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現金一括vs住宅ローン -住宅の購入はどちらがお得?メリット&デメリットを比較-
- 住宅ローンの基礎知識

はじめに
住宅を購入する際、ある程度まとまった資金があり、現金で一括購入するか、住宅ローンを利用するかを迷っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
共働き世帯の増加や、住宅取得資金の贈与税非課税制度*などを背景に、住宅購入において、現金一括で購入できるだけの金額を用意できるケースも徐々に増えてきています。
一方で、住宅ローンにも「住宅ローン減税(住宅ローン控除)」をはじめとする優遇制度が設けられており、長い目で見てどちらが有利なのか、とっさには判断がつかない、という方がほとんどでしょう。
そこで今回は、「住宅の現金購入と住宅ローンはどちらがお得か?」にスポットを当てて、現金一括購入と住宅ローン、それぞれのメリット&デメリット、実際に支払う金額や住宅ローン控除で戻ってくる額などをシミュレーションしながら比較していきます。
現金一括vs住宅ローン -住宅の購入はどちらがお得?メリット&デメリットを比較-
現金一括購入と住宅ローンのメリット&デメリットを比較
まずは下表を参考に、現金一括購入と住宅ローンのメリットとデメリットを整理してみましょう。
現金一括購入と住宅ローンのメリット&デメリット
現金一括購入 | 住宅ローン | |
---|---|---|
住宅ローンの契約手続き |
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借入利息の支払い |
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諸費用(保証料、事務手数料、印紙代等)の支払い |
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住宅ローン控除 |
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生活予備資金 |
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資産運用資金 |
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団体信用生命保険 |
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住宅を現金一括で購入するメリット&デメリット
- 現金一括購入のメリット
- 住宅を現金で一括購入する最大のメリットは、借入利息や住宅ローン契約に伴う諸費用(事務手数料や保証料、団体信用生命保険料など)を支払う必要がない点です。
- 金利や借入額・借入期間により異なるものの、借入利息は数百万円単位で元本に上乗せされるケースが珍しくありません。諸費用も、金融機関ごとに手数料体系は異なりますが、数十万円単位となるケースが一般的。これらの費用をすべて支払わずに済むと考えれば、現金での一括購入に気持ちが傾く方も多いでしょう。
- また、住宅ローン契約に関する様々な手続き(金融機関への相談や書類作成等)が不要になる点もメリットです。
- 現金一括購入のデメリット
- 一方、現金一括購入のデメリットは、手持ちの現金が少なくなる点です。
- 住宅購入後も、子供の教育費や、いざというときの生活予備資金などは充分確保しておかなければ、急な出費に対するリスクを抱えることになります。また、住宅ローン控除も適用されないため、毎年の所得税や住民税の控除も受けることができません。
- そのため、貯蓄の全額を住宅購入に充てなければ現金での一括購入が難しい場合や、毎年の所得税・住民税額が高い場合(収入が多い・扶養家族がいない等)は、必ずしも現金での購入がお得にならない可能性があります。
住宅ローンを組むメリット&デメリット
- 住宅ローンのメリット
- 住宅ローンを組む最大のメリットは、低い金利でまとまった資金を借りられる点と、現金を手元に置いたまま住宅を購入できる点です。住宅ローンは、他のローン(教育ローン、カードローン、マイカーローン等)と比較すると、圧倒的に低金利。シミュレーション等で事前にしっかりと借入可能額を吟味しておけば、家計の負担にもなりにくく、無理のない返済計画を立てることができます。手元に置いた現金は、生活予備資金などに充てることはもちろん、住宅ローンの金利よりも高い利回りで運用できれば、住宅購入に使用するよりも、家計にとってプラスとなるでしょう。
- さらに、年間最大35万円の税額控除(※)が13年間受けられる「住宅ローン控除」をはじめとする国の優遇制度を利用できる点もメリットです。
- また、住宅ローン契約時は「団体信用生命保険」への加入が必須となるため、万一、契約者が死亡・高度障害となった場合は、保険会社との契約によって住宅ローンの支払いを肩代わりしてもらうこともできます。
- 年末の住宅ローン残高が5,000万円以上/認定優良住宅の場合
- 住宅ローンのデメリット
- 一方、住宅ローンのデメリットは、借入利息や諸費用の支払いが必要になる点です。ちょうど現金購入により受けられるメリットとは、正反対の内容になっています。
- また、住宅ローンの申し込み込や契約書類の準備に一定の手間がかかる点も、多忙な人にとってはデメリットでしょう。
- 特に、給与や雑所得等を含めた合計所得金額が2,000万円を超す場合は、住宅ローン控除の適用条件から外れるため、住宅ローンを組むことによるメリットを受けにくくなります。
現金一括購入と住宅ローンの支払額はどの程度違う?
