お悩み・相談住宅ローンが組めない理由とは?審査落ちしたらどうする?
それぞれの対処法を解説!

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住宅ローンが組めない場合とは?審査落ちする理由と対処法

住宅購入の際、金融機関の住宅ローン審査に落ちてしまうと、マイホーム資金を借り入れることができません。
審査に通らなかった場合も、なぜ落ちたかという理由はほとんど説明されないため、どのようなケースで住宅ローンが組めないのか、審査落ちした場合にどうするのかといった対処法が気になる方も多いはず。

住宅ローンが組めない理由は、多くの場合、一つだけではありません。実はいくつかの審査項目のうち複数のマイナスポイントが合わさって審査落ちにつながっているケースがほとんどです。

そこで今回は、住宅ローンが組めない理由にスポットを当てて、審査で減点されるポイントとそれぞれの理由別の対処法を解説します。

転職して間もない(勤続年数が短い)住宅ローンが組めない理由 その1

住宅ローンの審査で金融機関側がもっとも重視するポイントのひとつが、申込者の年収です。
審査時の必要書類として、会社員は「源泉徴収票」、自営業者や経営者は「確定申告書」の提出を必ず求められますが、転職や起業をして1年以内など、年収の証明がしづらい場合は、そのこと自体をリスクと捉えられ、マイナス評価を受けるケースが少なくありません。

さらに、自営・法人経営者に関しては、事業収入が不安定になりがちなことから3年分の年収証明を求められるのが一般的
(なお、親族経営の会社に勤めている場合も、会社全体の業績をチェックするために3年分の源泉徴収票を求められるケースがあります。)

勤続年数を特に重視するのは、リスクを嫌うメガバンクや大手の信託銀行。また、一部のネット銀行においても、転職から間もない申込者が住宅ローン審査に通ることは難しくなっています。

Check対処法は?

住宅ローン審査の基準は、金融機関によって大きく異なります。転職や起業から間もない場合は、勤続年数の比重が低い金融機関で住宅ローン審査を申し込むのがおすすめ。
たとえば、転職者の住宅ローン申し込みを受け付けていることをホームページ等で明言している金融機関を利用してみましょう。
また、住宅金融支援機構と民間の金融機関が提携し、提供する「フラット35」も、審査時の基準に申込者の勤続年数は定められていないため、有力な選択肢と言えます。

おすすめの住宅ローン

SBI新生銀行 住宅ローン

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柔軟性の高い審査基準を持ち、契約者向けの多彩なサービスを提供するSBI新生銀行の住宅ローン。転職して間もない場合であっても、今までの転職歴を申告することで、社会人経験全体での評価を行っている。
繰り上げ返済で短縮した期間分の元本返済を休憩できる「コントロール返済」や、共働き世帯向けの家事代行サービスやシッターサービスの費用補助など、契約者向けの付加サービスも充実。

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借入希望額が融資可能額をオーバーしている住宅ローンが組めない理由 その2

前項でも触れた通り、申込者の年収は住宅ローンの重要審査項目のひとつです。
金融機関側は、この年収情報をもとに、申込者ひとりひとりに対して融資できる金額(融資可能額)を算出します。
民間の金融機関であれば、融資可能額は利息も含めた年間の返済額が、申込者の年収の15~20%程度に収まるよう設定するのが一般的。これを返済負担率と言います。

たとえば、年収450万円の申込者が、単独(本人のみ)で金利1.2%の住宅ローンを35年間借り入れる場合、返済負担率を20%に抑えると借入可能額は2,571万円となります。
このケースでは、仮に、物件価格と頭金の兼ね合いで「3,000万円は借り入れをしたい」と申請していた場合、減額を勧められるか、審査落ちの原因となるでしょう

