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永住権のある外国人が住宅ローンを組む方法。申込条件や必要書類は?
- 住宅ローンの基礎知識

外国人は住宅ローンを組むことが可能?
日本に在留する外国人は、令和5年6月時点で322万人を超えています。※
永住者も約88万人(前年比+16,000人)と増加傾向にあり、外国籍の方が日本で不動産購入を希望し、住宅ローンを借り入れるケースは、決してめずらしいものではないと言えるでしょう。
日本では、日本国籍の有無に関わらず、原則として誰でも不動産を取得することができます。
住宅ローンも金融機関の審査にパスさえすれば、日本国籍・外国籍を問わず借り入れ可能なので、日本での定住を検討している外国籍の方にとって、住宅購入は決して非現実的な夢ではありません。
ただし、住宅ローンの申し込みや審査をパスするためには一定の条件があり、借り入れに当たっては、これらの条件をクリアする必要があります。
そこで今回は「外国人の住宅ローン」をテーマに、外国籍を持つ方が住宅ローンを組む場合の条件や審査のポイント、必要書類、おすすめの住宅ローンについて解説します。
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住宅ローンの基礎知識まとめ。本記事では、借入期間や金利タイプ、返済方法など、初心者が住宅ローンを組む前に知っておきたいポイントをわかりやすく解説しています。
永住権のある外国人が住宅ローンを組む方法。申込条件や必要書類は?
外国人の住宅ローンは永住権の「あり」「なし」で通りやすさが異なる
外国籍の方の場合、住宅ローンの借り入れにもっとも影響するのは永住権の「あり」「なし」です。
永住権の有無によって大きな差が生まれるため、住宅ローンの申し込み手続きは、「永住権ありの場合」「永住権なしの場合」に分けて理解をしておくと良いでしょう。
永住権があると住宅ローン審査に有利なのはなぜ?
永住権取得者のほうが住宅ローン審査に有利なのは、永住権が期間を定めず外国人が国内に滞在することを許可する権利となるためです。
住宅ローンは十年以上の長期に渡って返済を続けるケースが多いため、永住権がない外国人の場合、途中でビザが切れて帰国せざるを得なくなるなど、金融機関側の負うリスクが高まります。
永住権がなくても外国人が住宅ローンを組める可能性はゼロではありませんが、原則として永住権のある状態で申し込む方が、住宅ローンの審査のみならず、金利面や借入額の面でも有利なことは間違いありません。
本特集では、主に永住権を持つ外国籍の方が住宅ローンを申し込む際の条件や必要書類について見ていきます。
永住権のある外国人が住宅ローンを組む際に必要な条件は?
永住権のある外国人が住宅ローンを申し込む場合の条件には、主に以下のようなものがあります。
- 永住権のある外国人が住宅ローンを申し込む場合の条件
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- 借入時の年齢(20~65歳など)および完済時の年齢(80歳未満など)
- 団体信用生命保険に加入できること(健康状態、および保険商品によっては永住権必須)
- 年収(税込300万円以上など)
- 勤続年数(連続した就業が2年以上など)
- 返済負担率(年収に占める年間返済額の割合。通常30~35%)
申し込み時の細かな条件(数値などの部分)は、金融機関によって異なりますが、永住権がある外国人の場合は、基本的には日本人と同様の基準で申し込みの受付や審査を行う金融機関が多くなっています。
金融機関によっては、上記に加えて日本にずっと住み続ける意思があるかどうかを確認する場合もあります。これは、返済中の帰国によって債権未回収のリスクを避けるためです。
また、日本語による意思疎通(住宅購入意思の確認や契約内容の理解)が難しい場合も、申し込みが困難になる可能性があります。英語や中国語は、対応可能な金融機関も増えているので、外国語への対応状況も合わせてチェックしておきましょう。
なお、条件のうちの「返済負担率」は、無理な返済計画を避けるために金融機関が定めているもので、年収に占める年間の返済額を30%前後に抑える決まりとなっています。
返済負担率が規定の範囲を超えてしまう場合は、「借入額を減らす」「自己資金(頭金)を増やす」「ペアローンや収入合算で年収水準を増やす」などの対策が必要です。
特に外国籍の方の場合、文化風習として「頭金」を用意する習慣がないことが多いため、返済負担率の考え方を理解した上で、頭金(自己資金)を調整弁とする考え方を知っておくと役に立つ場合があります。
永住権のある外国人が住宅ローンを組む際に必要なものは?