このように、現金一括購入と住宅ローンには、それぞれメリット・デメリットがありますが、実際に、同じ物件価格の住宅を購入する場合、現金での一括購入と住宅ローンの利用とでは、どの程度、支払金額が変わってくるのでしょう。
3,000万円の住宅を現金で一括購入したケースと、頭金500万円を用意し2,500万円を住宅ローン(※住信SBIネット銀行 ネット専用住宅ローン)で借り入れたケースとで支払金額を比較してみましょう。
現金で一括購入した場合と住宅ローンを組んだ場合の総返済額&諸費用を比較
現金一括購入 | 住宅ローン ※住信SBIネット銀行ネット専用住宅ローンの場合 |
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---|---|---|
住宅ローン頭金 | 3,000万円 | 500万円 |
借入額 | ― | 2,500万円 |
借入利息 ※1 | ― | 198万円 |
事務取扱手数料 ※2 ※3 | ― | 55万円 |
住宅ローン保証料 ※4 |
― | 不要 |
団体信用生命保険料 ※4 |
― | 不要 |
その他、共通でかかる費用 |
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合計 | 3,000万円 | 3,253万円 |
- 試算条件:物件価格3,000万円、借入期間35年間、返済方法:元利均等、ボーナス返済なし、借入期間中の金利の変動をなしとした場合
- 変動金利:年0.44%の場合
- 借り入れ金額の2.2%(税込)
- 取扱事務手数料は金融機関ごとに異なる
- 金融機関ごとに異なる
上表を見ると、現金一括で住宅を購入した場合と住宅ローンを借り入れた場合とで、支払額の差は253万円。ネット銀行が提供する住宅ローンは、金利が低く、保証料・団信保険料などが無料となるケースが多いため、支払額の差は比較的小さくなっています。(保証料や団信保険料のかかる金融機関の場合、支払額が増える場合もあります。)
住宅ローン減税(住宅ローン控除)ではどれくらい節税できる?
一方、上記の借入額(2,500万円)で住宅ローンを組んだ場合の住宅ローン控除を見ると、下記のようになります。
住宅ローン控除額例
住宅種別 | ||
---|---|---|
長期優良住宅・低炭素住宅 | 一般住宅 | |
年収550万円 | 184万円 | 184万円 |
- 試算条件:借り入れ金額2,500万円、借り入れ金利0.44%、入居年月2023年1月、返済期間35年、新築住宅、控除対象配偶者あり、16才未満の子なし
- 上記の住宅ローン控除額は、「住宅ローン控除(減税)シミュレーション(価格.com)」をもとに試算しています。
上記の例を見ると、住宅ローン控除で180万円以上の減税効果があることがわかります。
住宅ローン減税も加味した場合の現金一括購入と住宅ローンの差は、35年間で約70万円。1年あたり約2万円の差となります。ただし、住宅ローンの場合、繰り上げ返済を利用すれば、その差額を、より縮めることができます。
実際の金額差は、住宅ローンの金利・借入額・借入期間によって変動するため、一概に結論づけることはできませんが、現金一括購入と住宅ローンの支払総額の差は、思ったよりも大きくないことがわかるのではないでしょうか。
住宅を購入する際、現金一括購入か住宅ローンかを迷ったら、まずはこのように、借入額と金利・借入期間等で、利息・諸費用・住宅ローン控除の目安額等を試算してみることをおすすめします。
支払総額の差がそれほど大きくないようであれば、現金を手元に残すことができ、団信による保障も付帯する住宅ローンのほうが、家計のリスクを回避するうえでは優位性があると言えるでしょう。
イオングループの「イオン銀行」が提供する住宅ローン。
イオン銀行では、変動金利・固定金利ともに完済するまで(※固定金利の場合は、固定期間終了後から完済するまで)、店頭表示の住宅ローン金利を大幅に割り引く優遇金利を提供。低水準の金利で住宅ローンを組むことができる。
また、契約者限定特典として、住宅ローン返済期間中ずっと「イオンでの買い物が毎日5%OFF」のサービス等が利用可能。さらに、すべての病気やケガを保障する全疾病保障団信が無料付帯する点もチェックしておきたい。
その他にも、イオン銀行では、Webと店舗での相談・申し込みに対応しているほか、保証料・一部繰り上げ返済手数料が無料など、利便性の高いサービスを提供している。
イオングループのサービスをよく利用する人はもちろん、利便性の高い住宅ローンを利用したい人にとって、イオン銀行の住宅ローンは有力な選択肢の一つ。
金利 ※2025年4月実行金利
変動 | 年0.78%(物件価格の80%以内での借り入れの場合) |
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当初3年固定 | 年1.23% |
当初5年固定 | 年1.34% |
当初10年固定 | 年1.64% |
基本情報
事務手数料 |
