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住宅ローンの不安「借りられるか」「返せるか」が心配なときの対処法は?
- 住宅ローンの基礎知識

住宅ローンを組むのが不安と感じたら
マイホーム購入を検討している方の中には、最近の金利と住宅価格の上昇を受けて「住宅ローンを組むのが不安」と感じている方も多いでしょう。
家は人生で一番大きな買い物です。何十年にも渡り返済を続ける住宅ローンを組むことは、大きな決断を求められます。つまり「住宅ローンを組むことに不安に感じるのは当然」なのです。ご自身の不安の具体的な中身を知り、解消するためにできることがあるかを確認してみましょう。
住宅ローンに不安を感じた場合の3ステップ
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STEP 1. 住宅ローンの何がもっとも不安か、不安の中身を分解し、整理してみる
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STEP 2. 住宅ローンの不安を感じるポイントについて対処法を知る
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STEP 3. 自分だけで判断がつかないことは金融機関に相談してみる
まずは、STEP 1で自分の不安を感じている要因を見極めましょう。ほとんどの場合、住宅ローンに関する不安は「借りられるか」と「返せるか」のどちらかです。自分がどちらについてより不安を感じているか、具体的に心配な内容は何かを言語化してみましょう。
その上で、STEP 2で不安を感じるポイントに該当する住宅ローンの知識・対処法を学ぶことが大切です。
また、STEP 2でも解消できない不安に関しては、STEP 3として住宅ローンのプロである金融機関に相談してみると良いでしょう。
住宅ローンの不安「借りられるか」「返せるか」が心配なときの対処法は?
住宅ローンの不安 その1:借りられるか(審査に通るか)への対処法
住宅ローンを借りる上で金融機関の審査に通るか、希望通りの額を借りられるかは多くの人が不安を感じるポイントです。「借りられるか」の不安に対しては、主に以下の対処法・対策を試してみると良いでしょう。
- 住宅ローンの審査基準を知る
- 複数の金融機関に仮審査を申し込む
- ペアローンの利用を検討する
- フラット35の利用を検討する
住宅ローンの審査基準を知る
住宅ローンの審査基準は金融機関によって異なり、詳細は非公開です。ただし、多くの金融機関に共通する審査基準もあるので、まずは自分が基本となる基準を満たしているか確認してみましょう。
- 個人の信用情報
- クレジットカードの返済情報、カードローン、カーローンの利用状況など。 延滞履歴があると信用情報機関のブラックリストに掲載されるため、住宅ローン審査はほぼ通らない。
- 仕事情報
- 年収、勤め先の勤続年数、雇用形態(正社員・非正規雇用・自営業etc.)など。
年収面では安定した収入があることを条件とする金融機関がほとんど。勤続年数・雇用形態は重視する金融機関と不問とする金融機関に分かれる。 - 年収と借入額のバランス
- 返済負担率(年収に占める年間返済額の割合)が上限を上回っていないか。
一般的に、返済負担率25~35%を上限とするケースが多いが、金融機関の基準や申込者の年収により異なる。 - 申込者の年齢
- 借入時の年齢および完済時の年齢が基準内か。
一般的に、借入時は満18歳以上70歳未満、完済時は80歳未満とする金融機関が多い。 - 申込者の健康状態
- 住宅ローン契約者が加入する団体信用生命保険(団信)の健康基準を満たしているか。
持病がある人向けの引受緩和型団信を提供している金融機関あり。
複数の金融機関に仮審査を申し込む
住宅ローンの審査に通る確率を上げるため、複数の金融機関に仮審査を申し込むのもおすすめです。
住宅ローンには本審査と仮審査があり、仮審査は二つ以上の金融機関に申し込んでも問題ありません。金融機関によっては即日審査に対応しているところもあるので、住宅ローンを申し込む際はいくつか候補をピックアップしておきましょう。
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ペアローンの利用を検討する
共働き世帯の増加と住宅の物件価格の上昇によって、ペアローンを利用する世帯が増えています。年収と借入額の関係で住宅ローン審査に通りにくそうな場合(返済負担率が基準より高くなる場合)は、夫婦で住宅ローンを借り入れる「ペアローン」を検討しても良いでしょう。
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フラット35の利用を検討する
フラット35とは、政府系金融機関である「住宅金融支援機構」が提供する長期固定金利型の住宅ローンで、民間金融機関を窓口として申し込むことができます。フラット35は民間金融機関の住宅ローンと比較すると、審査基準が明確で、申込者の勤続年数や雇用形態などを問わないため、審査が通りやすくなっています。
転職直後や自営業などで民間金融機関の住宅ローン審査に通りにくいと感じる場合は、フラット35を検討しても良いでしょう。
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住宅ローンの不安 その2:返せるか(滞納せずに返済できるか)への対処法
