銀行の選び方住宅ローンに特約は必要?プロの答えとおすすめできる特約とは

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住宅ローンに特約は必要?プロの答えとおすすめできる特約とは

はじめに住宅ローンに特約は必要?プロの答えとおすすめできる特約とは

住宅ローンは、契約者に万一のことがあった場合のリスクに備え、「団信(団体信用生命保険)」への加入を必須としています。この団信とは、ローン返済期間中、住宅ローン契約者が死亡または高度障害になった場合、以降の住宅ローン返済が不要になるというもの。

住宅ローンの返済期間は極めて長いため、この期間に起こるリスクは、団信が保障している死亡や高度障害だけではありません。そのため、住宅ローンを組む際は、通常の団信では保障の範囲外になるがんやその他の疾病などの保障を付加できる任意加入の「特約」を検討する方も多いはず。

そこで今回は、住宅ローンを契約する際に付帯できる特約に注目。プロの視点から、特約を付ける必要があるのかどうかをわかりやすく解説します。さらに、プロがおすすめする住宅ローンの特約についての紹介も。
これから住宅ローンの借り入れ・借り換えを検討しており、特約を付けるべきか迷われている方は、本特集を参考に、住宅ローンの特約について、しっかり確認しておきましょう。

住宅ローンの特約は必要?それとも不要?住宅ローン比較 編集部の答え住宅ローンに特約は必要?プロの答えとおすすめできる特約とは

住宅ローンの特約には、「団信だけではカバーできない病気(またはケガ)のリスクに備えることができる」、「住宅ローンを契約するタイミングで一緒に申し込むことができ、加入する手間を省ける」といったメリットがある一方で、特約だけではカバーできない疾病がある他、特約に加入することで、追加費用が発生するケースがあるなど、注意点もあります。
これらの点を考慮した上で、ずばり住宅ローンに特約を付帯する必要はあるのでしょうか?

住宅ローンのプロを自認している住宅ローン比較 編集部は、「原則として、無料で付帯できる特約であれば間違いなく必要。逆に上乗せ金利が必要になるものはじっくり検討すべき」と考えています

以下にその理由をまとめました。住宅ローンの特約への加入を検討している方は、是非チェックしてみてください。

住宅ローンの特約 無料で付帯できるものをおすすめする理由 その1住宅ローン金利に上乗せされる保険料は無視できない

住宅ローンの特約

住宅ローンに特約を付帯する場合、その保険料は、住宅ローン金利に年0.2%~0.3%上乗せとなるケースがほとんどです
特約の保険料は、借入れ額や上乗せ金利によって異なりますが、例えば、30年固定で3,000万円を借り入れ、年0.2%金利上乗せで特約を付帯、毎年100万円ずつ返済(※利子への0.2%金利上乗せは簡易計算のため割愛)した場合を考えます。
このケースだと30年間で支払う保険料は93万円強。同じ条件で、年0.3%金利上乗せで特約を付帯した場合の30年間で支払う保険料は、140万円強と、決して無視できない保険料を負担することに。

対して無料で加入できる特約に関しては、金融機関が上乗せ金利を負担しているため、その金額分、加入者は得していることになるのです。無料で加入でき、且つ保障が受けられるのであれば、住宅ローンの特約に加入しない理由はないでしょう。

また、金利上乗せで特約を付帯する場合、トータルでどのくらいの保険料がかかるのかをあらかじめ試算し、保険料と保障内容が見合うかを確認した上で、特約を付帯する必要があるかどうかを判断することが大切です。

住宅ローンの特約 無料で付帯できるものをおすすめする理由 その2保険が適用されるのは、住宅ローン契約期間中のみ

住宅ローンの特約が適用されるのは、住宅ローン契約期間中のみです。つまり、住宅ローン完済後に該当の病気やけがをした場合、保険は適用されません。
また、特約に加入できるのは、住宅ローン契約時のみとなっているほか、加入後に契約内容を変更できない点や、途中解約ができない点にも注意が必要です。

当り前のことですが、住宅ローンの特約は終身保険ではありません。
特約に加入する際は、返済期間中のリスクを考えた場合、どういう特約が必要なのか、住宅ローンを契約する段階で、その必要性をを検討しておくことが大切です

無料で付帯できるものに関しては、マイナスに作用する可能性はありません。住宅ローン加入者は、ノーリスクで保障を付加できるので、間違いなく有用と言えるでしょう。

住宅ローンの特約 無料で付帯できるものをおすすめする理由 その3特約の保障内容が金融機関によって異なる

住宅ローンの特約

住宅ローンの団信に付帯できる特約は、「がん保障団信」「三大疾病保障」「八大疾病保障」「介護保障」「全疾病保障」等、様々な種類があり、金融機関によって取り扱いが異なります
また、同じ名称の特約でも、利用する住宅ローン次第で保障内容が異なる点には注意が必要です。
例えば、同じ疾病保障でも、保障の適用を受けるために必要となる就業不能期間が異なるケースや、住宅ローンの支払いが免除される期間にはそれぞれ違いがあるため、特約に加入する際は、適用条件をチェックしておくと良いでしょう。

