金利タイプ別住宅ローンの借り換えで失敗しないためは?4つの例から注意点と対処法を解説

更新日:

住宅ローンの借り換えで失敗しないためは?4つの例から注意点と対処法を解説

実は多い住宅ローンの借り換え失敗。ポイントを押さえてしっかりと検討しよう住宅ローンの借り換えで失敗しないためは?4つの例から注意点と対処法を解説

住宅ローンの借り換えとは、現在返済中の住宅ローンを別の金融機関の住宅ローンに切り替えることを指します。

「住宅ローンを組んだ当初よりも住宅ローン金利全体が下がっている」
「低金利の住宅ローンを提供している金融機関を見つけた」
「金利の固定期間があとわずかで終了し、満期後は金利が上がる可能性が高い」

など、借り換えを検討するきっかけはさまざま。

住宅ローンを借り換える際は、新規の住宅ローンとは異なる借り換え時の注意ポイントを押さえておかなければ、思わぬ失敗をする場合があります。
そこで今回は、「住宅ローンの借り換えでよくある失敗」をテーマに、4つの例をあげ、その注意点と対処法をわかりやすく解説していきます。住宅ローンの借り換えで失敗したくないと思っている方はもちろん、住宅ローンの借り換えを検討している方は、ぜひチェックしてみてください。

住宅ローンの借り換えでよくある失敗 例1:返済中に生じた変化によって審査に落ちる住宅ローンの借り換えで失敗しないためは?4つの例から注意点と対処法を解説

住宅ローンの借り換えでは、新規に住宅ローンを組むときと同じように、借り換え先の金融機関で審査がおこなわれます。
前回の審査にクリアしたから今回も大丈夫だろう、と考えがちですが、住宅ローンの返済期間中に以下のような変化があった場合は、借り換え時の審査に通りにくくなります

転職や独立起業をした

住宅ローンの審査では契約者の年収が重要な基準となります。転職や独立をして間もない(一年以内etc.)場合や、前職よりも年収が下がった場合は、年収によって審査に通りにくくなるケースも。また、法人経営者は、審査を受ける際に2~3年間分の収入実績が必要になります。
住宅購入を急がない場合は、転職・独立から数年たって年収の証明ができるようになった段階で借り換えを申し込むと良いでしょう。

入院や手術・継続的な通院などが必要になった

返済中に健康状態が悪化したときも、団信(団体信用生命保険)に加入できないという理由から審査に取りにくくなる場合があります。最近は、持病がある人のために引受基準を緩やかにした団信を扱う金融機関もあるので、そのような住宅ローンを利用するのもひとつの方法です。
また、現在の健康状態(検査数値など)を提出できるよう、医師に診断書をもらうと良いでしょう。

住宅ローンやクレジットカード、その他のローンのいずれかで延滞した

住宅ローンはもちろん、クレジットカードや教育ローン、自動車ローンなどのローン全般で支払いが滞ると、その延滞情報は個人信用情報機関に登録されます。信用情報は金融機関のあいだで共有され、借り換えの際も審査対象に。
延滞に心当たりがある場合は、専門の信用情報機関に問い合わせてみると良いでしょう。
なお、登録された延滞情報は、通常、延滞が解消されたときから1~5年ほどで記録が抹消されます。記録の抹消を確認してから借り換えをおこなうのがおすすめです。

離婚して、夫婦で借り入れていた住宅ローンを単独ローンに変えた

夫婦名義で住宅ローンを借り入れている場合(ペアローンや収入合算etc.)は、離婚するときに、現在返済中の金融機関に相談して、住宅ローンを夫か妻どちらかの単独ローンに一本化するケースが少なくありません。
本来は2人分の年収で借り入れていた住宅ローンなので、一人だけでは年収が不十分とみなされ、借り換え先の金融機関の審査に通らない場合があります。

編集部おすすめの住宅ローン

ARUHI フラット35

ARUHI フラット35

住宅ローン専門金融機関「ARUHI」が提供する長期固定金利の住宅ローン。フラット35のシェアで13年連続No.1を誇る。※1
WEBからの申し込みで事務手数料が2.2%(税込)から1.1%(税込)に割引※2 ※3
審査基準が明確で、年収など一定の基準をクリアしていれば転職して間もない場合や自営業者でも申し込みができる
自己資金の割合に応じて金利優遇などの独自サービスが受けられる「保証型」のフラット35を取り扱う数少ない金融機関のひとつ。