住宅ローンのもう一つの不安は、月々の返済が滞りなくできるか、二十年・三十年の長期返済を続けて完済できるかといった「返せるか」への不安です。
住宅ローンの返済に関する不安には、以下のような対処法・対策があります。
- 無理のない返済計画を立てる
- 有利な条件で組める住宅ローンを利用する
- 頭金を用意して借入額を抑える
- 返済できなくなった場合は金融機関に相談。売却も視野に
無理のない返済計画を立てる
住宅ローンは、借入前に様々な条件で返済計画をシミュレーションします。金融機関に相談する前に、自身でも様々なシミュレーションツールを利用して「月々の返済額」や「総返済額」「返済負担率(借入額と年収のバランス)」などを確認しておくと良いでしょう。
- シミュレーションツールの例
- 返済プラン比較シミュレーション - 住宅金融支援機構
例えば、「単独ローン」と「ペアローン」で借入可能額や返済額、諸費用がどう変わるか、ボーナス返済は設定して大丈夫か、繰り上げ返済はするかなど、様々な角度でシミュレーションを活用し、返済可能な範囲を探ることをおすすめします。
金利タイプを「長期固定金利」と「期間固定金利」「変動金利」で迷っている場合は、現時点でのそれぞれの金利をベースにした総返済額を見るだけではなく、「期間固定金利」の固定金利期間終了後の金利上昇はどの程度か、「変動金利」の適用金利が上昇した場合の対策についてもシミュレーションしておきましょう。
有利な条件で組める住宅ローンを利用する
住宅ローンは、原則として低金利で借り入れるほど利子も少なく、総返済額を抑えることができます。同じ金利タイプでも金融機関によって住宅ローン金利は異なるため、有利な条件で借り入れができるところを探してみましょう。
傾向としては、ネット銀行は住宅ローンの金利競争に積極的であり、低金利の住宅ローンや魅力的な団信の疾病保障を提供しています。
頭金を用意して借入額を抑える
返済に不安を感じないための対策としては、頭金(自己資金)を多めに準備して借入額を減らす方法があります。一定以上の頭金を用意すると、適用金利が優遇される金融機関もあるので、各銀行のホームページ等で確認してみましょう。
頭金は、貯蓄する以外に両親や祖父母から住宅購入資金として贈与を受ける方法もあります。通常の贈与税よりも非課税額が大きいため、検討してみてもよいでしょう。
住宅ローンを頭金なしで組むメリットやデメリットは?さらに、頭金なしで住宅ローンを組む際の注意点や、頭金なしで組めるおすすめの住宅ローンも紹介しています。
返済できなくなった場合は金融機関に相談。売却も視野に
住宅ローンを組んで、万一返済できなくなった場合、多額の借金を抱えることになるのでは・・・と不安を覚える方もいるでしょう。
住宅ローンの返済が難しくなった場合は、滞納してしまう前に金融機関に相談し、返済計画を見直すのが鉄則です。このような時に一番やってはいけないのが、何の連絡もせずに返済を滞納すること。
もしも、返済困難であることが確実な場合は、滞納によって強制的に売却される前に自分から住宅を売却(任意売却)し、ローンを返済したほうが有利な条件で売却できる可能性が高いでしょう。
住宅ローンの不安を相談できる窓口(対面・オンライン)
住宅ローンの不安について、自分だけでは判断できない場合は、借り入れを検討している金融機関に相談してみましょう。
金融機関の住宅ローン相談窓口は、一昔前まで平日昼のみの営業でしたが、現在は休日も運営している店舗やオンラインで場所を問わずに相談できるサービスが増えています。
相談窓口では、住宅ローンに関する一般的な説明を聞けるだけではなく、複数のパターンでのシミュレーション結果や、金融機関に個別のアドバイス(審査基準を踏まえて審査を通りやすくする方法)などを聞くことができます。
一つひとつの住宅ローンを確認していくのが面倒な場合は、複数の金融機関の住宅ローンを比較できるサービスを利用するのも一つの方法です。
イオングループが運営する「イオン銀行」では、全国にある店舗で住宅ローン相談を受け付けている。オンライン相談にも対応。
イオン銀行の店舗は、イオンモール内などで土日祝日も営業していることが多く、平日に仕事を休めない会社員でも利用しやすい。あらかじめ来店予約をしておくことで優先案内も可能となっている。
イオン銀行のオンライン相談もホームページ上で希望の店舗と日時を選択し予約できる。本契約時は来店が必要だが、住宅ローンの申し込み手続きまではオンラインででき、利便性が高い。
SBIマネープラザは、「住信SBIネット銀行」「SBI新生銀行」を運営するSBIホールディングスの住宅ローン相談窓口。国内に14店舗(2025年3月時点)を展開しており、住信SBIネット銀行とSBI新生銀行を担当する店舗で、それぞれの住宅ローン商品について対面で詳しく聞くことができる。
住宅ローン審査の申し込みから契約手続きまで、対面でのアドバイスをもらいながら手続きできるほか、金利タイプやペアローンの相談、各種シミュレーションで住宅ローン契約後の返済計画を可視化しながら選べる点も嬉しい。
住宅ローンのシミュレーション&比較サイト「モゲチェック」では、住宅ローンのプロにメッセージで無料相談ができるサービスを提供している。住宅ローン選びで「何からはじめれば良いかわからない」「サイトで診断した住宅ローン診断の結果をどう活かすと良いか」などの悩みをテキストで相談可能(電話・対面での相談には非対応)。
利用する際は、モゲチェックへの会員登録後に解説される専用メッセージページから相談したい内容を送信する。住宅ローンを絞り込む前段階でプロの意見を聞きたい場合のおすすめ。