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住宅ローンを自己資金なしで組むメリットとデメリット

はじめに住宅ローンを自己資金なしで組むメリットとデメリット

住宅購入はタイミングが全て。多くの場合、良い物件との出会いが、住宅購入の決め手になります。

住宅購入を検討している方の中には、住宅購入の検討を始めた段階(自己資金がまだ十分に貯まっていない状態)で、思いがけずどうしても欲しい物件を見つけてしまい、住宅を買うべきか、買わざるべきか悩んでいるという方もいらっしゃるはず。

実は、住宅ローンは、自己資金なしの状態でも組むことができます。ただし、自己資金ありの場合と比較するとリスクがあるのもまた事実。自己資金なしで住宅ローンを組む際は、リスクについても事前にしっかりと把握しておくことが大切です。

そこで今回の特集では、自己資金なしで住宅ローンを組む際に知っておきたいメリットとデメリットをわかりやすく解説します。良い物件があり、自己資金なしの状態で住宅ローンの借り入れを検討している方は、ぜひ最後までチェックしてください。

住宅ローンの自己資金とは住宅ローンを自己資金なしで組むメリットとデメリット

住宅ローンを自己資金なしで組むメリットとデメリット

そもそも「住宅ローンの自己資金」とは、どのような意味を持つお金なのでしょうか?また、住宅ローンを組む際、一般的にどれくらいの金額があると良いのでしょうか?
本チャプターでは、住宅ローンの自己資金について解説。また自己資金以外にかかる諸費用の目安もご紹介します。

住宅ローンの自己資金とは?

住宅ローンの自己資金とは、住宅ローンを組む(住宅を購入する)際に、自分の貯蓄から準備する住宅購入資金のこと。
ただし全貯蓄を、住宅ローンを組む際の自己資金に充ててしまうと、いざという時の出費に対応できません。日々の生活費を含め、ある程度の貯蓄は残した上で、住宅ローンの自己資金を準備することが大切です。

住宅購入資金(住宅ローンの自己資金)= 契約者の貯蓄 - 生活に必要な費用(生活費、いざという時の出費分

住宅ローンの自己資金というと、住宅ローンを組む際の初期費用に充てられるため、「住宅ローンの自己資金=頭金」と考える方が多いと思いますが、必ずしもそれだけではありません。

住宅ローンの初期費用には、頭金に加え、事務手数料や保証料といった「諸費用」も含まれます。つまり住宅ローンの自己資金は、頭金だけではなく、諸費用についても、しっかり考慮しておくことが大切になるのです。

住宅ローンの自己資金 = 頭金 + 諸費用

ちなみに、住宅ローンを組む際に必要な頭金・諸費用の目安は以下の通り。

住宅ローンの頭金・諸費用の目安

  • 頭金
    物件を購入する際(住宅ローンを組む際)に当初支払う現金のこと。近年では、頭金なしで組める住宅ローンも登場している。

    頭金の目安物件価格の10%~20%

  • 諸費用
    物件を購入する際(住宅ローンを組む際)に発生する事務手数料や保証料、印紙代などの費用のこと。

    諸費用の目安物件価格の5%~10%
    ※ただし、金融機関によって、諸費用としてかかる金額は大きく異なるため注意が必要。複数の金融機関で諸費用を比較し、安く利用できるところを選ぶのがおすすめ。

頭金と諸費用の目安を考慮すると、住宅ローンを組む際の自己資金の目安は、物件価格の20%~30%程度というのが定説です。
ただし、これはあくまで目安であり、絶対的な数値ではありません。住宅ローンを組む際は、事前にきちんと返済計画を立て、無理なく返済するために必要な分の自己資金を用意することが大切です

住宅ローンを自己資金なしで組むメリットとデメリット住宅ローンを自己資金なしで組むメリットとデメリット

それでは次に、住宅ローンを自己資金なしで組む際、知っておきたいメリットとデメリットをご紹介します。

住宅ローンを自己資金なしで組む3つのメリット

住宅ローンを自己資金なしで組むメリット その1:気に入った物件をすぐに購入できる

住宅ローンを自己資金なしで組むメリットとデメリット

気に入った物件を見つけても、自己資金がないからと、ある程度自己資金が貯まるのを待ってから住宅を購入しようと考えているうちに、他の人がその物件を購入してしまうケースは少なくありません。
自分(家族)が本当に気に入った物件を見つけたのであれば、自己資金がなかったとしても購入を検討する価値は十分あります。気に入った物件をすぐに購入できる点が、住宅ローンを自己資金なしで組む最大のメリットといえるでしょう

また物件を早期購入することで、自己資金が貯まるまで/良い物件が見つかるまでの期間中に発生する家賃負担を節約できるのも嬉しいポイントです。

住宅ローンを自己資金なしで組むメリット その2:低金利で住宅ローンを組める

2019年5月現在、住宅ローン金利は、歴史的な低金利で推移しています。つまり、現在であれば、十分に低い金利で住宅ローンを組むことが可能です
自己資金を貯めている期間中に住宅ローン金利が上昇し、いざ住宅ローンを組む際、高い金利で借り入れることになると、自己資金を貯めたメリットはほとんどなくなってしまいます。
現在の低金利で住宅ローンの借り入れができる点も、自己資金なしで住宅ローンを組むメリットの一つと言えるでしょう。