これらの内容を踏まえた結果が、冒頭の「原則として、無料で付帯できる特約であれば間違いなく必要。逆に上乗せ金利が必要になるものはじっくり検討すべき」という編集部の見解です。

無料の特約だけでは、病気やケガのリスクに不安を感じるという方は、掛け捨て型の生命保険や医療保険へ別途加入するのも選択肢の一つ。

近年はネット生保やダイレクト生保が、リーズナブルな保険料で保障を提供しているので、団信と近い保障をより安価に受けられるケースも少なくありません。また住宅ローンを借り換えた場合や、住宅ローンの契約期間終了後も保険を継続することができる他、必要に応じて、加入プランや保障内容の見直しが行える点も大きな魅力です。

住宅ローン比較 編集部厳選!おすすめする住宅ローンの特約 4選住宅ローンに特約は必要?プロの答えとおすすめできる特約とは

それでは、特約を無料付帯できる住宅ローン商品にはどういったものがあるのでしょうか?
本チャプターでは、住宅ローン比較 編集部が厳選した、おすすめの住宅ローンとその特約をご紹介します。

おすすめの住宅ローンの特約 その1

auじぶん銀行 住宅ローン がん50%保障団信

auじぶん銀行 住宅ローン がん50%保障団信

特約料(追加費用) 無料
保障内容

保険の適用条件
責任開始日からその日を含めて90日(免責期間)経過後の保険期間中に「所定の悪性新生物(がん)」に罹患したと医師によって診断確定された場合(※就業不能状態やがんの進行程度は問わない)

保障内容
診断確定時点における住宅ローン残高が半分になる。

  • ただし、8疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、肝硬変、高血圧症、慢性腎不全、慢性膵炎)以外の疾病やケガの場合、1ヵ月間の免責期間あり。
特徴

三菱UFJ銀行とKDDIが共同出資するネット銀行「auじぶん銀行」の住宅ローン。がん50%保障団信を日本で初めて提供、そのお得度の高さから利用者から高い評価を獲得している。
auじぶん銀行が提供する「がん50%保障団信」は、上乗せ金利なしで無料付帯可能。また就業不能状態かどうかや、がんの進行程度は問わず、「がん」と診断(上皮内新生物は除く)された時点で、住宅ローン残高を半分にすることができる。(※ただし満50歳までの契約者のみ。また、金利を年0.1%上乗せすると、「がん」と診断(上皮内新生物は除く)された場合、住宅ローン残高が0円になる「がん100%保障団信」を付帯可能)
さらに、auじぶん銀行は、日本の金融機関ではじめて住宅ローンの申し込みから契約までをネットで完結する仕組みを実現。契約にかかる印紙代を節約できるだけではなく、申し込みから契約まで、最短10日で完結する点も嬉しい。
その他にも、保証料・一部繰り上げ返済手数料に加え、変動金利、短期及び中期の住宅ローン金利が低めに設定されている点も大きな魅力
住宅ローン商品としての利便性の高さ、金利の低さに加え、追加の費用負担なしでがん50%保障団信に加入でき、下記で紹介する全疾病保障も付帯できるauじぶん銀行は、住宅ローン選びの際、有力な選択肢の一つになるだろう。

auじぶん銀行 住宅ローン

おすすめの住宅ローンの特約 その2

SBI新生銀行 住宅ローン 安心パック

SBI新生銀行 住宅ローン 安心パック

特約料(追加費用) 108,000円(税込)※事務取扱手数料含む
保障内容

■ 安心保障付団信

保険の適用条件
特定の症状によらず、引受保険会社所定の要介護状態が180日以上継続した場合、または、公的介護保険制度の「要介護3以上」に認定された場合

保障内容
住宅ローン残高が0円になる。

その他 特約内容

■ コントロール返済
一部繰り上げ返済を行い、返済期間を短くした分、収入や支出に変動があった場合、毎月の返済額を少なくできる(※一時的に返済をストップすることも可能)

  • ただし、8疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、肝硬変、高血圧症、慢性腎不全、慢性膵炎)以外の疾病やケガの場合、1ヵ月間の免責期間あり。
特徴

利便性の高さと充実したサービス内容に定評があるSBI新生銀行の住宅ローン。
SBI新生銀行では、事務取扱手数料として108,000円(税込)を支払うことで「安心保障団信」と「コントロール返済」がセットになった特約「安心パック」を付帯可能
「安心保障団信」は、特定の症状によらず、所定の要介護状態になった場合等に住宅ローン残高が0円になる特約で、特定の病気・ケガに限定されず、様々な疾病のリスクに備えることができる。また、「コントロール返済」を利用することで、一部繰り上げ返済を行い返済期間を短くした分、通常の返済額を抑えることができ(※一時ストップすることも可能)、必要に応じて家計の負担を調整することが可能。
さらに、ネット銀行では住宅ローンの事務取扱手数料を借入れ金額の2.20%(税込)に設定しているケースが多いが、SBI新生銀行の場合110,000円(税込)の定額制を採用。借入れ金額によっては事務取扱手数料の負担を大幅に抑えることができる
他の住宅ローンと比較すると初期費用を抑えることができ、充実した特約が付帯するSBI新生銀行は、チェックしておくべき住宅ローンの一つ。

