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住宅ローンのペア連生団信とは?一般団信との比較やメリット・デメリットを解説
- ぺアローン
ペア連生団信とは?ペアローンのリスクを下げる住宅ローンの保障に注目
リクルートの調査によると、首都圏における新築マンション購入者の33.9%は夫婦で住宅ローンを借り入れる「ペアローン」を利用しています(※)。
配偶者やパートナーと二人分の収入を合わせることで借入額を増やせるペアローンは、共働き世帯の増加や物件価格の高騰を受け、注目度が高まっている借り入れ方法の1つ。
さらに最近は、ペアローンに特化した団体信用生命保険である「ペア連生団信(ペアれんせいだんしん)」も複数の銀行が取り扱いをスタートしています。
ペアローンのリスクをカバーする保障として注目されるペア連生団信ですが、利用する場合は、メリットだけでなく注意点も理解しておくべきです。
そこで今回は、住宅ローンのペア連生団信にスポットを当て、一般団信との違いや、ペア連生団信ならではのメリット・デメリットについて解説します。
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住宅ローンのペア連生団信とは?一般団信との比較やメリット・デメリットを解説
ペア連生団信と一般団信との違いを比較
ペア連生団信(連生団信、夫婦連生団信)とは、住宅ローンをペアローンで借り入れている夫婦や親子のどちらかに万一のことがあった場合、両方の住宅ローン残高が0円となる団信(団体信用生命保険)です。
従来の一般団信では、ペアローンの契約者が死亡した際に当事者分の住宅ローン残高がゼロとなる反面、遺されたほうの残高はそのまま残り、引き続き返済義務を負う仕組みになっています。つまり、契約者が1名のみの住宅ローンと比較すると、返済時のリスクが高い点が最大のネックでした。
ペア連生団信が登場したことで、夫婦・親子など契約者2名で住宅ローンを組む場合のリスクをカバーしやすくなったと言えるでしょう。
ペアローン契約時のペア連生団信と一般団信の違い
ペア連生団信 | 一般団信 | |
---|---|---|
住宅ローンの契約者数 | 2人 | |
契約者の範囲 | 夫婦、親子、事実婚、同性パートナーetc.(※各銀行の規定に準ずる) | |
住宅ローンの返済義務 | 契約者各自が負う | |
どちらかに万一のことがあった場合 | 当事者に加えてもう一方の住宅ローン残高もゼロになる | 当事者の住宅ローン残高はゼロに、もう一方は引き続き残債の返済義務を負う |
ペア連生団信のメリットとデメリットを比較
ペアローン契約時のリスクを軽減できるペア連生団信ですが、検討する上ではメリットだけではなく、デメリットも把握しておく必要があります。
- ペア連生団信のメリット
-
- 返済時のリスクを減らせる
- 死亡のほか病気に備えることも可能
- ペア連生団信の最大のメリットは、ペアローン契約時の返済リスクを減らせる点です。従来の一般団信では、2人の契約者それぞれが、「相手の万一」に備えて貯蓄や生命保険といったセーフティネットを検討する必要がありました。しかし、ペア連生団信によって万一の備えが可能になったことで、生命保険料などのコストもある程度削減できます。
- 共働き世帯などではペア連生団信によってペアローンを選択しやすくなるため、住宅ローンの借入額を増やして物件の選択肢を広げることも可能でしょう。
- また、ペア連生団信の中には、死亡・高度障害だけでなく、がんなどの疾病や長期入院をはじめとした就労不能状態に備えられるものもあります。
- ペア連生団信のデメリット
-
- 住宅ローン金利が上乗せになる
- 利用できる住宅ローンが限定される
- 一方、ペア連生団信のデメリットは、保障が付加される分、住宅ローン金利が上乗せとなる点です。上乗せ幅は団信の保障内容や住宅ローンを提供する銀行により異なりますが、目安は年0.1〜0.4%程度。申し込みを検討する際は、複数の銀行の住宅ローンの金利と団信のサービス内容を比較することが欠かせません。
- なお、ペア連生団信のもう1つのデメリットは、選択肢の少なさです。ペアローンを取り扱っている銀行でも、団信のペア契約には対応していないケースがあるため、ペアローンを検討する際は、ペア連生団信の対応状況もあわせて確認しましょう。
- なお、夫婦2人分の収入を合わせて住宅ローンの借入額を増やしたい場合は、ペアローンの他に収入合算(連帯債務)を検討してみるのも1つの方法です。
連生団信は、フラット35の「デュエット」に代表されるように、連帯債務型の住宅ローンでの取り扱い実績が豊富です。
メガバンクや地方銀行では、ペアローンでの連生団信が未対応でも、連帯債務型の住宅ローンであれば連生団信を提供しているケースがめずらしくありません。
ペアローンと収入合算、両者の違いを把握した上で、検討時の候補に加えてみてはいかがでしょう。
コラム ペアローンと連帯債務(収入合算)の違いは?