住宅ローンを自己資金なしで組むメリット その3:住宅ローンの完済時期をコントロールできる

自己資金がないことを理由に、ある程度、自己資金を貯めてから住宅ローンを組もうとすると、その分、住宅ローンを契約する時期が遅くなり、住宅ローンの完済時期も遅くなります。
住宅ローン借り入れ時の年齢や借り入れ期間によっては、完済時期が定年退職後になり、家計を大きく圧迫するケースも。
住宅ローンを自己資金なしで組むことで、住宅ローンの契約時期・完済時期をコントロールできる点もチェックしておきたいメリットの一つです

住宅ローンを自己資金なしで組む2つのデメリット

住宅ローンを自己資金なしで組むデメリット その1:総返済額が増え、住宅ローン返済の負担が大きくなる

住宅ローンを自己資金なしで組むメリットとデメリット

自己資金なしで住宅ローンを組む場合、「①自己資金分(頭金・諸費用分)も借り入れる必要がある」、「②適用される住宅ローン金利が高くなる」という理由から、自己資金ありの場合と比較し、住宅ローンの総返済額が増え、毎月の返済負担が大きくなります
この点は、自己資金なしで住宅ローンを組む際に把握しておくべきデメリットといえるでしょう。

  1. 自己資金分(頭金・諸費用分)の借り入れ

    自己資金がなく、住宅ローンの頭金・諸費用分も借り入れる場合、金融機関によって「頭金・諸費用分含め、住宅ローンとして組める場合」と、「住宅ローンとは別に諸費用ローンを組む必要がある場合」があります。ただし、いずれの場合も、借り入れ金利が高めに設定されている点には注意が必要。
    可能であれば、諸費用分は自己資金で支払えるよう、準備しておくのがおすすめです

  2. 適用される住宅ローン金利が高くなる

    頭金・諸費用分の借り入れに適用される金利が高いことは、上記①でもご紹介しましたが、自己資金なしの場合、住宅ローンの金利自体が、自己資金ありの場合と比較すると高くなります
    ※住宅ローンは自己資金の有無によって適用される住宅ローン金利が異なり、自己資金ありの方が、自己資金なしの場合よりも、有利な金利で住宅ローンを組むことが可能です。

自己資金なしで住宅ローンを組む場合、総返済額や毎月の返済額がどれくらいになるのかをしっかりシミュレーションし、無理なく返済できる範囲で返済計画を組むことが何より大切です

また、将来、何らかの事情でマイホームを売却することになった場合、自己資金なしで住宅ローンを組んでいると、不動産の売却価格に対して、住宅ローンの残債が残ってしまう傾向がある(※頭金を入れている場合、その分住宅ローンの残債が減少する)点にも注意しましょう。

住宅ローンを自己資金なしで組むデメリット その2:審査のハードルが上がる

自己資金なしの場合、自己資金がある場合と比較して、借り入れ金額が大きくなるため、住宅ローン審査のハードルが上がります。この審査が厳しくなる点も、住宅ローンを自己資金なしで組むデメリットの一つといえるでしょう。

ただし、数ある住宅ローンの中でも、政府系金融機関の住宅ローン支援機構と民間の金融機関が提携し、提供している「フラット35」であれば、借り入れ条件が明確に決まっており、該当の条件をクリアしていれば、住宅ローンを組むことが可能です

フラット35 借り入れ条件

  • 申し込み時の年齢が70歳未満の方、最終返済時80歳未満の方(親子リレー返済を利用する場合は、70歳以上の方の申し込みも可)
  • 日本国籍または永住許可を有する方
  • 年収に占めるすべての借り入れの年間返済額(本件融資を含む)の割合(=総返済負担率)が下記基準を満たしている方

    年収400万円未満の場合年間返済額が年収に占める割合:30%以下

    年収400万円以上の場合年間返済額が年収に占める割合:35%以下

一方でフラット35は、自己資金が物件価格の1割に満たない場合、自己資金ありの場合と比較すると、適用される住宅ローン金利が上昇する点には注意が必要。

例:ARUHI フラット35の場合

自己資金あり(※融資比率:9割以下) 自己資金なし(※融資比率:9割超10割以下)
1.410% 1.550%
  • 2023年12月時点。金利は毎月変動します。最新の金利はこちらでご確認ください。
  • 団信あり/借入期間 21年~35年・当初10年/新規借り入れの場合

自己資金なしでの借り入れに対応したおすすめの住宅ローン住宅ローンを自己資金なしで組むメリットとデメリット

本チャプターでは、自己資金なしでの借り入れに対応したおすすめの住宅ローンをご紹介します。各住宅ローンの特徴をチェックし、自分に合ったものを選びましょう。

ARUHI フラット35

ARUHI フラット35

自己資金なしで住宅ローンを組む方法

「ARUHI フラット35」+「ARUHI フラットα」の利用

  • ARUHI フラット35 … 物件価格の9割を借り入れ
    (※融資比率9割以下の金利での借り入れが可能)
  • ARUHI フラットα … 物件価格の1割を借り入れ
    → 物件価格の10割を借り入れ可能

