住宅ローン 選び方新築と中古のマンションどっちがお得?初期費用、減税、住宅ローンの違いは?

新築と中古のマンションどっちがお得?初期費用、減税、住宅ローンの違いは?

マンションを購入するなら新築?中古?新築と中古のマンションどっちがお得?初期費用、減税、住宅ローンの違いは?

2019年10月1日からついに消費税が10%にアップしました。新築マンションの販売価格に対する消費税も8%から10%にアップしており、不動産販売への影響も今後出てくる可能性があります。

その一方で新築マンションの販売価格は高止まりが続いており、マンションの購入を検討している人の中には、マンションを新築で購入するか、手ごろな中古を探すかで迷っているという方も多いのではないでしょうか。

新築と中古は、「建物や設備の新しさ」「物件価格」「広さや立地」などのほかに、購入時にかかる「初期費用」や購入後に必要となる「維持費用」、「住宅ローン控除」や「すまい給付金」といった税制優遇制度など、実は多くの違いがあります。

マンションを比較する際は、このような新築と中古の違いについて押さえておくことが重要です。ポイントをしっかり押えておけば、気になる物件が見つかったとき、新築・中古それぞれのメリットとデメリットに照らし合わせ、注意点やチェックすべきポイントなどを把握できるはずです。

そこで今回は、「新築マンションと中古マンションの違い」にスポットを当てて、新築と中古それぞれの特徴や制度について解説。

現在、マンションの購入を検討中の方はもちろん、色々なマンション物件を見ていく中で、新築と中古どちらにしようか迷っている……という方は、是非チェックしてみてください!

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フラット35に借り換えるメリット、デメリットとは?金利、手数料の違いは?

新築と中古のマンションでもっとも気になるポイントといえば、やはり購入時にかかる初期費用と、購入後にかかる税金・維持費用など、トータルでの費用の違いでしょう。

物件価格に関しては、面積や立地などの条件が同じであれば、新築のほうが高くなるケースがほとんど。特に、規模の大きい新築マンションは、多額の宣伝コストをかけてモデルルームや広告などを展開することが多く、これらの費用が価格に上乗せされることで、中古マンションよりも割高になります。

ただし、登録免許税や不動産取得税、固定資産税等、住宅の取得にかかる税金については、新築マンションにはさまざまな優遇制度が設けられており、中古マンションと比較すると有利(下表)です。

一方で中古マンションでは、物件価格の3%+6万円+消費税を上限に、仲介手数料として不動産会社に支払う必要があります。中古マンションの価格(数千万円単位)によっては、仲介手数料が数百万円になることも少なくありません。この仲介手数料は、新築と中古のマンションを初期費用で比較する際には、無視できない存在です。

なお、中古マンションでは、売り主が個人の場合、建物の価格に消費税はかかりません。つまり新築マンションの購入にかかる10%の消費税が必要ないのです。これは中古マンションを購入する大きなメリットと言えるでしょう。
ただし、不動産会社が物件を買い取り、リフォームしてから売り出す場合(買取再販)は、施工費や利益などに消費税がかかります。

また、中古マンションを買ってリフォームしたいと考えている場合は、70平方メートルで500万円前後(大規模リフォームの場合)が必要です。このリフォーム費用には消費税がかかります。

新築マンションと中古マンションの初期費用・維持費用を比較

新築マンション 中古マンション
初期費用
物件価格 同じ条件(延床面積・立地など)の中古と比較すると割高。
※広告宣伝費や人件費の含まれる割合が大きい
同じ条件(延床面積・立地など)の新築と比較すると割安
※広告宣伝費や人件費の含まれる割合が小さい
消費税 建物本体に含まれている 不要(売り主が個人の場合)
仲介手数料 不要 物件価格×3%+6万円+消費税
(【例】3,000万円の物件で105万6,000円)
修繕積立基金・修繕積立準備金 購入時に20~50万円前後 不要
登録免許税 所有権保存登記 … 0.15%
(通常の0.4%から0.25%の優遇)
所有権移転登記 … 0.3~0.1%
(通常の2.0%から1.7%軽減。業者による買取再販の場合は1.9%軽減)
不動産取得税 固定資産税評価額から1,200万円が控除される 新築日が1997年3月31日以前の場合、固定資産税評価額からの控除額が1,000万円~100万円に減額
維持費用
固定資産税(毎年) 新築から5年間、建物の居住用部分120平方メートルまでの税額が2分の1になる 新築から5年以上経過しているマンションは軽減措置なし。軽減措置がない場合は築年数が古いほうが安くなる
修繕積立金(毎月) 新築当初は低い 築年数が経つほど高くなる