SBI新生銀行 住宅ローン

おすすめの住宅ローンの特約 その3

住信SBIネット銀行 住宅ローン(WEB申込コース) 全疾病保障

住信SBIネット銀行 住宅ローン 全疾病保障

特約料(追加費用) 無料
保障内容

■ 就業不能状態になった場合

保険の適用条件
責任開始日以降に被った病気やケガ(※精神障がいを除く)により、責任開始日から3ヵ月を経過した日の翌日以降に就業不能状態になった場合

  • ただし、8疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、肝硬変、高血圧症、慢性腎不全、慢性膵炎)以外の疾病やケガの場合、1ヵ月間の免責期間あり。

保障内容
月々の住宅ローン返済額が0円になる

■ 就業不能状態が一定期間継続した場合

保険の適用条件
責任開始日以降に被った病気やケガ(※精神障がいを除く)により、責任開始日から3ヵ月を経過した日の翌日以降に就業不能状態となり、その日から12ヵ月を経過した日の翌日0時まで就業不能状態が継続した場合

  • ただし、8疾病以外の病気やケガの場合、入院により就業不能状態になった場合に限る

保障内容
残りの住宅ローン残高が0円になる

特徴

数あるネット銀行のなかで、トップクラスの実績と満足度を誇る「住信SBIネット銀行」の住宅ローン。
住信SBIネット銀行では、病気・ケガのリスクに全方位で備える「全疾病保障」を用意。金利上乗せなしで無料付帯することができる。この「全疾病保障」は、病気やケガによって就業不能状態になった場合、月々の住宅ローン返済が0円になるほか、就業不能状態が一定期間継続すると、その時点の住宅ローン残高が0円になるというもの。
ただし、保障を受けるための条件が、「就業不能状態が12ヵ月以上経過した場合」や「8疾病以外の病気やケガによる就業不能状態は入院の場合に限る」等、他の金融機関と比較して厳しくなっている点には注意が必要。
特約の適用条件の厳しさには十分な注意が必要だが、住宅ローンを借りる際は全方位でリスクに備えたいという方であれば、チェックしておくべき住宅ローン商品の一つ。

住信SBIネット銀行 住宅ローン

おすすめの住宅ローンの特約 その4

auじぶん銀行 住宅ローン 全疾病保障

auじぶん銀行 住宅ローン 全疾病保障

特約料(追加費用) 無料
保障内容

保険の適用条件
責任開始日からその日を含めて180日(免責期間)経過後の保険期間中に、全ての疾病(病気・ケガ)(※1)で入院が継続180日以上となった場合

保障内容
住宅ローン残高が0になる。

  • ※1:ただし精神疾病は除く
特徴

三菱UFJ銀行とKDDIが共同出資するネット銀行「auじぶん銀行」が2019年2月から新たに提供を開始した住宅ローンの新しい特約。auじぶん銀行の住宅ローン契約者であれば、だれでも無料で保障を付帯することができる。
auじぶん銀行の全疾病保障は、免責期間経過後、精神疾患除く病気・ケガで180日以上継続して入院すると、住宅ローン残高が0円になる。また上述したがん疾病保障と併用することもできる。
例えば住宅ローン契約期間中にがんと診断され、住宅ローンが半分になり、入院期間が長引き180日経過した場合は、住宅ローン残高が0になる
契約者向けに特約を用意している住宅ローンは多いが、がん50%保障団信に加え、全疾病保障も付帯できる住宅ローンは、2019年2月時点ではauじぶん銀行をおいて他にはない。特約の充実した住宅ローンを希望するのであれば、auじぶん銀行は間違いなく有力な選択肢の一つ。

auじぶん銀行 住宅ローン

まとめ住宅ローンに特約は必要?プロの答えとおすすめできる特約とは

住宅ローンの特約

住宅ローンの団信に付帯できる特約について解説した今回の特集はいかがでしたでしょうか?

住宅ローンの返済は長期間に渡るため、病気やケガなど、万一のリスクにはしっかり備えておきたいものです。
ただ、一口に「特約」といっても、保障内容は金融機関によって大きく異なります。また、無料で付帯できる特約もあれば、住宅ローン金利に年0.2%~0.3%上乗せすることで付帯できるものもあるため、住宅ローンに特約を付帯する際は、その内容を事前に確認し、万一の場合、必要な保障をしっかりと受けられるものを選ぶことが大切です

これから住宅ローンの借入れ・借り換えを検討されている方は、本特集を参考に、住宅ローンの特約についてしっかりチェックし、自分に合ったものを選択しましょう。

著者 溝口 麻衣

著者 溝口 麻衣

Hayakawa所属のチーフライター兼編集者。住宅ローンの諸費用を比較。住宅ローンに特約は必要?プロの答えとおすすめできる特約とはについての調査と記事執筆を担当。
わかりやすく、ちょっとした気付きのある記事を目指し、日々原稿を執筆している。2級FP技能士取得。