なお、借入希望額が融資可能額を上回るケースは、年収不足だけが原因とは限りません
自動車のローンや教育ローンなど、ほかでの借り入れがある場合は、その金額も融資額に含まれ、住宅ローンの融資可能額から差し引かれます
クレジットカードの限度枠やキャッシング枠(枠があるだけで借り入れとして算入される)、また、携帯電話の端末代や通信販売の代金などを分割払いしている場合もこれに該当するので要注意。
なお、投資用不動産(アパート、駐車場、コインランドリーetc.)を購入し、ローンを払いながら所持している場合は、金額も大きくなり、住宅ローンの融資可能額をほぼ使い切ってしまうこともあるため、ローンを背負っての投資はタイミングに注意が必要です

また、金融機関の住宅ローンシミュレーションで試算できる融資可能額は、すべての審査項目にマイナス要素がない場合に、年収や金利などの条件をもとに自動計算されたものです。
これまでに見てきた「転職直後」や「自営業」などのマイナスポイントが影響すると、シミュレーションよりも低い融資可能額を提示されることも多く、そのことで結果的に借入希望額を下回ってしまうケースもあります。
審査の通過や満額での融資を目指す場合は、それぞれの項目の対処法を参考に、ひとつずつ負の要素を潰していくようにしましょう。

Check対処法は?

借入希望額が融資可能額をオーバーしている場合の対処法としては、まず頭金を増やすことを考えてみましょう。
一般的な方法としては、親に借りる、または贈与として譲り受けるのがおすすめです。
共働き夫婦であれば、夫婦の年収を合算できる「収入合算」や「ペアローン」を検討するのもひとつの方法。
民間の金融機関よりも返済負担率の上限が大きく、年収の30~35%まで融資可能なフラット35も有力な選択肢になります。
上記の方法のいずれも実行が難しい場合は、最後の手段として、物件を見直して借入希望額を減らしたほうが良いでしょう。

おすすめの住宅ローン

auじぶん銀行 住宅ローン

auじぶん銀行 住宅ローン

三菱UFJ銀行とauフィナンシャルホールディングスが提携するネット銀行「auじぶん銀行」の住宅ローン。仮審査の申し込みから契約までインターネット上ですべての手続が完結する。
住宅ローン保証料・団体信用生命保険料・一部繰り上げ返済手数料は無料。また、すべての病気・ケガを対象とした「全疾病保障」と、がんと診断された場合に住宅ローン残高が半分になる「がん50%団信」も無料付帯。住宅ローン金利の低さにも定評がある。
ペアローン、収入合算ともに扱っており、夫婦での住宅ローン申し込みに対応。

auじぶん銀行 住宅ローン

信用情報機関のブラックリストに載っている住宅ローンが組めない理由 その3

信用情報機関とは、個人の信用情報を管理する機関の総称です。
住宅ローン・クレジットカード・カードローン・消費者金融・その他割賦販売などの借り入れ情報が登録されており、支払いが滞った場合はその遅延情報が、また、延滞が一定期間(61日以上、91日以上など)になると、悪質なケースとして「異動」表記が付くしくみとなっています。

信用情報機関の情報は、金融機関やクレジットカード会社で共有されており、住宅ローン審査の際は、金融機関によって信用情報がチェックされます。
信用情報に「異動」の記載がある場合は、俗に言うブラックリストに載った状態となり、住宅ローン審査の通過はまず無理です。

それ以外の遅延情報も、回数が多い場合はマイナス評価の対象となります。 また、「消費者金融に借り入れをしている」「複数の金融機関に住宅ローンの本審査を申し込んでいる」などの情報も共有され、金融機関によってはマイナスの査定を受ける場合があります。

個人信用情報は金融機関がもっとも厳しくチェックするポイントのひとつ。
たとえば、夫がブラックリストに載っている状態で、妻が単独で住宅ローンの申し込みをしても、多くの場合、金融機関が夫の信用情報を確認するため、審査落ちとなります。

Check対処法は?