新築マンションと中古マンション、住宅ローンや住宅ローン控除はどうなる?新築と中古のマンションどっちがお得?初期費用、減税、住宅ローンの違いは?

新築と中古で、住宅ローンや住宅ローン控除に違いがあるかどうかも知っておきたいポイントの1つです。

住宅ローンに大きな違いはない

新築と中古のマンションどっちがお得?初期費用、減税、住宅ローンの違いは?

住宅ローンに関しては、民間の金融機関・フラット35ともに、新築と中古で大きな違いはありません
住宅ローンの金利や、金融機関に支払う事務手数料・住宅ローン保証料なども、物件が新築か中古かは問われず、ほとんど差がないのが一般的。

ただし、フラット35は、利用条件として、物件の床面積(マンションは30平方メートル以上)や、「管理規約が定められていること」「20年以上の長期修繕計画があること」等の規定があるため、フラット35を利用してマンションを購入する場合は、これらの条件を満たしていることが必要になります。

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「住宅ローン控除」と「すまい給付金」は新築のほうが手厚い

住宅ローン控除とは、10年以上の住宅ローンを契約した場合に、年末の住宅ローン残高の1%が控除される制度です。
新築の場合は、年末残高の4,000万円×1%を上限に、10年間で最大400万円の控除を受けることができます
また、2020年12月31日までに居住を開始した場合は、消費税増税にともなう期間限定の移行措置として、減税期間が10年間から13年間に延長されます。
その一方で、消費税がかからない中古マンションの場合、住宅ローン年末残高の上限額は2,000万円×1%となり、10年間の最大控除額は200万円と、新築の半分です。

同じく、消費税増税に伴う補助制度として作られた「すまい給付金」も、新築の場合は最大50万円が支給される一方で、中古マンションは対象外となります。

新築マンションと中古マンションの住宅ローン控除・すまい給付金を比較

新築マンション 中古マンション
住宅ローン控除 同住宅ローン年末残高(上限4,000万円)の1%が10年間控除される。最大400万円。一定条件を満たす場合は、控除期間が13年間に延長※。 住宅ローン年末残高(上限2,000万円)の1%が10年間控除される。最大200万円。
すまい給付金 年収が775万円(目安)の場合、最大50万円を支給 建物の本体価格が消費税対象にならない場合は対象外
  • 消費税率10%期間中に住宅を取得し、令和2年(2020年)12月31日までに居住を開始した場合

新築マンションと中古マンション、物件を選ぶときのポイントは?新築と中古のマンションどっちがお得?初期費用、減税、住宅ローンの違いは?

新築マンションと中古マンションは、物件選びにおいても、注目すべきポイントに大きな違いがあります。

新築マンションは「完成前」に売り出される

新築と中古のマンションどっちがお得?初期費用、減税、住宅ローンの違いは?

新築マンションは、建物の完成前から購入者を募集し、説明会やモデルルーム見学を開催するケースが一般的です。(完成した物件でまだ販売を継続しているケースもありますが、それは売れ残った部屋か、実際の入居のタイミングで住宅ローン審査に落ち、購入がキャンセルになった物件です。)
設備や内装が新しく、広さや間取りも現代のライフスタイルに沿ったものが多い点が、新築マンションの大きなメリット。
マンションによっては、購入する前に自分好みに間取りを変更することや、オプションを追加することで、設備をグレードアップすることも可能です。
一度に販売する戸数も十数戸から数十戸(※大規模タワーマンションなら数百戸のケースも)と多めで、さまざまな部屋のタイプ・広さ・価格帯を比較しながら選ぶことができます。
ただし、実際の物件を見ないで契約するため、「眺望が想像の通りではなかった」「モデルルームと実際の間取りの雰囲気が違う」といった問題も起こりやすくなります。