※諸費用:一部借り入れ可能。

〈ARUHI フラット35の特徴〉

13年連続シェアNo.1を獲得しているARUHI提供のフラット35 ※1。全国に130以上の店舗を展開し(※2023年3月末現在)、フラット35の借り入れ・借り換えに関する実店舗での相談に対応している。
ARUHI フラット35では、「ARUHI フラット35」と「ARUHI フラットα」を組み合わせることで、頭金なしでの借り入れに対応。頭金に相当する1割分を「ARUHI フラットα」で借り入れ、残り9割分を「ARUHI フラット35」で借り入れることで、フラット35は、融資比率9割以下の金利が適用され、フラット35のみで住宅ローンを組む場合と比較し、総返済額を抑えることができる。
さらに、ARUHI フラット35では、2018年4月以降、住宅ローンの融資事務手数料や登記費用、印紙代等の一部諸費用の借り入れにも対応。フラット35の借り入れ条件をクリアしていれば自己資金なしで住宅ローンが組める点は、ARUHI フラット35の大きな魅力といえるだろう。
また、業界最低水準の住宅ローン金利を実現している※2 ほか、全国1,000以上の金融機関から返済口座を選択できる等、利便性の高いサービスを提供している点もチェックしておきたい
ARUHI フラット35は、自己資金なしで住宅ローンを組む際、有力な選択肢の一つといえるだろう。

  • 1. 2010年度-2022年度統計、取り扱い全金融機関のうち借り換えを含む【フラット35】実行件数(2023年3月末現在、ARUHI調べ)
  • 2. 【フラット35】業界最低水準(ただしスタンダードタイプの場合)。ARUHI 調べ。

ARUHI フラット35

住信SBIネット銀行 フラット35(ミスターパッケージローン)

住信SBIネット銀行 フラット35画像

自己資金なしで住宅ローンを組む方法

「ミスターパッケージローン」の利用

  • 住信SBIネット銀行 フラット35 … 物件価格の9割を借り入れ(※融資比率9割以下の金利での借り入れが可能)
  • ミスターパッケージローン … 物件価格の1割を借り入れ
    → 物件価格の10割を借り入れ可能

※諸費用:一部借り入れ可能。

〈住信SBIネット銀行 フラット35の特徴〉

数ある金融機関の中でも、トップクラスの実績と利用者からの高い満足度を誇る住信SBIネット銀行が提供するフラット35。
住信SBIネット銀行では、フラット35の契約者限定で、頭金なしでの借り入れができる「ミスターパッケージローン」を用意。頭金に相当する1割分を「パッケージローン」で組み、残り9割分を「フラット35」で借り入れることで、フラット35に融資比率9割以下の金利が適用され、フラット35のみで住宅ローンを組む場合と比較し、総返済額を抑えることができる。
また、2018年4月以降は、住宅ローンの融資事務手数料や登記費用、印紙代等、一部の諸費用の借り入れにも対応。自己資金なしでも住宅ローンを組むことができる。
その他にも、住信SBIネット銀行では、業界最低水準の住宅ローン金利を実現しているほか、「フラット35」、「パッケージローン」の両方に団体信用生命保険・全疾病保障が無料付帯。さらに、保証料・繰り上げ返済手数料が無料となっている点も大きな魅力といえるだろう。
自己資金なしで住宅ローンを組む場合、住信SBIネット銀行 フラット35はぜひチェックしておきたい。

住信SBIネット銀行 フラット35

住宅ローンを自己資金なしで組むメリットとデメリット ~まとめ~住宅ローンを自己資金なしで組むメリットとデメリット

住宅ローンを自己資金なしで組むメリットとデメリット

マイホームの購入には、ある程度のまとまった自己資金が必要と考えている方も多くいらっしゃると思いますが、住宅ローンは自己資金なしでも組むことが可能です。
大切なのは、自己資金なしで住宅ローンを組む場合と、自己資金ありで住宅ローンを組む場合を比較し、そのメリットとデメリットを正しく理解しておくこと。そして頭金の用意が難しかったとしても、借り入れると適用金利が高くなる諸費用については、自身で支払えるよう、自己資金として準備しておくのがおすすめです。

希望の条件を満たす物件を見つけ、自己資金なしで住宅ローンを組もうかどうか迷っている方は、本特集を参考に、自己資金なしで住宅ローンを組む場合のメリットやデメリットを理解した上で、住宅ローンの借り入れを検討しましょう。

著者 溝口 麻衣

著者 溝口 麻衣

Hayakawa所属のチーフライター兼編集者。住宅ローンを自己資金なしで組むメリットとデメリットについての調査と記事執筆を担当。
わかりやすく、ちょっとした気付きのある記事を目指し、日々原稿を執筆している。2級FP技能士取得。