夫婦や親子など2人分の収入を合わせて住宅ローンの借入額を増やす方法として、ペアローンと収入合算があります。
ペアローンのしくみ
ペアローンは、1つの物件に対して夫婦や親子それぞれが住宅ローンを契約する方法です。契約者はお互いの連帯保証人となるため、自身のローン返済とともにもう1人のローンへの返済義務も負います。
住宅ローンの本数は2本となり、ローンごとに金利タイプや借入期間・返済条件などを設定できる点がメリット。団信も各自で加入し、住宅ローン控除もそれぞれが受けられるため、2人の収入水準が近い場合に特に有利な契約方法と言えます。
ただし、住宅ローン契約時の諸費用も倍となる点には注意が必要です。
連帯債務(収入合算)のしくみ
連帯債務(収入合算)は、住宅ローン契約者本人の収入に配偶者や家族の収入を合算して借入額を増やす方法です。
ローン申込者の年収に夫婦・親子などの収入を合算して借入可能額を審査します。住宅ローン契約は1本となるため、手数料などの諸費用もローン1本分で済む点がメリットです。
主たる債務者はローン申込者ですが、収入合算者も「連帯保証人」として返済義務を負います。
団信への加入は契約者(ローン申込者、主たる債務者)のみとなり、住宅ローン控除の利用も契約者本人のみとなります。そのため、収入合算者の年収によっては、万一の際のリスクが大きくなる可能性や、住宅ローン控除による節税機会を失ってしまう可能性があります。
ペアローンと連帯債務(収入合算)の違い
ペアローン | 連帯債務(収入合算) | |
---|---|---|
住宅ローンの契約者数 | 2本
|
1本 |
諸費用 | 2人分(ローン2本分) | 1人分(ローン1本分) |
借入可能額 | それぞれの収入に応じて借入可能額を審査 | 契約者の年収に合算者の年収をプラスして借入可能額を審査 |
住宅ローン控除 | 2人とも利用可能 | 契約者のみ利用可能 |
団信 | 2人とも加入
|
契約者のみ加入
|
収入合算とペアローンはなにが違うの?夫婦で住宅ローンを組むときは知っておきたい、団信、住宅ローン控除、住宅所有権の対象範囲。共働き夫婦におすすめなのは?
住宅ローンの収入合算とは?夫婦や親子で収入を合算する「収入合算」を利用し、住宅ローンを組む際に知っておきたいメリットとデメリットをわかりやすく解説します。
ペア連生団信を提供する銀行を比較
りそな銀行「ペア団信」は、りそな銀行が2024年10月1日から提供を開始したペア連生団信。りそな銀行のペアローン利用時に選択できる。
死亡・高度障害をカバーする「ペア一般団信」と、死亡・高度障害に加えて所定のがんと余命申告時も保障対象となる「ペアがん団信」の2種類を取り扱い、がんへの備えも可能となる点が嬉しい。
金利上乗せは、変動金利・返済期間35年の場合で年0.15%~0.40%。契約者の年齢が35歳以下のほうが、上乗せ金利が低くなるため有利。ただし、利用には年齢制限があり、50歳以上は対象外となるため注意したい。
上記の上乗せ金利は2025年9月末までの借入分に対する優遇金利となっているので、ペアローンで住宅ローンの借り入れを検討している場合は要チェック。
対象となる住宅ローン | ペアローン (変動金利、固定2年・3年・5年・7年・10年・15年・20年、長期固定金利20-35年ほか) |
---|---|
保障内容 |
|
保険料(金利上乗せ)※ |
|
- 変動金利0.49%、返済期間35年で試算(2025年9月末借入までの優遇金利)
三井住友銀行「クロスサポート(連生団体信用生命保険付住宅ローン)」は三井住友銀行が提供する連生団信。連帯債務型の収入合算で利用でき、主たる債務者(契約者)はもちろん、連帯債務者に万一のことがあった場合も住宅ローン残高がカバーされる。
三井住友銀行が提供するWEB申込専用の住宅ローンであれば、借り換えローンや住み替えローンにも対応している。
団信の保障内容は、死亡・高度障害のみとなり、疾病保障は取り扱っていないが、上乗せ金利は年0.18%と低めに設定されているのも嬉しいポイントだろう。
連帯債務型の収入合算の場合、住宅ローンの契約本数は1本となるため、諸費用も1本分で済む。
2人分の収入を合算して借入額を増やしたいけれど、手数料などの初期費用はできるだけ抑えたいという場合に検討する価値のある連生団信だろう。
対象となる住宅ローン | 連帯債務(収入合算) (変動金利型、固定金利特約型2年・3年・5年・10年・15年・20年、超長期固定金利型ほか) |
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保障内容 | 死亡・高度障害 |
保険料(金利上乗せ) | 年0.18% |
みずほ銀行「ペアローン団信」は、みずほ銀行が2024年7月1日から提供を開始したペア連生団信。みずほ銀行の住宅ローンをペアローンで契約する場合に選択可能となる。
団信の保障内容は、死亡・高度障害をカバーする「一般団信(特約なし団信)」のペア型に加えて、所定のがんや余命申告も対象となる「がん保障特約付ペアローン団信」も提供。いずれも上乗せ金利は年0.2%となるため、みずほ銀行のペア連生団信を検討するのであれば、がん保障特約付きのほうがお得といえる。
みずほ銀行の住宅ローンは、メガバンクの中でも金利水準が低く、さらに手数料や住宅ローン保証料などの支払い方法も選択できるため借り入れ当初の負担額を調整しやすい。
ペアローンでの借り入れを検討している場合はチェックしておきたい住宅ローンの1つだろう。
対象となる住宅ローン | ペアローン (変動型、固定期間選択型2年・3年・5年・7年・10年・15年・20年、全期間固定型11-15年、16-20年、21-25年、26-30年、31-35年) |
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保障内容 |
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保険料(金利上乗せ) |
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