中古マンションはバリエーションの豊富な1点もの

中古マンションは、建物がすでに完成しているため、室内の様子や窓からの景色、日当たりなどを実際に自分の目で確認できることから、ミスマッチが起きる可能性は少なくなります
管理組合がきちんと機能しているか、同じマンションにはどのような人が住んでいるかなど、住環境を把握しやすい点も大きなメリットです。
新築マンションと比較すると物件の数が多く、特に都心部では、最寄り駅や沿線というせまい範囲で絞り込んでも複数の候補を見つけることができます。
ただし、中古マンションの場合、築年数によっては、設備や間取りなどが古いケースや、リフォームに不向きの物件も少なくありません。購入後のトラブルを防ぐため、建物の構造や、専有部分と共用部分の区切りなどは、購入前にしっかりチェックしておきましょう。
特に、建物や室内の修繕履歴、また、購入後に問題が出てきた場合の瑕疵担保責任の所在などはしっかりと確認しておきたいポイントです。

新築マンションと中古マンション、物件選びのポイント

新築マンション 中古マンション
建物 未完成の状態で販売されることが多いため、眺望や日当たりがイメージ通りでない場合も。
構造部分に10年保証が付帯。
建物に加えて、共用部分の管理の様子や他の住人の様子もチェックできる。
構造、ヒビの有無、修繕履歴などをチェック。購入後に問題があった場合の瑕疵担保責任を確認(売主か仲介会社か)。
立地 駅前の再開発等で有利な立地新築も増えている。 駅チカから郊外まで選択肢が多い。
物件数 まとめて売りに出されることが多い。 ほとんどの物件が1点もの。
広さ・間取り 複数の間取りから選択できることが多い。自分の好みにアレンジできる場合も。 同面積であれば新築よりも価格が割安。築年数によっては現代のライフスタイルに合わない場合も。
設備 最新の設備が使われている。メーカー保証も付帯。
オプションで設備のグレードアップも可。
新築よりも設備は古くなる。ディスポーザー等、あとから設置できない設備は利用できない。
物件の探し方 「○○町の付近」「通勤が可能なエリア」などのように広範囲に見ていく。
モデルルームに足を運んで展示や解説をチェックする。
物件の数が多いため、最寄り駅や沿線などで絞り込んで探すのがおすすめ。
向いている人 立地や間取りなどの希望条件がはっきり固まっていない。
建物や設備が新しいほうがいい。
希望するエリアや部屋の広さなど、希望が絞り込みできている。
価格を抑えたい。
広い間取りがいい。
リフォームを検討している。

新築と中古マンションの比較すべきポイントは「費用」「制度」「物件」!違いを知って自分にベストなマンションを選ぼう!新築と中古のマンションどっちがお得?初期費用、減税、住宅ローンの違いは?

新築と中古のマンションどっちがお得?初期費用、減税、住宅ローンの違いは?

マンションを選ぶ際、新築と決めていても、中古で良い物件を見つけると心が動いたり、反対に、新築のモデルルームに惹かれて中古から乗り換えたくなったりと、迷った経験のある方は多いでしょう。

同じマンションでも、新築と中古では、必要な初期費用が異なり、制度面での扱いにも違いがあります

多くの物件を見ていく中で、迷いが出てくるのは、むしろ当然のこと。新築・中古それぞれの初期費用や税制優遇制度、物件のチェックすべきポイントを理解していれば、仮に、今まで考えていなかったところから気になるマンション物件が出てきたとしても、悩むことなく、それまでの候補と比較することができるはずです。

今回ご紹介した「新築マンションと中古マンションの違い」も参考に、ぜひ、ご自身の希望にぴったりのマイホームを見つけてください!

著者 長尾 尚子

フリーランスライター。得意分野は、育児・教育、住宅ローン、保険、金融、エンタメ等、幅広い。子ども3人を育児中のママでもある。
【資格】消費生活アドバイザー、FP2級