ローンの滞納は要注意!一度の滞納で優遇金利が取り消される場合も

住宅ローンを滞納した場合の3つの対処法

住宅ローンを滞納するデメリットとして特に気をつけたいのが、滞納により住宅ローンの金利が跳ね上がるケースがある点です。

住宅ローンを借り入れる際、ほとんどの方は、金融機関が住宅ローンの融資基準としている金利(基準金利・表面金利)ではなく、そこから一定の引き下げを受けた「優遇金利」で資金を借り入れています。

ところが、一度でも住宅ローンを滞納すると、この優遇が適用されなくなり、基準金利ベースでの返済を求められる場合があります。
金融機関の基準金利と優遇金利との差は、じつに2%以上ある場合も多く、住宅ローンの滞納によって優遇を取り消されると、毎月の返済額は、多い場合だと数万円以上も膨れ上がってしまいます。

もっとも、滞納時の金利優遇の扱いについては、金融機関により規定が異なるため、必ずしも一度の延滞でアウトになる、というわけではありません
ご自身のケースがどのようになるかについては、締結時に交わした住宅ローン契約書に記載されているので、不意の金利アップに驚き、対応に苦慮することがないよう、事前に必ずチェックしておきましょう。

住宅ローンの滞納から強制退去が起きるまでの流れとは?

このように、住宅ローンの滞納においてまずはじめに注意したいのは、優遇金利の取り消しです。
しかし、そのほかにも、延滞する期間が長くなればなるほど、金融機関からの督促や一括返済の要請、遅延損害金の発生など、様々な問題が表面化してきます。
まずは、住宅ローンを延滞することで具体的にどのような事態が発生するのか、延滞の一般的な流れを見てみましょう。

滞納の月数 住宅ローンを延滞するとどうなる?
1ヶ月 金融機関から「通知書」が届く(返済額が引き落とせなかった旨の連絡と、返済期限・返済額などの告知)
※指定の期限までに延滞分を返済すれば大きな問題にはならない
2ヶ月 金融機関から「通知書」および電話連絡がくる
3ヶ月 金融機関から「督促状」が届く(期限までに延滞分の返済がない場合、金融機関に「一括返済」を求められる、もしくは保証会社の「代位弁済」がなされることを警告するもの)
金融機関から「催告書」が届く(内容は督促状とほぼ同じ。金融機関の「最後通告」の意味合いが大きい)
4ヶ月 期限の利益喪失の通知書」が届く(住宅ローンの当初の返済期間が消失し、残債の一括返済と遅延損害金の支払いが確定する)
5ヶ月 代位弁済の通知書」が届く(保証会社もしくは債権回収会社が、債務者に代わって金融機関に「代位弁済」を行う)
6ヶ月 裁判所から「競売開始決定通知書」が届く(保証会社もしくは債権回収会社が、裁判所に競売の申し立てを行い、競売が確定)
7ヶ月 裁判所による「現況調査」が行われる(競売に向けた物件調査)
8ヶ月 裁判所から「期間入札通知書」が届く(競売の売却基準価額や開札日等が告知される)
9ヶ月 競売の入札、開札の実施
※任意売却を行う場合は、この前日までが期限となる
10ヶ月 開札によって購入者が決まると、所有権の移転が行われる
11ヶ月 自主退去が勧告される
13ヶ月 新しい所有者が裁判所に申し立てることで、強制退去となる

保証会社による代位弁済後は、多額の遅延損害金が発生

住宅ローンを滞納すると、通常の返済額に加えて「遅延損害金」というペナルティが発生します。
遅延損害金は、住宅ローンの残債に対して14%程度上乗せされるケースが一般的。
住宅ローンを毎月返済している場合は、月ごとの残債に対する日割り計算となり、金額は数百円程度と大きくはありません。