  • 1. 2010年度-2022年度統計、取り扱い全金融機関のうち借り換えを含む【フラット35】実行件数(2023年3月末現在、ARUHI調べ)
  • 2. ARUHI スーパーフラットをお申し込みの場合は「ご融資額×2.2%(消費税込)」
  • 3. 最低事務手数料220,000円(消費税込)

このサイトへ行く

住宅ローンの借り換えでよくある失敗 例2:諸費用を考慮せず金利だけで借り換える住宅ローンの借り換えで失敗しないためは?4つの例から注意点と対処法を解説

住宅ローンを借り換える人の多くが、もっとも重視するのが金利です。たとえば、金利が2.3%の住宅ローンを1.3%の住宅ローンに借り換えるだけで、総返済額を約440万円、月々の返済額を約1万2,000円も減らすことができます

  • 住宅ローンシミュレーション
    【試算条件:借入額2,500万円、返済期間30年、元利均等返済、融資手数料0円、保証料0円】
    ・全期間固定2.3%……総返済額34,631,915円、毎月返済額96,200円
    ・全期間固定1.3%……総返済額30,204,243円、毎月返済額83,901円

しかし、このときに見逃してはいけないのが、契約時に発生する「諸費用」。借り換えでは、新規の契約時と同じく事務手数料・住宅ローン保証料・団信保険料などが発生します
事務手数料には「定率型」と「定額型」があり、借入額によって手数料が増減するタイプと、借入額に関わらず同額の手数料を支払うタイプに分かれます。どちらの住宅ローンを利用するかによって、諸費用の総額が変わる点に注意しましょう。
また、住宅ローン保証料や団信の保険料も、金融機関によって有料と無料に分かれます。
諸費用を考慮しないまま、金利のみで借り換え先を決めてしまうと、思ったほど借り換えの効果を期待できない……という失敗が起こりやすくなるので、必ず「金利+諸費用」の総返済額でシミュレーションしましょう

編集部おすすめの住宅ローン

SBI新生銀行 パワースマート住宅ローン

SBI新生銀行 パワースマート住宅ローン

新生グループが運営するSBI新生銀行の住宅ローン。住宅ローン保証料・団信保険料・一部繰上返済手数料は無料。手数料は「定額型」で、借入額に関わらず一定となる。
オプションサービスを申し込むと、繰り上げ返済をして短縮した期間に応じて元本返済を休憩できる「コントロール返済」や、共働き家庭向けの家事代行サービス・病児保育サービス等を利用できる。

このサイトへ行く

住宅ローンの借り換えでよくある失敗 例3:変動金利および短期固定で借り換え、将来の金利上昇リスクが上がる住宅ローンの借り換えで失敗しないためは?4つの例から注意点と対処法を解説

借り換えの失敗例として比較的よく聞かれるのが、金利のしくみを十分に理解ないまま、金利の低さのみを重視して変動金利や期間固定金利を選択し、金利上昇リスクが高くなってしまうケースです。

画像

変動金利とは、景気動向に連動して半年に1回、金利が見直されるタイプ。
期間固定金利とは、借り入れ直後の一定期間は固定金利(多くは引き下げ幅の大きい優遇金利)を適用し、固定期間終了後は変動・固定のいずれかを選択できるタイプです。
どちらの住宅ローンも金利が非常に低く、フラット35など長期固定金利の住宅ローンの2分の1以下で提供されているケースも珍しくありません。

ただし、住宅ローン金利の動きを予測するのは難しく、将来的に金利が上昇すれば、変動金利を選択した場合、利息部分の割合が増え、結果として総返済額が膨らむ可能性があります。
また、期間固定金利も、当初の固定金利期間は、変動金利よりも低水準の住宅ローンがある一方で、固定期間終了後の金利は、優遇がなくなって上昇するケースが少なくありません

変動金利、期間固定金利とも、金利の低さが魅力の住宅ローンですが、リスクを十分に理解し、金利が上昇しはじめたときの対策(貯蓄を増やす、こまめに繰り上げ返済をするetc.)も考えて選ぶようにしましょう。

編集部おすすめの住宅ローン

ソニー銀行 住宅ローン

ソニー銀行 住宅ローン

ソニーフィナンシャルグループのネット銀行「ソニー銀行」が提供する住宅ローン。事務手数料は「定額型」と「定率型」から選択可能。返済期間中の金利タイプの変更も無料で自由にできる
住宅ローン保証料、団信保険料、繰り上げ返済手数料は無料。
毎月の中旬頃に翌月の住宅ローン金利が発表されるため、金利動向をチェックしながら借り換えの申し込みや金利タイプの変更ができる点が大きな魅力。