信用情報がネックとなっている場合、まず、未納の支払いがあるときにはそちらを完済する必要があります。
支払いを済ませたあとも信用情報機関の情報は最長で5年間保持されることから、表記が消えるまでは住宅ローンを組むことは難しいでしょう。
ご自身の信用情報に不安がある場合は、信用情報機関に問い合わせることで、申請者本人に限って自分の信用情報を閲覧することができます。

おすすめの住宅ローン

ARUHI フラット35

ARUHI フラット35

住宅ローン専門金融機関「ARUHI」が提供するフラット35。金利や審査基準は他のフラット35と同一で、年収や勤続年数などの上限が比較的ゆるく、返済負担率も高めに設定されている。インターネット経由の申し込みで融資事務手数料が割引になる点も嬉しい。
頭金の割合を多くすることで金利を優遇がされる「ARUHIスーパーフラット」などの独自商品を提供。フラット35のシェアで12年連続No.1を誇る。

ARUHI フラット35

税金や社会保険料、公共料金などの未納がある住宅ローンが組めない理由 その4

税金・社会保険料・公共料金などの未納・滞納も、住宅ローン審査の際、マイナスポイントとなります。
税金や社会保険料の未払いは源泉徴収票の記載で発覚することが多く、また、金融機関によっては銀行通帳のコピーや年金手帳などの提出を求めて、これらの支払いをチェックするケースがあります。

特に自営業者は、審査時の必要書類に「納税証明書」が含まれているのが一般的。
税金や社会保険料の未納は、信用情報機関の延滞情報ほど致命的ではない場合が多いものの、支払うべきものを支払っていないことがわかれば、マイナスの評価は避けられません。

Check対処法は?

未納分はすみやかに納付することが大切です。会社員の場合は、源泉徴収票が毎年更新されるため、未納を解消して1年以上が経過していれば、多くの場合、金融機関に情報は共有されません。
自営業者の場合は直近3年分の納税証明書の提出が必須となることから、もしも未納があるときは、証明書からの記載が消える3年前後で、タイミングを見計らって住宅ローン審査を申し込むと良いでしょう。

違法建築などで物件が基準を満たしていない住宅ローンが組めない理由 その5

申込者の情報にマイナス要素がない場合でも、住宅ローンが組めない場合があります。
たとえば、中古の一戸建てを購入する際に、建築基準法に合致しない建て方がされていると、金融機関の審査には通りません。

建物の一部が隣家の敷地にはみ出している、違法な増改築をしているetc・・・購入前に不審な点がないかどうかをチェックしましょう。
法令や建築について専門的な知識がない場合は、フラット35の適合検査を受けているかどうかをたずねる、リフォーム履歴を確認する、などの方法もおすすめです。

Check対処法は?

違法建築の物件を住宅ローン審査に通すことは原則的に不可能です。そのため、現在の物件をあきらめて新たに別の物件を探すのがベスト
違法部分が、簡易な取り壊しなどで対処できそうであれば、売り主や専門家に相談してみるのもひとつの方法です。

住宅ローンの審査落ちは複数要因で起きる。組めない理由を洗い出して地道に対処しよう

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住宅ローンが組めないと住宅購入そのものがストップしてしまうため、金融機関の審査がどの項目をどのようにチェックしているかは、多くの方が気になるポイントでしょう。
住宅ローン審査に落ちるとき、一発でアウトとなるのは、信用情報機関のブラックリストに登録されている場合のみで、決して多くはありません。
ほとんどのケースでは理由は一つではなく、複数のマイナスポイントが合わさることで融資不可の判定が降ります

住宅ローンの審査に通過するためには、これらの負の評価をひとつずつ潰していき、全体的な評価を底上げすることが重要です。年収が満たないケースであれば「頭金を多めに用意する」「配偶者と収入合算する」など、いずれの理由にもなんらかの対策は存在します
今回ご紹介した「住宅ローンを組めない理由と対処法」も参考に、ご自身の希望通りのマイホームを手に入れましょう!

著者 長尾 尚子

フリーランスライター。得意分野は、育児・教育、住宅ローン、保険、金融、エンタメ等、幅広い。子ども3人を育児中のママでもある。
【資格】消費生活アドバイザー、FP2級