しかし、滞納が続いて「一括返済」を求められ、保証会社が「代位弁済」を行ったあとは、月単位の残債ではなく、残債の「全額」で、遅延損害金が計算されるようになります
つまり、住宅ローンを月々で支払っていた場合と比較すると、遅延損害金が数十倍にも膨れ上がり、残債に上乗せされてしまうのです。

そのため、住宅ローンの一括返済や代位返済の通知書が届いた場合は、一刻も早く、残債を少なくするために動き始める必要があります。(詳しくは、後述の「住宅ローンを滞納した場合の対処法3:任意売却をする」にて解説)

住宅ローンを滞納した場合の対処法1:金融機関に相談する住宅ローンを滞納した場合の3つの対処法

住宅ローンを滞納した場合の3つの対処法

住宅ローンを滞納すると、金融機関から通知書や電話で連絡がくるようになります。
継続的な返済が難しい場合は、この時点でまず金融機関に相談し、返済期間の延長など、一定期間返済に猶予をもらうことができないか確認しましょう。
すでに何ヶ月かの滞納があり、そのぶんを支払うことができないとしても、とりあえずは相談をすることで、担当者と今後の対策を練ることができます。

反対に、金融機関の連絡に対して、電話に出ない等、無視を決め込むのはNG。金融機関側の対応が強硬になる原因となってしまいます。
可能であれば、住宅ローンを滞納する前に相談することができればベストです。

住宅ローンを滞納した場合の対処法2:住宅ローンを借り換える住宅ローンを滞納した場合の3つの対処法

金融機関への相談とあわせて、知っておきたい対処法が、他の金融機関への借り換えです。
たとえば、今よりも金利の低い住宅ローンに借り換えることができれば、現在ネックとなっている月々の返済額を抑えることができるでしょう。
特に、延滞期間が30日以内など、まだ問題が表面化していない段階であれば、住宅ローンの審査も通りやすいため、検討する価値があります。
金融機関への相談と同じく、可能であれば、住宅ローンを滞納する前に動くのがベストです。

なお、毎月の返済額を抑えたい場合は、借り換えの際に、返済期間を長めに設定するのもおすすめです。返済期間が延びる(=利息を払う期間も増える)ため、総返済額は増加しますが、月々の返済負担は減らすことができます。

一般に、住宅ローンの借り換えは、元の住宅ローンの滞納分を返済し終えてからでないと手続きすることができません。また、金融機関同士が共有する信用情報機関のリストに登録されている場合も、借り換え先の住宅ローンで審査がおりない可能性があります。
その場合は、まず現在の住宅ローンを1年間きちんと返済して実績を作り、そのうえで再度、借り換えの申請を行うと良いでしょう。

auじぶん銀行 住宅ローン

auじぶん銀行 住宅ローン

日本の銀行で初となる住宅ローンのペーパーレス契約を実現。契約書に貼付する印紙代(3,000万円借入で2万円程度)が不要となるほか、審査のスピードも速い。変動金利・期間固定金利を扱い、金利水準の低さに定評がある

楽天銀行 フラット35

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フラット35提携金融機関の中でも最低水準の金利を実現している。融資事務手数料も、楽天銀行を返済用引落口座とすることで1.10%(税込)まで圧縮可能。住宅ローン保証料や一部繰り上げ返済手数料がかからない点も嬉しい。

住宅ローンを滞納した場合の対処法3:任意売却をする住宅ローンを滞納した場合の3つの対処法

住宅ローンを滞納した場合の3つの対処法

返済期間の延長や住宅ローンの借り換えなどが難しい場合は、自宅を手放し、その売却金で住宅ローンを返済する流れとなることがほとんどです。
自分からなにもアクションを起こさないと、保証会社(もしくは債権回収会社)による「代位弁済」が行われたあと、物件は「競売」にかけられます。ただし、競売物件は、不動産の市場価格の6~7割程度で査定されることが多く、また、代位弁済後は多額の遅延損害金が上乗せされていることも多いため、家を処分しても住宅ローンを一括返済することが難しいケースが少なくありません。

