金利タイプ別変動金利のリスクと金利上昇への備え方 -固定金利への変更や借り換えは有効?-

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変動金利のリスクと金利上昇への備え方 -固定金利への変更や借り換えは有効?-

変動金利のリスクとは?変動金利のリスクと金利上昇への備え方 -固定金利への変更や借り換えは有効?-

住宅ローンを検討する際、中長期の住宅ローン金利と比較すると、ひときわ金利が低く、魅力的に映るのが「変動金利」です。
住宅ローンの変動金利とは、市中金利や物価上昇率に連動して半年間に1回、金利が見直される住宅ローンのこと。その時々の経済情勢に影響を受けるため、市中金利が上昇した際は、変動金利が上昇し、月々の返済額や総返済額が増加するリスクがあります。

変動金利のリスクと金利上昇への備え方

すでに住宅ローンを変動金利で借り入れている方や、変動金利を前向きに検討している方は、このリスクに備えることが、計画的に住宅ローンを返済していく上で欠かせません。
そこで今回は、変動金利の最大のリスクである金利上昇への備え方について解説します。変動金利型の住宅ローンを借り入れている方はもちろん、これから変動金利の利用を検討している方も、将来の金利上昇にしっかり備えましょう。

変動金利の金利上昇リスクに備えるには?変動金利のリスクと金利上昇への備え方 -固定金利への変更や借り換えは有効?-

対策1固定金利に変更する

住宅ローンの残債や借入期間が比較的多く残っている方におすすめなのが、変動金利を固定金利に変更する方法。金利上昇が本格化する前に金利を固定することで、その後に大きく金利が上昇しても、返済額の増加を抑えることが可能になります。

金利タイプを固定金利に変更する

変動金利の多くは、借入期間中いつでも、金利タイプを固定金利へと変更できるようになっています(※金融機関によっては変更手数料が必要な場合もあり)
金利タイプを変動から固定に変更すると、目先の金利が上昇するため、月々の返済額は増える可能性があります。まずは毎月の返済額が、家計を圧迫しない水準に納まっているかどうかを必ずチェックしましょう。変更後の金利が、他の金融機関の同期間の固定金利と比較しても低水準である場合は、金利タイプの変更が結果的に総返済額を抑えることにつながるケースもあります。

他の住宅ローンの固定金利に借り換える

金利タイプを変更した場合の金利が、必ずしも有利でない場合は、他行の住宅ローンの固定金利に借り換えるのも一つの方法です。特に、借り換えに力を入れている金融機関は、同じ期間の固定金利を比較した際、より有利な条件を提供しているケースも多く、検討する価値は充分にあります。
ただし住宅ローンを借り換える際は、事務手数料や司法書士報酬、印紙代などの諸費用がかかる点に注意しましょう

借り換えにおすすめの住宅ローン

住信SBIネット銀行 住宅ローン(WEB申込コース)

住信SBIネット銀行

特徴 数ある金融機関の中でも金利の低さに強みを持つ住宅ローン。繰上げ返済手数料は無料(一部繰り上げ返済)。また、変動金利の場合は、全額繰上げ返済も無料となる。すべての病気・ケガを保障する「全疾病保障」も無料(金利上乗せなし)で付帯する。

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楽天銀行 フラット35

楽天銀行 フラット35

特徴 他のフラット35提携ローンと比較しても金利、事務手数料が低く、利用者から高い評価を獲得している住宅ローン。返済用口座に楽天銀行を指定することで、融資事務手数料が借入金額×1.404%(税込)から×1.10%(税込)になる。繰上げ返済手数料は無料。ただし団体信用生命保険料は自身で加入する必要あり。

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住宅ローンコラム

変動金利を固定金利に変更するタイミングはいつ?

変動金利を固定金利に変更するタイミングは、固定金利に上昇の兆しが出始めた段階がおすすめです。住宅ローンの変動金利と固定金利は、それぞれ「短期プライムレート」「10年国債利回り(長期金利)」という異なる金利指標に連動しており、金利が上昇局面に入った場合、一般的には「10年国債利回り」のほうが先に上昇します。
つまり、変動金利が上昇し始めるまで待っていると、すでに固定金利は大きく上昇している可能性が高く、固定金利に上昇の兆しが見えた段階で変更した場合と比較すると、総返済額が膨らんでしまう恐れがあります

その一方で、金利の動きを予測することは非常に難しいのもまた事実です。
変動金利と固定金利のどちらを選ぶかという問題は、(金利上昇による)将来の返済額増額リスクと、(固定金利に変更することによる)現在の返済額増額リスクのどちらを選ぶか、という問題でもあります。金利の動きが予測できない以上、どちらの選択にも一定のリスクがあることを理解したうえで、リスク対策の方針を自身で決定することが大切です。

対策2繰上げ返済を活用する

変動金利のリスクと金利上昇への備え方

変動金利のリスクに備える方法として、もう一つの有効な手段が繰上げ返済の活用です。特に、残債が少ない場合や、借入期間が比較的短い場合、収入に占める住宅ローン返済額の割合が低く家計に余力がある場合は、借り換えや金利タイプの変更よりも、繰上げ返済を積極的に行っていくほうが良いでしょう。

繰上げ返済は、借り入れている住宅ローンの繰上げ返済手数料を考慮した上で、日常的にコツコツ、あるいはボーナス時にまとめてなど、タイミングを決めて行うのがおすすめ。ただし、繰上げ返済をし過ぎると、家計の貯蓄が枯渇し、生活予備資金(家族の病気やリストラ等、万一への備え)をなくしてしまうため、返済と貯蓄のバランスには充分に注意しましょう。
定期的な繰上げ返済をしたうえで、さらに余力がある場合は、家計に一定の資金をストックし、変動金利の上昇が明らかになった時点で、普段よりも多めに繰上げ返済ができるよう備えておくのも一つの方法です

変動金利に強い住宅ローン

ソニー銀行 住宅ローン

ソニー銀行

特徴 借入時の諸費用等が比較的割安な住宅ローン。繰上げ返済手数料は無料。変動金利から固定金利、固定金利から変動金利などの金利タイプ変更を何度でも行うことができる。また、翌月の金利を当月中旬に発表しているため、金利変更のタイミングもつかみやすい。

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auじぶん銀行 住宅ローン

auじぶん銀行

特徴 他の金融機関と比較しても変動金利の低さに定評がある住宅ローン。一部繰上げ返済手数料無料。全額繰上げ返済も変動金利であれば無料となる。住宅ローンのペーパーレス化を実現しており、審査の速さが特徴。au利用者向けのau住宅ローンも提供している。

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変動金利のリスクと金利上昇への備え方~まとめ~変動金利のリスクと金利上昇への備え方 -固定金利への変更や借り換えは有効?-

変動金利のリスクと金利上昇への備え方

変動金利は、金利上昇リスクがある一方で、中長期の固定金利と比較すると、圧倒的に低い金利がメリットです。
万一の金利上昇時に、固定金利への変更を決断できる方や、繰上げ返済を活用した早期返済が可能な方にとっては、歴史的な低金利の恩恵を最大限に受けられる、メリットの大きい金利タイプと言えます。

変動金利を検討中の方、現在変動金利で住宅ローンを借り入れている方は、今回ご紹介した2つのリスク対策を念頭においたうえで、金利上昇時に取るべき方針をしっかり考えておきましょう。

著者 長尾 尚子

フリーランスライター。得意分野は、育児・教育、住宅ローン、保険、金融、エンタメ等、幅広い。子ども3人を育児中のママでもある。
【資格】消費生活アドバイザー、FP2級