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保証料 | 無料 | ||||
一部繰り上げ返済手数料 | 無料 | ||||
おすすめポイント |
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auフィナンシャルグループ(KDDIグループ)が提供するインターネット銀行「auじぶん銀行」の住宅ローン。
auじぶん銀行の住宅ローンは、数ある金融機関のなかでも低水準の住宅ローン金利を実現。優位性の高い条件で住宅ローンを組むことができる。
また、付帯保障が充実しており、住宅ローン契約者が満50歳までの場合は、4疾病保障を含む「がん50%保障団信」が無料付帯する。住宅ローン返済期間中の万一のリスクに備えられるのは嬉しいポイントといえるだろう。
その他にも、事前審査から契約まで、すべての手続きがネットで完結するほか、保証料や一部繰り上げ返済手数料が無料など、利便性の高いサービスを提供している。
auじぶん銀行は、住宅ローンの借り入れを検討する際、まずチェックしておきたい。
金利 ※2025年4月実行金利
変動 | 年0.784%(全期間引下げプラン)
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10年固定 | 年1.765%(当初期間引下げプラン) |
20年固定 | 年2.335%(当初期間引下げプラン) |
30年固定 | 年2.730%(当初期間引下げプラン) |
- 【変動・新規】50歳以下のお客さまが一般団信を選択し物件価格の80%以下でお借入れの場合、年0.344%となります
- 審査の結果によっては保証付金利プランとなる場合があり、この場合には上記の金利とは異なる金利となります。
金利プランが保証付金利プランとなる場合は、固定金利特約が3年、5年、10年に限定されます。
基本情報
取扱事務手数料 | 借入金額の2.2%(税込) |
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住宅ローン保証料 | 無料
|
一部繰り上げ返済手数料 | 無料 |
付帯サービス |
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数ある金融機関のなかでもトップクラスの実績と、利用者からの高い満足度を誇る「住信SBIネット銀行」の住宅ローン。
住信SBIネット銀行では、業界最低水準の住宅ローン金利を実現。
また、団信も充実しており、すべての病気やケガを保障する「全疾病保障」が無料付帯するほか、住宅ローン契約者が融資実行時に40歳未満の場合は、がん・脳卒中・急性心筋梗塞で所定の状態になった場合、住宅ローン残高の50%を保障する「3大疾病保障(※3大疾病50プラン/全疾病保障含む)」も基本付帯する。付帯保障が充実している点も、住信SBIネット銀行の魅力の一つ。
さらに、保証料、一部繰上げ返済手数料が無料となっているほか、「Web契約手続きサービス」を利用すれば、印紙代も不要になる。
利便性の高さや利用のメリットを考慮すると、住宅ローンを検討する際、住信SBIネット銀行が有力な選択肢の一つであることは間違いない。
金利 ※2025年4月実行金利
変動 | 年0.698%(通期引下げプラン) |
---|---|
当初10年固定 | 年1.789%(当初引下げプラン) |
当初20年固定 | 年2.169%(当初引下げプラン) |
当初30年固定 | 年2.229%(当初引下げプラン) |
- 【新規・当初引下げプラン】表示金利は、最下限金利となります。(物件価格の80%以下で住宅ローンをお借入れの場合)
- 審査結果によっては、表示金利に年0.1%~0.3%上乗せとなる場合があります。
- 借入期間を35年超~40年以内でお借入れいただく場合は、ご利用いただく住宅ローン金利に年0.07%、40年超でお借入れいただく場合は住宅ローン金利に年0.15%が上乗せとなります。
基本情報
事務手数料 | 借入金額の2.2%(税込) |
---|---|
住宅ローン保証料 | 無料 |
一部繰り上げ返済手数料 | 無料 |
おすすめポイント |
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まとめ
住宅を現金で一括購入するにせよ、住宅ローンを利用して購入するにせよ、それぞれにメリットとデメリットがあります。
現金一括と住宅ローンのどちらで住宅を購入すべきか判断がつかない場合は、それぞれのメリットとデメリットをしっかりと比較することが大切です。また、シミュレーションなどを利用し、現金一括と住宅ローンとで、住宅ローンの購入にかかる金額にどれだけの差が出るのかを把握した上で、自分に合った方法を選ぶのもおすすめです。
住宅の購入を予定しており、現金一括で購入すべきか、住宅ローンを利用して購入すべきか迷われている方は、本特集も参考に、さまざまな点から2つの方法を比較し、自分に合った方法でマイホームを手に入れましょう。