これを回避し、少しでも高く住宅を売る方法が「任意売却」です。裁判所が実行する競売とは異なり、不動産会社や金融機関などの民間業者に売却を依頼するため、市場価格に近い売却額で住宅を処分することができます。

任意売却は、家を手放すことが確定した段階で、物件の査定や業者探しなどをはじめるのがベター。
たとえば、延滞4ヶ月目頃に金融機関から届く「期限の利益喪失の通知書」は、それまで月々で支払っていた住宅ローンを、一括で返済するよう求めるものです。これが届いたタイミングや、金融機関の最後通告となる「督促状」などが届いたタイミングで、任意売却に向けた業者探しをスタートすると良いでしょう。

なお、任意売却によって物件を処分できるのは、競売が実行される日(開札日)の前日までです。
また、物件の価値自体も、時間とともに減少していくので、任意売却を行うのであれば、なるべく早い段階で決断し、決めたらすぐに動きはじめることが大切です。

不動産売却・不動産査定のHOME4U

HOME4U(ホームフォーユー)

NTTデータグループが運営する不動産一括査定サイト。参加不動産会社は、大手20社を含む1,000社以上と圧倒的。1度の依頼で最大6社の不動産査定額を取り寄せることができる。査定依頼は、物件所在地や現況などを入力し、最短1分で完了。さらに「物件を高く売るポイント」など、任意売却に役立つコンテンツも充実している。

すまいValue

すまいValue

大手不動産会社6社が参加する不動産一括査定サイト。「住友不動産販売」「三井のリハウス」「小田急不動産」「三菱地所ハウスネット」「野村の仲介」「東急リバブル」の6社が参加。査定依頼は約1分で完了し、該当する大手不動産会社からの査定が届く。実際にサービスを利用したユーザーの満足度は96.7%と極めて高い

住宅ローンの延滞は早めの対処が肝心。複数の窓口を利用してピンチを乗り切ろう住宅ローンを滞納した場合の3つの対処法

住宅ローンを滞納した場合の3つの対処法

20年、30年と長期で返済していくことが多い住宅ローンは、想定外のトラブルで滞納をしてしまうケースも決して少なくありません。

住宅ローンを滞納したときに、もっともしてはならないのは、金融機関からの連絡に応えず、問題を放置してしまうこと。
継続的な返済が難しいようであれば、まずはすぐに金融機関に相談をしましょう。
金融機関の目的は、債務者に貸し出した資金を無事に回収することです。そのため、返済が難しい、という相談があれば、よほど特殊な事情がない限り、返済期間を延ばすなど、契約者が無事に住宅ローンを払い終えるための方法を提示してくれるでしょう。

一方、借り入れ中の住宅ローンの金利が、あまり良い条件でない場合は、より有利な住宅ローンへと借り換える方法もおすすめです。
住宅ローンを滞納していると、場合によっては、借り換え先の住宅ローンの審査に通りにくくなるため、できれば滞納する前や、滞納から1ヶ月以内などの、早期の相談がおすすめです。

ただし、上記の方法をとっても返済が困難なようであれば、現在の住宅を手放し、残債を少しでも減らす方向に切り替えると良いでしょう。
任意売却は、競売よりも住宅を高く売ることで、住宅ローンの残債を圧縮する効果の高い方法です。競売が実行される前に、不動産会社などの協力を得て、物件の高値売却を目指しましょう。

資金まわりの相談は、なかなか他人には打ち明けづらい、という方も多いもの。
しかし、住宅ローンを滞納したとしても、対処法は複数あり、相談できる窓口もいくつもあります
決して、ご自身やご家族のみで問題を抱え込まず、今回ご紹介した対処法も参考に、状況をオープンにし、問題解決の糸口を探りましょう!

著者 長尾 尚子

フリーランスライター。得意分野は、育児・教育、住宅ローン、保険、金融、エンタメ等、幅広い。子ども3人を育児中のママでもある。
【資格】消費生活アドバイザー、FP2級