住宅ローンは、「事前審査(仮審査)」と「本審査」、「契約手続き」のそれぞれで必要書類を求められます。
最初の事前審査で求められる主な書類は以下の通り。
- 最初の事前審査で求められる主な書類
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- 本人確認書類……運転免許証や健康保険証、パスポートなど。外国籍の方は在留カードまたは特別永住者証明書などの在留期間を確認できるもの
- 収入証明書類……給与所得者は前年分の源泉徴収票、自営業者や個人事業主は過去3年分の確定申告書および付表の写し、法人代表者は前3期分の決算報告書の写し
- 物件確認書類……購入予定物件のパンフレット・チラシ・販売図面・物件概要書・価格表などの写し
また、外国籍の方の場合は、日本語で意思疎通ができることを求められる場合もあります。
本審査では、事前審査の書類と併せて、住宅ローンの申込関連書類一式が加わります。
本人確認書類や収入証明書類など、その他の書類に関しても「印鑑証明」「住民税決定通知書」「職歴書」「同居家族の住民票」、物件の「売買契約書」「工事請負契約書」という具合に新たに加わる書類があるので、どのようなものが必要になるかをざっと確認しておくと良いでしょう。
事前審査・本審査ともにパスしたあとの契約手続きでは、個別に必要書類を案内されるケースがほとんどですが、住民票や印鑑登録証明書などの本人確認書類は、引き続き提出を求められます。
外国人の住宅ローン申し込みで盲点になりやすい印鑑(実印)と印鑑証明とは?
本人確認書類の中でも、外国籍の方にとってなじみが薄いのが、印鑑(実印)でしょう。
本審査から必要となる「印鑑登録証明(印鑑証明)」は、住民票がある自治体にあらかじめ自分の印鑑を登録しておき、契約書にその印鑑を押印することで、契約内容を本人が了承した旨を証明するためのものです。
印鑑の風習がない外国人の場合、自身の印鑑を持っていないことも多いため、住宅ローンの本審査で求められて初めて印鑑証明について調べるケースもめずらしくありません。
印鑑登録証明書は、役所に印鑑を持参し、登録手続きをしなければ書類が作られないため、住宅ローンを検討しはじめた段階で、印鑑の準備と印鑑登録をすませておくと良いでしょう。
永住権ありの外国籍の方におすすめの住宅ローン
住宅ローン専門の金融機関・ARUHIが提供する住宅ローン。政府系金融機関の住宅金融支援機構と提携した全期間固定金利型の住宅ローン・フラット35を提供している。Webから仮審査申し込みと住宅ローンの契約手続きを行うと、通常、2.2%(税込)の事務手数料を1.1%に引き下げ。外国人の場合は、永住許可を持つか、特別永住者が申し込み可能となる。申込条件に勤続年数が定められていないため、転職から間もない会社員や自営業者も審査に通りやすい。
自己資金を多めに用意することで、通常のフラット35よりも低い金利を提供する「フラット35(保証型)」を取り扱う数少ない金融機関でもある。
基本情報
事務手数料 |
借り入れ金額の2.2%(税込)
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外国人向け 住宅ローン申込条件 |
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外国人向け 住宅ローン 主な必要書類 |
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おすすめポイント |
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全国のイオン店舗およびインターネット上でサービスを展開するイオン銀行の住宅ローン。変動金利型と期間固定金利型を取り扱う。
外国人の申し込みは、永住許可もしくは特別永住者であることが条件だが、永住権なしの場合も所定の条件を満たすことで申込可能となっている※。
事務手数料を定額型(税込110,000円)と、定率型(借入額の2.2%税込)から選択できる数少ない銀行なので、借入金額に応じてシミュレーションすると良いだろう。
団体信用生命保険に無料の全疾病保障を付帯できるほか、住宅ローン契約者はイオンの系列店舗での買い物が毎日5%OFFになる特典(イオンセレクトクラブ)も利用できる。
イオン内に実店舗があり、対面での相談ができる点も嬉しい。
金利 ※2025年4月実行金利
変動 | 年0.78%(物件価格の80%以内での借り入れの場合) |
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当初10年固定 | 年1.64% |
基本情報
事務手数料 |
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外国人向け 住宅ローン申込条件 |
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外国人向け 住宅ローン 主な必要書類 |
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おすすめポイント |
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ネット銀行大手の住信SBIネット銀行が提供する住宅ローン。変動金利と期間固定金利を取り扱う。金利水準の低さと、無料で付帯できる「全疾病保障」が大きなメリット。外国人の場合は、永住許可(永住権)のあることが申込条件となる。
事務手数料は借入額の2.2%(税込)がかかるが、住宅ローン保証料・一部繰り上げ返済手数料・団体信用生命保険料はすべて無料となっている。
ネット手続きが完結する「ネット専用住宅ローン」のほか、対面相談可能な住宅ローンや全期間固定金利型のフラット35も取り扱う。
金利 ※2025年4月実行金利
変動 | 年0.698%(通期引下げプラン) |
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当初10年固定 | 年1.789%(当初引下げプラン) |
- 【新規・当初引下げプラン】表示金利は、最下限金利となります。(物件価格の80%以下で住宅ローンをお借入れの場合)
- 審査結果によっては、表示金利に年0.1%~0.3%上乗せとなる場合があります。
- 借入期間を35年超~40年以内でお借入れいただく場合は、ご利用いただく住宅ローン金利に年0.07%、40年超でお借入れいただく場合は住宅ローン金利に年0.15%が上乗せとなります。
基本情報
事務手数料 | 借入金額の2.2%(税込) |
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外国人向け 住宅ローン申込条件 |
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外国人向け 住宅ローン 主な必要書類 |
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おすすめポイント |
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