このサイトへ行く

住宅ローンの借り換えでよくある失敗 例4:団信や一部繰り上げ返済の使い勝手が悪化する住宅ローンの借り換えで失敗しないためは?4つの例から注意点と対処法を解説

住宅ローンの借り換えで見落としがちなのが、団信の保障内容や一部繰り上げ返済のしやすさといった住宅ローン契約に付随するサービスです。
ひとくちに団信といっても、死亡保障のみのシンプルなタイプから、疾病保障など特約のあるタイプまでさまざま。現在、利用している住宅ローンの団信を確認し、借り換え先の団信と比較して、どのように保障内容が変わるかをチェックしてみましょう。

また、繰り上げ返済をこまめに行う場合は、手数料無料か、インターネットで24時間手続きできるか、返済金額は何円単位か(1円単位、1万円単位、10万円単位など複数あり)を確認しましょう。金融機関によっては、事前に繰り上げ返済を申し込んだうえで、指定された期限内に手続きをしなければならない場合もあります。

編集部おすすめの住宅ローン

auじぶん銀行 住宅ローン

auじぶん銀行 住宅ローン

「auじぶん銀行」が提供する住宅ローン。団信保険料・住宅ローン保証料・一部繰り上げ返済手数料・返済口座への振込手数料が無料。インターネットで住宅ローンの契約手続きが完了するため、契約書に貼付する収入印紙代も不要となる
団信には、住宅ローン契約者が満50歳までの場合、4疾病保障付きの「がん50%保障団信」が無料付帯するほか、年0.05%の金利上乗せで「がん100%保障団信」、年0.15%の金利上乗せで4疾病保障付きの「がん100%保障団信プレミアム」を付帯できる。繰り上げ返済も1円以上1円単位ででき、利便性が高い。

このサイトへ行く

失敗例を参考にして、住宅ローンの借り換え先を選ぼう住宅ローンの借り換えで失敗しないためは?4つの例から注意点と対処法を解説

画像

住宅ローンの借り換えは、新規に住宅ローンを組む場合よりも手間がかかります。
よくある失敗例は、審査に通過できないケース(その1)と、借り換えによって住宅ローンのスペックが落ちてしまうケース(その2、その3、その4)の2パターン。

借り換えでの失敗を防ぐには、現在の住宅ローンの金利、返済期間、団信、契約者サービスなどをよく確認し、借り換え先の住宅ローンと比較する作業が欠かせません。

今回ご紹介した4つの失敗例と対処法、おすすめの住宅ローン情報も参考に、悔いのない借り換えを実現しましょう!

住宅ローンの借り換え Q&A

Q.住宅ローンの借り換え時にかかる諸費用とは? 住宅ローンの借り換えでかかる諸費用には、おもに以下のようなものがあります。
・事務手数料(融資手数料)
・登記関連費用(抵当権抹消費用、登録免許税、司法書士報酬etc.)
・住宅ローン保証料
・団体信用生命保険料
・印紙税(収入印紙代)
具体的な金額は、金融機関や借入額によっても異なりますが、ほとんどの場合、数十万円と少なくない出費となるため、あらかじめどこから捻出するかを決めておきましょう。審査上、問題がなければ住宅ローンの借入額に上乗せすることも可能です。
なお、住宅ローンを新規で組む際に加入する火災保険については、借り換えをしても、従来の保険に入り続けることが可能です。
近年は自然災害のリスクが高まっていることもあり、借り換えのタイミングで、水災・風災などの補償を見直すのもひとつの方法です。
Q.住宅ローンの借り換え審査で借入額が減額されることはありますか? 借入額が減額されるのは、住宅ローンの審査では決してめずらしいことではありません。
減額のおもな理由は、年収に対する返済額の割合(返済負担率)が高すぎるため。
返済負担率の一般的な目安は25%前後と言われますが、民間の金融機関では20%前後に抑えることを求められる場合もあります。
反対に、返済負担率が高めに設定されているのは、政府と民間金融間が提携する「フラット35」です。返済負担率は年収によって明確に設定されており、30%(年収400万円未満)と35%(年収400万円以上)となっています。
民間金融機関の審査で減額される場合は、フラット35を検討してみても良いでしょう。

著者 長尾 尚子

フリーランスライター。得意分野は、育児・教育、住宅ローン、保険、金融、エンタメ等、幅広い。子ども3人を育児中のママでもある。
【資格】消費生活アドバイザー、FP2級